9月8日 ストレス太りのメカニズム(9月3日 Nature オンライン掲載論文)
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9月8日 ストレス太りのメカニズム(9月3日 Nature オンライン掲載論文)

2025年9月8日
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ストレス太りについては一般にもよく知られている。単純なメカニズムではないと思うが、一般的にはストレスホルモンを産生する副腎皮質系がストレスサーキットで刺激され、血糖を上昇させると考えられている。

ところが、今日紹介するMount Science医学校からの論文は、ストレス太りに関わる新しいメカニズムを明らかにした研究で、9月3日 Nature にオンラインに掲載された。タイトルは「Amygdala–liver signalling orchestrates glycaemic responses to stress(扁桃体から肝臓へのシグナルがストレスに対するグリセミック反応を調節する)」だ。

この研究ではまずストレスがかかると30分もすれば血糖が上昇すること、そしてこの反応に応じて、ストレスにより影響されるとされている扁桃体の前部を中心に神経活動が上昇する事を確認する。

次いで扁桃体の神経興奮が血糖上昇の原因であるかを調べるため、これらの細胞を遺伝学的に改変したマウスを用いて刺激すると、期待通り30分で血糖が上昇する。ただ、副腎皮質ホルモンやインシュリンはほとんど上昇せず、扁桃体の刺激はこれまで考えられていたのとは異なり、副腎皮質経路を介さないことが明らかになった。

次にこの反応に関わる扁桃体からの神経投射を調べると、主に投射する線条体と視床下部のうち、視床下部へ投射している経路がストレスにより活性化されることが明らかになった。視床下部に投射する扁桃体神経を蛍光ラベルして単一細胞レベルの転写を調べると、グルタミン酸作動性とGABA作動性の両方の神経の投射が見られ、どちらの細胞も扁桃体刺激後のグルコース上昇に関わっている。面白いのは、扁桃体神経細胞の発現遺伝子の中にはグルコース代謝と相関が知られている遺伝子多型が見つかっている遺伝子が多い。

副腎皮質非依存性の回路として考えられるのは、視床下部から組織に投射してグルコース新生に関わる神経経路で、ここでは肝臓に投射する交感神経経路に絞って調べ、扁桃体刺激により肝臓でのグリコーゲンからグルコースを作る代謝経路に関わる遺伝子発現が軒並み上昇すること、またこれがFOXO1 転写因子の下流で上昇していることを確認している。交感神経からの刺激については特に検討されていないが、おそらくノルアドレナリンによる作用が、肝臓細胞の代謝システムをリプログラムさせると考えられる。

ただ、これらの反応は急性の反応で、これだけではストレス太りは説明できない。この研究では、ストレスが続くと、扁桃体神経の興奮閾値が高まって、ストレスに反応できなくなることに注目している。そこでストレスに反応する細胞を特異的にジフテリアトキシンで殺したマウスを作成すると、ストレスにはほとんど反応しなくなるのだが、高脂肪食だけでなく正常食でも太りやすく、グルコース耐性が低下してしまうことを発見する。この原因を探ると、肝臓で α2Aアドレナリン受容体が低下し、一方β2アドレナリン受容体が上昇し、これが肝臓からのグルコースのアウトプットを上昇させる結果であると結論している。即ち、ストレスによりストレスセンサーが鈍化することが、代謝の変化に対応できない状態を作り、肥満や2型糖尿病のリスクを上げると結論している。

以上、これまでとは全く違うストレス太りのメカニズムを明らかにした面白い論文だ。

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9月7日 海馬の神経回路を再構築する(9月4日 Science 掲載論文)

2025年9月7日
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コンピューター上で実現しているニューラルネットの威力については、昨年のノーベル賞を挙げるまでもなく、我々は日々実感しているが、エネルギー消費や可塑性などまだまだ問題はある。逆に言うとさらに進化する可能性がある。素人目に見たとき、AI のニューラルネットは刺激に応じて調節可能な興奮性ニューロンのみで形成されている様に思える。それでも十分な数のニューロンと多層性があれば驚くべき力を発揮するのだが、この調節可能性を実際の脳で行われている様々な介在ニューロンが関わる複雑な回路に近づけることはおそらくこの分野の重要な課題になっていると思う。

今日紹介するニューヨーク大学からの論文は AI を意識した研究ではないが、場所記憶の成立過程で海馬に存在するほぼ全ての介在ニューロンの活動を調べ、その機能を今度はAIを用いて解析した研究で、9月4日 Science に掲載された。タイトルは「Cooperative actions of interneuron families support the hippocampal spatial code(様々なタイプの介在ニューロンの協調作用が海馬の空間コードを支えている)」だ。

海馬の場所細胞は興奮ニューロンを記録から定義されるが、これを維持するためには当然介在ニューロンを介する調節機構が働いて、特定の興奮ニューロンが特定の場所で興奮するように調節されている。これに関わる介在ニューロンの機能については盛んに研究されてきたが、この研究では海馬に存在する5種類の介在ニューロンの活動と興奮ニューロンの活動を、一匹のマウスで記録し刺激できるようにして、行動中、あるいは刺激後の神経興奮の特性を徹底的に調べ、介在ニューロン同士のネットワークを解析するとともに、場所細胞成立への関与について研究している。

面白いのは、ここまでデータを蓄積すると、大量のデータを学習してそのコンテクストを見つけてくれる AI に頼ることになる。まずわかるのは、異なるタイプの介在ニューロンは、生理学的にも全くことなる性質を持っていることだ。

海馬の脳波活動は波長の異なる様々な成分に分けることができ、さらにリップルと呼ばれるスパイク状の興奮が重なるが、それぞれの介在ニューロンのこれらの成分に対しての寄与度は違っている。最も目立つリップルへの関与を調べるとほとんどの介在ニューロンは同時に興奮するが、Id2、CaMK2 介在ニューロンの活動は抑制されているといった具合だ(ただその意味は示されてはいない)。

さらにそれぞれの介在ニューロンを刺激して、介在ニューロン間のネットワークを調べることができる。これも意味はわからないが、各介在ニューロンは相互に繋がっているが、シナプスの反応性は異なっている。

これらの解析の上で、場所細胞を特定する迷路実験を行い、そのときの各介在ニューロンの活動を重ね合わせると、それぞれは場所に応じて興奮することがわかる。ただそれぞれの反応のコンテクストを把握するために、AI ニューラルネットを用いて各反応シークエンスを多次元空間にエンベッディングして解析している。すると、Pvalb介在ニューロンは場所細胞の安定性と強く相関することなど、それぞれの介在ニューロンの機能を場所細胞成立過程と相関させることができる。さらに、この機能的解析は、興奮ニューロンや介在ニューロンネットワーク同士の解剖学的結合性とも一致する。

最後に、それぞれの介在ニューロンを行動中に刺激する実験もできる。少し驚いたが、各介在ニューロンを刺激しても行動にはあまり変化が見られない。しかし、例えば Vip介在ニューロンの刺激は場所細胞の興奮を抑えるし、Sst介在ニューロンの刺激は興奮頻度を抑える。 以上あまりに専門的なのでかなりすっ飛ばして紹介したが、複雑な回路の特性について調べようとすると今や AI が必須である事実で、ここから得られる結果が AI の新しい回路設計に進むとすると、脳、AI、脳の理解、新しいAI設計と進んでいくような気がする。面白い

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9月6日 一匹のメスアリから、種が異なるオスアリが生まれる(9月3日 Nature オンライン掲載論文)

2025年9月6日
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JT生命誌研究館の顧問をしていた頃、アリの研究一筋の有本さんと出会って、いろいろアリの種類や生態の奥深さを教えてもらったことがあるが、その知識を超える意外なアリの生態についての論文がフランス モンペリエ大学から9月3日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「One mother for two species via obligate cross-species cloning in ants(種を超えたクローン化を通して行われる一種類の雌アリから2つの種が生成される)」だ。

アリはメスアリと働きアリは diploid (2n) で、オスアリはhaploid (1n) で、遺伝的には違いが無いが、多くの場合メスと働きアリは食べ物などの差によるエピジェネティック過程で機能の違いが形成される。この研究ではヨーロッパ中に生息する Messor ibericus の働きアリが例外なく M. structor 由来のゲノムを有しているという発見からスタートしている。

M.Ibericus と M. structor はともにヨーロッパに生息しているアリだが、遺伝的には500万年前に分岐しており、また生息域が重なるのは南フランスからスイスにかけての一部であるにもかかわらず、M.Ibericus の働きアリはスペインから南イタリアまで全て両方の種のゲノムを持つハイブリッドであることがわかった。もちろん他の種と交雑する例はあるが、M.Ibericus の場合生息域が重なるから M.structor 交雑するのではなく、何らかの方法で M.structor のオスを種内で生成する仕組みがあることになる。

そこで野生の M.Ibericus のコロニーに存在するオスを調べると、形態的に異なる2種類のオスが存在することがわかった。それぞれのミトコンドリアゲノムを調べると、全て M.Ibericus のミトコンドリアを有していることから、種の異なるオスが一匹のメスから生まれていることがわかる。さらに、実験室に持ち帰って卵を産ませると、11%が M.structor のゲノムを持っている卵であり、実際に卵から異なるオスが発生することが確認された。

以上のことから、M.Ibericus のコロニーでは、働きアリは M.Ibercus ゲノムだけでは発生できないため、M.structor のオスをコロニー内で維持する必要がある。そのため、メスはゲノムが存在しない卵と、ゲノムが存在する卵を産卵し、オスの精子で受精すると、M.Ibericus 同士のゲノムが合わさるとメスアリ、M.Ibericus と M.structor とが合わさると働きアリ、そしてメスのゲノムが存在しない場合は、精子に対応すす雄アリが発生することになる。

このような仕組みが発生した経緯を考えると、最初生息域がオーバーラップする領域で偶然に異なる種の交雑が起こり、そこから発生する働きアリの効率が良いことから、M.Ibericus ゲノムだけを持つ働きアリより両方のゲノムを持つ働きアリを生成するため、ゲノムの存在しない卵に受精させることで、一旦手に入れた M.structor の精子から雄アリをクローン化して生成する方法を発達させたことになる。

実際、生息域がオーバーラップする領域では、コロニー内だけでなく M.structor との交雑が確認されることから、このシナリオは十分可能性があると結論している。また、コロニー内で維持される M.structor ゲノムは組み替えが無いため、相同性が高いことも、M.structor のオスゲノムがクローンとして維持され、働きアリ生成に使われていることがわかる。

卵への核移植がクローン動物作成の最初だったが、まさに同じ事が自然に行われ、組織化されているというアリの多様性に驚くほかはない。

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9月5日 交叉抗体によるデングウイルス感染増強の疫学(9月3日 Science Translational Medicine 掲載論文)

2025年9月5日
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コロナパンデミックの頃、抗体がウイルス感染を増強する Antibody dependent enhancement (ADE) が問題になったことがある。ADEはウイルスと抗体が結合してマクロファージやリンパ球などの Fc受容体を持つ細胞に取り込まれやすくなることで感染が増強する現象で、コロナウイルスの場合まずACE2陽性細胞に感染するので本来問題にならないのだが、当時は一つの可能性として議論された。しかしその後の疫学的検討から、Covid-19の場合ADEはほとんど認められないことが示されている。

これに対し、蚊が媒介し、最初にマクロファージや樹状細胞に感染するフラビウイルスは明確にADEの関与が知られている。例えばデングウイルスは、前に違ったタイプのウイルスに感染していた場合、その後の感染で重症化しやすいことがわかっている。これはウイルスが皮膚に入ったとき抗体がマクロファージへの取り込みを助けるからと考えられている。

今日紹介するシンガポール国立大学からの論文は、ネパールのデングウイルス感染者ほぼ500例を詳しく精査し、ADE、特に同じフラビウイルスの日本脳炎ウイルスのワクチン接種で抗体が中程度に低下してきた患者さんでは、おそらくADEの結果重症化しやすいことを示した面白い疫学研究で、9月3日 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「Dengue disease severity in humans is augmented by waning Japanese encephalitis virus immunity(ヒトでのデングウイルス症状は日本脳炎ウイルスへの免疫が低下していると重症化する)」だ。

ネパールのデングウイルス感染、2004年に初めて報告され、その後インドへの旅行者に散発的に見られていたが、明確なパンデミックが認められたのは2019年からで(17000)、その後2022年には57000人の感染が認められている。感染が拡大したのは、温暖化によるモンスーン季節の長期化と、急速に進む都市化の結果だとしている。

この研究では2019年から2023年にわたってウイルス感染が確認された患者さん約500名について、以前のデング感染とともに、ネパールで行われている日本脳炎ワクチン接種とウイルスに対する抗体価などを測定し、ADEの関与を疫学的に探索している。元々デングウイルス感染が拡大している国では、以前の感染歴が複雑になるのでこのような研究は難しいが、2019年から多くの感染が始まったネパールでは患者さんの感染歴が明確なので研究に最適な対象になっている。

2019年から2023年までのウイルスタイプを見ると、時間とともに変化しており、2019年のウイルス型は2023年には完全に消失し、新しい2種類の形に置き換わっている。即ちウイルスは新しい変異株に変化している。2回目の感染者を調べると、2023年では10%に達しており、ウイルス型の変化により、繰り返す感染があり得ることがわかる。そして期待通り、デング感染の症状と比例するキマーゼの濃度を比較すると、2回目の感染者の方が高く、異なるウイルス型に対する感染が次の感染での症状を重くしていることがわかる。

そこで、ほとんどが初感染である事実を利用して、同じフラビウイルスの日本脳炎ウイルスに対する免疫が、同じようにデングウイルス感染を悪化させるか調べている。結果だが、日本脳炎ウイルスワクチンを受けている場合、デングウイルスを発症すると明らかに血中のキマーゼ濃度が高いことから、重症化しやすい事がわかる。

最後に、日本脳炎ウイルスに対する抗体価と血中キマーゼの値を比較すると、抗体価1/160で重症化率が3倍に跳ね上がるが、それ以上かそれ以下だと、ワクチン被接種者と変わらないことが明らかになった。

結果は以上で、中和抗体とは異なる抗体が存在するとフラビウイルスではADEが起こる可能性が高く、特にアジアの場合、日本脳炎に対するワクチンで誘導される抗体の関与は無視できないという結論になる。アジア諸国で日本脳炎ウイルスが広くブタで維持されていることを考えると、ワクチンをやめることで致死率が40%にも達する日本脳炎ワクチンをこれを理由に中止するわけにはいかない。そこで、常に日本脳炎ウイルスの抗体価を高く維持するようワクチン接種を定期的に行うよう勧めているが、ADEの性質上そう簡単に結論していいのかはわからない。同じフラビウイルスにジカウイルスも存在しており、これらにどう対応するかは少し真剣に検討する必要があると思う。

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9月4日気になる臨床研究(9月2日 Nature Medicine オンライン掲載論文他)

2025年9月4日
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今回の気になる臨床研究は3編紹介する。

最初のペンシルバニア大学からの論文は、乳ガンで見られる転移後休眠期に入って様々な治療に抵抗する休眠ガン細胞を標的にした治療開発研究で、9月2日 Nature Medicine にオンライン掲載された。タイトルは「Targeting dormant tumor cells to prevent recurrent breast cancer: a randomized phase 2 trial(休眠期の腫瘍細胞を標的にした治療で乳ガンの再発を抑える:無作為化第二相治験)」だ。

早期乳ガンいって手術治療だけで対応すると、20−30%が再発することが知られている。このため現在では手術前から手術後まで、化学療法や放射線療法を続けて、再発の元を絶つ治療が行われ、成果を上げている。ただ、患者さんへの負担は大きい。このグループは休眠期の細胞を減らせる治療法の開発を進めており、オートファジー阻害や、mTOR阻害によって休眠期の乳ガンをたたけることを明らかにしてきた。この研究では、動物を用いた前臨床研究を最初に紹介したあと、オートファジー抑制剤 hydroxychloroquine (HCQ) 、mTOR阻害剤 everolimus (EVE) 、あるいは療法併用の3グループに分けた治験を行っている。

といっても乳ガンは長丁場だし、これまで効果が確認されているネオアジュバントやアジュバント治療を押しのけて治験を行うことは難しい。そこで、通常の乳ガン治療観察中に骨髄穿刺を行い、休眠乳ガンが検出された患者さんについて再発リスクを説明し、これらの治療に振り変える治験を行っている。

結果だが53症例のうち再発したのは一例だけで、現在も経過観察中なので生存や再発を指標とした結果は出せていない。ただ、骨髄穿刺によって残存休眠ガン細胞を調べると、これらのHCQやEVを投与されないグループと比べ、強く抑えられていることがわかった。以上が結果で、骨髄穿刺による早期の休眠細胞の検出と、これを標的にした治療をベースにもう少し大規模治験が行われるだろう。ただ、アジュバント治療を新しい治療に変えられるかの結論には長い時間がかかると思う。それまでは患者さんに対するネオアジュバント、アジュバント治療の負担は続けるしかないと思う。

次のマドリッド心血管研究所からの論文は、心筋梗塞を発症後左室拍出量が40%以上維持されている患者さん8438例について、梗塞後に維持治療に βブロッカーの効果が本当にあるのか比べたコホート研究で、8月30日 European Heart Journal にオンライン掲載された。タイトルは「Beta-blockers after myocardial infarction: effects according to sex in the REBOOT trial (心筋梗塞後のβブロッカー:REBOOT治験からわかる性別による違い)」だ。

教科書的には心筋梗塞後の治療は、血栓防止、動脈硬化防止、血圧治療、そして心臓の過労働を防ぐ βブロッカーの組み合わせになる。最近ではSGLT2阻害剤なども加えられる事がある。ただ、βブロッカーが本当に必要かはこれまでも議論があった。

この研究では男性6811人、女性1627人の結果から、男性では βブロッカー有り無しで全く差が無いこと。しかし、女性になると βブロッカーを投与した場合死亡率や、再入院確率がオッズ比で5割ほど上昇するという驚くべき結果が示された。

当然逆のデータもこれまでに発表されており、この研究だけで危険と結論するのは早いと思う。ただ、6000人を超す男性の結果で差が無いことを考えると、このデータを見てしまうと女性には使わないという選択を行う意思も増えるのではないだろうか。

最後はローマにある Bamino Gesu小児病院からの論文で、神経芽腫の再発例に対するdisialoganglioside (GD2) 抗原に対するCAR-T治療の第一相/第二相治験で、8月21日 Nature Medicine にオンライン掲載された。タイトルは「GD2-targeting CAR T cells in high-risk neuroblastoma: a phase 1/2 trial(ハイリスク経芽種患者さんへのGD2を標的とするCAR-T:第一相/第二相治験)」。

すでに初期の結果については報告しているようだが、さらに長期の結果が紹介されている。治療直後に脳神経炎や腎障害など急性副作用が発生しているが、それをIL-6抗体などで乗り越えると、その後は新しい副作用は出てこない。

半年で見たときに完全寛解率は40%で、治療への反応率は66%とかなり期待できる。この研究で重要なのは、64%の人で投与したCARTが長期間維持されていることで、しかもCD8T細胞中心に維持されている。面白いのは投与後急速にCARTが増加するのを認めるが、この程度と治療効果が一致しないことも面白い。

最後に、神経芽腫の発生場所と治療効果が相関する点で、骨髄の場合は83%が治療に反応するが、軟部組織に局在しているときでは65%に低下、リンパ節にある場合は47%に反応率が落ちる。

他にも様々な検討が行われているが、結論的にはかなり期待が持てる。反応率で見ると、3種類以上の治療プロトコルを経験した患者さんは良くないので、一つのプロトコルが難しいとわかったら早めにCARTに切り替えるのがいいのではと結論している。ぼちぼち固形ガンにも効くCARTが報告され始めている。

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9月3日 ALSアンチセンスオリゴヌクレチド治験:失敗から深く学ぶ(8月26日 Cell オンライン掲載論文)

2025年9月3日
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今日紹介するエモリー大学から8月26日 Cell にオンライン掲載された論文は、前臨床試験でALSに期待できる効果が見られたアンチセンスオリゴ (ASO) を8人の患者さんに投与した臨床治験で、残念ながら臨床的には期待される効果が見られなかったという結果の報告だ。しかし、将来の脳神経系へのASOや遺伝子治療に向けた多くのデータが示される重要な論文だと言える。タイトルは「Molecular impact of antisense oligonucleotide therapy in C9orf72-associated ALS(C9orf72関連のALSのアンチセンスオリゴヌクレオチド治療の分子生物学的影響)」だ。

ALSの一部で C9orf72遺伝子のイントロンのGGGGCC繰り返し配列が異常に伸張することが原因と考えられる症例があり、動物実験モデルも作成されALSを誘導することがわかっている。この繰り返し配列を分解するASOが開発され動物実験では期待できる結果が得られていた。

この研究では8人の患者さんに様々なドーズのASOを脊髄腔内に投与し、経過を観察するとともに、生存中は脳脊髄液を用いてASOの維持と効果を確かめ、死亡例については脳内の広がりや効果を病理的に調べている。無作為化コントロールがないので効果について明確には結論できないが、臨床的にはほとんど効果が無かったと結論している。それが Cell に掲載されるのは、おそらく今後の中枢神経内へのASO治療にとって重要な情報が示されているからだと思う。

まず、投与されたASOは脳脊髄液内で一定期間検出でき、分解されるずに維持されていることが確認できる。また死亡例の脳を調べると、運動神経野も含めて脳全体に広がっており、脳内に取り込まれていることが確認される。もちろん個体差は大きい。

さらにASOの効果は、グリシンプロリンが繰り返すペプチドの産生を分子マーカーとして調べられるが、脳脊髄液の連続経過が観察できた6例中5例でこのマーカーが低下しており、繰り返しペプチドを抑えることができている。さらに、一部の症例では C9orf72遺伝子の転写も一定程度抑えられていることも確認された。

さらにこのASOに関してはRNaseに抵抗するよう化学的に修飾しているが、これも期待通りでリソゾームに取り込まれても分解しないで働いていることがわかる。ただこの結果、おそらく自然免疫系を刺激しており、投与により炎症性のサイトカインやケモカインが誘導されていることがわかる。この影響については臨床的に評価できていないが、今後の課題になるだろう。

このように理論通りの効果が見られるにもかかわらず、臨床的にはめぼしい改善が認められない。さらに、ALSにより変化するタンパク質の発現異常を(ERストレスなど)は死亡例の脳組織で全く変化が見られなかった。

以上が結果で、残念ながら臨床効果が得られていない事から治験は中断すると思う。しかし、脊髄腔内に注入したASOが脳全体に広がり、RNAを分解するという意味では一定の効果があり、しかも化学修飾により分解を間違いなく抑えられるという結果は、今後のこの分野にとって重要な情報となること間違いない。ただ、この結果として脳内に炎症性サイトカインを誘導することもはっきりした。実際示されているデータは人間での基礎的なデータが多い。従って、臨床系の雑誌ではなく一般紙に回ってきたのだと思うが、この論文の掲載を決定した Cell の編集部の見識に脱帽。

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9月2日 tRNA由来のRNAフラグメントがオートファジーを介して腎臓を守る(8月28日号 Science掲載論文)

2025年9月2日
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現役を退いてから分野を問わず論文を読んでいるにもかかわらず、全く考えたこともなかった現象を扱っている論文にしばしば出会う。まだまだ修行が足りないと思うと同時に、新しい経験がつきない生命科学の深さを実感している。

今日紹介するハーバード大学からの論文はその典型で、tRNAの一つが切断されてできたフラグメントがオートファジーを促進して腎臓の細胞を守るという話は、私にとって全て新しい経験だった。タイトルは「A hypoxia-responsive tRNA-derived small RNA confers renal protection through RNA autophagy(低酸素に反応して合成されるtRNA由来small RNAはRNAオートファジーを介して腎臓を守る)」で、8月28日号 Science に掲載された。

まず知らなかったことの第一は、tRNAから多くのsmall RNAが作られ、様々な生理過程を調節しているという事実だ。確かに我々は何百というtRNAを持っており、これらは様々な分解酵素にさらされていることから、何千というsmall RNAができるが、全て分解されていくだけだと思っていた。

この研究では腎臓細胞を低酸素状態にさらしたとき、tRNAの一つtRNA-Asp-GTC-2が切断されてできるtDRが強く上昇する事にまず注目している。そして、これが低酸素により誘導されるRNA切断酵素の発現上昇の結果である事を確認する。

次に、こうして合成されるtDRを培養細胞に加えるとオートファジーの誘導が高まると同時に、オートファゴゾームのターンオーバーが抑えられ、結果オートファジー機能が高まる。即ち低酸素ストレスに対する細胞の生存戦略の一端を担っていることがわかる。逆にtDRをアンチセンスRNAで阻害するとオートファジーの形成が抑制されることも確認している。

実際の腎臓でのtDRの機能を調べるため、尿管を結紮して腎臓障害を誘導する実験系で、tDRのアンチセンスRNAを静脈注射すると、組織学的に腎障害が高まり、炎症や繊維化が高まることがわかった。

逆に、虚血・再灌流による腎障害モデルでtDRをポリマーとともに注射する方法で腎臓に届けると、腎障害が抑えられ、炎症や繊維化も強く抑制できる。すなわち、tDRはストレスにより合成され、オートファジーを誘導することで腎臓を守っていることがわかる。

あとはこれが起こるメカニズムを詳しく解析している。私にも初めての話が多くわかりにくいと思うので、tDRの生成以降を箇条書きでまとめておく。

  1. tDRはシュードウリジン合成酵素PUS7と結合する。シュードウリジンというとコロナワクチンで使われたウリジンだが、私たちの身体で産生されるとは知らなかった。しかし、RNAを安定化させる方法として身体の中でも機能している。
  2. この結合にはtDRがとる4G構造(以下の記事を参照:https://aasj.jp/news/watch/25430 )が必要で、これによりPUS7の機能が阻害される。
  3. PUS7は細胞内に多量に存在するヒストンをコードするRNAをシュードウリジン化して安定化させているが、tDRによりPUS7の機能が抑えられるとヒストンmRNAが不安定化し、分解したフラグメントがオートファジーを誘導する。
  4. 腎機能が低下している人では、tDRのレベルが高く、一方ヒストンmRNAのレベルが低い。

以上が結果で、思いもかけない方法でオートファジーが活性化され、腎臓細胞を守っているという話だ。ここまでわかると、腎臓を保護する新しい方法が開発できるかもしれない。

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タンパク質デザインモデル開発競争(8月27日 Nature オンライン掲載論文)

2025年9月1日
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新しい機能的タンパク質のデザイン研究は、長らくDavid Baker氏 のグループが牽引してきた。彼らの研究は目的が明確で、非専門家にも理解しやすいのが特徴である。代表例として、RFdiffusionを用いて物理学的制約から立体構造を生成し、その構造をProteinMPNNで配列化し、さらにAlphaFoldで評価して合成につなげる、という一連の流れが挙げられる。

Baker研は大規模言語モデル (LLM) 以前から、進化で得られた配列を物理化学的制約と結びつける方向でモデル開発を進めてきた。一方、MetaのESM-3はマスク学習で進化的コンテクストを抽出し、自然言語による機能・構造記述も統合して、ひとつのモデルで目的に応じた配列を直接設計できる点が特徴的だ。

この「進化コンテクスト」の利用に関しては、相同タンパク質を比較する Evoformer を基盤にしたAlphaFold2が本家といえる。その発展版であるAlphaFold2 multimerは、複数の配列を同時に解析でき、Google DeepMindにより開発された。

ただ AlphaFold2系は、進化で生じた配列の情報を利用できる利点がある反面、新しい配列を設計する際に既存のタンパク質から離れにくいという制約があった。そこで開発されたのが、hallucinationと呼ばれる手法である。これは、自然界に存在しないランダムな配列を入力し、不正確な構造をあえて生成させることで、全く新しい配列を探索・最適化する方法だ。この戦略をAlphaFold2 multimerと組み合わせることで、拡散モデルに頼らずとも効率よくタンパク質を設計できる可能性が開かれている。

この方向性を典型的に示したのが、スイス・ローザンヌ工科大学とMITによる研究である。論文タイトルは「One-shot design of functional protein binders with BindCraft (機能的蛋白質バインダーをワンショットで作成できるBindCraft) 」で8月27日 Nature にオンライン掲載された。

BindCraftは、標的タンパク質の特定領域に結合するペプチドをワンショットで設計することを目的としている。その手順は次の通りだ。

  1. AlphaFold2 multimerにhallucinationを誘発する入力を与え、設計候補を生成。
  2. 出力を評価し、バックプロパゲーションで改良。
  3. 最終的に得られた候補をProteinMPNNで配列化。
  4. AlphaFold2で再度構造を予測し、条件を満たすか検証。

この過程を一つのフレームワークに統合してBindCraftと名付けている。

そして実に様々なタンパク質を標的としてこのモデルの評価を行っている。

最初に免疫チェックポイント治療の標的PD-1に対するペプチド設計について詳述している。53種類のペプチドを設計し、そのうち13種類が実際に結合することを確認。歩留まりは極めて高く、最も強いペプチドはKd = 615 nMという有意な結合親和性を示した。

これ以外にも、インターフェロンα受容体、CD45、Claudin1 など複数の分子に対して設計が行われ、μM以下の親和性を持つ成功率は20〜80%という驚異的な成果を挙げている。

さらにいくつか面白い例を紹介すると、1)Claudin1 へのトキシン結合を阻害し、上皮破壊を防ぐペプチド、2)中心小体を構成する分子の機能領域を特定、3)CRISPR-Cas酵素の機能阻害ペプチド、4)AAVベクターにHER2やPD-L1特異性を付与、5)ダニ抗原に結合し、IgEとの競合を通じてアレルギー反応を抑制、など一つの論文に収めきるにはもったいないぐらいの例が示されている。それだけ効率が高いということだ。これらの例から、BindCraftは「欲しい機能を狙い撃ちで設計できる」汎用性を示している。

このようにBindCraftは、hallucinationを利用してAlphaFold2 multimerの制約を乗り越え、高効率で機能的ペプチドを設計できる新しい枠組みを、アカデミアから提案できることを示している。実際Google DeepMindやBaker研のみならず、欧米・アジアの研究機関も加わり、タンパク質デザインは真の国際競争時代に入っている。

残念ながら、日本からはこの分野で目立った成果があまり見えてこない。しかし、生命科学とAI は両輪で進化していく最重要領域であり、各分野の知識とアイデアを生かせる余地は大きい。若手研究者がこの分野で挑戦できる環境を整備することが、今まさに求められている。

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8月31日 妊娠時のストレスは胎児マスト細胞を介して湿疹を誘導する(8月27日 Nature オンライン掲載論文)

2025年8月31日
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昨日に続いて少し変わった炎症性変化の論文を紹介する。

臨床的観察として妊娠中に母親がストレスにさらされると子供に湿疹が出やすい、という論文が発表されている(例:Letourneau, N. L. et al.、Allergy Asthma Clin. Immunol. 13, 26 (2017).)。今日紹介するフランス・ツールーズ大学からの論文はマウスモデルでこの原因を探った研究で、臨床観察を動物に投影して調べる典型的研究と言える。タイトルは「Maternal stress triggers early-life eczema through fetal mast cell programming(母親のストレスは胎児マスト細胞のプログラムを通して子供時代の湿疹を誘導する)」だ。

この研究では、妊娠13-18日にかけて一日3回マウスを狭いチューブに閉じ込め強い光に30分さらすというストレスをかけている。すると、まず水分の蒸発をブロックする機能が低下し、IL-9、 IL-7、CXCL9の皮膚での発現が上昇し、さらに皮膚の機械的刺激に対して神経学的にも極めて感受性が高くなり、またその結果皮膚の強い炎症が起こるようになる。即ち、ストレスにさらされた母親から生まれた子供に湿疹が出るという現象をマウスで再現出来た。

次にこの原因を探るために、神経過敏の原因として末梢感覚神経を詳しく調べ、機械刺激に関わる神経の密度が高まり、機能的にも刺激されやすくなっていることがわかった。

次に、炎症に関わる血液系細胞についても single cell RNA sequencing を用いて詳しく調べ、ストレスにより遺伝子発現状態が大きく変化するのがマスト細胞だけであることがわかった。しかも、マスト細胞が存在しないWマウスでは、母親のストレスでも炎症は生じないことがわかった。この結果は、胎児のマスト細胞が母親のストレスでプログラムが活性型へと変化し、湿疹の原因になっていることがわかった。

新生児期のマスト細胞のほとんどは胎児期の卵黄嚢に由来し、ゆっくりと骨髄由来マスト細胞に置き換わっていることが知られている。従って、母親のストレスが胎児のマスト細胞に影響を及ぼしていると考えられる。そこで胎児期のマスト細胞を調べると、ストレスのかかっていない母親内の胎児と比べて、強く活性化し、脱顆粒が起こっていることがわかる。このマスト細胞のクロマチン状態を Atac-seq で調べると、コントロールマスト細胞と比べ開いているクロマチンが多い。従って、どの遺伝子と特定はできないが、エピジェネティックな変化がストレスで誘導され、活性化型に変化したマスト細胞が皮膚へ移動することで、幼児期の湿疹の起こりやすい状態が形成されることになる。この状態は24週目を過ぎると消失するので、骨髄由来マスト細胞に置き換わるにつれ、湿疹は改善することになる。

最後に胎児皮膚でマスト細胞を活性化している要因についても調べて、ストレスにより母親のコルチコステロイドレベルが上昇することが活性化を誘導していること、コルチコステロイド合成に関わる酵素をストレスがかかった時期に投与すると、生まれてからの湿疹はできないことを示している。

以上が結果で、マウスモデルではあるが胎児造血で作られる血液は母親のストレスで活性が変化する可能性を示した点は重要だと思う。というのも、同じように胎児造血で作られる血液細胞のもう一つがミクログリアで、もし同じように活性化型になっているとしたら、胎児から新生児期の神経発生異常に関わる可能性はある。

カテゴリ:論文ウォッチ

8月30日 視覚的に感染の危険性を察知するだけで自然免疫が活性化される(7月28日 Nature Neuroscience オンライン掲載論文)

2025年8月30日
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自律神経系は免疫細胞からの様々なサイトカインに反応し脳へシグナルを送るが、脳も視床下部-下垂体-副腎皮質からのホルモンを通して免疫系にシグナルを送る。そしてこの回路自体は、他の様々な刺激と繋がっており、我々が感じる内的・外的刺激の全てはこの回路に連なっているので、脳や免疫系からこの回路に関わる介入が起こっても驚くことではないと理解している。

とはいえ、今日紹介するジュネーブ大学とローザンヌ大学から7月28日 Nature Neuroscience にオンライン発表された感染している人が近づいてくるだけで私たちの自然免疫系が高まるという論文を目にして驚いてしまった。タイトルは「Neural anticipation of virtual infection triggers an immune response(仮想的な感染を神経的に予測することで免疫反応にスウィッチが入る)」だ。

この研究を理解するためには、1990年イタリアパルマ大学 Rizzolatti らが提唱した peripersonal space (PPS) の概念を知ることが必要だ。PPSは脳で感じる我々の身体に直接関わる環境との境界といえる。このような拡大した身体表象を持っていることは、身体そのものの感覚=タッチ感覚が、接近してくる物体の視覚により影響される事で測定できるとされている。実際、急速に物体が近づくのを見ると、タッチ感覚の反応が早くなる。このタッチ感覚に影響する視覚的距離をPPSと定義している。

この研究では、このPPSが普通の顔、あるいは怒っている顔が接近するときと比べると、明らかに病原体に感染していると思える顔が近づいてくる時は遠い距離まで拡大していること発見している。即ち同じ反応が感染した顔だと遠いところから始まり、感染危険性があると我々のPPSが拡大することを示している。コロナの頃のディスタンスの感覚と考えてもらえればいい。

ここまでならなるほどで終わるのだが、この研究はPPSを図る実験後90分に採血をして、免疫系を調べている。コントロールとして、実際のインフルエンザワクチンを注射した場合も加えている。明確に差が出るのが自然免疫に関わるILCの数で、怒った顔が近づいてきても少しは上昇するのだが、感染した顔が近づいてくると、インフルエンザワクチン注射と同じぐらい上昇する。また活性化されたILCで特にはっきりした差が見られる。

この結果が研究のハイライトで、あとは脳のどの領域がこの反応に関わるかを調べている。脳のネットワークには注意を向ける Salient network が存在するが、これに感染症により刺激が高まったPPSネットワークが加わり、そこから下垂体への回路の活性が高まっていることを明らかにしている。

ここまでわかると、あとは本当に視床下部、下垂体、副腎皮質回路が活性化してILCを刺激することになるが、これを確認するため、様々なサイトカインのデータを学習させたAIを用いて、感染者を見ることによるPPSに関する強い刺激が、ILCに関わるサイトカインと相関するかを調べ、明確な正の相関が存在することを明らかにしている。

結果は以上で、要するに感染者を見ただけで、自分の身体範囲を拡大して身を守るだけでなく、無意識のうちに免疫系まで刺激しているという驚くべき結果だ。ワクチンを打つ前に、感染者の話を聞かせるのも面白いかもしれない。

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