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3月27日19時半から「言語の誕生」についてのジャーナルクラブのお知らせ。

2024年3月19日
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最近大規模言語モデルの誕生で、言語発達や言語の誕生についての研究は大きく変化しようとしています。幸い医学部学生に「言語誕生」について講義する機会があったので、今月のジャーナルクラブはこの講義内容を使って行います。いつものように、まずZoomで開催し、それをYouTubeにアップロードする予定です。直接参加したい方は連絡してもらえれば、Zoom URLを送ります。

日時は27日19時半からで、いつもよりは長い時間のジャーナルクラブです。

カテゴリ:セミナー情報

3月19日 中国からの細菌叢研究2題(3月14日 Cell オンライン掲載論文他)

2024年3月19日
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最近論文を読んでいて感じるのは、中国からの論文のかなりの割合が意外性を狙っている点だ。普通誰の論文か気にせず読んでいくのだが、読んでいるうちに「中国からかな?」と感じてアフィリエーションを見て納得するケースが多い

今日紹介する2編の論文は、ともに細菌叢からスタートして、病気の治療に役に立つ菌を特定し、最後にそのメカニズムを明らかにする研究だが、思いもかけないメカニズムに落ち着いている。

最初は浙江大学からの論文で、マウスの系でチェックポイント治療を助ける細菌叢を調べたら Johnsonii乳酸菌に行き当たり、さらにこの菌が他の菌と協力して合成するインドールプロピオン酸が免疫を助けるという話で、3月14日 Cell にオンライン掲載されている。タイトルは「Microbial metabolite enhances immunotherapy efficacy by modulating T cell stemness in pan-cancer(細菌由来の代謝物がT幹細胞を変化させてほとんどのガンに対する免疫治療を高める)」だ。

この研究は人間ではなく、マウスに移植したガンを PD-1 抗体で治療したとき反応した群と、しなかった群に分けて、反応した群だけに認められる細菌を探索し、少なくともヨーロッパではプロバイオに用いられている Johnsonii 乳酸菌 ( Lj ) に行き着き、実際正常マウスに Lj を投与すると PD-1 知要項かを高められることを示している。

Lj が出てきたのも意外だが、この作用機序を調べる中で、Lj によるトリプトファン代謝の結果出てくるインドールプロピオン酸(IPA)が、クロマチン変化を通じて自己再生能を持つ CD8T細胞を活性化し、キラー細胞を供給し続けることを示している。ぱっと見には不思議に感じないのだが、IPAを合成できる細菌はこれまでClostridium sporogenesに限るとされていたので驚く。

これについては、Ljが合成したインドール乳酸(ILA)をClostridium sporogenesに引き渡していると結論し、Lj によって ILA が提供されることで Clostridium sprogenes の増殖を促すというシナリオを提案している。

いずれにせよ IPA というゴールに集約している感じだが、この筋が正しければ IPA は現在アルツハイマー病など様々な病気で効果が調べられているので、プロバイオより、IPA 服用が正解という話になる。

次は中山大学からの論文で、最近のメタボライトにより高尿酸血症を直す話で、意外な目的だが、内容は面白かった。タイトルは「Alistipes indistinctus-derived hippuric acid promotes intestinal urate excretion to alleviate hyperuricemia(Alistipes indistinctus由来馬尿酸は腸管での尿酸分泌を促し、高尿酸血症を抑える)」で、3月14日 Cell Host & Microbiome に掲載された。

この研究も、まず高尿酸血症の患者さんで特異的に上昇している細菌としてAlistipes indistictus(Ai)を特定し、これを無菌マウスに投与して高尿酸血症を誘導すると、Aiを投与された群は血中尿酸値が低下することを発見する。

次に Ai 感染により起こる便中の代謝物の変化を調べ、馬尿酸に行き着く。驚くことに、馬尿酸を投与するだけで、高尿酸症を抑えることが出来る。すなわち、馬尿酸を飲むことで血中尿酸が下がるという意外な結果だ。

代謝経路をたどると、Aj は馬尿酸を直接合成するわけではなく、Benzoate と Glycine をフェニルアラニンとケトグルタル酸から合成し、これが肝臓へ移って馬尿酸になる。

そして馬尿酸濃度が高まると小腸上皮の 0PPARγ 転写因子が活性化され、尿酸をくみ出すシステムの小腸上皮の内腔面での発現が高まり、尿酸をくみ出す。マウスの話だが、実際 Aj 投与や馬尿酸投与で血中尿酸は大きく下がっているので、馬尿酸の毒性がないとすると、高尿酸血症の新しい治療になる可能性はある。

Aj の場合、benzoate とグリシンが供給され馬尿酸が作られるが、同じ量の馬尿酸なら投与可能ではないだろうか。

いずれにせよ、このような意外な筋を示す論文は中国からの確率が高い。

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