2月11日 肺線維症と骨形成の類似性(2月5日 Nature オンライン掲載論文)
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2月11日 肺線維症と骨形成の類似性(2月5日 Nature オンライン掲載論文)

2025年2月11日
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論文を読んでいて、著者の視点とは違ったところに目が向いてしまうことはしばしばだ。今日紹介するコロンビア大学からの論文は、肺の繊維化のメカニズムを追求した論文だが、読んでいて肺線維症と骨形成の類似性に驚いた。タイトルは「RUNX2 promotes fibrosis via an alveolar-to pathological fibroblast transition(RUNX2は肺胞線維芽細胞から病的線維芽細胞への転換を促進して繊維化を誘導する)」で、2月5日 Nature にオンライン掲載された。

論文自体は、様々な分子マーカーラベリングを用いて、マウス肺線維症モデルで異常増殖する線維芽細胞の系譜を特定し、その細胞が異常増殖を始めるシグナルを、single cell 解析とノックアウトを駆使して調べるオーソドックスな研究だ。ただ、その過程で肺線維症を促進している分子が骨形成に関わる分子とオーバーラップするのに驚いた。

まず胎児期肺の増殖線維芽細胞のマーカーとしてレプチン受容体 (LEPR) を使っているが、LEPR は成熟後の骨形成と脂肪細胞への分化経路で骨形成を促進している。このマーカーは肺の様々な線維芽細胞に発現しているが、LEPR に加えて様々な分子マーカーを用いた研究から、肺線維症で異常細胞へと転換するのは肺胞の線維芽細胞であることを確定する。

この細胞がマウスではブレオマイシン刺激やシリカ刺激により、異常増殖と分化が誘導されるが、この異常化を標識する分子が骨芽細胞特異因子として知られるペリオスチン (POSTIN) と骨芽細胞分化を誘導するカプリング因子として知られる CTHRC1 で、私の勝手な印象だが肺の異常線維芽細胞とはまさに骨芽細胞に近いことになる。実際、ペリオスチンを線維芽細胞でノックアウトすると、肺線維症の発生を抑えることができる。

そして極めつけは RUNX2 だ。この分子は異常線維芽細胞と正常を比べることで特定されたが、Runx2 遺伝子ノックアウトマウスでは骨形成が完全に阻害されることが知られている。肺線維症でも、Runx2 を肺の線維芽細胞でノックアウトしておくと肺線維症の進行を抑えることができる。

これはマウスだけではなく、人間の突発性肺線維症のデータベースを調べると、RUNX2、ペリオスチン、CTHRC1 全て発現が見られる。

結果は以上で、もちろんこの研究では肺線維症に関わる他の遺伝子についても調べているが、論文で強調しているのはこの3種類の分子と言っていい。ここからは私の勝手な印象になるが、まさに骨形成に関わる遺伝子プログラムのスイッチが入ることが肺線維症を誘導していることになる。

現在、突発性肺線維症の薬物療法としては、それぞれ標的がはっきりしないニンテナニブとビルフェニドンが用いられるが、特にニンテナニブは骨代謝の影響が示されている。全て線維芽細胞のバリエーションだと考えればそれでいいのだが、肺線維症と骨形成のつながりは、将来の薬物治療の可能性を広げる気がする。

さらに妄想を広げると、骨は硬骨魚類から存在するが、成熟後も骨形成を活発に維持する必要が生まれたのは、脊椎動物が陸上に上がって骨髄ができてからだ。もちろん、陸上に上がるには肺の形成が必要になる。そう考えていくと、肺線維症と骨形成は大きな進化の枠で捕らえることができる。

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2月10日 脂肪移植を用いて腫瘍増殖を抑制する(2月4日 Nature Biotechnology オンライン掲載論文)

2025年2月10日
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今月のジャーナルクラブは、2月21日19時から、いつも参加いただいている堀尾先生のリクエストに応えて、ガンと代謝について最近の研究を概観してみたいと思っている。ガンは正常細胞と競争して高い増殖力を維持するために、代謝レベルのリプログラミングが起こっている。逆に言うと、この過程でアキレス腱が生じて、そこを標的にすると治療が可能になる。そのため、世界中でガンの代謝リプログラムについての研究が進んでおり、正直どうまとめればいいのか現在苦慮しているところだ。

今日紹介するカリフォルニア大学サンフランシスコ校からの論文は、新しい発見というわけではないが、ともかく代謝を変化させることでガンの増殖を抑えることができることを素朴な発想で示した研究で、2月4日 Nature Biotechnology にオンライン掲載された。タイトルは「Implantation of engineered adipocytes suppresses tumor progression in cancer models(人為的操作を加えた脂肪組織を移植することでガンの増殖を抑えることができる)」だ。

脂肪組織の移植というのは少しセンセーショナルだが、結論的には代謝の活発な褐色脂肪組織はガンと競合することで増殖を抑えられるというのが結論になる。

実際、2年前カロリンスカ大学のグループが、担ガンマウスを耐えられるギリギリの摂氏4度で維持すると、熱を発生するために褐色脂肪組織が活性化され、ガンの増殖が抑えられることを発表しているが(Nature 608, 421,2022)、寒さに耐えさせる代わりに褐色脂肪組織を人工的に誘導して移植してガンを抑える可能性を追求した。

この研究の最も重要なメッセージは、転写を活性化する CRISPRa を用いて、体内から取り出した脂肪細胞で3種類の遺伝子を活性化すると、褐色脂肪組織に対応する脂肪組織を誘導できるというエンジニアの方法だろう。

こうしてできた脂肪組織をガンを移植した場所に移植すると、ガンの増殖を抑えることができる。大事なのは、これが移植した脂肪組織によって全身の代謝が変化するからで、脂肪組織でグルコースの取り込みが高まり、脂肪の分解が進む結果、ガンのグルコースや脂肪酸の利用率が低下し、さらに代謝状態が変化するためインシュリン感受性が高まり、インシュリンレベルが低下することもガンには痛手になる。

従って、脂肪組織はガンの近くに移植する必要はなく、離れた場所でも効果が見られる。逆に、せっかく脂肪組織を移植しても、高脂肪食やグルコースの取り込みを高めるとガンの増殖を抑えることはできない。

結果は以上だが、これを示すため様々なガンのモデルを用いている。また、人間の脂肪組織の移植も行って、人間でもこの治療が可能であることを示唆している。

脂肪組織を取り出して、培養細胞株を樹立、それに遺伝子導入して褐色脂肪組織のオルガノイドを形成するなど、Biotechnology としては面白いが、翻って考えるといくら移植しても我々が持っている脂肪組織の量にはかなわない。従って、もし脂肪組織の一部でも褐色細胞へリプログラムできれば、ガンを抑える可能性はあり、実際寒さに晒してガンを抑える研究はそれを示している。また、ガンの末期悪液質が始まると急速に脂肪組織が減少し、ガンの抑制が効かなくなるのは誰もが認識している。このように、ガンの代謝は難しくもあるが、わかりやすい側面もある。さて、21日どうまとめるか。

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2月9日 CD8 キラー細胞の代謝スイッチ(2月7日号 Science 掲載論文)

2025年2月9日
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一昨日紹介した IL-27 のように、ガンや感染に対するキラーT細胞の活性を長続きさせるための様々なシグナルが探索されている。ただ、そのシグナルによって細胞内に引き起こされる過程についての研究は簡単ではない。基本的には様々なシグナルによって転写される遺伝子レパートリーが変化するが、それと同時に代謝も大きくリプログラムされる。

今日紹介する米国ソーク研究所からの論文は、転写と代謝がエピジェネティックな機構を介して密接に統合されていることを示した研究で、2月7日号の Science に掲載された。タイトルは「Nutrient-driven histone code determines exhausted CD8 + T cell fates(栄養素により誘導されるヒストンコードがCD8T細胞の疲弊を決定する)」だ。

タイトルを見ると栄養素を変えるとT細胞のプログラムを変えられると受け取ってしまうが、この研究が最初に調べたのは、これまでも何度も紹介してきたT細胞の刺激が続くと、T細胞の反応を落とし疲弊させるプログラム (Tex) が誘導される現象で、いかにエフェクターT (Tef) を維持し、Tex を抑えるかの方策を探っていた。

両者の転写を比べる実験から、acetyl-CoA synthetase2 (ACSS2) の発現が Tex で低下することを発見する。ACSS2 は酢酸から Acetyl-Co Aを合成する酵素で、acetyl-CoA合成にはもう一つATP-citrate(ACLY)によるグルコース由来のクエン酸からの経路が存在するので、通常気にしないのだが、著者らはこれに興味を抱いた。そして様々な実験を重ねて、この変化の上流や下流を詳しく調べているが、複雑なので全てすっ飛ばして結果だけを箇条書きにする。

  • まず、Tex への文化で ACSS2 の発現が低下するのは、TcR からのシグナルが低下して AP1 発現が低下した結果、ACSS2 の転写に必要な NFAT/AP1 の発現が抑えられるためで、NFAT と AP1 との相互作用を維持できると Tef は維持できる。
  • ACSS2 をノックアウトすると、ヒストンのアセチル化パターンの変化を介して、Tex への文化を促進する分子が誘導され、逆に Tef に必要な分子が抑えられる。
  • Acethyl-CoA 自体は ACLY でも合成できるので、なぜ ACSS2 ノックアウトでこのような変化が起こるのか追求すると、驚くなかれ ACSS2 は核内で p300、また ACLY は同じく核内で KATA2 と異なるコファクターと結合し、直接ヒストンアセチル化に必要な Acetyl-CoA を供給している。そして、p300はTef に関わる分子領域をヒストンアセチル化により活性化し、KATA2 は Tex に関わる分子をヒストンアセチル化により活性化することがわかった。
  • さらに代謝トレーサー実験から、グルコースは決して ACSS2 を介する acethyl-CoA 合成には使われず、従って Tef 維持には、酢酸からの経路が必須であることがわかった。すなわち、Tef 維持にはグルコースからでなく、酢酸からの Acethyl-CoA 合成が必須であることがわかった。
  • ACSS2 を維持しACLYを抑えた CD8T細胞はチェックポイント治療と強く強調してガン免疫を高める。

以上が結果で、代謝と転写が極めて複雑に関わっていることを見事に示した力作だと思う。

ただ、この研究はこれまで紹介してきたキラー活性維持研究を深く理解するためにも重要なヒントを示してくれる。例えば、試験管内でキラー活性を維持するためにはグルコースの利用を抑えるといいことがわかっているが、この結果から ACLY 経路を高めてしまった結果と言える。しかし代謝はややこしく、いつも頭が混乱する。

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2月8日 インシュリン抵抗性理解の鍵は血管内皮にあった(2月7日号 Science 掲載論文)

2025年2月8日
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インシュリン分泌が低下する糖尿病でも2型糖尿病の発生前には、長いインシュリン抵抗性と呼ばれる身体の組織のインシュリンに対する反応が低下する前段階が存在する。それでも、ブドウ糖の取り込みなどインシュリンのシグナルは必要で、インシュリン抵抗性のヒトが同じレベルの反応を維持するためには、より多くのインシュリンを必要とする。これが膵臓のβ細胞の過労働を強いて、最終的にインシュリン分泌が低下する糖尿病へと発展する。

インシュリン抵抗性自体は、様々な原因によりインシュリンシグナル経路活性が低下することだが、問題になる組織として膵臓、肝臓、筋肉、そして脂肪組織をこれまで考えてきた(もちろん専門家は違うだろうが)。しかし、今日紹介するドイツ・バードナウハイムにあるマックスプランク研究所からの論文は、インシュリン抵抗性理解の鍵が血管内皮のインシュリン抵抗性発生にあることを示した研究で、2月7日号 Science に掲載された。タイトルは「Endothelial insulin resistance induced by adrenomedullin mediates obesity-associated diabetes(アドレノメデュリンによる内皮のインシュリン抵抗性肥満による糖尿病を媒介する)」だ。

血管内皮はもちろん糖尿病で傷害される最も重要な細胞だが、インシュリン抵抗性に関してあまり議論されている論文は読んだことがなかった。この研究では血管内皮のインシュリンシグナルを傷害すると、筋肉でのインシュリン効果が低下するという現象に興味を持って研究を始めている。すなわち、インシュリンが筋肉や脂肪組織に届けられるのも血管を介してのことで、血管でのインシュリンシグナル抵抗性は、インシュリンを届ける機能に繋がるのではないかと考えた。

このときインシュリンに反応して血流を高めるのにNOを産生するNOSが関わっているが、これを抑えるシグナルを探索する過程で、最終的に脂肪から分泌されるアドレノメデュリンとその受容体がこの過程を抑えていることを発見する。すなわち、アドレノメデュリンが血管のインシュリンシグナルを抑制=インシュリン抵抗性の元凶であることを発見する。

シグナル経路の解析により、アドレノメデュリンは G共役型受容体を介して cAMP合成、それに続く PKA分子活性化、そしてインシュリン受容体のリン酸化を抑制する脱リン酸化酵素 PTPB を活性化することでインシュリンシグナルを抑えることを明らかにする。

さてここまでは、血管内皮でも、肥満により脂肪細胞から分泌されるアドレノメデュリンによってインシュリン抵抗性が発生するという話だが、問題は血管内皮のインシュリン抵抗性の発生が全身にどこまで影響を持つのかという点になる。

そこで血管内皮のアドレノメデュリン受容体を必要な時にノックアウトできるマウスを作成し、高脂肪食を投与して肥満を誘導したあと、この受容体をノックアウトすると、コントロールでは耐糖能の低下が見られるのに、血管内皮へのアドレノメデュリン効果を断ち切ったマウスでは、耐糖能は正常に保たれていることがわかった。耐糖能検査でグルコースの取り込みを行うのは主に筋肉なので、この結果は血管内皮のインシュリン感受性を維持することで、肥満マウスの筋肉のインシュリン反応性も維持できたことになる。また、アドレノメデュリン阻害ペプチドにより、耐糖能を維持できることを示している。

以上の結果から、インシュリン抵抗性はまず血管内皮での発生が問題で、インシュリンによる内皮のNOS活性化とその結果としての拡張、血流上昇が抑えられるため、インシュリンの筋肉への到達が遅れ、筋肉が正常にインシュリンに反応できたとしても耐糖能が低下することを明らかにしている。もちろんインシュリン抵抗性は他の要因でも誘導できるので、最終的には全ての組織でインシュリン受容体機能の低下が見られるようになるとおもうが、内皮の重要性について改めて認識した。

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2月7日 IL-27 はガン免疫治療を促進する切り札になるか?(2月5日 Nature オンライン掲載論文)

2025年2月7日
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免疫チェックポイント治療が広く使われるようになって、ガンに対する免疫を維持させることの重要性が明らかになり、このブログでも何度も紹介したように、サイトカインや抗体など様々な方法でこれを実現しようと試みが続いている。

今日紹介する Genentech 社からの論文は、IL-27 が抗原特異的キラー細胞を特異的に高める作用を介して、ガン免疫療法の新しい可能性を開くことを示した研究で、2月5日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「IL-27 elicits a cytotoxic CD8 + T cell program to enforce tumour control(IL-27はCD8陽性細胞障害性T細胞を誘導して腫瘍抑制を支援する)」だ。

Genentech といえば私が現役だった20世紀の終わりから21世紀にかけて急成長したバイオテックベンチャーの代表で、組み換え生理活性ペプチドや抗体薬を多く世に出してきた。当然のことながら、現在はガンに対する薬剤の開発により力を入れている。

この研究ではヒトのメラノーマ組織でCD8キラーT細胞が活性化していることが明確な組織とそうでない組織でサイトカインの発現を調べ、ガン組織でキラーT細胞活性を高めているサイトカインのリストを作っている。すると、強い炎症に伴うインターフェロンγ や IL-32、そして腫瘍内リンパ組織形成に関わる LymphotoxinA/B とともに、IL-27 がリストされてきた。

IL-27 はマクロファージや樹状細胞由来で、キラーT細胞やNKT細胞を活性化することが知られていたが、同時に IL-10 を誘導して抑制性T細胞も誘導してしまうことが知られており、ガン免疫に対する効果は限定されると考えられてきた。しかし IL-27 を抑制するとガンの増殖を助ける方向に作用し、T細胞から IL-27 受容体をノックアウトするとガン抑制効果が消失するので、もう少し可能性を確かめようと研究を進めている。

マウス大腸ガンを移植したあと、IL-27 遺伝子をコードするプラスミドを直接肝臓細胞に導入して肝臓細胞に IL-27 を分泌させると、見事に腫瘍を拒絶することに成功している。こんな乱暴な投与をしてサイトカインの副作用はないのかと心配するが、もともと IL-27 は炎症を抑制することが知られており、IL-27 が高いレベルに保たれていても、マウスの体重はコントロールより増えるぐらいで、副作用はないと結論している。

あとは single cell RNA sequencing などで、IL-27 が T細胞のキラー活性を高め、増殖を促進する一方、免疫反応を抑えるフィードバックは抑えることを示して、まさにいいことずくめのサイトカインであることを示している。

ただ、プラスミドを直接肝臓に導入するのはヒトでは難しいので、IL-27 に抗体の Fc部分を結合させた体内寿命の長い IL-27 を作成、様々な腫瘍モデルを使って、容量依存的に腫瘍を抑制できる可能性を示している。マウスでは1Kgあたり10mgの一回投与でほぼガンが完全に抑制できているが、人間だと500mgぐらいが必要になる。

以上は全てマウスモデルなので、ヒトにも使える可能性を示す目的で、ヒトのガンデータベースから腫瘍組織で IL-27 レベルの高い人とそうでない人に分けて予後を再検索すると、IL-27 が高い患者さんでははっきりと生存率が高いことを示し、人間への応用も有望であることを示している。

サイトカインの抗ガン作用など調べ尽くされているように思えるが、まだまだ調べ尽くせておらず、思いがけない宝の山が残っていることを示す研究だと思う。治験へのハードルは高くないように思うが、期待したい。

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2月6日 一本の RNA に結合したリボゾーム上の翻訳を見る(1月31日 Cell オンライン掲載論文)

2025年2月6日
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どんな過程も、集団で見るのと単一で見るのでは見えるものが異なる。そのため、細胞内の単一のイベントを検出する度量が不断に続けられている。

今日紹介するオランダ・ユトレヒト大学からの論文は、単一 RNA に結合したリボゾーム上でタンパク質が翻訳される過程を追跡することで、翻訳のスピードやリボゾーム同士の相互作用について明らかにしたまさにプロの研究で、1月31日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Long-term imaging of individual ribosomes reveals ribosome cooperativity in mRNA translation(単一のリボゾームの長期管のイメージングにより mRNA の翻訳での共同性が見えてくる)」だ。

この研究のハイライトは、なんと言っても一本の RNA に結合して翻訳している一個のリボゾーム上での翻訳過程を細胞の中で長期間追跡できるようにした技術につきる。

顕微鏡自体はニコンの倒立顕微鏡に横川の共焦点スキャンユニットを組み合わせたもので、特別なものではない。一方で翻訳過程を記録するための方法はさすがプロと思える方法だ。

まず繰り返してタッグアミノ酸配列が現れるペプチドが転写される遺伝子を設計している。この RNA はさらに ALFA-tag 配列を持っており、これに結合するナノボディーで細胞膜に結合するようにして標的 RNA を見やすくしている。リボゾームは全くラベルしないが、mRNA から転写される Sun-tag 配列はTag 特異的蛍光ナノボディーが結合するので、翻訳が進み Tag 配列の数が増えると、それに比例して蛍光強度が高まる。

さらに極めつけの工夫は、RNA が転写されリボゾームが結合し始めると、両端に結合させたリボザイムが働いて RNA は環状構造を作る。その結果、結合したリボゾームは環状 RNA を繰り返し繰り返し翻訳し続けることになる。これにより、膜上にアンカーされた RNA の翻訳をリボゾームが働いている間、常にモニターすることができる。

この方法で、一個の mRNA 上にいくつのリボゾームが結合しており、それぞれどの程度のスピードで翻訳が行われているか、そして薬剤による翻訳の停止などを観察して方法が期待通りに進むことを確認し、翻訳時のルールについて調べている。

今回設計した環状 mRNA には1-4個程度のリボゾームがロードできる。それぞれのリボゾーム上で翻訳が行われるが、その速度はリボゾーム間で差はなく、大体1秒に2.6コドンぐらいのスピードで進む。しかしこのような正確な計算ができるだけで驚いてしまう。

そしてこの研究が焦点を当てたのが一つの mRNA に結合したリボゾーム間の相互作用だ。

先日、リボゾームが衝突することで損傷が起こることが紫外線による炎症誘導を媒介すると言ったが、このような衝突による炎症誘導は普通の細胞では起こらない。従って、リボゾーム同士が衝突しないか、しても処理され刺激が起こらないはずだ。

まず観察からわかるのはリボゾームは常に衝突している。mRNA の移動が遅くなる配列を組み込んでわざと衝突を起こす実験を行うと、衝突後200秒近くたっても特にストレスが発生せず、炎症刺激にならないだけでなく、リサイクルセンサーにもかからず、一定時間後少し距離をとってまた動き出す。これまで、衝突するとすぐに mRNA から離れてリサイクルされるとされてきたが、そうではなさそうだ。

さらに、一つの RNA に複数のリボゾーム多結合している方が、一個の RNA あたりの翻訳スピードが上がる。これは、5‘端にあるリボゾームが mRNA の複雑な構造をほどくだけでなく、リボゾーム同士で引っ張り合って RNA の翻訳をしやすくしたりと、協調作用が行われるためであることを示している。そして、リボゾーム同士が衝突することがこの協調作用の核になっていることも示している。

このようにリボゾームの翻訳は一様に起こるのではなく、mRNA で停止を繰り返しながら進むが、リボゾーム同士の衝突と協調によりこの進行がスムースになるという結論だ。

以上、様々な工夫を盛り込んで普通の倒立共焦点顕微鏡でも一個の mRNA 上でのリボゾームの機能を定量できるだけで、我々専門外は圧倒される。あらゆる分野で科学の進展が進むことを実感する。

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2月5日 気になる臨床研究(1月28日 Nature Medicine オンライン掲載論文他)

2025年2月5日
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今年は個人的に気になった臨床研究をまとめて紹介することにしているが、2月は3編紹介する。

まず最初はオーストラリア・サウスウェールズ大学を中心とする研究で、オンラインで食事やエクササイズのコーチングを続けるプログラムの効果を調べた無作為化治験だ。

このグループは、一日45分のエクササイズを含む栄養や健康に関する様々なコーチングビデオ情報(あなたの脳の維持プログラム:MYB )をオンラインで提供して認知症の発症を予防することを目指しており、提供する情報の内容は3ヶ月に一回変更される。これに従って生活をしてもらうのが介入だが、対照群では適時 e-mail を受け取る程度の介入にとどめている。

アウトカムはオーストラリアで利用されている GCC と呼ばれる認知テストと、活動性、記憶などを測ることで評価している。結果はどの方法で評価しても、MYB で介入したグループはコントロールと比べ優位に認知機能などが3年間維持されていたといたという結果だ。

なかなか自分の意志だけで努力するのは難しいが、ちゃんとしたインストラクションが提供されればそれを守る可能性があることを示しており、一人暮らしのお年寄りの健康管理などにより積極的に取り込める可能性がある。

次の論文は昨年9月に The Lancet にペンシルバニア大学から発表された Leber 先天黒内障の遺伝子治療だ。

治験では GUCY2D遺伝子に変異があるレーバー黒内障患者さんに、アデノ随伴ウイルスをベクターに用いて GUCY2D遺伝子を網膜下に注射している (subretinal injection) 。治験ではドーズを換えて注射が行われ、12ヶ月経過を観察している。 

手技による副作用も含めてこの研究の目的は安全性の確認で、これについては問題ない。治療は片方の目で行われており、治療眼と非治療眼を比べる形で調べている。結果は極めてよく、特に高いドーズの遺伝子治療を受けた群では、全ての指標で大きな改善が見られている。

レーバー黒内障は20以上の遺伝子が特定されているが、遺伝子治療の可能性は着実に前進している。

最後はドイツ・イエナ大学から1月30日 Plos Medicine に発表された論文で子宮切除時に卵管切除を行うことで、卵巣ガンリスクを低下させるアイデアを検証している。

結果は子宮切除術に限らず、不妊目的の卵管結でも卵巣ガンの発生を5−10%は抑えることができるという結果だ。将来のために、元々備わっている組織を切除することを納得できるかという点は残るが、考慮すべき重要な結果だと思う。子宮切除術の際卵巣も切除することがあると聞くが、これと比べると卵管だけの切除は影響が低い。それでも大きなガン予防効果が見られるのは驚きで、この生物学的理由についても興味がある。

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2月4日 海馬 CA1 神経は場所細胞だけでなく、社会性情報もコードしている(1月31日 Science 掲載論文)

2025年2月4日
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このブログで何度も紹介してきたように、海馬の記憶研究は、今でも2014年ノーベル賞に輝いたオキーフ、モザー夫妻の場所細胞とグリッド細胞を中心に行われている。ただ、よく考えてみると、殆どの場合研究は孤独な一匹の動物の行動を追跡して行われており、社会的状況の中で行動した場合の研究はほぼ存在しないと言っていい。例えばハイキングやキャンプを考えると、私たちはグループでの行動を思い浮かべるのが普通で、一人の場合わざわざソロキャンプという名前がついているぐらいだ。

なぜ他の個体が存在する中での行動が研究されてこなかったかを考えると、そのような状況を作り出すのが実験的に難しいからだ。この困難に挑んだのが今日紹介するイスラエルワイズマン研究所からの論文で、野生のエジプトコウモリを飼い慣らして、洞窟に見立てた部屋の中で複数の個体が飛行しているときの海馬の活動を調べ、動物の行動が全て場所細胞で表現できるのは単独行動の場合だけで、同じ海馬に様々な社会性をコードする細胞が存在し、これが場所細胞にも大きな影響を及ぼすという面白い研究で、1月31日号 Science に掲載された。タイトルは「Hippocampal coding of identity, sex, hierarchy, and affiliation in a social group of wild fruit bats(野生のオオコウモリには身元、性別、階級、そして所属をコードする海馬神経が存在する)」だ。

ともかく実験系がすごい。エジプトオオコウモリ(あとはコウモリ)を集団で飼い慣らし、各個体の集団内の社会性の認識が自然に生まれるようにしたあと、各個体の海馬にクラスター電極を設置し、洞窟に見立てた部屋の中で自由に飛行させ、その3次元的軌跡とともに海馬の400あまりの神経細胞の活動がテレメーターで拾えるようにしている。部屋の中には、2カ所の大きさの異なる巣とともに、餌場も設置している。

通常ラットやマウスが2次元平面を動くときに観察される場所細胞に相当する神経細胞がコウモリの飛行でも特定され、しかも3次元的な特定の場所で特定の場所細胞が活性化することが観察される。しかし、これは単独行動の話で、同じ部屋に他の個体を存在させると、場所細胞の興奮が大きく影響される。例えば、社会的関係を持つ個体が存在する巣に飛行する場合、軌跡の途中で興奮するはずの場所細胞は全く興奮せず、目的の巣の場所細胞だけが強く興奮する。また、一緒に過ごしたあと、そこから他の場所に飛び出すときは、単独行動と同じで、途中の場所細胞が強く興奮する。この社会性の影響は場所細胞の発火数を抑えたり、上昇させることで起こり、場所細胞そのものをマッピングし直した訳ではない。面白いのは、この影響の度合いは個体同士の相互関係、すなわち好き嫌い、オスメス、階層性などに強く影響される。例えば、好きなメスが止まっている巣へ飛行するときは、軌跡途中の場所細胞の興奮が強く抑えられる、逆に目的地の場所細胞は強く興奮する。一方、あまり社会的関心のないオスの個体が同居している場合、場所細胞の興奮調整は殆ど起こらない。

この場所細胞興奮の変化は、同じ海馬にタイトルにあるように身元、性別、階級、そして所属を表象する神経細胞が形成されるからで、これらの一部は場所細胞とオーバーラップし、同時に場所や距離とともに同居する個体との社会性をコードしているニューロンを特定できる。

さらに面白いのは、これまでの場所細胞研究は殆ど自分を中心とする視点からの場所認識だったが、好きなコウモリが飛んでいった軌跡を追いかけるといったアロセントリックな影響を示す神経細胞も存在する。

以上が結果で、海馬を単純に自己中心的単独行動の枠内で起こる場所細胞興奮の場としてだけ見てしまうと、海馬の本当の機能を見失うことを示した力作だ。実際、私たちもハイキングをするとき、今どこかを気にするより、語らいを楽しんでいることの方が多いかもしれない。

元々私たちには社会性を測る神経細胞が存在することはよく研究されてきた。しかし、海馬にそんな細胞が存在し、さらには自己中心的な世界だけでなく、アロセントリックに世界を見る能力も存在するというのは、海馬が社会性に関わる様々な領域と結合していることから考えると示唆に富む。

いずれにせよ、ともかく実験系が素晴らしく、感動した。

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2月3日 紫外線による皮膚炎症は DNA 損傷より、リボゾーム RNA 損傷が原因である(Molecular Cell 12月号 掲載論文)

2025年2月3日
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紫外線照射によりおこる DNA や RNA の損傷はよく研究されているが、日焼けして我々がすぐに感じる皮膚の炎症が起こるメカニズムについてはまだまだわかっていないことが多い。

取り上げるのが一月遅れてしまったが、今日紹介するコペンハーゲン大学と国立シンガポール大学からの論文は、紫外線照射による炎症の原因が DNA 損傷でなく、RNA 損傷によるリボゾームストレスが原因であることを示した研究で、Molecular Cell 12月号に掲載された。タイトルは「The ribotoxic stress response drives acute inflammation, cell death, and epidermal thickening in UV-irradiated skin in vivo(リボゾーム損傷によるストレス反応は紫外線照射皮膚で急性炎症、細胞死、そして上皮の肥厚を誘導する)」だ。

これまで紫外線照射は直接活性酸素を誘導するか、あるいは DNA 損傷を誘導する結果、p53 誘導などを介してストレス反応を誘導し、これが炎症の原因だと思ってきた。

しかし、RNA 損傷でも正常なタンパク質形成が阻害されたりすることで細胞ストレスが誘導される可能性もある。おそらくこのグループは、RNA 損傷により起こるリボゾーム機能異常を研究する過程で、リボゾームストレスが ZAKa と呼ばれるストレスキナーゼの一つを活性化し、下流の MAP キナーゼシグナルのスイッチが入る過程を研究するなかで、ZAKa が欠損したマウスを作成していた。

驚くことに、このマウス皮膚を剃って紫外線照射をしても、炎症が全く起こらないことを発見する。すなわち、一般の紫外線照射による炎症は全て ZAKa 活性化経路を通ることを意味する。とすると、DNA 損傷より RNA 損傷後のリボゾームストレスが紫外線照射による炎症の引き金になっている可能性が高くなる。

これを調べるため、紫外線の代わりに RNA を選択的に損傷する化合物を用いる実験を行い、紫外線照射とするのとほぼ完全に同じ炎症反応が誘導され、これは ZAKa ノックアウトマウスでは完全に抑えられることを示している。

しかし、DNA 損傷が炎症の原因であるというこれまでの通説は、紫外線照射が同時に DNA 損傷と、RNA 損傷を誘導する以上、DNA ストレス関与の否定は難しい。これに対し、1) 紫外線照射後の ZAKa 活性化反応が極めて早いことから、ZAKa を活性化しているのはリボゾームストレスである可能性が高いこと、2) DNA ストレスを誘導する ATR 阻害剤の炎症誘導効果は低いこと、3) ZAKa下流では JNK と p38 の活性化が起こり、人間のケラチノサイトではアポトーシスとピロトーシスの両方が誘導されるが、DNA 複製抑制によるストレスではこのような細胞死は起こらないこと、などの間接的結果を示して、DNA 損傷の炎症への貢献はあってもマイナーであると結論している。

あとは、人間のケラチノサイトとマウスの違いや、アポトーシス、ピロトーシスを誘導するシグナル回路など様々な実験を行っているが、割愛していいだろう。紫外線を浴びて皮膚が真っ赤に焼け、あとで皮膚の肥厚が起こるのは、DNA 損傷が原因であるというこれまでの通説に対して、RNA 損傷とリボゾームストレスが原因であることを示した素晴らしい研究だと思う。

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2月2日 痒いところを掻くという行為の深い意味(1月31日 Science 掲載論文)

2025年2月2日
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様々な原因で起こる皮膚の炎症性疾患で最もやっかいな症状は痒みで、わかっていてもどうしても幹部に手を伸ばして掻いてしまう。その結果、皮膚に新たな刺激が加わって炎症が悪化したり感染が広がるとわかっていても、痒みに抵抗できない。我慢が難しい幼児ではなおさらだ。もちろん本能的に行動してしまうマウスではなおさらで、熊本時代の大学院生だった吉田君が理研時代に発見した皮膚バリア分子欠損マウスのビデオを見せてくれたことがあるが、止まることなく体中をかきむしっている哀れなマウスを見て、痒みのインパクトの大きさを思い知った。

今日紹介するピッツバーグ大学からの論文は、古典的実験モデルを用いて痒みにより掻いてしまうことが炎症を悪化させるメカニスムであることを調べ、しかしこの痒みに対する反応が皮膚のブドウ球菌の繁殖を抑えるポジティブな効果もあることを示した面白い研究で、1月31日号 Science に掲載された。タイトルは「Scratching promotes allergic inflammation and host defense via neurogenic mast cell activation(掻くことでアレルギー性炎症が増強するだけでなく神経によるマスト細胞活性化を通してホストの抵抗力を上げる)」だ。

この研究では免疫性炎症モデルとして化学化合物に対する接触性過敏症を用いている。これは化合物を皮膚に塗って感作し、耳にチャレンジすると耳が腫れる反応を用いて炎症を評価する系で、私が研究を始めた頃から存在する古典的な方法だ。

感作後数日でチャレンジしたとき、ネズミは痒がって引っ掻き、その結果強い炎症が起こるが、化合物の刺激による痒みを感じる感覚神経を光遺伝学的に抑制する(すなわち痒みを感じなくなる)と炎症は抑えられる。また、痒みを感じても引っ掻かないように皮膚を守ると、やはり炎症は起こらない。遅延型過敏症なのでT細胞の浸潤は存在するが、それ以上の炎症の広がり(=顆粒球の浸潤などの炎症像)、には痒みにより誘導される引っ掻くというプロセスが必要であることがわかる。

皮膚を引っ掻いたときに活性化される神経細胞を調べると、これは予想通り TRPV-1(すなわち唐辛子成分カプサイシン反応性)の痛みを感じる神経細胞が重要であることがわかる。これまでの研究で TRPV-1 は刺激を受けると Substance P を分泌し、マスト細胞の刺激が起こることが知られているが、TRVP-1 発現神経細胞を光遺伝学的に抑制すると、予想通り接触性過敏症による炎症進行が低下する。

さらに、痒みを感じる神経を抑制したマウスでも、TRBV-1 神経をカプサイシンで単独刺激すると摂食過敏症による炎症が進行する。すなわち、痒みを感じて皮膚を掻きむしることで TRPV-1 神経を刺激し、その結果 substance P が神経から分泌され、マスト細胞刺激し、ここから様々な因子が放出されることで、免疫反応以上に炎症反応が誘導されることがわかった。

最終段階ではマスト細胞が主役に躍り出るので、掻くという行為に注目したのはユニークだが、あとは神経刺激により分泌される substance P などのメディエータが炎症を誘導するという、これまでも指摘されていたメカニズムに落ち着いてしまっている。そこで著者らは、引っ掻く行動を誘導する痒み回路にはネガティブな役割だけでなく、ポジティブな役割があるはずだと考えた。

ここで着目したのが皮膚常在性の黄色ブドウ球菌増殖抑制の可能性だ。痒みを感じて掻きむしる行動を起こしているマウスと、この反応サイクルが遺伝子操作で停止したマウスについて細菌叢の比較を行い、掻くという行為が抑制される個体では、細菌叢の多様性が低下するとともに黄色ブドウ球菌も皮膚から存在が消失することを発見する。すなわち掻くという行為が TRPV-1 神経を介してマスト細胞を活性化することで、細菌叢を変化させ、黄色ブドウ球菌の増殖を抑制することが明らかになった。

この作用はもっぱらマスト細胞により担われているので、マスト細胞を IgE で刺激して活性化すことでも誘導できる。実際には、TRPV-1 神経刺激と、IgE による刺激が協調することでより強くマスト細胞刺激を活性化して黄色ブドウ球菌の増殖を止めているよ結論している。

以上、痒みを感じて引っ掻くことにも細菌増殖防御というポジティブな側面もあるという結論だが、マスト細胞活性化により細菌どころか、皮膚にうごめくダニを予防できることを示した阪大病理の北村先生の仕事を思い出した。すなわち、ダニに刺されて痒くなって掻いているうちに、ダニを退治することができるという話で、もし本当ならうまくできている。しかし実際そんなうまい話があるのだろうか。

カテゴリ:論文ウォッチ
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