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4月9日:次世代シークエンサーとがんスクリーンング(Nature Medicineオンライン版掲載)

2014年4月9日
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検査機器や試薬を提供する会社の方と話していると、我が国のトップはPCRが検査方法の中心であると言う発想から抜けられないようだが、血液に流れるがん細胞由来異常DNAをシークエンサーを使う事で高感度に検出可能である事を示すスタンフォード大学からの論文がNature Medicine オンライン版に掲載された、タイトルは「An ultrasensitive method for quantitating circulating tumor DNA with broad patient coverage(広いタイプの患者さんをカバーできる超高感度血中のがんDNA検出方法)」だ。微量だががん細胞のDNAが血中に流れている事はこれまでも知られている。しかしほとんどの方はこの検出にはPCRが必須と言う考えにとらわれている。この研究では、非小細胞性未分化癌をモデルに、先ず血中に流れる異常DNAを濃縮する方法を開発し、後は全てのDNAを次世代シークエンサーで調べている。全くPCRは使っていない。もちろん濃縮方法の開発にはこれまでのがんゲノム研究の進展が背景になっている。また、シークエンスのコストも更に低下する事が期待できる。結果は、ステージII-IVの全てのがんを血液サンプルで診断する事が可能であり、初期のステージIでも50%の診断がつく。またがん由来の異常DNAが、読まれた全配列の中でどの程度の頻度で出現するかは、がんの大きさと比例する。しかもこれまでのゲノム研究から知られる突然変異の96%までカバーできている。現在がんマーカー検査が普及しているが、ゲノムは究極のがんマーカーだ。おそらくゲノムはこの分野に大きな変革をもたらすだろう。もちろん更に方法を改良する事は必要だ。しかし、将来は特定のがんに絞らず、がんがあるかどうかを診断できる普遍的方法へと発展すると予測できる。   しかしこの様な進展を目にすると、日本のゲノム研究、特にこの様な新しい技術の開発を行える人材の欠如に愕然とする。ゲノム分野のこの欠損は、将来情報処理分野全体の欠損へと拡大するのではと心配する。クリステンセンの「イノベーションジレンマ」と言う本があるが、既存の技術のイノベーションにまじめになればなるほど時代に取り残されると言うのがメッセージだ。我が国の現状を見ると将来悪いモデルとして題材になる予感がする。
カテゴリ:論文ウォッチ
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