6月18日 生理学に基づいて、びまん性正中グリオーマの新しい手術術式を開発する(6月10日 Nature オンライン掲載論文)
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6月18日 生理学に基づいて、びまん性正中グリオーマの新しい手術術式を開発する(6月10日 Nature オンライン掲載論文)

2026年6月18日
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びまん性正中グリオーマ (DMG) と言う病気は一般の方には全く馴染みがないと思うが、4歳をピークに思春期まで、児童を襲うグリオーマで、現在、選択肢として残っている手術も、腫瘍の進展がびまん性であることから、根治にはなり得ない。このようなホストの脳と一体となったびまん性の進展から、正常脳組織との密接な結合性の確立が DBM 進展の必須条件ではないかと考えられている。

今日紹介する英国ロンドン大学からの論文は、DMG が正常脳組織との結合性をベースに進展することを臨床的に調べた論文で、6月10日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「A prognostic human brain network for diffuse midline glioma(脳のネットワーク形成がびまん性正中グリオーマの予後を左右する)」

ホストの脳と一体化して神経ネットワークから様々な支持を得ることで DMG が進展していることを臨床的に示すため、安静時の機能的MRIによる脳領域の結合性解析を用いて腫瘍と神経的結合を持っている領域を特定することから始めている。すなわち、特徴的な結合性が進展を左右するのではないかと予想して、進展のはやさと結合性に差があるかに焦点を当てて調べている。

領域をリストするのはやめておくが、結果は視床や Pons に出来た DMG で、進展が早い悪性のグリオーマが示す脳領域の結合性には、結合性の強さ以外にはっきりとした特徴がないことがわかった。すなわち、どの腫瘍もほぼ同じような領域とネットワークを形成し、どこか特定の場所との結合性が腫瘍の進展を左右することはなかった。一方で、fMRI の同調性から計算される各領域との結合性の強さの平均値は、病気の進展と強く相関していた。即ち、正常脳領域との結合性が高いほど腫瘍の進展が早い。

様々な年齢の DMG の結合性と脳の代謝の発達を PET で調べることで、この結合性が脳の発達とともに形成されていること、そしてホストの脳との結合性が高い DMG では様々なシナプス形成に関わる分子が高発現しており、特にセロトニン受容体とムスカリン受容体を介する強い結合を神経組織と形成していることがわかった。

と言っても、これらは正常の脳でも機能しているために分子標的としては使うわけにはいかない。そこで、ほぼ同じ領域と DMG がネットワークを形成しているとは言え、その中に見られる結合性の違いを調べ、手術時に強く結合している部位との境をより多く切除するという手術方式を開発している。言ってみれば、各領域に張り巡らされた電線の数を調べて、多い場所をより多く切除するという術式だ。

結果は期待以上で、通常の術式では50%生存が11ヶ月なのに対し、新しい術式ではなんと42ヶ月と大幅な延長に成功している。

以上が結果で、生理学的、病理学的な研究から新しい手術の術式を開発できるという、本当に素晴らしい研究だと思う。

カテゴリ:論文ウォッチ
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