6月13日 CRISPRでガン治療(6月8日Natureオンライン掲載論文)
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6月13日 CRISPRでガン治療(6月8日Natureオンライン掲載論文)

2026年6月13日
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CRISPR/Cas遺伝子編集の臨床応用は拡大を続けており、開発者の一人Doudnaさんは、臨床応用拡大のための10億ドルファンドを計画していることが今年の初めに報道された(https://www.forbes.com/sites/amyfeldman/2026/02/17/gene-editing-has-struggled-to-go-commercial-this-nobel-laureate-has-a-1-billion-plan-to-fix-that/)。

今日紹介する論文もDoudnaさんの研究室からで、今度は遺伝子編集をなんとガンを殺す抗ガン剤として使う方法の開発で6月8日Natureにオンライン掲載された。タイトルは「Targeting Cancer-Specific Mutations with RNA-Triggered Chromatin Shredding(ガン特異的な変異RNAを標的に染色体を断片化させてガンを殺す)」だ。

例えばガンのドライバーを遺伝子編集で除去すればガン増殖を抑制できると考えるが、効率の問題や、ガンの変わり身の早さを考えると現実的ではない。代わりに、Doudnaさんたちはガン増殖に必須の変異RNAとそれに対するガイドRNAの結合により活性化したCasによって染色体DNAを辺り構わず切断できる方法の開発を目指している。いわばガン特異的に内側から放射線でDNAを切断するようなイメージだ。

そんなCRISPR/Casがあるのかだが、この研究ではCas12a2に着目し、試験管内で標的RNAにとそれに対応するガイドRNAが結合した2重鎖RNAにより活性化したとき、プラスミドのような裸のDNAだけでなく、ヒストンが巻き付いた染色体や、あるいは細胞核DNAを切断する条件を確立している。

細胞はDNAが切断されると増殖を止め、アポトーシスに陥るが、実際この方法で細胞を殺せるか次に調べている。結構マニアックな手法を用いて、DNA傷害されて細胞増殖が抑制されていく過程が実際に起こっていることを示し、この方法で染色体DNAを細胞内で切断して細胞を殺せることを確認している。

後は実際のガンで見られる様々な変異を持つRNAを正確に認識してガンだけを殺すことが出来るか、様々な変異について検討をしている。この系ではコンピュータで簡単に標的が設計できるというわけにはいかないが、複数の標的を作成して実際に試せば、使用可能な標的を決めることが可能であることを示している。

その上で、最後にトライしたのが、正常なp53の機能を喪失するだけでなく、ガンの無秩序な増殖を助けるR248Q変異を持ったp53を標的に、ガン細胞を殺す遺伝子編集を確立する挑戦で、標的変異p53に対応するガイドRNAとCas12a2 mRNAをRNAワクチンと同じ脂肪ナノ粒子に詰め、これを肺ガンに投与する実験で、R249Q変異を持つガン細胞の増殖を抑制できることを、ガンの移植モデルで示している。

ついに遺伝子編集が抗ガン剤としても使えることを示したことは極めて重要だ。効率の問題はあるかも知れないが、副作用などを考えると未来のガン治療の大きな柱になる気がする。ガン患者としても期待したいが、まだまだ時間はかかりそうだ。

カテゴリ:論文ウォッチ
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