2月25日 プログラム作業への生成AIの浸透(2月19日号 Science 掲載論文)
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2月25日 プログラム作業への生成AIの浸透(2月19日号 Science 掲載論文)

2026年2月25日
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一般に生成AIが使える様になった後、患者さんの団体に利用を勧めた。あれから二年、おそらくうまく付き合っておられるのだろう、病気についての問い合わせは激減した。事実、最近日本で認可されることが発表されたFOP治療薬の最新状況について聞くと詳しい答えが返ってくる(https://chatgpt.com/share/699e28dc-6b50-8008-814e-840f955b4a35)。 2月19日のソホノスの認可からリジェレロンの薬剤への期待まで、私から見てもほぼ完璧な答えが示されている。生成AIにより8割のコンサルタント業が消失するといわれているのは肯ける。

今日紹介するオーストラリア Complexity Science Hub 研究所からの論文は、生成AIにより既に影響が出ているプログラム作業への生成AIの浸透を調べた研究で、2月19日号 Science に掲載された。タイトルは「Who is using AI to code? Global diffusion and impact of generative AI(だれがAIをプログラムに使っているか?生成AIの世界的浸透とインパクト)」だ。

現在半分以上のプログラマーに利用されているのがPythonだが、この研究では生成AIが使われたプログラムをAIに学習させることで、プログラム中のAIが使われた箇所を特定するシステムを開発している。多くのジャーナルで生成AIを使った文章をチェックするのと同じような物と考えればいい。このAIを利用して、GitHub に登録しているユーザーからランダムに2000人/year(トータルで6000人)のプログラム開発者を選び、GitHub にデポジットしたプログラムが生成AIをどのように使っているのかを分析、プログラマーのプロフィルとともにそのデータを解析している。

これまで生成AIの浸透についての調査はほとんどアンケートなどのサーべーで行われているのに対し、この方法だとプログラム分野に限られるが実態を詳しく解析できる。ChatGPTが利用される時期からプログラムへの生成AIの利用は上昇し、現在では28%のプログラムは何らかの形で生成AIを使っている。

次に、このAIの浸透の広がりを米国、ドイツ、フランス、中国、ロシア、インドについて調べている。このような調査に日本が選ばれなくなっているのにがっかりするが、ChatGPTが利用されるようになってすぐには大きなリードを保っていた米国は、ドイツやフランスに急速に追い上げられている。次がインドで、驚くことに中国がかなり遅れている。ただ、これは中国のプログラマーがChatGPT等を自由に使えず、またオープンなGitHubへのデポジットをためらうからかもしれない。今はDeepSeekが使えることから、ほとんど差はないのではないだろうか。逆に我が国での現状も是非分析してみる価値はある。

次に、プログラマーの経験年数と生成AIの利用状況を見ると、経験の浅いプログラマーほど生成AIを使う傾向がある。とは言え、経験を積んだプログラマーと経験の浅いプログラマーが利用した生成AIのプログラムへの寄与を調べると、全ての分野で経験を積んだプログラマーのプログラムへの貢献度が高いことがわかる。即ち、経験の高いプログラマーほどうまく生成AIを使いこなすことがわかる。生成AIを使う前と後で、経験者のプログラムを調べると、それまであまり使っていなかったPythonライブラリーも比較的自由に使ったプログラムを書くようになっていることがわかる。

結果は以上で、生成AIについて様々なことを教えてくれる優れた論文だと思う。すなわち、生成AIを使うための専門知識が必要で、その上に生成AIは新たな専門を積み重ねてくれるということがよくわかる。おそらく医学についても同じで、患者さんの団体もある程度の専門知識があることから、急速に生成AIを使える様になっていったのだと推察する。同じことは子供の教育にも言える。生成AIのおかげで、記憶を強要する必要はなくなったが、知識を得るための土台をどう作るのか、真剣に考えるところに来ていると思う。

カテゴリ:論文ウォッチ
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