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1月14日:わが国の国際捕鯨委員会からの脱退について(NatureとScienceのコメンタリー)

2019年1月14日
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昨年わが国は国際捕鯨委員会(IWC)から脱退したが、大手メディア報道を読むと、否定的意見が多いように思う。もともとクジラの消費は先細りで、漁業として極めて小さな経済活動に過ぎず、将来後継者もままならない捕鯨と引き換えに、わが国が国際協調を破る国であると言う汚名を切るのは、あまりにも損失が大きいと言うロジックのように思える。

私自身の印象はと言うと、やはり悪い。私は残り少なくなったクジラ給食世代だが、クジラを食べることなど10年に一度あるかどうかだ。しかも、最後に食べたのは、アイスランド旅行に行った時で、一緒に旅行したスウェーデン人のMartin君が注文したのをつまんだだけだ。とすると、たしかにこの程度の話で、反環境、反生物保護の烙印を押されるのは大損していると思う。それでも、クジラを殺して食べることがけしからんという論理には与しない。一方、もし絶滅の危険があり、生物多様性がまた失われるなら、好きなマグロでも我慢する。その意味では、動物保護の問題を感情問題と政治問題にしてしまうのが一番問題だ。

流石にクジラを食べる「蛮行」に対する感情問題は無視するとしても、多くのメディアはこの議論を政治的観点から行なっているように思う。これに対し、先週号のNatureとScienceに揃って、この問題をあくまでもクジラの絶滅を防ぐという科学的観点から捉え直した冷静なコメントが載っていたので紹介することにした。

まずScienseの方だが、私も現役時代何度も話す機会があったScienceアジアのコレスポンデンス、Nomileさんが書いている。タイトルは「Japan’s exit from whaling group may benefit whales (日本の捕鯨グループからの脱退はクジラにとっては良いことだ)」だ。

Nomileさんのポイントは以下のようにまとめられるだろう。

1)2000年以降の日本で消費される大半は調査捕鯨から得られたクジラで、今回調査捕鯨が中止になることで、捕獲されるクジラの数は半減することが予想される。さらに、日本は現在のレベル以上にクジラを捕獲しないことを表明しており、IWC脱退でさらにクジラが減るというのは根拠がない。

2)クジラの頭数が回復したという証拠が増えてきている。一方、これとは無関係にIWCでの議論がクジラを殺すことが残酷だという倫理問題に移行していた(実際の沿岸捕鯨はほとんど網で捕獲している)。

3)日本が脱退することで、IWCの食用を巡る議論から、例えば船との衝突、漁網による障害など、これまでないがしろにされていた重要問題を議論することができる。

要するに、クジラの保護に関する科学という観点から、日本の脱退に目クジラを立てるほどのことはないと、ヒステリックで政治的な対応を暗に批判する記事になっている。

Natureのほうは、編集室からの意見として示されており、タイトルは「Save the whales, again (もう一度クジラを救おう)」だ。ただ論旨はNomile さんとほぼ同じで、一番問題にしているのが、IWCの議論が、科学者の議論から、政治的議論に変わっていた点だ。その意味で、日本の脱退は間違いなく国際協調という点から後退を意味するが、IWCが本来の姿に戻るためのいいきっかけになることを強調している。その上で、実際毎年30万頭のクジラ、イルカ、シャチが、船との衝突や漁網による障害で殺されていることを明確な数字をあげて示し、日本と終わりのない政治議論を続けるより、このような新たな問題に取り組むことのほうがクジラの保護に寄与することを強調している。

いずれも科学誌ならではの論調で、捕鯨を道徳や文化の問題にせず、あくまでも生物多様性の維持という科学的問題として議論することの重要性を強調している。科学とは何かを考えるとき、合理的反証が可能かどうかが科学的かどうかを決める条件になるとするカール・ポパーの考えに私も全面的に賛成だ。そう考えると、社会問題も含め何事も、合理的結論を得るためには科学が必要であることを明確に示した、科学雑誌ならではの重要なコメンタリーだったと思う。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月13日新しいサイトカインをデザインする(1月9日号Nature掲載論文)

2019年1月13日
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今年は私の都合で講義ができなくなってしまったが、京大皮膚科の椛島さんの厚意で、皮膚科の授業として「皮膚科で習えない皮膚の話」と題して、皮膚にまつわる進化の話をさせてもらっている。この時最初に話すのが、2014年に発表された象ザメのゲノムの話だ(Nature 513:574, 2014)。読んだことのある人なら間違いなく驚いたと思うが、免疫学的に最も原始的なサメでは、私たちがCD4T細胞の機能を支える分子として理解している分子群がCD4をはじめとしてほとんど存在しない。その中には、最初の頃にわが国で遺伝子クローニングされたIL2, IL4,IL5もふくまれており、またTregの転写因子FoxP3やリンパ節誘導に関わるinducer cell の転写因子RORγも存在しない。すなわち、これらは免疫系が複雑化するとともに後から生まれてきたことになる。ではこのサメでのT細胞の基本形は何かというと、CD8T細胞で、インターリューキンで重要なのはIL15とIL7だけだ。すなわち、長いCD4T細胞研究の成果が、写真のネガのように象ザメゲノムから抜けている。

前置きが長くなったが、今日紹介するワシントン大学からの論文は進化とは無関係の構造有機化学の話だが、もう一度進化を逆回しするという話に思えたので紹介することにした。タイトルは「De novo design of potent and selective mimics of IL-2 and IL-15 (IL2とIL15の作用を持つ疑似体を新たに設計する)だ。

この研究の目的は、IL2の持っている生物学的な不具合を直した新しいリガンドをコンピュータでデザインすることだ。IL2はT細胞を増殖させる強い活性があるのに、あまり臨床で使えないのは、その原因がよくわからないさまざまな副作用が出るからだが、最近の研究から、CD25がないマウスではこのような副作用が減ることが知られていた。そこで、IL2でCD25に結合しない分子を設計しようと試みている。IL2もCD25も象ザメに無いので、一種の進化の逆戻りを試みているようにわたしには見えた。

IL2受容体はα(CD25)とβ、γの3分子が集まってできているが、IL2とこれら受容体との結合の構造的解析を行い、βγに結合する4本のヘリックスをスタートに、ここはよく理解できていないがコンピュータを使った分子設計を行い、最終的にβγに強い結合性を持ち、STAT5を強く活性化して、しかも比較的安定な100アミノ酸からなる人工リガンドを設計するのに成功した。こうしてできたリガンドは、ヒトIL2とは14%、マウスIL2とは24%しかホモロジーがない。

次にαβγとβγの受容体セットを持つ細胞でその活性を調べると、αを必要とするIL2とは異なり両方同じように刺激することができる。すなわち最初計画したようなリガンドが完成している。また、βγ受容体との結合を構造解析すると、CD25がなくてもIL2と同じように受容体と結合する。

最後に、ではIL2の持つ問題を新しいリガンドは解決できたのか調べている。結果は期待通りで、Tregの増殖はおさえて、CD8T細胞の増殖を強く誘導するリガンドができている。そして、マウスに注射して抗腫瘍効果を調べると、IL2よりはるかに強い効果が得られる。

以上が結果で、臨床でも実用可能なリガンドを設計できるコンピュータのシミュレーションソフトを完成させたという点が本当は一番重要な点かもしれない。

ただ、この研究では、IL15との比較がされていないのが少し不満だ。たしかに、IL15はそれだけではβγに弱くしか結合できないので、比較にならないのかもしれないが、象ザメには存在し、進化の逆回しと言う意味では、IL15との比較は面白いように思った。残念ながら、象ザメでIL15Rαまで詳しく調べていたかどうかわからないが、IL7もあるので、おそらくβγ受容体は存在するだろう。従ってひょっとしたらIL15の原型はβγを受容体に使っていたのかもしれない。もしそうなら、コンピュータで進化の逆回しができるのではと期待した。


カテゴリ:論文ウォッチ

1月12日 黒内症の遺伝子治療(Nature Medicineオンライン版掲載論文)

2019年1月12日
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NatureやScienceは一昨年、昨年の重要ニュースに脊髄性筋萎縮症のRNA薬が認可され効果を上げていることを取り上げた。これに続いて、新しい様々な遺伝子治療やRNA薬の開発についての話が論文として発表されるのではと、個人的に期待している。実際、MECP2重複症のように、マウスでは遺伝子治療の効果が明確になっている様な病気は多い。あとは、治療薬として開発する意図と、患者さんに広く利用できるコストをどう実現するかが問題になる。今日は、そんな期待を頭に置きながら、最近読む機会があった2編の論文を紹介したいと思う。

最初はペンシルバニア大学眼科を中心とするグループがNature Medicineに発表した先天性黒内症の遺伝子治療の報告でNature Medicineオンライン版に掲載予定だ。タイトルは「Effect of an intravitreal antisense oligonucleotide on vision in Leber congenital amaurosis due to a photoreceptor cilium defect (硝子体内へのアンチセンス・オリゴヌクレオチド注入の、視細胞のシリアの欠損によるLeber先天性黒内症の視力への影響)」だ。

Leber congenital amaurosは眼球振盪、瞳孔異常、そして重症の視力障害を伴う小児の遺伝的病気の総称で、現在では多くの原因遺伝子が特定されている。今日紹介する論文では、そのうちのcenter-Somalia protein290のイントロンの突然変異によりスプライシングがうまくいかず、視細胞でこのタンパク質の合成が阻害され、その結果視細胞の繊毛形成が障害され視力を失うケースを標的にしている。

このような強いスプライスドナーサイトの変異には、この部分を阻害するアンチセンスRNA を用いることで、正常のスプライシングが回復して病気を治療することができる。この治療は、したがって一回きりの治療で、定期的に遺伝子治療が必要になる。これまでの治験で、アンチセンスRNAの硝子体注射の効果を示す結果が出ており、この研究はこれをさらに十人の患者さんに拡大して効果を調べた第1相の治験だ。ともかく、効果をテストするため、視覚回復について詳細な検討がされているが、その詳細について深く理解するのは専門家でないと難しいだろう。もちろん私も専門家ではない。ただ、結果を見ると、一人の患者さんは自覚的にも他覚的にも著しい改善を見せ、光がみえるという段階から見ているものの輪郭がわかるほどになっている。この患者さんと比べると、残りの人の改善の程度は低いが、それでも様々な視覚を調べる指標が明確な改善を示すという結果だ。

面白いのは、RNAを注射してすぐにスプライシングが正常化しmRNAが生成されると考えられるが、実際の回復は3ヶ月後にようやくはっきりするという事実だ。なぜ一人の患者さんだけで著しい改善が見られたのか、あるいはこの回復までの時間経過の意味などな、今後さらに研究が必要だと思うが、眼科領域は遺伝子を局所に止めておけるという利点があり、遺伝子治療や核酸薬が最も利用される分野になる様な気がする。。

さて、遺伝子をデリバリーするためのキャリアーの研究も進んでいる。デリバリーというとすぐにリポソームなどが頭に浮かぶが、目的に合わせて本当に多様な開発が行われているということをうかがわせるのが今日紹介するマサチューセッツ工科大学からの論文で、核酸をネブライザーで肺の上皮に届かせる、肺の上皮特異的な遺伝子治療法の開発研究で、タイトルは「Inhaled Nanoformulated mRNA Polyplexes for Protein Production in Lung Epithelium(mRNAを吸入できる様にしたナノポリプレックスによる肺上皮でのタンパク質剛性)」だ。

ここでいうポリプレックスというのは、カチオン性のポリマーと核酸が複合体になった構造で、やはり核酸のデリバリーに用いられる手法で、すでに吸入による遺伝子治療の方法として開発が進んでいた。特に肺は嚢胞性線維症と呼ばれる遺伝子疾患を治す核酸薬の開発が進んでおり、これを吸入で肺上皮に届けたいと思うのは当然で、これまでも吸入用のカチオンポリプレックスが開発されていた。しかし、これまで開発されていたポリプレックスは長期間肺内に留まるため、さまざまな問題を引き起こすことが示唆されていた。この研究では、同じようなアミンの重合体だが、 生体内で分解されるポリプレックスを作ることに成功している。研究では、こうして完成させたポリプレックスがmRNAを肺上皮に導入し、タンパク質を合成できるか、ルシフェラーゼとCre組み換え酵素をマウス肺に導入する実験を行い、高い効率で肺の隅々までmRNAを細胞へ導入できることを示している。すなわち、安全で効率の高い吸入による遺伝子導入法が開発できたという結論だ。

しかし、元胸部内科医の直感でいうと、気管支拡張が進み、慢性感性が進むと、この治療は簡単でないように思う。すなわち感染により、吸入がうまくいかない可能性はある。したがって、遺伝子導入を感染が始まる前に行い、感染が起こるのを止めることが重要になるだろう。また、Cre組み換え酵素のmRNAを導入した実験をデータとして示しているが、この方がモデル動物の肺特異的遺伝子操作にも使えることを示したいのだと思う。臨床だけでなく、広く肺の研究に利用されていくように思う。

以上、遺伝子治療や核酸薬の開発が加速しており、一つでも多く遺伝子病が克服できることを祈っている。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月11日 ギャンブルする人間の脳(米国アカデミー紀要掲載予定論文)

2019年1月11日
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昨日はギャンブルするラットの脳の論文を紹介したが、今日紹介するのは、ギャンブル中にどのぐらい賭けようかなどと考えながら最終決断に至る時の人間の脳の活動を調べたジョンホプキンス大学からの論文で、タイトルは「Risk-taking bias in human decision-making is encoded via a right–left brain push–pull system (人間が決断する時のリスクの取り方の傾向は右脳と左脳の綱引きでコードされている)」だ。

人間の脳の活動記録は通常、MRIやPET、あるいはよりリアルタイムに記録したいときは脳波や脳磁図を使うのだが、この研究では昨日のラットと同じように、人間の脳にクラスター電極を留置して電気活動を長時間記録している。もちろん正常の人にこんなことはできない。てんかんの起こる場所を突き止めるために電極を留置された人を十人集め、コンピュータでカードゲームをやってもらってその時の神経細胞の興奮を調べている。もう少しわかりやすくいうと、賭け方のパターンを分析し、掛け方を強気弱気に分類し、それぞれに対する行動学的パラメータを定義した上で、それぞれと相関する脳活動を探している。

カードゲーム自体は簡単だ。自分に配られたカードの数を見て、コンピュータに配られた方の数より多いかどうか判断し、その判断に基づいて掛け金を決める。その後伏せられていた方はカードが開くと、勝てば実際にドルがもらえるようにしている。本当のお金がもらえるため、十分ギャンブルとしての雰囲気はあるゲームになっている。

さて、このゲームで賭ける時、最も着実なやり方は、カードの数が2、4のように低いときは、最低限の掛け金、8のように高いときは強気に出ればいい。ただ、ちょうど真ん中の6が出たときは、掛け金を増やそうかどうか迷うことになる。

実際、ほとんどの人はだいたい上に述べたような堅実な賭け方をするのだが、結構低い数字を引いているのに、強気で賭けたがる人もいる。また、堅実な人でも、6が来た時は、強気に出るか、弱気になるか迷うし、結果もまちまちだ。同じ人でもその時々で掛け金が変わる。、さらに、決断するのにも時間がかかる。

最後に、この様な行動学的解析から特定した強気、弱気のパラメータと相関する脳の活動をさがし、昨日ラットで紹介した辺縁系もl含む前頭葉の皮質に設置した電極で記録できる膨大な活動から、γ波として知られる高いサイクルの波長の中に、掛け方のパラメータと相関が見られる活動を発見する。そして何より驚くのは、強気のパラメータと相関して活動が高まるγ波は右側の前頭葉に選択的に現れ、逆に弱気のパラメータと相関するγ波の上昇は左側の脳で見られるという結果だ。この傾向は、一人を除いてすべてで観察されることから、一般的な現象と言っていいだろう。あたかも、強気と弱気を代表して右脳と左脳が綱引きをして最終的に掛け方を決めていることになる。

なぜこの様な結果が記録されるのかについては、全く理由がわからない。しかし、直感的に面白いし、今後脳障害とギャンブル依存症などの研究を通して、この可能性が研究されていく様に思う。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月10日 ギャンブルするラットの脳(1月2日号Neuron掲載論文)

2019年1月10日
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現役時代は神経科学が苦手な方だったので、引退してからは脳神経科学の論文を無理してでも読んで、苦手ができないようにしている。ただ、Optgeneticsなど新しい方法にはついていけるが、多くの神経細胞の記録を、様々なモデリングで検証したりする数理的方法にはなかなか馴染めないでいる。巷では猫も杓子もAIの話をするが、論文を読んでいると脳科学では、ずっと昔からAIと同じ手法が個々の神経活動と行動の相関(correlates)を調べる方法として定着している。神経科学の苦手意識をなんとか克服すると(間違っていることも多いと思うが)、神経科学には面白い話が溢れている。先週、ギャンブルに関する論文を2報も見つけたので、今日・明日と、両方紹介してしまうことにする。

今日はラットを使ってギャンブルをするときの脳を研究したウィーン医科大学からの論文で、1月2日号のNeuronに掲載された。タイトルは「Activity of prefrontal neurons predict future choices during gambling(ギャンブル中の次の選択と相関する前頭前皮質神経活動)」だ。

この研究のハイライトは、ラットにギャンブルをやらせることに成功したことに尽きる。実際には、分岐部でリスクをとるか、安全を取るかの決断をさせるY字型の迷路でギャンブルの経路と、安全な経路を覚えさせる。リスクをとる必要がある経路では、褒美を4個もらえるが、その確率が変化するようになっており、その確率はギャンブルをしながら理解するようになっている。一方、リスクを取らない経路では、確実に褒美が一個もらえる。普通に考えれば、ラットは迷路の性質を理解した時点で、確実に褒美にあずかれる安全経路を取るように思うのだが、ギャンブル経路で何が起こるか訓練されると、リスクをとることがわかった。しかも、ギャンブル経路で褒美が出てくる確率が高い時ほど、多くリスクをとることもわかった。

あとは、このリスクをとるという決断と相関する神経活動を特定することになるが、この研究では報奨に関わるpre-limbic cortexに焦点を絞ってクラスター電極を設置し、1000ヶ所で神経活動を記録している。

Prelimbic神経は、リスクを取っているかどうか(どちらの経路を選んだか)に反応する集団、褒美の数に対して反応する集団、それぞれの相互作用に関わる集団などに分類できる。そして、かなりの数の神経が、何も褒美が得られなかった時に強く活動することがわかった。すなわち、ネガティブな結果に反応する。

次に記録した活動の中から、リスクを取るかどうかの決断と相関する神経活動を探すと、その前の結果(失敗の結果)を受けて、次にリスクをとってギャンブル経路を選ぶかどうかの決断と相関する神経集団が存在することを見出している。

その上で、pre-limbic皮質の活動をoptogeneticsで抑えると、ギャンブルする回数が増えることがわかった。すなわち、直前の結果を色々考えて、その上で決断した時に活動する神経細胞がprelimbic皮質に存在しており、これが侵されると、ギャンブル好きになるという結果だ。

話はこれだけで、残念ながら背景にある神経回路や分子メカニズムには全く踏み込んではいない。それでもラットがギャンブルをする系ができただけで十分面白いとレフリーも納得したのだろう。明日は、ギャンブルする人間の脳についての論文を紹介する。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月9日 複雑なクロマチン3次元構造は複製時にどう再構成されるのか?(2月7日号Cell掲載予定論文)

2019年1月9日
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転写や複製の基本的な仕組みについては、直接関わっていないと研究者でも意外とフォローしていない。私も現役の時はそうだった。ただ、現役をやめて広く論文を読むようになって、一番驚いたのは、核内で染色体が正確に折りたたまれ、また特異的な場所に納められていることで、TAD(topologically associating domain)の話として何度も紹介してきた。キーワードはHiCと呼ばれる立体構造の中で隣接する領域を特定する技術と、これを調節するCTCFなどの分子だが、私が現役の時代は読もうともしなかった分野だ。その意味で、今年も基礎の基礎と思われる領域も積極的に紹介していきたいと思っている。

今日紹介するのは、複製と染色体立体構造の両方の問題を扱ったフロリダ州立大学からの論文で、2月7日に発行予定のCellに掲載されている。タイトルは「Identifying cis Elements for Spatiotemporal Control of Mammalian DNA Replication(DNA複製の空間的時間的調節に関わるシス領域を特定する)」だ。

この研究の目的は、複製と核内の染色体の構造との関係を明らかにすることだが、そのために3次元構造とCTCFの結合が詳しく分かっている第16染色体の中央部にある領域に焦点を当てている。この領域には、ES細胞など未分化細胞の増殖に関わる重要な遺伝子が4種類も存在している。この領域は中央部に複製が早く始まるピークが存在し、そこから両サイドに複製のタイミングが徐々に遅れる構造になっている。

領域内の様々な部分を欠損させてこの複製タイミングのパターンが変化するか調べると、CTCF結合サイトを除去してもほとんどパターンは変わらないが、欠損すると複製のタイミングが早い領域が消えてしまう、著者らがEarly Replication Control Element(ERCE)と呼ぶ領域が、対象に選んだ領域内に3箇所特定された。そして、これらERCEが欠損すると、複製タイミングが遅くなり、TAD構造がはっきりしなくなり、そのゲノム領域が核内で転写が活性化されているAコンパートメントから、転写が抑制されるBコンパートメントにシフトすることが明らかになった。すなわち、複製タイミングを調節している領域は、その領域の核内でのトポロジーと場所決めに重要な領域であることがわかる。

またこのゲノム領域がAからBコンパートメントに移る結果、転写が強く抑制されるようになる。

最後に、ES細胞で同じようなERCEがゲノム全体にどのように分布しているのかについて、HiCのパターンや、転写の状態などから検索し、最終的に1835箇所のERCEを特定し、一部については同じような欠損実験を行い、 複製のタイミングを調節していることを確認している。

以上の結果から、今回特定されたERCEは複製のタイミングを調節するというより、TAD構造を維持し、染色体を転写が活性化されているAコンパートメントに局在させるのに重要な役割を持っており、核内のAコンパートメントの中で、隣接しあってネットワークを作っている。この結果ERCEが失われると、その領域が抑制的なBコンパートメントに押し込められ、結果転写だけでなく、複製のタイミングが二次的に影響されると結論している。要するに、CTCF結合部分だけでなく、染色体の核内での位置決めに関わるシス領域が見つかったという話になる。残念ながら、複製のタイミングを変化させる分子メカニズムについては、今回示しておらず、今後の課題と言える。しかし、CTCF以外に新しい染色体の活性化に関わるシス領域が発見されたことで、すぐに分子メカニズムも明らかにされると予想できる。しかし、この領域は頭の中でついていくのがますます難しくなっているのを実感する。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月8日:中高年の健康に対するサプリの効果(1月3日号The New England Journal of Medicine掲載論文)

2019年1月8日
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わが国のテレビや新聞にはさまざまな健康食品やサプリの宣伝が溢れている。この購買層として標的になっているのはほとんど中高年だが、この層に本当にそんなサプリが効果があるという証拠があるのか、いつも気になる。こんな気持ちから、効果が当たり前と思われているサプリや健康食品の成分について疫学的に調べた論文はできる限り紹介しようと考えている。時に、同じ成分を販売している企業にとっては邪魔な記事を書くことになる。事実、記事に対して脅迫めいたメールを送りつけられたことがある。もちろん企業自体がそんなバカなことをすることはない。もともと論文を紹介しているだけだから、論文には反論論文を書くしかない。しかし不思議なことに、企業の気持ちを汲む学会やメディアが存在して、メールを送りつけたり、反論記事を書く。こんな経験をしたためか、逆に今後も科学的にサプリや健康食品の科学的検討を行った論文は是非とも紹介したいと、天邪鬼精神に火がついている。

今回紹介するのは、わが国でも多くの企業が販売しているサプリの典型のオメガ脂肪酸とビタミンDの中高年のガンや心臓病予防効果に関するハーバード大学からの研究で1月3日号のThe New England Journal of Medicineに掲載されている。2報に分かれているが同じ対象についての治験研究で、「Marine n−3 Fatty Acids and Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer (海洋の n-3脂肪酸と心血管疾患とガンの予防効果)」と「Vitamin D Supplements and Prevention of Cancer and Cardiovascular Disease(ビタミンDサプリメントの心血管疾患とガンの予防効果)」だ。

研究はオメガ脂肪酸とビタミンD の中高年の健康への影響をみるシンプルな研究だが、大規模な無作為化二重盲検治験だ。40000人近くの中高年をリクルートし、最終的にその中から条件を満たす2万5千人を無作為化し、オメガ脂肪酸(EPA+DHA合剤)群と、偽薬群にわけ、約5年フォローしてガン、心血管疾患、そして死亡者の発生を調べている。また、同じ対象を全く同じようにビタミンD投与群と、偽薬群にわけているので、実際には、オメガ脂肪酸とビタミンD両方、それぞれどちらか、あるいは偽薬のみの4群に分かれていることになる。従って、4群別々に検討することが必要なのだが、結果が飲んでも飲まなくても、どちらもガンの予防、心血管疾患の予防、そして死亡数に全く影響なかったため、それぞれの効果を調べる以上の解析は行っていない。

すなわち結論を繰り返すと、両方のサプリとも、中高年の2大疾患を防ぐという意味ではあまり効果が得られないという結果になる。

ただこの結果は、オメガ脂肪酸やビタミンDの一般的重要性を否定しているのではない。これらが脳の発達に重要な役割を演じていることは、多くの科学的研究により証明されている。しかし、これは胎児期や発達期の話で、中高年のガンの発生予防や心血管疾患予防効果をうたうには調査が必要だった。この課題に対し世界トップクラスの代表ハーバード大学医学部が、サプリの治験のようなあまり人のやりたがらない問題にコミットし、やり遂げたことには頭が下がる。中高年を対象にサプリメントとしてこれらを販売している企業にとっては残念な、ネガティブな結果に終わったが、ネガティブ結果であってもNEJMは重要な研究として掲載を決めた。

毒でなく本人が満足しているなら、わざわざ検証しなくてもという考えもあるだろう。また医療用医薬品と比べれば目くじら立てるほどの価格でははないという声も聞こえてくる。しかしそんな声を意に介さず、わかっていないことはあくまで追求するという医学者魂を感じさせる論文だった。すでに、高齢になってからの低用量アスピリンに効果がないという治験結果が同じNEJMに昨年発表された。今年も同じような治験論文が発表されると期待しており、積極的に紹介したいと考えている。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月7日 膵臓ベータ細胞の数を増やす(3月5日掲載予定Cell Metabolism掲載論文)

2019年1月7日
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私たちのNPOの一つの目標は患者さん団体の活動を、専門知識を通して助けることで、当然の帰結として患者さんへの応用が近いと思われるような論文は見つければ優先的に紹介しようと、いつも目を凝らしている。昨年最も感銘を受けたのが、慢性脊髄損傷患者さんをプログラムできる硬膜外刺激システムとリハビリで自立歩行を可能にしたメイヨークリニックや、ローザンヌEPFLの臨床実験だった。折も折、わが国では岡野さんのiPS由来神経幹細胞による急性脊損の治療が大きく報道されていたが、紹介記事の中で各メディアが枕詞のように「治療法のない脊髄損傷」と述べているのを聞くと、我が国の大手メディアが自ら知識を積み重ねる能力を完全に喪失していることがよくわかった。その意味で、これからも、治療につながる最新の研究を紹介したいと思っている。

そんな中でも、I型糖尿病は多くの治験が現在でも進みつつある、もっとも期待が持てる分野だと思っている。昨年の暮れ、熊本で開催されたIDDMネットワーク子ども会議に参加した時、子供達の生の声を改めて聴くことができたが、早くインシュリン・ポーチを持って学校に行かなくてもいいようお手伝いができればと思った。

今日紹介するニューヨーク・マウント・サイナイ医科大学からの論文は、ヒトの膵島を増殖させる方法の開発で、かなり有望だと思うとともに、この分野のフォローができていなかったなと反省した。タイトルは「Combined Inhibition of DYRK1A, SMAD, and Trithorax Pathways Synergizes to Induce Robust Replication in Adult Human Beta Cells (DYRK1A, SMADそしてTrithorax経路の抑制が組み合わさるとヒトβ細胞の強い増殖が誘導される)」で、3月5日に発行予定のCell Metablismに掲載された。

全くフォローできていなかったが、β細胞の増殖に関しては最近大きな進展があったようで、すなわちDYRK1Aと呼ばれるリン酸化酵素を抑制することでβ細胞を試験管内、体内の両方で少しではあるが増殖させられることがわかっていた。この研究では、このDYRK1A阻害の効果がTGFβに関連するシグナルを阻害することでさらに高められるのではと着想し、先ず死体から得られた膵島にDYRK1A阻害剤(DYI)とTGFβシグナル阻害剤(TGI)を組み合わせて加えることで、ベータ細胞の増殖がDYIだけよりさらに高まることを発見する。同じ結果は、この2種類のシグナルに対する現在得られるどの阻害剤を用いても再現でき、またES細胞由来のベータ細胞を用いても再現できることも確かめている。

次にメカニズムについて検討し、この阻害剤の組み合わせにより細胞周期を抑制するCDKN2B, CDKN1A, CDKN1Cが抑えられ、その結果細胞周期が回ることを発見する。また、TGFβシグナルの下流の転写因子SMADは染色体を活性型にするTrithorax複合体をこれら分子の上流にリクルートしており、このシグナルが阻害されることで、細胞周期抑制分子の転写が抑制され、その結果β細胞が増殖することを示している。

そして最後に、マウスモデル、および糖尿病マウスにヒト膵島を移植した実験系で、生体内でも同じ処理により膵島のベータ細胞数が増殖することを示している。

結果は以上で、ベータ細胞を増殖させるという点から見るとかなり有望な方法が開発されたと思える。ただ、1型糖尿病のβ細胞の場合、常に免疫反応による炎症やERストレスにさらされているため、両方の阻害剤をそのまま体内に投与すると言うのは、阻害剤の副作用、そして増殖させてもすぐに免疫系のアタックを受けるため、薬剤の効果が得られないという問題があるだろう。しかし、膵島移植のため採取した細胞数を試験管内で増やしてから移植する治療法のためにはかなり有望ではないかと思う。膵島移植については、他にも明るい話題が多い。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月6日 メラノーマに対する免疫反応の場(Natureオンライン掲載論文)

2019年1月6日
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今年もがん免疫は、トップジャーナルの中のかなりのシェアを占めるようになるのではないだろうか。注目するというより、否応無しに目に飛び込んでくる。ただ、チェックポイントの話で終始する我が国のメディアからは決した触れることができないほど、多様な論文が発表され、この分野の力を感じさせる。この中には、現在のトレンドから見ると古い素朴な研究で、あまりトレンディーに見えないがそこが新鮮な論文もある。そんな例が今日紹介するオーストラリアのメルボルン大学からNatureに発表された皮内でのがん免疫反応を調べた研究だ。タイトルは「Tissue-resident memory CD8 + T cells promote melanoma–immune equilibrium in skin(組織内に常在するCD8陽性T細胞がメラノーマとの皮内でのメラノーマとの並行関係を強める)」だ。

次に、この免疫反応に関わるT 細胞について検討し、組織内に常在するメモリーキラーT細胞が誘導され、顔の周りに集まっていることを明らかにする。そして皮内を観察できるビデオを用いて、この細胞が皮内を動き回ってガンの存在をサーベイし、ガンを抑えていることを発見する。

この研究のきっかけは極めて素朴だ。メラノーマは皮内で発生し増殖するので、ガンを移植するとき注射しやすい皮下組織ではなく、皮膚の層の中に皮内注射してみたらどうだろうと着想し、皮内注射された場合はガンに対して強い免疫が誘導され、がんの増殖が抑えられることを発見する。しかも、メラノーマは完全に除去されるのではなく、増殖しないまま、5ヶ月以上皮内に止まっていることが明らかになった。

最後に、この細胞だけが癌をサーベイし、がんの発生を抑えてくれる細胞か確かめるため、少し凝った実験系を用いている。まず、ウイルス抗原で免疫し、同じウイルス抗原を持ったガンを移植して前以て誘導したT細胞の効果を調べる実験系で、全身を循環しているキラーT細胞を抗体で除去し、組織に常在するT細胞だけでガンに対する免疫反応が起こるか調べ、全身を循環するT細胞がなくても組織に常在するT細胞があればガンの増殖を抑制できることを示している。加えて、この反応にTnfαやインターフェロンが関わることも示しているが、データ自体は完全でないように思った。

以上、そのメカニズムはともかく、皮内に抗原特異的記憶細胞が存在し、それが皮膚の中をサーベイして、キラー活性を含むさまざまなメカニズムでガンを殺しているが、ガン自体も完全に除去されるわけではなく、増殖はしないがじっと皮内で免疫の低下を待っているといったシナリオを提案し、ガンの局所についてもっと調べる必要があることを示唆した論文だと思う。

ちょっとタイムスリップしたのではと思うほど、結構クラシカルなガン免疫研究で、基本的には、ガン細胞を皮内に移植したという素朴さがこの研究の最大の売りではないかと思う。このように、ガン免疫研究は極めて多様になり、活性化している。これからも、さまざまな領域の研究を紹介したい。

カテゴリ:論文ウォッチ

1月5日:生命以前のRNAワールドを合成する(12月26日号米国アカデミー紀要掲載論文)

2019年1月5日
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現役を退いた後、最も時間を割いたことが、生命の存在しなかった38億年前の地球で生命誕生に必要な分子がどのように作られているのかについて、自分なりに理解することだった。1年近く、文献を読み漁った結果、自分でも十分納得できるシナリオが存在し、少しづつ実験的証拠が積み重なっているということがよく分かった。もちろん一つのシナリオが間違いなく地球上で起こったということは証明できないが、それでも無生物から生物というabiogenesisが十分自分でも想像可能な過程だということがわかった。この分野については学生さんもなかなか系統的に習っていないようなので、今では機会があれば講義もしている。そんなわけで、abiogenesisは個人的に特に注目する分野になっている。

今日紹介するのはAbiogenesis分野の大御所ハーバード大学Szostakの研究室からの論文で、酵素なしにRNA複製が起こる条件を探った研究で12月26日号の米国アカデミー紀要に掲載された。タイトルは「Inosine, but none of the 8-oxo-purines, is a plausible component of a primordial version of RNA (Inosineは原始的RNAの成分になる可能性があるが、8-oxo-purineが成分になる可能性はない)」だ。

RNAワールドが成立するためには、水の中で定常的にRNAが合成され、それがランダムに重合するだけではなく、出来たポリヌクレチドを鋳型に重合する必要がある。そのためには、どうしても水素結合でペアリングできる最低4種類のリボ核酸を合成することが必要になる。

このリボ核酸のabiogenesisについては2009年マンチェスター大学のサザーランドの研究室からこれまで考えられていた複雑な経路とは全く違うピリミジン合成経路が示され(Nature 459:239)、この経路を基本にプリンについても様々な合成経路が考えられるようになっている。その一つが8-oxo-purineで、ピリミジンと同じ中間体から合成でき、またピリミジンとペアリングできることが2017年に示された。

この研究では、この化合物を用いてRNA複製が可能かどうか調べた研究で、もちろん酵素を全く使わないでRNA複製を行わせる合成系にこの分子を(実際には重合しやすいように活性化したヌクレオチドにして加えている)加えると、複製がほとんど進まず、さらにエラー率が極めて高いことを明らかにしている。すなわち、いかにabioticに合成できても、複製に使えなければRNAワールドは成立しない。

代わりにSzostakらが示したのはイノシンで、ピリミジン(アデニン)からdeaminationでabioticに合成することができ、同じ複製実験系でシチジンと正確にペアリングして複製できるという結果だ。

このように、一歩一歩可能性を積み上げるという分野で、まだまだマニアックな分野で、しかも基本的には有機化学で、全く苦手な分野だが、abiogenesisと思うだけでなんとか理解しようと今年も面白い論文が紹介できたらと期待している分野だ。


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