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7月10日 アルコールは長生きの元(Alcoholism: Clinical and Experimental Researchオンライン掲載論文)

2019年7月10日

このブログも多くの方に読んでいただきやりがいを感じているが、今日は自分のために、気楽に書いているので、あまり参考にしないでほしい。さて、若い時から酒は好きな方だったが、毎日晩酌をする様になったのは50を過ぎてからだった。量としてはほどほどなので、ストレスを感じるよりは体にいいかと勝手に納得してこの習慣をやめようとは思はない。

今日紹介するコロンビア大学からの論文は、高齢になってからは間違っても禁酒しないほうがいいという驚くべき論文で、酒好きの私ですら本当かと今だに疑っている。タイトルは「Alcohol Consumption in Later Life and Mortality in the United States: Results from 9 Waves of the Health and Retirement Study(米国での引退者のアルコール消費と死亡率:9回の健康と引退コホート対象者の調査研究)」だ。

この研究は平均60歳の退職者コホート研究の参加者を1998年から、2014年にかけて追跡している。この研究を始めるときにインタビューを行い、毎日のアルコール消費について、全く飲まない、現在禁酒中、たまに飲む、中程度飲む、かなり飲む、の5段階に分けてその後の生存カーブをプロットしている。

驚くことに、男女共中程度に酒を飲むほうが、ほとんど飲まないより生存率がはっきり高い。たまに飲む人と比べても良い。最悪は、あとから禁酒をした人で、かなり飲むと答えた人よりも生存率が低い。

あとから禁酒するというのは、病気など様々な理由の結果だと考えられるので、この様な要因を加味して死亡リスクを計算し直しているが、結局途中から禁酒した人が最も死亡リスクが高く、中程度に飲んでいる人が最も低い。驚くことに、酒を口にしたこともないという人より、中程度にたしなむ人の方が長生きだ。

話はこれだけで、この結果はアルコール消費は死亡リスクをたかめるというこれまでの研究と真っ向から対立するが、著者らはこの研究はこれまで行われた中では、16年しっかり対象者をフォローした最も大規模な研究であると、自信を持って「退職後少なくとも80歳ぐらいまでのアルコールは体にいい」と結論している。

もちろん、他に修正すべき対象のバイアスはあるかもしれないし、この結果は統計の罠で、いつかひっくり返るかもしれない。そのため繰り返すが、今日の論文紹介は自分のためだけに書いてみた。

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