4月17日:老化による慢性炎症への腸内細菌の貢献(4月12日号Cell Host Microbe掲載論文)
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4月17日:老化による慢性炎症への腸内細菌の貢献(4月12日号Cell Host Microbe掲載論文)

2017年4月17日
    転写因子NFkBをハブにした炎症メカニズムは、実際には炎症だけでなく、というより炎症より前にシグナル依存的な形態形成のメカニズムとして発生してきている。おそらく使い勝手がいいので、外来の刺激への反応にもこのメカニズムが使いまわされたのだろう。その後新しい組織ができるときには常にこのシグナルが顔を出す。京大時代教室の重要テーマの一つだった骨髄、毛根、末梢リンパ組織は全てこの機構を使い回ししている。骨髄は両生類が陸に上がってから、毛根や末梢リンパ組織は哺乳類から発生する新しい組織で、すでにできている組織に何かを足すという形で進化したことを考えると、局所に入ってきた刺激に対する炎症のメカニズムはうってつけだ。
   これと並行して、加齢とともに起こってくる動脈硬化や糖尿病などもすべて炎症として捉えられるようになっている。症状がなくとも、高齢になると炎症の存在を示すサイトカインが上昇してくる。これは、様々なストレスが加わった結果と普通考えるが、最近この炎症も、腸内細菌の加齢変化によると考える人たちが出てきた。
   今日紹介するカナダ・マクマスター大学からの論文もその一つで4月12日号のCell Host Microbiome紙に掲載された。タイトルは「Age associated microbial dysbiosis promotes intestinal permeability, systemic inflammation and macrophage dysfunction(高齢に伴う細菌叢の失調により腸の透過性が上昇、全身炎症が高まり、マクロファージ機能異常が起こる)」だ。
   研究では、高齢(18ヶ月以降)のマウスのマクロファージの細菌貪食能が低下しており、これがマクロファージが慢性的に炎症のメディエーターTNFにさらされた結果であることを示している。
   次に、TNFやIL-6が高齢マウスで上昇している理由の一つが、腸内の細菌叢が生産される炎症刺激物質が腸上皮を通って循環に入るからではないかと、分子量3000程度の分子を用いて腸の透過性を調べ、確かに透過性が高まっていることを示している。
   この透過性が腸内細菌叢の変化によるなら、当然無菌マウスではこのような加齢変化は起こらないことになる。これを確かめるため、高齢無菌マウスを調べると、加齢変化が見られない。すなわち、腸内細菌叢が変化することで、加齢に伴う慢性炎症が起こっていることが確認される。
   この後、加齢が先か、細菌叢が先かという実験をいろいろ行っているが、細菌と相互作用する中で両方が変化してしまうというわかりにくい結論になっている。
   まとめると、何が細菌叢の変化を誘導するのかははっきりしないが、ホストと細菌叢が相互作用をする中で、細菌叢もホストの加齢に合わせて変化することで、腸の透過性が上がり、炎症物質が体内に入り、炎症が起こることになる。
   いずれにせよ、細菌叢への介入によりひょっとしたら炎症を抑えることができるかもしれない。実際、プロバイオでも、プレバイオでも高齢者に効果が高いことが報告されている。その意味で、IL-6やTNFは腸内細菌叢の変化を知るいいマーカーになるだろう。食品メーカーにとってはチャンスだ。しかしできれば、しっかりとした長期的テストで効果を確かめて効果がはっきりしたものだけ残るようにしてほしい。というのも、結局個人にとったら、効かなかったら後の祭りで、2度と確かめられない。
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4月16日:CRISPRは検査にも使える(Scienceオンライン版掲載論文)

2017年4月16日
    何度も強調してきたが、大きなイノベーションはあらゆる分野に広がる。CRISPR/Cas研究を見ればそのことがよくわかる。すなわち効率の良いゲノムやRNA編集が可能になれば、生命情報をいくらでも操作できるということで、DNA,RNA情報に依存する生物を思い通り操作できるということだ。もちろん、中間の過程は理解できているわけではないが、その有効性は情報生物学とも言える分子生物学によって証明済みだ。これは生命を操作するという目的だが、情報操作であれば、人間に情報を伝える方法の開発にも使える。
   今日紹介するハーバード大学のFeng Zhang(CRISPR特許をめぐる法廷闘争で現在話題の研究者だが、光遺伝学を始め様々な技術を開発するアイデアマンだと思う)研究室からの論文はこのシステムを高感度の微生物診断に使える可能性を示した論文で、Scienceオンライン版に掲載された。タイトルは「Nucleic acid detection with CRISPR-Cas13a/C2C2(CRISPR-Cas13a/C2C2を用いた遺伝子検査)」だ。
   CRISPR/Casは特異的な核酸を検出するための最強のシステムと言え、このおかげで細菌は外来の核酸から身を守っているが、特異的核酸を認識してから行う酵素反応はまちまちだ。全く知らなかったがZhangのグループはCas13aが特異的に核酸を認識した後、周りに存在する核酸をランダムに分解する活性があることを報告している。直感的に、この方法を用いれば将来特異的に細胞をアポトーシスで殺してしまったりすることができるのではなどと思ったが、Zhangらはまずこの方法を感染性の病原体の検出に応用できるのではと着想して開発を進めている。
   原理は簡単で、目的のRNAやDNAがあればそれにCAS13aが結合し、これにより核酸分解活性がオンになる。この分解活性を使って、同じ反応系に加えておいた蛍光プローブと結合させたRNAが切断されることで誘導される蛍光を指標に、標的遺伝子を検出する方法だ。
   実際には37度で可能な遺伝子増幅を利用して標的核酸を増幅する方法を組み合わせているが、アトモル(10のマイナス18乗)レベルの感度で、特異的な検出が可能になっている。
  後は現在最も問題になっているデングウイルスとジカウイルスの検出を試み、驚くことに20個という少ないウイルス粒子の検出に成功している。また、実際のヒトの血液や尿を用いて同じ方法が利用できることを示している。
   驚くのは、同じシステムを紙に染み込ませた検査スティックを開発できることまで示して、将来誰でも調べることができる、安価な方法の開発が可能であることを示している点で、Zhangら医学のニーズを的確に捉えていることがよくわかる。
  他にも検出の特異性の検定、血液型検査並の簡便な遺伝子型検査方の開発まで書いているが、詳細はいいだろう。Zhangが稀代のバイオテクノロジー開発者として今後も活躍することがよくわかった。
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4月15日ALSのもう一つの治療標的Ataxin2(Natureオンライン版掲載論文)

2017年4月15日
   4日前にC90RF72遺伝子の繰り返し配列の増幅変異によるALSを、ポリGPに対するアンチセンスRNAで治療する可能性を示す動物モデルを用いた前臨床実験を紹介したばかりだが、次の週のNatureにまた新たな治療標的 ataxin-2についてのスタンフォード大学の論文が発表されたので紹介する。タイトルは「Therapeutic reduction of ataxin-2 extends lifespan and reduces pathology in TDP-43 mice(TDP-43マウスモデルでataxin-2を治療的に低下させると病理変化を軽減し、生存期間が伸びる)」だ。これほど相次いで論文が出ると、紹介する方もうれしい悲鳴を上げることになる。
   ALSの治療標的を確かめるにはモデル動物が必要で、前回はC90RF72遺伝子内のGGGGCC繰り返し配列が何百倍にも増幅するタイプのALSモデルが用いられた。このタイプは原因遺伝子が明らかになっているALSのかなりの部分を占めているが、おそらく半分以上の患者さんには対応できない。同じようにALSモデルとしてSOD1と呼ばれる遺伝子の変異マウスが使われるが、この場合多くて5%程度の患者さんが対応できるだけだ。ただ、両モデルともアンチセンスRNAを用いて原因となる分子の発現を低下させると、生存期間が延長することが確認できている。
   従って、もっと多くの患者さんでの病気のメカニズムを突き止めて、治療標的を開発するための研究が進んでいる。今日紹介する論文では、TDP-43と呼ばれるRNA結合タンパクが、ほとんどのタイプのALSで細胞内のストレス顆粒に蓄積していることに着目して、この蓄積を抑える方法の開発にチャレンジしている。ただ、残念ながらTDP-43は細胞の生存に必須であるため、直接標的にすることは難しい。そこでこの研究では酵母とショウジョウバエで明らかになったTDP-43の蓄積にataxin-2が関わっているという発見をもとに、同じことをマウスのような高等動物で再現できるか調べている。
   研究ではまず正常ヒトTDP-43を脳細胞で過剰発現させたトランスジェニックマウスを用いて、ataxin-2ノックアウトと掛け合わせることで運動神経障害を抑制できるか調べている。これまでの研究でTDP-43を過剰発現させるだけでマウスは急速にALSを発症1ヶ月で死ぬことがわかっている。
   結果は予想通りで、ataxin-2遺伝子が完全欠損したマウスでは病気の発症は遅れ、生存期間も400日以上に伸びる。片方のataxin-2を欠損させるだけでも生存は40日程度に伸びる。すなわち、完全にataxin-2を欠損させ、早期に治療すれば病気の発症を抑制することが可能だ。
   次にヒト細胞を用いて試験管内でataxin-2の機能について調べ、ataxin-2がTDP-43ストレス顆粒と呼ばれる構造に連れてきて沈殿させることを確認し、ataxin-2に対するsiRNAでストレス顆粒の生成を抑えることを示している。また、ataxin-2遺伝子欠損マウスの脳内で、TMP-43がストレス顆粒に蓄積しないことを示している。
   これらの結果をもとに、TDP-43トランスジェニックマウスが病気を発症する直前に脳室内に一回だけアンチセンスRNAを投与する実験を行い、生存期間が平均で35%延長し、一部は120日以上生存することができることを示している。今後、もっと早い段階での治療や、繰り返し投与などさらに実験が行われることを期待する。
   このように、変異遺伝子を見つけて治療標的にしなくとも、タンパク質がストレス顆粒に蓄積するのを抑制することができれば、病気の進行を遅らせることができることを示した点でこの研究は重要だ。
   同じ号のNatureにユタ大学のグループがCAGリピートが増幅する脊髄小脳失調症の進行を同じataxin-2に対するアンチセンスRNAが有効であることが示されており、ALSのみならず他の神経変性疾患にも同じ戦略が利用できることを示す論文を発表している。まだ動物モデルの段階だが、かなり期待が持てる治療標的が見つかったと言える。
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4月14日:WGS遺伝学の時代がやってきた(4月13日号Nature掲載論文)

2017年4月14日
    大きな研究室に長くいて、そのまま教授になれるのは限られた人で、多くは慣れ親しんだ研究室を離れて独立する。こじんまりとした研究室であまりコネもなく研究していた私も、30代で幸い独立することができたが、お金のないこの時が一番大変だった。当時様々な遺伝的形質を示す突然変異マウスの遺伝子を決めるトレンドに乗って、現在鳥取大学の教授をしている林さんらが大理石病マウスの遺伝子を決め、これでお金もなんとか来るようになった。ただ苦労は多いが、今振り返ると独立したばかりの時代が最も楽しかったのも確かだ。その意味で、若い人が一人でも独立して挑戦できる環境を整えることが我が国の科学力を高める最も重要な課題だと思い、京大再生研やCDBの設立に関わった。
   独立して以降の発生学を考えると、最初突然変異マウスの遺伝子特定から始まった遺伝学的手法の導入は、その後遺伝子ノックアウトから始めるreverse geneticsに変わっていった。そして、CRISPR-Casの登場は、reverse geneticsが違うレベルに拡大する予感を抱かせる。
   しかし、いったん人間に目を移せば、これとは別にWhole Genome Sequencing(WGS)遺伝学が始まっていることがわかる。昨年暮れ「第二段階に入った個人ゲノム」というタイトルで、米国ヘルスサービス会社Geisingerが行った50000人規模のエクソーム研究を紹介し、1200程度の遺伝子で、機能欠損型の突然変異を両方の染色体持つホモ接合体を特定できるという驚くべき研究を紹介した。1200遺伝子に突然変異の入ったマウスを作成するのは、CRISPRを用いても大変なことだ。
   この確信をさらに拡大させたのが今日紹介するペンシルバニア大学とブロード研究所からの論文で4月13日号のNatureに掲載された。タイトルは「Human knockouts and phenotypic analysis in a cohort with a high rate of consanguineity(血族間結婚の高いコホート集団での遺伝子ノックアウトと形質の解析)」だ。
   責任著者の二人の名前をみると、おそらくパキスタン出身だろう。元々イスラム圏は血族を大事にするせいでいとこ結婚が多いが、パキスタンは全結婚の3割近くに達しているようだ。従って、機能欠損遺伝子が両方の染色体で揃う確率が圧倒的に高いと期待される。この研究では、パキスタンで始まったコホート研究の参加者約1万人のエクソーム解析を行い、変異の中で遺伝子機能が失われた突然変異を特定し、その変異を両方の染色体で持つ人(ホモ接合体)を特定、発見した幾つかの遺伝子について形質との関係を調べてて報告している。
   研究の鍵になるのは、突然変異が分子機能の欠損につながるかどうかを決めることだが、この研究ではコンピュータだけでなく、人海戦術でアノテーションを行って、ほぼ9割が間違いなく機能欠損突然変異であることを確認している。
   結果は期待通りで、1万人調べただけで1317の機能欠損変異をホモで持つ人が特定できている。前回紹介した5万人規模の研究を超えており、確かにパキスタンでは血族間結婚が多いことがわかるとともに、特定の遺伝子欠損による効果を調べるとき、パキスタンは格好の国であることがわかる。
   実際、今回新たに発見された幾つかの遺伝子欠損について深堀をしているが、その中のAPOC3と呼ばれる血中から脂肪を除去する機構のブレーキ役の分子が欠損していた一人の家族を呼んで調べると、妻も同じ変異のホモ接合で、従って九人の子供も全てAPOC3欠損であることがわかった。すなわち、この遺伝子の機能を調べるための十分な数のポピュレーションがパキスタンでは簡単に集まることがわかる。調べてみると、親も子供も全て血中の脂肪の除去効率が高まっている。
   他にも幾つかの遺伝子の機能について明らかにしているが、製薬企業が喉から手が出るほど欲しい耐糖能の異常や脂肪代謝などに関わる遺伝子とともに、チトクロームP4502F1をコードする遺伝子の欠損がIL-8の上昇を示すなど、面白そうな話が満載に見える。
   この研究ではGeisingerの結果とは比較していないが、これまでのエクソーム研究で明らかにできなかったホモ接合体の変異をなんと734種類も発見している。しかし最も重要なのは、家族を調べることで、ホモ接合体やヘテロ接合体を数多く得ることができるという点だ。おそらく多くの製薬企業が殺到しているのではないだろうか。
   長くなるのでこれ以上の紹介はやめるが、70億という人口を抱える人間のゲノム研究がいかに重要かを示す研究だと思う。これまでWGSは遺伝病の解析に用いられてきた。今後、明確な症状がない人でのWGS遺伝学が進むと、生活習慣病や精神疾患に関する理解が深まると期待される。この周りに、iPSやCRISPRと動物モデルなどが集まり、私の現役時代にはほとんど考えられなかった、動物から人まで一直線に繋がった遺伝学が始まっていることを実感する。
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4月13日Thymosinαは嚢胞性線維症の特効薬になるか?(Nature Medicineオンライン版掲載論文)

2017年4月13日
    嚢胞性線維症(CF)はCFTRと名付けられたクロライドチャンネルの突然変異により、上皮の粘液の分泌異常とともに、それに伴う慢性の炎症が起こる。一般的には呼吸器症状が中心だが、消化器の上皮にも異常が認められる。
   CFTR分子は巨大で、様々な場所の突然変異によりCFが起こるが、最も多い突然変異は508番目のフェニルアラニンが欠失するタイプだ。この突然変異は、分子自体の機能もある程度低下するが、タンパク質の折りたたみがうまくいかず、細胞膜への輸送が妨げられる。このことから、変異分子の機能をなんとか正常化させるIvacaftorという薬剤と、細胞膜への輸送を促進するlumacaftorという薬剤が現在治験中だ。
   今日紹介するイタリア・ペルージャ大学からの論文はこれまでのように直接CFTRを標的にするのではなく、Thymosinαと呼ばれる主に胸腺で作られる小さなペプチドで上皮細胞の炎症への抵抗性を与えることで、CFTRの細胞膜への輸送を高め、同時に炎症も沈めてしうことが可能であることを示す画期的な研究でNature Medicineオンライン版に掲載された。タイトルは「Thymosinα1 represents a potential potent single molecule-based therapy for cystic fibrosis(Thymosinα1は嚢胞性線維症の単一分子による強力な治療への可能性を持っている)」だ。
   この研究のハイライトは、ウイルス感染や、免疫不全、慢性呼吸器疾患に現在使われているThymosinα1が細胞内の様々な経路を変化させ、CFTR分子の輸送や機能にも良い影響を及ぼすのではないかと着想したことだ。
   この着想を確かめるため、CFの上皮細胞をThymosinα1で処理すると、上皮のTLR9シグナルを介してIDO1と呼ばれる炎症への抵抗性の鍵になる分子が誘導される。そして期待通り、IDO1が誘導されるとオートファジーが高まり、変異型CFTRの細胞膜への輸送が正常化することが明らかになった。細胞学的に調べると、Thymosinα1処理により確かに変異型CFTRの折りたたみが正常化するとともに、タンパクの再利用が進むことで、細胞膜への発現が高まることがわかった。この研究では、変異CFTRの細胞内でのプロセッシングについてさらに詳しく調べているが詳細は省いて良いだろう。重要なのは、モデルマウスでこの結果、上皮のクロライドチャンネルが正常化することだ。さらに、これまで開発された分子機能を高めるivacaftorとの協調作用も示されている。
   まとめると、Thymosinα1により上皮細胞の炎症への抵抗性が上昇することで、CFTRの輸送や再利用が高まり、遺伝子改変なしにも一定程度の治療が可能であることを示している。さらに、Thymosinα1はCFTR以外のクロライドチャンネルを誘導することで、臨床的にはCFTRの機能を高める以上の臨床的効果が期待できるという結果だ。Thymosinα1はすでにZadaxinという薬品として市販されている。もちろん、いくら体内で作られている薬剤だからといって長期間投与が可能かなど問題はあるが、気管内投与、気管内遺伝子投与、あるいは今回明らかになったThymosinα1により誘導される経路の分子を標的にした治療など、様々な可能性が新たに生まれたと思う。期待したい。
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4月12日:基礎と応用(4月7日 Science掲載論文)

2017年4月12日
基礎研究が技術開発につながることが認識され、国が物理や数学などの基礎科学に公的助成を行うようになったのはそう昔のことではない。どの本で読んだか記憶が定かではないが(おそらくHelga Nowotnyらの書いたRethinking Scienceだったと思うが)、19世紀の終わりに英国政府が基礎研究に対する助成を決めた時、科学者会議は「研究とは個人の興味で行うもので、国から金をもらう筋合いはない」と、拒否したらしい。もちろんこれは長く続かず、直接、間接に公的助成が得られないと、研究ができない現状になっている。
   ただ公的助成の主目的は、個人の興味を満足させることでなく、成果が技術に還元され国民が豊かになる(あるいは体制が維持される)ことに尽きる。この結果、特に最近「出口を示す」ことが助成の条件になっている。
  これは決して我が国だけではない。ケンブリッジの幹細胞研究所のアドバイザーを勤めていたが、英国でもMRCは出口を示すことを強く要求をしていた。とはいえ、どの研究が出口に繋がっているのか決めるのは難しく、結局特許の申請数などを指標にするため、役に立たない特許までともかく申請して、報告書に乗せるという由々しい状況になっている。
   今日紹介するハーバードビジネススクールからの論文は、NIHが助成した研究と特許の関係を調べたビッグデータアナリシスで4月7日号のScienceに掲載された。タイトルは「The applied value of public investments in biomedical research(医学・生命科学の公的投資の応用的価値)」だ。
   この研究では1980年から2007年にNIHが助成した研究について、1)研究から直接特許が生まれたか、あるいはFDAの承認を得た医療が開発されたか。2)特許やFDA承認のための申請書に論文が引用されているか、の2点について調べている。
   結果だが、NIH助成による研究の場合8.4%が直接成果として特許に繋がっている。少ないように思えるが、次に研究成果が企業が特許を申請する時に引用されているかを調べると実に31%がその特許に貢献している。FDA承認の医療の実現については、直接開発に繋がって研究は1%に満たないが、FDA承認の医療の申請書で引用された研究は5%に達している。すなわち、直接特許申請に至ったかだけで助成の効果を算出することは間違っており、長期的視野で見ればかなりの研究が技術の開発を後押ししていると結論している。
   次に、グラントの申請書のアブストラクトの内容を検索し、Medical Subject Headingにリストされているキーワードが使われた場合は応用を目指していると判断し、それ以外を基礎研究と分類して、引用のされ方で特許への貢献を調べている。
   結果は明確で、特許やFDA承認医療で引用されたかという視点でみると、基礎も応用研究もほとんど貢献度に差がない。さらに、無脊椎動物を用いた研究も、マウスやヒトを用いた研究と同じぐらい技術の開発に貢献している。
   結論としては、基礎か応用かを簡単に判断できないことになる。もし直接成果としてあげられた特許がどれほど役に立ったかについて調べることができれば、もっと面白い結果になったかもしれない。要するに、しっかりお金をかけて科学全体の活動を維持しないと、技術開発も難しいと言って良いだろう。
   個人の興味の満足に研究費が出せなくなった世の中では、おそらく若い研究者は育たないだろう。今の政治家や役人は忘れていると思うが、私の卒業したバブル期は、日本は基礎研究に金をかけずに先進国の成果にただ乗りしているという「ただ乗り論」が叫ばれ、基礎研究への助成を増やせというのが政治家からも叫ばれていた。一方今の政治をみると、政府が役人に「記録はすべて破棄しました」と平気で語らせて恥じないことからわかるように、過去を忘れることで成立しているように思う。しかし、大学法人化も含め、もう一度過去の過程をしっかり思い出すことが日本の科学技術行政にとって重要ではないだろうか。
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4月11日:C9ORF72遺伝子変異によるALS治療のための分子マーカー(3月29日号Science Translational Medicine掲載論文)

2017年4月11日
    運動神経が進行性に失われるALSは現在もなお治療法がない難病だが、一部の患者さんに病気の引き金になる遺伝子変異が見つかってきたおかげで、特殊なケースについては少しづつ治療戦略を構想することができるようになってきた。中でも最も期待されているのがC9ORF72遺伝子内のGGGGCCが繰り返す配列が、正常では30回以下で止まっているのに、何百、何千にも増えることで発症するALSだ。これは家族性に遺伝することもあるし、また遺伝性の認められない個発性のALSでも見られる変異で、順天堂大学の富山さんの論文によると、家族性ALSの21−57%、個発性の3−21%に達する。従って、早期診断と治療法が発見されると、かなりの数のALSの患者さんを救うことができる。
   今日紹介する米国メイヨークリニックを中心とするグループからの論文はこのタイプのALSの早期診断と遺伝子治療モニターのための分子マーカー開発についての共同研究で3月29日号のScience Translational Researchに掲載された。タイトルは「Poly(GP) proteins are useful pharmacodynamic marker for C90RF72-associated amyotrophic lateral scleraosis (ポリGPタンパク質はC9ORF72の関わるALSの薬理的分子マーカーとして有用)」だ。
   GGGGCCの繰り返し配列が何百何千もC9ORF72遺伝子に存在すると、小胞体輸送に関わると考えられているC9ORF72分子の機能が失われるとともに、異所的な翻訳開始点からグリシン・プロリン、アルギニン・グリシン、あるいはグリシン・アラニンの配列が繰り返すだけのタンパク質が合成される。このポリペプチドが、C9ORF72遺伝子から転写された長いRNAを核として集まることで、細胞内にペプチドが沈殿し、細胞を障害することが示唆されている。したがって、早期に診断してこのポリペプチドの合成を止めることで、発症や進行を抑制できる可能性がでてきた。
   この研究では、可能性のある3種類のポリペプチドのうち、患者さんの脳脊髄液中に存在するグリシン、プロリンが繰り返すポリペプチドが、患者さんを発病前から発見し、モニターする分子マーカーとして利用できることをまず示している。病気や、症状のタイプとは強い相関はないが、発病した患者さんでは安定的に上昇が見られるため、病気が進行していることをモニターするためにはうってつけの検査になる。
   次に細胞株や患者さん由来のiPSから作成した神経細胞を標的に、アンチセンスRNA処理を行うと、ポリGPが減少する。すなわち、アンチセンス治療の効果のモニターに使える可能性がある。最後に、マウスモデルで1回アンチセンスRNAを脳内に注射すると、脳脊髄液中のポリGPが減少し、脳内のタンパク沈殿が減少することを示している。
   この結果は、前臨床動物モデルで、病気を早期発見し、タンパク質の沈殿を防ぐことができ、その結果をポリGPでモニターできることを明らかにした。患者さんにとってはまだまだもどかしいとは思うが、少しずつ治療の光も見えてきた気がする。
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4月10日:メチル基供給を目的としたサプリの胎児への影響(Molecular Psychiatry オンライン版掲載論文)

2017年4月10日
   現役時代DNAメチル化の重要性を教えるための教材として、低濃度のダイオキシンにさらされた妊娠マウスから生まれた子供は、DNAメチル化による遺伝子抑制が外れて毛色が変化すること、この変化をメチルドナーと呼ばれるDNAメチル化反応の経路にメチル基を提供する餌を食べさせると予防することができるという論文を用いていた。
   妊娠中の食べ物は胎児ゲノムのメチル化パターンを変化させるこのような例は続々見つかってきており、妊娠中に葉酸やビタミンB12などのメチルドナーの摂取を進めている機関も存在する。しかしなんであれ「過ぎたるは及ばざるが如し」で、葉酸の取りすぎは発生異常や、子供のアトピーを増加させるという報告がある、従って妊婦さんには「なるべくサプリメントを用いず、バランスの良い食事でしっかり栄養をとり、低栄養でダイエットなど考えないよう」というのが基本だろう。
   これは母体の話だが、今日紹介するドイツ・ボンにある神経変性疾患研究所からの論文は、マウスモデルではあっても、お父さんがメチルドナーを取りすぎると生まれてきた子供の記憶力が低下しているという恐るべき報告で、Molecular Psychiatryオンライン版に掲載された。タイトルは「Paternal methyl-donor rich diet altered cognitive and neural functions in offspring mice(メチルドナーの多い食事を与えた父親からの子供は認知機能と神経機能が変化する)」だ。
   この研究は単純でメチルドナーを多く含む餌を6週間与えた雄マウスと掛け合わせた正常メスマウスからの子供の認知機能や記憶力を定番の方法で調べるとともに、脳の遺伝子発現やDNAメチル化状態を調べている。
    この時食べさせた餌には1kgあたり7.5gメチオニン、15gコリン、15gベタイン、15mg葉酸、1.5mgビタミンB12、150mg亜鉛が含まれている。このサプリメントのほとんどは、一般にもサプリとして出回っており、一部は妊婦さんにも効果があるとうたっている。特に葉酸や、ビタミンB12はメチル基を利用するために重要な代謝経路を回す働きがあり、ビタミンドリンクやエネルギードリンクにも含まれている。
   結果だが、マウスで使われる定番の認知機能検査、長期記憶検査の成績がこの餌を食べた雄マウスの子供は低下している。また、海馬の脳活動を調べた検査でも、記憶に関わるテータ波の低下がみられ、回路形成に問題があることを示している。
   次に脳の遺伝子発現を正常の子供と比べ、様々な遺伝子の発現が変化するとともに、カルシウムイオン濃度と膜電位に応じて開閉するカリウムチャンネル分子の発現が、メチル化により抑制されていることを突き止めている。
   最後に異常が誘導された子供マウスにこのチャンネル分子遺伝子を導入すると、異常が治ることまで示している。
   この研究だけでは精子形成変化から子供の海馬サーキットの異常まで連なるメカニズムは明らかでない。ただ、父親の精子形成過程で起こったエピジェネティックな変化が子供に伝わることはよく知られている事実で、メチルドナーの多い食事をとった父親の子供のDNAメチル化パターンに変化が誘導され、その中のカリウムチャンネル分子などの発現異常により子供の認知機能や記憶力が低下することは十分ありえると納得できる。
   では同じことが人間でも言えるだろうか?これには長い疫学調査が必要で、すぐには結論が出ないだろう。しかし、サプリが効くことを示すには十分な臨床治験が必要だが、サプリが危ないことについては、疑いがあれば避けるということが正しいだろう。
   我が国は、トクホ、トクホで、様々なサプリの効果をうたう宣伝が満ち溢れている。元気を取り戻す目的や様々な理由でサプリやエネルギードリンクを飲んでいるお父さんも多いだろう。しかしこの論文のように動物実験であっても、サプリやエネルギードリンクを飲んだ結果が子供に悪い影響を及ぼす可能性が少しでもあるなら、わざわざ金を払ってサプリやドリンクで栄養を補うことはやめたほうがいい。
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4月9日:タコの新しい進化戦略(4月6日号Cell掲載論文)

2017年4月9日
    DNAからRNAそしてアミノ酸と、情報が正確に写し取られて機能分子ができることで私たちの生命の恒常性は維持されている。それでも、免疫系や神経系の一部ではこの厳密なルールを少し壊してでも、偶然を取り込んで分子の多様性を生み出す必要がある。その一つのメカニズムがRNA編集という方法で、アデノシンデアミナーゼという酵素により転写後のRNAのアデノシンがイノシンに書き換えられ、翻訳時このイノシンはグアノシンとして読まれるので、遺伝子にコードされていない新しいタンパク質を作ることができる。
   とはいえ、セントラルドグマを乱しかねない物騒なRNA編集はアポリポタンパク質やグルタミン酸受容体などほんの一部の分子に限られ、人間では3%近くのRNAが編集を受ける可能性を持っているが、実際に編集が確認されたのは25種類の遺伝子に限られている。
   今日紹介するイスラエル・テルアビブ大学からの論文はタコやイカなどの頭足類はRNA編集を積極的に取り込むよう進化したことを示した論文で4月6日号のCellに掲載された。タイトルは「Trade-off between transcriptome plasticity and genome evolution in cephalopods(頭足類に見られるゲノム進化とトランスクリプトームの可塑性の取引)」だ。
   このグループはすでにイカのほとんどのmRNAが編集を受けることを2年前に示していた。この結果の意味を探るため、この研究では2種類のタコ、2種類のイカ、オウムガイ、そしてアメフラシを取り上げ、RNA編集がどの程度起こっているのかをまず調べている。すると、アメフラシやオウムガイではほとんど見られないものの、タコ、イカでは高い頻度でA-Iの編集が見られることを明らかにしている。また、実際に翻訳されたタンパク質の配列を質量分析器で調べ、編集によりアミノ酸の変異が起こることを確認している。この結果は、タコ・イカの進化経路だけでRNA編集の利用が高まったことを示している。
   面白いのは、この編集が神経系に最もよくみられることで、他の論文でも神経系の多様性に関わると考えられているプロトカドヘリンでRNA編集が高頻度で行われている。しかも、神経系で見られる編集の場合約6割がアミノ酸の変化を伴う編集が行われており、この機構を積極的に使っていることを示している。
   では、RNA編集により何が起こるのか、これを調べるため編集が特定のアミノ酸で高頻度に起こるタコのカリウムチャンネルについて、元のタンパク質と編集後のタンパク質を比べ、チャンネルが開くプロセスには全く変化がないものの、編集の結果チャンネルの閉まる速度が上昇していることを示している。実際には、編集されるそれぞれのタンパク質でその機能的変化を調べる必要があるのだが、この結果から、編集が特定の新たな機能を分子に与える目的で積極的に使われていることを示している。
   最後に、もし多様性を獲得するための編集の重要性が高いなら、これを維持するためゲノム自体の変異は低いはずだとあたりをつけ、編集が行われる場所のゲノムを調べると、予想通り対応する領域は進化を超えて保存されており、このことからもこれらの種にとってのゲノム編集の重要性がうかがわれる。
    面白い話だが、本当はなぜタコとイカかという問題が残っている。偶然性を積極的に取り入れて形成する神経ネットワークはどんなものかぜひ知りたい。ひょっとしたら、全く新しいコンピュータの設計につながるかもしれない。
カテゴリ:論文ウォッチ

4月8日:老いと眠り(4月5日号Neuron掲載総説)

2017年4月8日
   今日紹介するのは研究論文ではなく、老いに伴う眠りの障害についてのこれまでの研究をまとめたカリフォルニア大学バークレー校のグループによる総説で、4月5日号のNeuronに掲載されている。タイトルはズバリ「Sleep and human aging(眠りと人間の老化)」だ。
   この総説に目が止まったのは、当然私が高齢者で、若い時と比べると眠りが大きく変化したことを感じているからだ。しかし、なかなかこのようなテーマを直接扱った総説を目にするものではない。5ページにわたって200を越すこの分野に関わる文献が集められており、この総説を書く時の著者らの意気込みがわかる。
   結局今日の内容は、もっぱら「老いと眠り」の問題を感じている私のためのメモだと思ってほしい。
老いによる眠りの変化
  自覚的変化として、1)早寝早起きになる、2)寝つきが悪い、3)睡眠時間が短くなる、4)何度も目がさめる、5)ちょっとしたことで起きてしまう、6)昼に眠たくなりやすい、がリストされている。個人的には1)、3),6) が当たっているが、あとはあまり思い当たらない。
   これを脳波で見ると、1)深い徐派睡眠が減る、2)浅いノンレム睡眠(NRS)が増える、3)レム睡眠(RS)とNRSのサイクルが短くなり、サイクル数も減る。
   脳波では、サイクルの遅いslow wave(SW)の落ち込みが激しいが、この低下は中年から始まる。場所的には前頭皮質で最も著しい。若い人のSW睡眠は、長時間睡眠を制限された後の睡眠で起こってくる、代償的な睡眠と言われている。実際、年をとると睡眠が制限されても、その後代償的に熟睡することが減るのも、このSWの減少に関わるのだろう。    もう一つの特徴は視床と皮質をつなぐ神経回路が早いサイクルで興奮するsleep spindle(SS)が、振幅や頻度で著明に低下する。
男女差
  生活のリズムが同じなので、睡眠のサイクルも夫婦で大体一致していると思っているが、なんとなく「カミさんの方が寝つきが良さそうだ」と感じている。これはまんざら間違いではなく、男の方が脳波上でのSWの減少がはっきりしている。    一方、夢を見る時間に相当するレム睡眠や、眠りの制限に対する反応の鈍化などについては男女差ははっきりしない。    とはいえ、眠りの問題を訴える人の割合ははるかに女性の方が多いらしく、なぜこんな現象が起こるのかと締めくくっている。 メカニズム
   なぜ眠りの変化が起こるのかについて、以下の病理的変化が指摘されている。
1) 視索前野にあるガラニンを分泌する神経の数が年齢とともに低下し、この神経の数と眠りの異常が相関する。
2) オレキシンを発現して覚醒状態を維持する視床下部領域の細胞の低下。
3) 皮質の灰白質の量の低下。
病理的変化に加えて、覚醒睡眠のサイクルに関わるアデノシンに対する受容体の発現変化も指摘されている。寝るのを妨げると、細胞外のアデノシン濃度が上がり、睡眠を誘導するが、高齢者ではアデノシンの濃度が上がっても、それを感知する受容体の発現が低下しているため、代償的な睡眠が起こりにくい。
   また、睡眠・覚醒に関わる概日周期に関わる、視覚交差の直上にある神経細胞の減少による、概日周期の支配力の現象もメカニズムとして指摘されている。
   基本的には、神経細胞の減少が主要な要因になっており、SW、SSの現象の主要原因になる領域もかなり明らかになっている印象だが、結論は神経細胞を老化から守れぐらいしか言えないように思える。この総説でも、アルコールが皮質の減少に関わることが述べられているが、やはり晩酌は止められそうにない。
眠りの異常と記憶
   やはり最も気になるのは、老化に伴う眠りの異常により、記憶の低下が進むかどうかだ。結論だけを言えば、これは間違いなさそうだ。もともと、眠り自体が学習能力を高め、記憶を固定する重要な機能があることがわかっている。従って、学習能力を高めるSSの低下は、起きた後での学習能力を低下させるし、記憶の固定に関わるSWの現象は、記憶を低下させる。
   従って、眠りを元に戻すことができれば、記憶や学習能力が戻る可能性があるが、眠り自体が脳の器質的な変化によるなら、これも難しそうだ。
老いても寝たほうがいいのか?
  年をとれば睡眠が変化するのは当たり前と思っているが、無理をして寝たほうがいいのか、自然に任せればいいのか。これについても議論されているが、どちらと結論できず、賛否両論が併記されている。
以上読んでみて、納得し、物知りになった気分にはなったが、残念ながら生活をどう改めればいいのか、結局わからずじまいで終わった。
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