10月8日:虫下しが糖尿病に効く(Nature Medicineオンライン版掲載論文)
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10月8日:虫下しが糖尿病に効く(Nature Medicineオンライン版掲載論文)

2014年10月8日

高血圧、高脂血症と並んで糖尿病は今でも最も重要な創薬標的疾患だ。高齢化に伴い患者数上昇が予想される一方、これまでのメカニズムの薬剤の特許切れが続き、それを埋めるべく新しいメカニズムに基づく薬剤開発が加速している。特にインシュリンに感受性がなくなるインシュリン抵抗性と呼ばれる状態を改善する薬剤の開発は最重要課題だ。おそらく大きな投資が行なわれている事だろう。そんな中、今日紹介する論文は4人という小さなグループが糖尿病治療の様々な可能性について論理的に考えを進めてたどり着いたのが、すでにFDAにより抗寄生虫薬として古くから認可されている薬剤だったという痛快な研究だ。アメリカニュージャージ州、ルトガー大学からの論文でNature Medicineオンライン版に掲載されている。タイトルは「Niclosamide ethanolamine-induced mild mitochondrial uncoupling improves diabetic symptoms in mice(Niclosamide-ethanolamineによって誘導されるミトコンドリアのアンカプリングによりマウスの糖尿病症状が改善する)」だ。この研究では細胞代謝の中心ミトコンドリアの膜の水素イオンの勾配を下げてエネルギーの元ATPを作らずにブドウ糖や脂肪酸を燃やしてしまうアンカプラー機能を持つ薬剤に注目した。原理的には細胞内から糖代謝を改善すると考えればいいだろう。実際1930年にはアンカプラーの一つDNPが肥満の治療に使われていたらしい。ただ副作用として発熱作用が強いためその後使われなくなっている。このグループは色々検討した結果、寄生虫に対する薬剤Niclosamide-ethanolamine(NEN)に着目した。この薬はサナダムシに効果があるとして認可され、安全性も確かめられている薬剤だ。アンカプラー機能で寄生虫の代謝を変化させて弱らせるのが作用メカニズムだ。もしこれが寄生虫だけでなく私たちの細胞にもアンカプラーとして効けばインシュリン抵抗性を改善できる。そうにらんだ所がこの研究の全てだ。後は、1)分離したほ乳動物のミトコンドリアのアンカプラーとして働く事、2)マウスに経口投与すると基礎代謝が上がるが、DNPのように発熱はしない事、3)高脂肪食によるインシュリン抵抗性を改善する事、4)インシュリン分泌が低下する遺伝的糖尿病マウスでも発症を送らせ、症状を改善できる事、5)高脂肪食による脂肪肝を完全に防げる事、6)インシュリンクランプ測定によるインシュリン抵抗性の発生が起こらない事の証明、7)人間のガン細胞を使った実験で、予想通りヒト細胞内でも代謝改善が起こる事、8)他にも特定の酵素が活性化され、脂肪酸の酸化が促進される事、など全ていい事づくめの結果になっている。勿論これほどうまく話が運ぶと少しは疑いたくなるが、安全性も確かめられてる薬であり、臨床研究も既に進んでいる事だろう。結果を待ちたい。このように既に使われている薬剤の使用目的を変える事をリパーパスと呼ぶが、これを実現するには広い知識を持つとともに、研究のパーパス(目的)をはっきり設定する事が一番重要なのかもしれない。片端から薬剤を試すと言う主流に対して、目的を持って考える事から始める研究スタイルの勝利だろう。余談になるが、オペラ歌手のマリアカラスは体型を保つためにサナダムシを腸内に飼っていたと聞く。サナダムシもその虫下しもともに体型維持に良く効くとするこの論文の結論は、ブラックジョークとしても面白い。。

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10月7日:メラトニンの進化(9月25日号Cell誌掲載論文)

2014年10月7日

生物には地球で生まれた宿命、即ち地球の自転に支配された概日リズムがある。ただ、日の長さは季節や緯度により大きく異なるため、このリズムを光で感じる夜と昼に調整するシステムが必要だ。この調整に関わる主役がメラトニンで、時差で眠れないときの特効薬として市販されている。松果体で作られ、身体に夜である事を知らせてリラックスさせ、眠りを誘導する。この事からhormone of darkness(暗黒ホルモン)と呼ばれている。ここまでは私も良く知っていたが、メラトニンの進化についてなど考えた事がなかった。今日紹介するヨーロッパ分子生物学研究所からの論文は、環形動物幼虫でのメラトニンの作用について明らかにした研究で、9月25日号のCellに紹介された。タイトルは「Melatonin signaling controls circadian swimming behavior in marine zooplankton(メラトニンシグナルは海の動物プランクトンの概日水中移動行動を調節する)」だ。この論文からメラトニンの進化について多くを学ぶ事ができた気がする。まずイントロダクションから学ぶ事が多い。メラトニンの発現は前口動物から概日性を持って発現している。即ち概日マスターリズムに支配されている。最初はホルモンとしての役割より、活性酸素処理分子として出来て来たようだ。これは想像だろうが、元々コンスタントに作られていたメラトニンに日が当たると、その活性が低下する。この性質が、日の光に合せて活性が増減する分子として利用が可能になるきっかけになったと推測している。その後メラトニン合成自体が、光感受システムと結合して、概日リズムを光に合わせて調整できるメラトニン産生が始まる。メラトニンが次にホルモンとしての役割を持つようになるためには、他の細胞にメラトニン受容体が現れる必要がある。受容体は、カイメンには存在しないが、それ以降の神経を持つ動物に現れ、これにより体全体がメラトニンシグナルに反応して光のサイクルを感じるようになると言うシナリオだ。どの分子がメラトニン受容体へと進化し、メラトニンが暗黒ホルモンになったのか?地球と生物の基本的関係の進化を考えるためのロマンのある分野だろう。この研究では、もう少し進化が進んだ環形動物の幼虫を用いてメラトニンが神経系に働き体全体の運動を調節する仕組みを解明している。使われた動物はゴカイの仲間で、幼虫は海でプランクトンとして漂っている。ただ、夜になると水面に上昇し、日が当たるとまた水中深く移動する概日リズム運動を持ち、これが繊毛の動きで調節されている。これに注目し、メラトニン、神経、繊毛運動の関係を解明したのがこの論文だ。重要な問題を選び、そのために広い知識に基づいて最適の材料を選ぶ。これがこの研究の全てだろう。結果から得られるシナリオは比較的わかり易く、まとめると次のようになる。メラトニンは光感受性物質オプシンを発現している脳細胞で発現しており、私たち人間と同じで、夜になるとメラトニンの発現が上がる。この細胞がまさに目のない動物が光を感じる本体で、この細胞の中でメラトニン産生と光の感覚がリンクされている。今年の7月7日ウズラの季節を感じるオプシンの話を紹介したが、このアナロジーで考えると、メラトニンは実際には季節感覚とリンクしていると考えても良さそうだ。さて、光が当たらなくなるりオプシンの活動が低下すると、メラトニン分泌が上昇する。分泌されたメラトニンは次にメラトニン受容体を持つ脳内の神経細胞に働き、神経の活動パターンを夜型(リズム型興奮)に変え、この神経のシナプスでのアセチルコリン分泌を上昇させる。次にこれに反応したトーチ細胞と呼ばれる細胞が興奮して、これにより繊毛運動が長期間抑制され、プランクトンが浮上すると言うシナリオだ。神経—運動サーキットとしてだけ捉えれば、単純なシナリオだが、やはり進化的に考える事で面白さが倍増する。そのためにも、イントロダクションから学べる論文は重要だ。

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10月6日:移植子宮による妊娠と出産(The Lanet10月5日号掲載論文)

2014年10月6日

既に新聞各紙でも報道されているようだが、今日は移植子宮から生まれた男児の話を紹介する。今年3月6日このホームページでスウェーデンのヨテボリ大学のチームによる子宮移植成功についての論文を紹介した。その時、移植子宮での妊娠、出産の報告を聞くのも時間の問題だと述べた。予想通りこの時子宮を移植された女性から生まれた子供についての報告が最新号のThe Lancet誌に掲載された。タイトルは「Livebirth after uterus transplantation(子宮移植後の出産)」だ。各紙のウェッブサイトには目を通してみたが、全紙、淡々とした短い記事だ。論文を自分で読んだわけではなさそうで、現地からのプレス発表を配信したニュースをそのまま掲載している感じの記事だ。判で押したように倫理的な議論が必要だと結んでいるは、配信ニュースに最初からあったのか、それとも日本のメディアのクセみたいな物なのだろうか?しかし論文を読むと、この研究がかなり準備周到に行われている事がわかるので、その点について紹介しておこう。先ずこのグループは10年以上動物実験を繰り返し、移植子宮で妊娠出産が可能である事を確信している。対象は卵子が作られているが、子宮切除、子宮内癒着、あるいはロキタンスキー症候群などの先天的子宮形成不全などを原因とする不妊の患者さんで、英国では12000人に達する。この場合これまでは我が国を含む多くの国で禁止されている代理母しか選択肢はなかった。今回報告された患者さんは、ロキタンスキー症候群の方で、膣形成不全があり、また腎臓も一つしかない。更に、プロトコルとして、子供が1−2人が生まれた後は、もう一度子宮切除してしまう事を決め、それを患者さんに納得してもらっている。子宮自体は生命に必要な器官ではなく、移植子宮を維持するために免疫抑制剤を使い続ける方が危険であることを考えての事だ。ドナーは、この家族と親しい友人、おそらくお母さんの友人だろう、61歳女性で既に2人の子供を持つ母親だ。この治療では生理がないため採卵も難しい。基本的には超音波診断を手がかりに、いつ採卵するかなどかなりの準備が行なわれている。この患者さんでは、移植後43日目から生理が始まっている。移植子宮はしっかりと機能する。しかしこのサイクルが正常である事、及び免疫抑制がしっかりできている事の確認が先ず大事だ。拒絶反応については、子宮頸部のバイオプシーを繰り返し妊娠中も確認する念の入れ様だ。他にもパピローマビールスが感染していない事まで確かめた後で、体外受精を行なった胚を移植している。自然受精も可能かもしれないが、体外受精で行ない移植された子宮の機能を調べる事を目的とする事を最初から決めて納得してもらっている。前にも述べたが、免疫抑制のためタクロリムス、イムラン、プレドニンを使用しているが、妊娠後も使用を続ける事を決めている。ただ、成長期だけは使用量を減量するが、ステージが進んだ後は元の量に戻している。胎児の成長の詳しい記録が行なわれており、免疫抑制剤が成長を阻害する事はないようだ。事実、多くの臓器移植を受けた患者さんが免疫抑制をしながら出産に成功している。おそらくこの患者さんでは高齢者の子宮が使われた事、さらに腎臓が一つしかない事などが重なり、妊娠中毒症様の症状が出ていたため、帝王切開で分娩を行ない、1775gの男児が生まれた。子供は正常に成長し、2週間で新生児ユニットを出ている。お母さんに至っては、出産後3日で退院している。これが実際の経過の概要だ。今後我が国でも実施される場合の基準となる様々な要素が盛り込まれた優れた臨床報告だと思う。報道も、これらの経過をふまえた上で、どこが我が国では倫理問題として議論すべきか明確な意見を持つべきだろう。その意味で、是非オリジナルの論文を読んで記事を書いて欲しいと思う。再生医療で形成させた膣移植について以前紹介したが、この症例からも今度は自然妊娠の報告がある様な気がする。

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10月5日:ムコ多糖症治療を目指した地道な研究(アメリカアカデミー紀要オンライン版掲載論文2編)

2014年10月5日

アメリカアカデミー紀要オンライン版に奇しくもムコ多糖症治療法の開発についての論文が2報出ていたので紹介する。ムコ多糖症(MPS)はライソゾームでグリコサミノグリカンの分解を行なう様々な分解酵素遺伝子異常が原因となっておこるライソゾーム病で、ライソゾームにグリコサミノグリカンが蓄積した細胞が死ぬ事により全身症状がでる。現在骨髄細胞を移植して、移植細胞に欠損している酵素を作らせ、肝臓などの患者さんの細胞に供給する治療法と、MPS−I, MPS-II, MPS-IV, MPS-IVAでは欠損している酵素を直接患者さんに投与する補充療法が治療に用いられる。MPS−VIIについても同じ治療の可能性が治験で確かめられつつある。酵素がどうして細胞内に入るのか不思議に思うが、酵素にMan6-P分子が結合し、これが酵素分子を細胞内に取り込むためのシグナルとして働き、リソゾーム内に酵素を補充する事が出来る。しかし、MPS-IIIでは試験管内で作られた分子に何故か良くわからない理由でこのMan6-Pが結合できていない。またこのタイプは神経症状が中心で、合成した酵素を血中に投与しても脳内に移行できない。この問題を解決しようと行われた研究がUCLA小児科からの研究で、タイトルは「Delivery of an enzyme-IGFII fusion protein to the mouse brain is therapeutic for mucopolysaccharidosis type IIIB(IGFIIとの融合分子脳内投与はマウスのMPS-IIIB型ムコ多糖症の治療効果がある)」だ。この研究ではManP-6に結合する細胞側の表面受容体がIGF-II増殖因子にも結合する事に着目し、MPS-IIIBで欠損している酵素にIGF-IIを融合させた分子を脳内に投与してこの病気が治るか調べている。結果は予想通りで、融合分子は神経細胞に取り込まれこの病気で蓄積する硫酸ヘパリンが明確に分解されるという素晴らしい結果だ。更に、脳内投与された酵素の一部は肝臓内にも取り込まれているようで、脳だけでなく全身でムコ多糖の蓄積を防げると言う期待が持てる。同じ分子はヒトでも効果を持つ可能性は極めて高い。幸い小児科が主体の論文なので、早期に臨床研究へ進むと期待している。もう一つの論文はMPS-Iを対象にしている。この病型は骨髄移植や酵素補充療法が良く効くタイプだ。ただ、いずれの方法も脳内神経細胞のムコ多糖蓄積に効果がないため、更に高いレベルの治療として遺伝子自体を元に戻す方法が研究されている。ペンシルバニア大学からの研究はアデノ随伴ビールスを使って遺伝子そのものの補充を目指した研究で、Liver-directed gene therapy corrects cardiovascular lesions in feline mucopolysaccharidosis type I(肝臓細胞に遺伝子を導入する事でネコのI型ムコ多糖症の心臓血管病変も正常化できる)」がタイトルだ。ネコには自然発症のMPS-Iが存在するので、これをモデルにして、アデノ随伴ウィルスに組み込んだIDUA遺伝子静脈内投与の治療効果を確かめている。結果は期待通りで、血中のIDUA酵素濃度が上昇し、臓器レベルでは肝臓で最も酵素が作られるようになる。その結果、ムコ多糖症の蓄積は脳以外のほぼ全ての臓器で見られなくなる。特に酵素補充療法では改善しにくかった心血管、特に大動脈弁の病変の改善まで見られる事が明らかになった。従って、この治療法で脳以外の全身症状をほぼ長期間にわたってコントロールする事が可能になる。今後は脳内の神経細胞や脈絡膜細胞を標的とした遺伝子治療を開発する必要があるが、そう遠くない将来実現するのではと私は楽天的だ。医学が希少疾患に対してゆっくりではあっても確かな前進を見せている事を確信する。

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10月4日:進化と可塑性(Natureオンライン版掲載論文)

2014年10月4日

ラマルクと言うと「獲得形質の遺伝」仮説と結びつけられているが、彼の主張の最も重要な部分は、集団が環境にフィットすると言う性向を持っていると言う考えだ。勿論この考えも、選択されたクローンが拡大すると言う一般的自然選択説とは根本的に異なる。とは言え、集団が全体として環境にフィットする事はないのか聞かれると、可能性はあると思わざるを得ない現象は多い。例えば発生は一個の受精卵から始まるクローナルな過程だが、複雑な個体ほど発生過程で可塑性を示す。このように進化にとって、対象の可塑性をどう扱うかはなかなか難しい問題だ。今日紹介するピッツバーグ大学からの論文は、社会生活を営むクモの社会構造全体が環境とフィットする集団適応を扱った研究で、Natureオンライン版に掲載された。タイトルは「Site-specific group selection drives locally adapted group composition(グループ全体の選択がグループ内の構成の適応に関わる)」だ。この研究はAnelosimus studiosusと呼ばれるヒメグモ集団を対象としている。このクモはゴルフボール大から、大きい場合は軽自動車位の大きさの巣を共同で作る。アリと違って、同じ巣には複数の親から生まれた個体が共同生活を行ない、また明確な役割分担はない。代わりに雌が攻撃性の高い雌と、おとなしい雌に分かれている。この研究では先ず、食料の多い条件のいい環境と、悪い環境の巣の中のクモの個体数と攻撃的雌と穏やかな雌の比率を調べている。その結果、条件のいい環境では大きい巣になるほど攻撃的雌が多くなる。一方悪い環境の巣では大きい巣になるほど穏やかな雌の比率が多くなる事を見いだしている。次に同じ場所から採取して来た集団の、攻撃雌対優しい雌の比率を様々に変化させ、異なる環境に置いて集団構成の変化を調べている。最初の世代が完全に死滅して新しい世代に変わった2世代目で調べると、最初の比率とは無関係に環境に合致した雌の比率と集団の大きさが決まる傾向がある。まさに、環境に集団がフィットすると言う結果だ。ただ、それぞれの集団にはすでに一定の遺伝傾向が存在している事も確かで、環境が悪い方から良い方、あるいは逆と大きく違っている場所に移した集団は、どうしても新しい環境より、古い環境での構成をとりたがる傾向があると言う結果だ。示されているこの2つの結果は、一見矛盾するように見えるが、結論として、1)環境が集団の成分構成を決める事、2)決められた性向は集団として受け継がれると言う結果だ。ラマルクはダーウィンと異なり、無脊椎動物を研究していた。ひょっとすると、同じ様な観察に基づいて彼の理論が生まれたのかもしれない。一方この論文について言うと、このクモの習性についての説明が少なく、生物学として重要な現象を扱っている割には議論が浅い。まあ、面白い現象ですよと言う程度の論文だろう。しかし最終的な比率はどうして決まるのか?集団が集団として選択されるメカニズム何か?興味は尽きないが、完全にメカニズムが解明されると、期待はずれで終わるのではと思うのは、私がひねくれているからだろうか。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」

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10月3日:マクロファージ肺内移植:素朴に考える(Natureオンライン版論文)

2014年10月3日

呼吸の度に肺胞がスムースに膨らんだり縮んだりするために、サーファクタントと呼ばれる一種の界面活性剤により肺胞は守られている。この物質が肺胞にたまってしまうのが肺胞蛋白症で、まれな病気だ。私が医師をしていた40年程前には、なぜサーファクタントがたまってくるのか原因は全く不明だった。ただ、そのまま放置すると呼吸困難に陥るので、肺胞洗浄、即ち気管支鏡を肺の各セグメントに挿入して大量の生理食塩で肺胞を洗浄し、貯まったサーファクタントを洗い流す治療が行なわれる。その後1990年に入ってGM-CSFやその受容体遺伝子が欠損したマウスが肺胞蛋白症になる事がわかってこの病気の理解は大きく進展する。現在では、この病気の原因は。GM-CSFに対する自己抗体が出来てしまって肺胞マクロファージによるサーファクタント処理能力が落ちるためと考えられるようになった。今日紹介するシンシナティ小児病院からの論文は、残念ながら自己抗体による肺胞蛋白症治療ではなくまれな遺伝性肺胞蛋白症の治療についての研究だが、肺への細胞移植と言う点から見るとなるほどと膝を打つ研究だ。「Pulmonary macrophage transplantation therapy (肺胞マクロファージ移植治療)」と言う極めてシンプルなタイトルのついた論文でNatureオンライン版に掲載された。論文ではGM-CSF受容体が欠損したマウスモデルが使われている。このマウスに、正常骨髄から試験管内で調整したマクロファージを移植するのだが、なんと口腔の後方に細胞の浮遊液を置いて、後は呼吸を通して肺の末梢に散布すると言う驚きの方法をとっている。こんな素朴な方法で細胞が肺胞へ到達できるのかと驚いてしまうが、効果はテキメンで、ほぼ完全に肺胞は正常化する。更に、レンチビールスベクターを用いてGM−CSF受容体遺伝子を正常化させたマクロファージを使う実験も行ない、同様に治療に成功している。これらの結果は、1)肺胞に直接細胞を注入する事はそう困難ではない、2)細胞の移植に放射線や薬剤の処理は全く必要ない、3)これまで考えられていたのとは異なり、移植した成熟マクロファージは1年以上正常に働き続ける、事を示している。遺伝性のない肺胞蛋白症の患者さんにはこの方法が役に立たないのは残念だが、マクロファージ以外の細胞移植にも使えるようになれば、肺も細胞移植治療の対象として定着するかもしれない。勿論もっと効率の良い直接移植法も考えられるだろう。いずれにせよ、これまでの先入観にとらわれず、素朴な発想で研究を行う事の重要性を示す論文だ。極めてまれとは言え、GM−CSF受容体の欠損した肺胞蛋白症患者さんには朗報である事間違いない。遺伝子治療は難しくても、MHCのマッチしたドナーの方の骨髄をほんの少しもらえれば治療が可能だ。ヒトでの臨床研究が始まる事を期待したい。

 

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10月2日:DNAは利己的になりうる(Natureオンライン版掲載論文)

2014年10月2日

最近の若い研究者はRichard Dawkinsの提唱した利己的DNAの概念の事は知っているのだろうか。少なくとも常に話題になる程ではなさそうだ。基本的には、情報としてのDNAが細胞や個体とは全く独立しているとする仮定の上で進化を考える立場だ。元々変異の発生に目的などないと考えるダーウィニズムを少し極端に表現しただけとも考えられるが、情報が参照する実体がなくても存在すると言う錯覚を与える心配がある。情報がそれ自体で存在し得ないと考えている私自身は批判的だ。ただ20世紀科学の最大の成果、情報科学を考える点では重要な指摘だと思っている。今日紹介するカリフォルニア大学サンタクルズ校からの論文は、私たちのゲノムに存在する動く遺伝子トランスポゾンとその動きを押さえようとする分子の競合についての研究で、久しぶりにドーキンスを思い出した。タイトルは「An evolutionary arms race between KRAB zinc-finger genes ZNF91/93 and SVA/LI retrotransposons(KRABチンクフィンガー蛋白ZNF91/93とSVA/LIレトロトランスポゾンの進化での軍拡競争)」だ。私たちのゲノムのほとんどはジャンクと呼ばれる使う目的のない良くわからないDNAが占めている。その中には、ゲノムの中で増殖するメカニズムを備えている断片が存在し、トランスポゾンと呼ばれている。勿論そんな遺伝子がどんどん増えると困るため、トランスポゾンが増殖するのを押さえる仕組みを細胞は備えている。このトランスポゾンを押さえる仕組みに関わるKZNF分子の進化を研究したのが今日紹介する論文だ。KZNF分子はゲノム中のレトロトランスポゾンに結合し、この遺伝子を動かなくするKAP1分子をトランスポゾンの侵入場所に連れてくる役目をしている。この標的の一つL1の構造には種差があり、その結果マウスの細胞の中ではヒトのL1は抑制出来ない。これはL1の進化に合わせてそれに結合するLZNFがヒトトランスポゾン用に新たに進化して来たためで、マウスには新しい防御システムは出来ていない。このマウス細胞内ではヒトL1が抑制できない事を利用して、ヒトの染色体を導入したマウス細胞を作成し、170種類もあるヒトのKZNF分子の内どの分子がL1抑制に関わるかを特定できる。この実験の結果、ヒトKZNF91分子を導入するとヒトL1を抑制する事が出来る事がわかった。次に、KZNF91分子の進化を調べて行くと、類人猿が進化した後大きく構造が変化した事がわかり、事実ゴリラやチンパンジーの分子はヒトL1を抑制するが、オラウーンタンの同じ分子にはその力はない。一方、L1の進化の方を見てみると、最初はKZNF93が結合できる構造をしていたが、1千万年前にこの結合部位を欠損させている事がわかる。このことから、L1の方が抑制を逃れようと先に変化し、今度は新しいL1を抑制するためKZNFが変化して来たと考えられる。この研究では進化途上の遺伝子配列を推定しその機能を調べたり、KZNF分子のL1への結合や、L1の増殖など細かく調べているのだが、全て割愛して結論をまとめると以下のようになる。元々、L1とKZNF分子はいたちごっこの進化競争を繰り返していた。類人猿が進化して来た頃はL1にはKZNF93が結合してトランスポゾンの増殖を抑えていた。ところがL1の方がこの結合部位を欠損させ、KZNFの作用から逃れて増殖できるようになる。すると今度はKZNF91を進化させる事で、新しいL1の増殖をようやく抑制出来るようになったのが現状だと言うのがシナリオだ。要するに、レトロトランスポゾンと宿主は軍拡競争を繰り広げていると言う事だが、事実KZNF分子の数は進化過程で急速に増大しており、同じ様な軍拡競争が他のトランスポゾンにも存在する可能性が高い。読んで新しい事を学んだと思える論文だった。情報はそれが参照する実体がないと情報たり得ない。しかし、参照する実体を持つ情報の海の中では、参照する実体がないのに情報のように振る舞う断片が存在できる。利己的DNAもその一つなのだろう。勿論コンピュータウィルスも同じ事だ。生物学だけでなく、いろんな事を考えさせてくれる論文だった。

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10月1日 ROS1陽性肺ガンにはクリソチニブが良く効く(9月29日発刊The New England Journal of Medicine掲載論文)

2014年10月1日

当時自治医大にいた間野さん(現東大)たちが、肺ガンの原因遺伝子を機能的にスクリーニングして、非小細胞性腺癌の中にALK融合遺伝子が原因になっている事を突き止めた発見をきっかけに、ALKの機能抑制剤の臨床研究へと進み、現在ではALK融合遺伝子陽性の肺ガンの標準治療になっていると言う話はいつ聞いてもエキサイティングな話だ。事実非小細胞性肺ガンではこの遺伝子の転座があるかどうか検査が行なわれるようになっているのではないだろうか。ただ、この様な候補遺伝子の検査は、薬の効果のない人を見つけて治療から除外すると言う一面がある。おそらく今日紹介するROS1融合遺伝子を持っている患者さんは現在も除外対象になっているだろう。と言うより、初めから検査に引っかかってこない。しかし、ROS1融合遺伝子は非小細胞性肺がんの1%程度、他にも胆管癌、胃がん、卵巣がん、そしてグリオブラストーマなどで見られ、分子機能としてもALKに近い事がわかっている。実際、細胞株を使った研究からクリソチニブがALKと同じように、いやそれ以上にROS1の機能を抑制する事がわかっていた。今日紹介するマサチューセッツ総合病院からの研究はクリソチニブがROS1融合遺伝子を発現する肺ガンに効くかどうか確かめた最初の臨床研究で、9月29日号のThe New England Journal of Medicineに発表された。タイトルは、「Crizotinib in ROS1-rearranged non-small-cell lung cancer(クリソチニブはROS1遺伝子が再構成した非小細胞性肺ガンに効果がある)」だ。この研究は、一種の第一相の臨床研究で、対照群はなく、ROS1融合遺伝子のある全ての末期ガンを対象にクリソチニブ投与を行なっている。結果は予想通りと言うか、予想以上と言うか、72%の患者さんが反応し、33例中3例は完全寛解に至っている。クリソチニブで病気をコントロールできる期間は、18ヶ月近くに及ぶ。半分以上の患者さんは薬を服用して現在も経過観察中と言う。末期の患者さんに対して行なわれた治療である事を考えると素晴らしい結果だ。ROS1融合遺伝子がある場合は、クリソチニブがALK融合遺伝子の患者さんより良く効く可能性があり、この治療法を最初の選択肢とすべきと結論していいだろう。ただこの論文はもっと多くの問題を提起しているように思える。先ず、この様な結果がわかった時、通常の第3相試験まで進めないとクリソチニブをROS1陽性患者に使えないのかと言う疑問だ。既にALK融合遺伝子で安全性などのデータは十分あり、基礎的にはこの薬剤がROS1の方により強い効果があるとわかっている場合、治験プロトコル自体を工夫する必要がある。次の問題は、ALK融合遺伝子を診断項目とする事で、ROS1融合遺伝子が除外されると言う問題を今後どう解決するかだろう。今後遺伝子診断が普及する事を考えると、薬剤の作用機序がわかっている場合、それぞれの薬剤の対象となる標的分子のパネルが公開され、常にアップデートされている様な仕組みが必要な気がする。基礎と臨床のギャップを埋めると言うのは研究だけの問題ではない。情報のギャップをどう埋めて、早期に可能性を試せるか、創薬プロジェクトの重要な課題だ。また、診断側ではエクソーム検査を普及させるなど、候補遺伝子に焦点を当てる診断から、全体を見て判断する診断に変えて行く必要がある。この研究でも、実際製薬会社が勧めるFISH法では診断できていなかったケースが示されている。結局ほとんどの患者さんは次世代シークエンサーの検査に回っているが、配列決定のためにもガンの標本が遺伝子検査用に適切に保存される必要があり、正しい保存を徹底させる取り組みも必要だ。先日この様な状況を認識して、新しい肺ガンの治験プロトコルを作成する動きを紹介した。この様な動きをしっかり理解して、医師の側からももっと正しい診断に基づく、良く効く治療を行ないたいと言う希望に基づく運動が盛り上がる事を期待したい。

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9月30日:主観的概念を記録する神経細胞(10月号Neuron誌掲載論文)

2014年9月30日

私自身は認知科学の研究を行なった事はないが、この分野の本や論文はいつも面白く読んでいる。私たちが日常何気なく行なっている行動が、脳の領域や、時には一個の神経細胞の反応レベルに落とし込んで示されると、これほど複雑な仕事を毎日こなしている自分の脳が本当にいとおしくなる(と言う気持ちも自分の脳の活動だが)。人間の認知科学の論文を読むもう一つの楽しみは、研究者達が様々な工夫を凝らした実験システムを使っている点で、実験結果より疑問に答えようと設計される様々な課題の創造性にいつも感銘を受ける。今日紹介する英国Leicester大学からの論文もそんな一つで、人間の顔認識過程に関わる神経細胞の研究で、10月号のNeuron誌に掲載された。タイトルは「Single-cell responses to face adaptation in the human medial temporal lobe(脚色された顔に対する人間の側頭内側葉の単一細胞の反応だ)」。研究の課題は、人間の顔識別だ。ほとんどの人は顔を名前と結びつけて脳内に記憶している。知っている人の顔なら、少々顔が不明瞭でも誰の写真か言い当てる事が出来る。この過程はこれまでも研究されており、「face adaptation」と言う課題が既に考案されている。この課題では、例えばクリントンとブッシュ大統領の写真とともに、コンピュータで両方を合成した写真を用意する。そのまま合成写真を見せて名前を言わすと結果は五分五分だが、先にクリントンの写真を見せてから合成写真を見せると、ほとんどがブッシュと答える。逆にブッシュの写真を見せてから合成写真を見せるとクリントンと答える事が既に知られていた。実際論文の写真で自分で確かめるとたしかにそうだ。おそらく先に見た標準からの違いを主観的に判断して名前を呼び起こしているのだろう。いずれにせよ視覚認識だけで決めているわけではなく、ブッシュやクリントンの概念に対応する領域が形成され、判断の基準になっているようだ。この研究では、この課題を行なっている時、個々の神経細胞の中に、ブッシュ、あるいはクリントンと名前を決める時にだけ関わる神経細胞がないかどうかを調べている。勿論正常な人の脳に電極を刺す事は出来ない。しかしここでも一度紹介したが、多数の電極を備えたネットを脳内に留置して癲癇の原因となっている領域を特定する検査法がある。このネットが留置された患者さんにボランティアになってもらい、この課題を行なっている際、名前の決定過程にだけ関わる単一神経細胞があるか調べたのがこの研究だ。結論的に言うと、ブッシュの写真を見てブッシュと決断する時反応する細胞の中には、クリントンの写真を見てクリントンと判断する時に反応しない細胞がある。この細胞のほとんどは、クリントンを見てから合成写真を見てブッシュと判断する時に反応する。しかし全く同じ合成写真をブッシュの写真を見てから見ても反応しない。何故なら同じ合成写真をていても、先にブッシュを見ているため判断がクリントンになるからだ。即ち、視覚的に顔を認識している過程とは全く別に、ブッシュと言う概念にだけ反応する神経細胞群があり、認識された視覚パターンを判断する時にだけ興奮すると言う結果だ。事実この様な神経が見つかった側頭内側葉は高次視覚領域が投射する場所だ。おそらく著者等は、クオリアなど主観的認識の謎に迫る手がかりと言いたいようだが先は長い。しかし21世紀、これまで科学が解明できていない主観と客観の問題も全く新しい手法で明らかにされて行く様な予感がする。

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9月29日:ガン治療薬の治験のあり方を根本的に見直す(10月号Journal of Thoracic Oncology掲載意見)

2014年9月29日

これまで何回もこのホームページで紹介して来たように、ガンゲノム研究が大きく進展し、またエクソーム解析などが安価に提供される日がすぐそこまで来ている。また慢性骨髄性白血病、GIST、非小細胞性肺ガンなどの例で示されたように、治療可能な標的分子が見つかるガンでは低い副作用で高い効果が期待できる。他にも乳がんでは、3種類の分子の発現を調べて治療計画を立てるのが普通になっている。しかし標的分子に対する薬剤と言っても必ず高い効果があるわけではなく、効果を統計的に確かめる必要がある。これまでの治験では、例えば扁平上皮肺癌なら全ての患者さんを同じ病気とみなし、一定数の患者さんを対象に統計学的に確立した方法で治験を行なえば良かった。しかし、ガンゲノム解析など、ガンが発現しているバイオマーカーに基づく標的薬治療になると、個々の患者さんを対象とする個別医療と、人間を集団として扱う統計学を統合した複雑なプロトコルが必要になる。これが実現すればこれまでより多くの患者さんが救われる事は間違いないが、個別の創薬企業や医療施設だけで取り組める事ではない。近い将来ガン治療が大きく変わる事を確信して、政府、医学研究者、製薬、そして患者さんが一体となって治験に取り組まなければならない。このための会議が2012年にアメリカ国立がん研究所の主催で持たれた。この会議をきっかけに続けられた様々な議論についてまとめ、新しい治験プロトコルのアウトラインを紹介したのが今日紹介する論文で、10月号のJournal of Thoracic Oncologyに発表された。創薬促進には新しい方法を積極的に取り入れるのが当たり前とは言え、この様な会議を組織したアメリカの規制当局の構想力に感心した。論文のタイトルは「Consensus report of a joint NCI thoracic malignancies steering committee: FDA workshop on strategies for integrating biomarkers into clinical development of new therapies for lung cancer leading to the inception of “Master Protocols” in lung cancer」と長いので、短く「将来の肺がん治療のマスタープロトコルを確立するためにバイオマーカーをどう治験に統合するか考えるFDAワークショップのレポート」とでも紹介しておこう。これまで私はガンを知って戦うという一面だけを強調して来たが、実際に治験を行なうとなるとそう簡単ではない。腫瘍の生物学的性質を治験に取り入れるほどプロトコルは複雑化する。また、がん組織をどう採取するのか、どう保存しどう調べるのか、薬剤効果の判定基準にバイオマーカーは使えるかなど議論する点は多い。またゲノムを調べても適切な標的が見つからなかった患者さんたちを排除する事になってはならない。乳がんで行なわれている様な限られた遺伝子だけを調べるのではなく、全エクソーム解析を普及させ、他の可能性が見つかる検査が必要かもしれない。おそらく会議でも大変な議論が行なわれたのだろう。こんな会議があれば是非傍聴してみたい。何が問題かを認識した上で、会議参加者全員がガン治療が大きく変わる事を確認し、それに合わせた治験法の開発の必要性について合意した。最初からゲノムなどバイオマーカー検査で選んだ患者さんを対象にした、この議論の結果を反映した治験プロトコルも既に実施段階にあるようだ。最後にこの会議の集大成とも言うべき国立ガン研究所が提案しているLung-Map trialと名付けられたプロトコルが紹介されていた。先ず患者さんのゲノムや遺伝子発現を次世代シークエンサーや免疫抗体法で調べ、結果に応じて4種類の異なる標的分子に対する薬剤に振り分け、ガンの進行が止まるかどうかを判定基準として治験を行なう。この方法だと、標的分子が新たに見つかっても同じ枠組みで治験を進められる。また、同じ分子に対する異なる会社の薬剤も治験が可能だ。是非計画が速やかに実施される事を期待する。しかしよく考えるとこの大きな変革により、治験は創薬会社が独自で行なう研究と言う考えは変える必要がある。この様な治験の枠組みが可能になるには、行政、創薬企業、医師、研究者、そして患者さんが、ガンを治療すると言う一点に向けて密接に協力する必要がある。また、費用も創薬企業が全て負うと言うのもおかしくなる。即ち、創薬の最終段階である臨床治験が従来とは大きく変わる事を意味している。しかしこの大きな変革を我が国の行政、製薬、医師達が主導できるのか心配だ。例えば日本版NIHがこの新しい時代を主導できないなら存在価値はない。助成金を配るだけの行政から、新しい時代を組織化する行政に変革できるか、先見性と企画力が求められている。

カテゴリ:論文ウォッチ
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