4月11日 どこでも1時間で結核菌を検出する方法の開発(4月9日 Science Translational Medicine 掲載論文)
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4月11日 どこでも1時間で結核菌を検出する方法の開発(4月9日 Science Translational Medicine 掲載論文)

2025年4月11日
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医者になったばかりの頃(1973年卒業)、我が国でも普通に結核患者さんが外来に来られた。アルバイト先の病院で胸水と結核病巣がレントゲンで認められ、すぐに入院できないということで外来で胸水を抜く処置をして、入院まで待ってもらったことすらあた。当時は、咳と熱での外来でレントゲンを撮り結核が疑われるか、あるいは集団レントゲン検査で発見され外来に来られるか、いずれにせよX線写真がまず行われ、その後痰の細菌検査が行われた。結核菌の培養には最低1ヶ月必要で、すぐに顕微鏡で菌が観察できるほどの患者さんは少なかったので、まず抗結核剤を投与して様子を見るのが通常だった。

ただ、このようなX線写真ベースの結核医療システムは先進国だけの話で、患者さんが多い低開発国では喀痰の検査とツベルクリン検査以外に診断方法がないということも習っていた。というのも、先進国からレントゲン検査システムは送られていても、現地の病院で使えるレントゲンフィルムがなかなか供給されず、宝の持ち腐れになっていた状況があった。あれから50年、レントゲンフィルム自体が必要なくなり、コンピュータ画像に置き換わることで、どこでも機械さえあればレントゲン検査が受けられるようになった。

今日紹介する米国ニューオーリンズにあるチューラン医科大学からの論文は、結核菌の検出を医療施設のない現場で1時間で可能にする、しかも安価な診断システムの開発で、4月9日 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「Rapid tuberculosis diagnosis from respiratory or blood samples by a low cost, portable lab-in-tube assay(呼吸器や血液サンプルの結核菌を一本のチューブとポータブル機器で行う安価な迅速診断)」だ。

この論文の大半は機械の設計と説明に使われている。読んでいると、どこでも検査システムを作成できる気になるほど詳しく説明されている。測定の原理だが、血液や痰をチューブにとって、そのチューブに挿入した Plunger に核酸を吸い上げトラップし、トラップの上で PCR と Cas12 を用いて標的DNAがあれば、Cas12 により DNA が切られて蛍光が出る仕組みを使っている。

もう少し詳しく検査の手順を説明すると次のようになる。

  • チューブの底には結核菌を溶解し DNA を切断する試薬が乾燥して塗りつけてあり、資料を加えて90度15分処理する。
  • こうして作成したサンプル溶液に Plunger を挿入すると、液が吸い上げられ中央にあるトラップに濃縮される。
  • このトラップにまとめて粉末化されている、組み換え酵素を用いる常温PCR試薬、DNA中に存在する結核菌DNAを検出する CRISPR/Cas12 システム、Cas12 が活性化されると切断され、それまでブロックされていた蛍光が発生するDNA基質が溶け出すようになっており、37−42度で45分静置すると、蛍光が出てくる。
  • ポータブル機器には、底を高温で熱し、中間部のトラップを37度に熱するヒーターが備わっており、チューブを挿入してしまえば、後は15分後に plunger を押す以外の手間はかからない。
  • そしてこの機器は電池で動くレーザーシステムが組み込まれており、発生した蛍光を検出することができる。

後は検出感度になるが、HIV にかかっている子供の結核のコホートで、痰の検査が難しいケースを例に、Xpert や培養検査と比べているが、感度は高くX線検査で確認できるケースの3/4で結核菌を検出している。一方、コントロールの子供については擬陽性はほぼ起こらない。

他のDNA検査と同じで、喀痰検査になると少し検出感度が落ちるが、やはり7割近い症例で菌を検出できる一方、コントロールでは全く擬陽性がない。

以上が結果で、多くの患者さんを一度に測定するのは難しいが、開発途上国の小さな診療現場で、しかも薬も限られた状況で診断するためには大きな力になる。このチューブ一本は2.7ドルということで、アメリカ支援が抜けたWHOでも可能な額ではないかと思う。特にエイズが蔓延している地域の子供を守る武器として期待される。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月10日 肺高血圧症治療薬の開発(4月2日 Cell 掲載論文)

2025年4月10日
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遺伝性のものも含め、肺高血圧はBMPシグナル異常を背景とする平滑筋の増殖が原因であると考えられている。この治療標的としてHECT型E3ユビキチンリガーゼの一つ SMURF1 が有望であることがわかっているが、分子構造上活性中心となるポケットがはっきりせず、創薬は簡単ではなかった。

今日紹介する英国シェフィールド大学、イスラエル・テルアビブ大学、そしてノバルティス生物医学研究所からの論文は、これまで創薬が困難だった SUMRF1 に対する化合物が開発できることを示した研究で、4月2日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Therapeutic potential of allosteric HECT E3 ligase inhibition(HECT型E3リガーゼのアロステリック阻害の治療薬としての可能性)」だ。

この研究では SUMRF1 が自己ユビキチン化する活性を利用して FRETレポーターシステムを構築し、これを阻害する化合物を探索している。その結果見つかった一つの化合物 compound-8 (C8) の阻害メカニズムを調べることをとおして、逆に SUMRF1 の分子活性を探索する、いわゆるケミカルバイオロジーの方法をとって研究を進めている。

C8 結合時の結晶構造解析も含めて酵素活性阻害メカニズムが解明され、E3リガーゼ活性には蝶番の役割をするリジンを核とするリンカーで繋がった SUMRF1のN-lobe、C-lobe が大きくポジションを変える、アロステリック構造変化が必須なのだが、N-lobe のヒンジ近くに C8 が結合することで、動きが制限され、酵素活性が低下することを明らかにする。

次に、C8 に抵抗性を獲得する変異を大腸菌を用いたアッセー系で特定し、C8 が結合する部位を特定している。

このように自己ユビキチン化を用いた生化学を基礎に、肺高血圧に関わる BMPR2 と SMAD1 シグナル分子を加えた実験系で SMURF1 によるユビキチン化を調べると、これまで示されていた SMAD1 だけでなく BMPR2 も直接 SMURF1 によってユビキチン化されることが明らかになった。すなわち、SMURF1 はシグナル全体を抑制していることがわかる。

これらの生化学的解析から、C8 に加えて C6 も同じようなアロステリック阻害活性があることがわかり、投与実験にはこちらを用いている。SMURF1 阻害が肺高血圧治療の標的であることを確認する目的で、もう一度肺高血圧患者さんの組織を調べ直し、全てで平滑筋の SMURF1 発現が上がっていることを明らかにしている。

そして薬剤でラットに誘導する実験的な肺高血圧でも、BMPシグナルが低下するのと並行して SMURF1 が上昇していること、そしてこのモデルに C6 を投与すると、肺高血圧が改善し、組織学的改善も見られる一方、ラットではほとんど副作用が見られないことを明らかにしている。

SMURF1 についての実験はここまでだが、今回の SMURF1 作用メカニズムを基礎にして、同じ HECT型E3リガーゼに対する化合物を設計できることも示し、これまで難しかった HECT型E3リガーゼに対しても創薬が可能であることを示して終わっている。

SMURF1 は TGFβ/BMPシグナルに関わることから、子宮頸がん、自閉症、神経発生異常など様々な疾患に関わっている。その意味で、アロステリック阻害薬の設計が可能であることが示されたことで、この分野も賑やかになるのではないだろうか。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月9日 音波顕微鏡による遺伝子発現検出(4月4日 Science 掲載論文)

2025年4月9日
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マウスで体内から漏れ出てくる光を検出することで体内での遺伝子発現を追跡することができるが、通常長時間の測定が必要になる。すなわち、基本的には組織内で光は吸収されてしまう。この問題を克服するには、光以外の媒体を用いて標識分子を検出する方法の開発が必須になる。もちろん PET のようなアイソトープを用いる方法もあるが、現在期待されているのは超音波を用いる方法で、身体の深部を超音波エコーでイメージングできることから、もし超音波の反射が変化するマーカーを組み合わせることができれば実現できる。

今日紹介するオランダ・デルフト大学からの論文は、超音波の反射を劇的に増強するマイクロバブルを標識として遺伝子発現を検出するための新しいイメージングシステムを開発した研究で、4月4日 Science に掲載された。タイトルは「Nonlinear sound-sheet microscopy: Imaging opaque organs at the capillary and cellular scale(非線形音波シート顕微鏡:不透明な臓器を毛細血管及び細胞レベルでイメージングする)」だ。

マイクロバブルが超音波の反射を劇的に変化することから、血管造影などに使われているとは言え、遺伝子や細胞の標識としてマイクロバブルを発生させられるのかが問題になる。全く知らなかったが、2014年、カリフォルニア大学バークレー校が、ガスが詰まったタンパク質の粒子を形成するバクテリアを特定し、この粒子を超音波イメージングのための一種の造影剤として用いれることを示しており、この研究ではこの技術をまず利用している。このガス粒子 (GV) を合成する遺伝子を細胞に導入することで、粒子がマイクロバブルとして働くというわけだ。これに加えて、超音波で血管を検出するために使われている脂質層に perfluorocarbon などのガスを詰めたマイクロバブルも用いている。

この研究では、これらのマイクロバブルを超音波エコーで検出するのではなく、これらのマイクロバブルに超音波を照射すると共鳴振動を起こし、このときに発生する非線形成分を、特定の深さの組織面で顕微鏡を見るように検出することを目的とした装置を開発している。これがタイトルにある非線形音波シート顕微鏡で、工学的な詳細は専門外なので説明は避けるが、組織内の特定の面に音波のシートを収束させ、そこで発生するマイクロバブルだけを高い解像度で検出する技術だ。このために、エコーで用いられるより高周波の超音波を、より簡単に電気的制御する Row column Addressed Array を開発している。この結果、1cm ぐらいの深さまでスキャンして、マイクロバブルの存在場所の 3D イメージを作成するのに成功している。

後はこの方法の利用価値を示すため、ガン細胞に GV 発生遺伝子を導入し、このガン細胞を皮下に移植、開発した非線形音波シート顕微鏡でガン細胞の広がりをモニターし、それを一般のエコー画像と組み合わせて追跡し、ガンの増殖、そして中央部に形成される壊死部がはっきりと検出できることを示している。

次に、脂質粒子を用いたマイクロバブルを血管に注入して、ラットの脳血管造影にチャレンジし、従来の方法と異なり、特に毛細血管レベルの微小循環を検出するできることを示している。

結果は以上で、工学的な詳細に興味がある場合は是非自分で調べてほしいが、マウスの実験には結構使えそうな気がする。人間でも皮下組織であれば面白い使い方ができそうだ。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月8日 感覚が意識されるメカニズム(4月4日 Science 掲載論文)

2025年4月8日
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よく意識についてどう考えるかと聞かれることがある。実際哲学や脳科学では意識とは何かは重要な問題として議論され続けている。ただ、門外漢が論文を読んで考えていると、結局意識とは刻々変わる環境の中で、「自己」を中心に生きる脳に必要な機能の集まりと思えてくる。麻酔がかかると意識はなくなるが、これは死んでいるのと同じだ。一方寝ているときは、ある程度外界との関わりに備えているし、もちろん脳は働いている。また、覚醒しているからと行って経験が全て意識されているわけではない。このように、外部内部の感覚を統合して自分を保つ脳の機能全体を意識と言っていいだろう。その脳メカニズムは一つではないと思うが、行動学的に意識研究が最もしやすい人間では、脳細胞の機能が測りにくいという最大の問題がある。

今日紹介する北京師範大学からの論文は、視床と前頭前皮質の両方に電極を設置した患者さんを対象に、視覚インプットを意識する時のメカニズムを調べた研究で、4月4日号 Science に掲載された。タイトルは「Human high-order thalamic nuclei gate conscious perception through the thalamofrontal loop(人間の高次視床核が視床前頭ループを介して感覚の意識に関わっている)」だ。

前頭前皮質と視床に電極を設置するケースはそう多くないと思うが、おそらく視床痛の深部刺激などのために電極を設置しているケースを使った研究だと思う。研究では、見えるか見えないかをボーダーラインの視覚刺激を与えて、見えると意識できたときに目で合図するという課題を行わせているときに、脳活動を記録している。記録の中から、見たことの意識と最も相関する神経反応を探している。

感覚の意識と最も相関しているのが、インプットから200msで起こる内層及び内側視床核 (imT) の反応で、他の視床領域は相関がない。特に 4-10Hz の θ波に強い相関が見られる。そして、この θ波は前頭前皮質の θ波と同調している。さらに、imT の θ波は、γ や α といった他の波長とも、振幅で同調していることがわかった。

ロックされた θ波の強度から、同調がどの順番で起こるかを調べると、imT が起点となり θ波を発生して前頭前皮質の θ波及び他の波長成分を統合していくことがわかる。そして、このループが視覚インプットで起こる前頭皮質の神経反応の中で、インプットが意識されたときに最も目立った反応であることが示されている。

結果は以上で、感覚インプットが意識されるとき、インプット直後に視床内層・内側核から「意識した」というシグナルが発生し、それを脳に伝えていることがわかる。この研究では、意識できるかできないかの境界領域の刺激を与えて集中させているのだが、この刺激と意識ゲートの最終関係が今後の課題になる様に思った。いずれにせよ、これまで様々な研究で指摘されてきたように、視床が意識のゲートを決めていることは人間でも確かであることがわかる。

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4月7日 ボノボの構文(4月4日 Science 掲載論文)

2025年4月7日
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チンパンジーを見たことがある人は多いと思うが、ボノボを飼育している動物園は世界でも数えるほどしかなく、見るチャンスは少ない。ベルリンにはよく行くが、動物園のボノボを見るのも一つの楽しみだ。パンダなどと比べて見る人も少なく、ゆっくり見ることができる。ベルリンのボノボのなかには土にジカに座るのを嫌って、座布団を引っ張っている個体までおり、確かに知能の高さを感じさせる。

珍しいボノボを飼育している施設が日本にも一カ所存在する。京都大学野生動物研究センターの施設で、チンパンジーやボノボが余生を送っている熊本サンクチュアリーだ。公開はされていないが、施設を見せていただいたことがある。写真(6人いるボノボの一人ヨシキ30歳;サンクチュアリーでは一頭と呼ばず一人と数えている)のように本当に近くで見て感激したが、飼育に必要なコストは常に足りないようで、これを読んだ多くの人に寄付をお願いしたい(https://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/kumasan/ja/members/index.html)。この研究施設では多くの研究が行われており、このブログでも2016年、類人猿に Theory of Mind が存在することを示した Science の研究を紹介した(https://aasj.jp/news/watch/5895)。

今日紹介するチューリッヒ大学からの論文は、ボノボのコミュニケーションで単語の組み合わせを調べ、ボノボの構文も非自明(non-trivial)な構造が存在することを示した研究で、4月4日 Science に掲載された。タイトルは「Extensive compositionality in the vocal system of bonobos(ボノボの発生システムの幅広い構成性を持つ)」だ。

動物のコミュニケーションを記録して、そこで使われる構成性を調べる方法の一つが Formal communicative system (FoCs) で、シグナルと行動的意味を組み合わせることで、様々な形で発せられたシグナルの構成性を、人間の言語分析のように行うことができる。鯨の歌や、コウモリの超音波など様々な分野で使われている。

野生のボノボはコンゴに生息しているが、研究ではボノボ保護地域で400時間ボノボの声を拾うとともに、そのときの発声者と他の個体との行動をナレーションとしてテープに保存し、これを元にボノボの発声する言葉の言語意味空間の分布を作成している。人間の言葉と異なり、ボノボには7種類の発声型が存在し、これらを単独、あるいは2種類を組み合わせてコミュニケーションに使っているのがわかる。

使われているコンテクストに基づいて、言語意味空間にそれぞれを分布させると、コンテクストが近いほどそれぞれの組み合わせは近くに分布することになる。これはGPTのような大規模言語モデルでの単語のトークンを多次元空間に分布させるのと同じだが、ずっと単純で、意味づけは人間の記述を元に行われている。

このとき、2種類の単語がランダムに組み合わせられることが多いが、このなかにはっきりと組み合わせにより新しい意味が発声する場合があることがわかった。すなわち、この場合それぞれの単語単独のコンテクストとはかなり離れたコンテクストが含まれるため、多次元空間分布での位置が離れる。例えば興奮を意味する言葉と自分に注意を引きつける言葉が組み合わさると、他の個体の攻撃的表示を制止する意味に変化する。

このように明確に意味の変わる組み合わせを探していくと、4種類の組み合わせが発見でき、そのうち3種類は自明的構成(trivial composition)、すなわち単語の並びの複雑さが低いケースが3種類、そして人間特有ではないかと言われてきた非自明的 (non-trivial) 構成が1種類発見された。

Trivial と Non-trivial を説明するのは難しいが、著者らは「金髪と踊り子」の組み合わせは、踊り子が同時に子供だったとしても「金髪子供」という意味を持てるのを trivial と説明し、「下手な踊り子」では踊りが下手でも英語がうまいことはあるので意味が限定される non-trivial の例としている。そしてボノボでは non-trivial の組み合わせが皆で移動する呼びかけとして「私と一緒に」が使われているとしている。

以上が結果で、脳科学的には全くわからないが、単語の組み合わせの構成性に新しいコミュニケーション能力が見られるとしているが、他の動物での研究も知る必要があるだろう。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月6日 緑のサハラに暮らしていた古代人ゲノム(4月2日 Nature オンライン掲載論文)

2025年4月6日
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古代ゲノム研究が進んで、アフリカ人はサハラ以北とサハラ以南の民族に分けて考えるようになっている。特にネアンデルタール人との交雑の有無で見るとサハラ以南の民族には全く交雑の跡がないが、サハラ以北では出アフリカ後も交流があり、またゲノムレベルでも出アフリカ時代に民族は別れたのではないかと考えられている。広大なサハラ砂漠を中心とした乾いた大地を考えると、これが大きな障害になったと考えてしまうが、実際にサハラ砂漠領域が乾燥し始めたのは、1万年から5000年にかけてのことで、それ以前は緑の大地が広がっていたと考えられる。従って、サハラ砂漠による分断前の歴史を探ることはアフリカ民族の形成を理解するには重要な課題になっている。

今日紹介するライプチヒのマックスプランク進化人類学研究所からの論文は、緑豊かなサハラ時代の人類のゲノムを調べ、この時代にもサハラ領域では大きな民族の移動はなく、それぞれの民族が形成されていたことを示した研究で、4月2日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Ancient DNA from the Green Sahara reveals ancestral North African lineage(緑のサハラ時代の古代DNAは北アフリカ系統の存在を示している)」だ。

我が国のゲノムの歴史がまだまだ解明されていないのに、アフリカなどどうでもいい思われる方も多いと思う。実際、我が国の古代ゲノム研究 DNA のクリーンラボが導入されたのは2020年に入ってからで、天皇との関係で古墳研究も簡単でなく、研究者は多くのハードルを越える必要がある。そして何よりも高温多湿の日本ではゲノムの保存状態が悪いという問題があった。

この論文を紹介することにした理由は、もちろん北アフリカ古代史も面白いのだが、様々な技術のおかげで保存状態の良くない骨からもゲノム解析が可能になっていることを強調するためだ。実際、サハラ砂漠で石器時代の文化遺跡は発見されるが、DNAを回収することはほとんど諦められていた。

この研究ではリビア南、サハラ北の Takarkori の洞窟で見つかった歯と骨からゲノムを回収しているが、本来のゲノムの存在率は0.1%−1%で、現在のところ通常のショットガンシークエンスは難しい。代わりに、ヒト DNA を精製したあと、古代 DNA の多型パネルを使って解析している。すなわち、極めて少量の DNA を調べるプラットフォームが着々とできていることがわかる。おそらく我が国の古代ゲノムもこれにより進むのではと期待できる。

さて、今回発見されたゲノムは一体は80万SNP、もう一体は2万SNPが解析可能だった。この結果、Takarkori 人は他の北アフリカ人と比べてもかなり独自のゲノム構成を持っていることがわかった。文化的には、北アフリカに広がる陶器や埋葬などの文化を持っていることから、北アフリカでは、あまり民族間の交雑は起こらず、しかし文化だけが徐々に広まったと考えられる。

詳細は省くが、これまで出土している北アフリカ古代ゲノムを中心に比較することで、ルーツを探った結果、

  • Takarkori 人はホモサピエンスの出アフリカ時に、サハラ以南のホモサピエンスと別れた系統に属している。
  • モロッコで発見された Taforalt 人に最も近く、おそらく北アフリカ人形成に関わった共通祖先を持っている。
  • これまで、ヨーロッパとの交流の可能性から明確に結論できなかった北アフリカ系統が明確に存在することがわかった。
  • ネアンデルタール人遺伝子が低レベルで見られ、この割合からも出アフリカ以降のホモサピエンスが北アフリカに移動した系統関係を支持する。

今後は、モロッコの Taforalt 人と Takakori 人の分岐点に近い古代ゲノムの探索が必要になるが、マックスプランク研究所はかなり精力的にこの地域へと研究を拡大している。なんとなく、帝国主義とともに、世界中の考古学が進み、日本も負けずと聖域探検を送ったのと似ているが、我が国の場合はまず我が国の古代史から進めていってほしい。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月5日 ワクチンと細菌叢(4月4日 Science 掲載論文他)

2025年4月5日
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我が国で細菌性の下痢の頻度は極めて低いと思うが、例えばインドを旅行していて細菌性腸炎を起こしたという話はよく聞く。もちろん今でも食品からサルモネラや病原性大腸菌に晒されることはあり、特に小児では重症化しやすい。このような病原性細菌に対しては、抗生物質だけでなく、経口ワクチンで IgA を誘導する治療や健康な細菌叢を移植して病原菌と闘わせる方法も試みられている。

今日紹介するスイス・チューリッヒ工科大学からの論文は、ワクチンと細菌叢内の細菌の競争をうまく利用することで、それぞれの効果を何倍にも高められること、そしてワクチンを介して腸内細菌叢をコントロールする可能性を示した研究で、4月4日 Science に掲載された。タイトルは「Vaccine-enhanced competition permits rational bacterial strain replacement in the gut(ワクチンによって促進される細菌間の競争が腸管での合理的な細菌の置き換えを可能にする)」だ。

おそらくこのグループは経口投与する死菌ワクチンによる腸内細菌感染制御を研究してきたのだと思う。生菌を注射するのと異なり、死菌ワクチンの経口投与は腸内での IgA を誘導することが知られていたらしい。ただ、これだけでは病原菌を完全に除去するには足りないこともわかっていた。そこで、標的の細菌と腸内で競争するバクテリアで、ワクチンには反応しない競争細菌を加えたら効果が高まるのではと着想した。すなわち、ワクチンと細菌叢移植を組み合わせる方法だ。

まず、無毒化して、抗体が働く細胞壁抗原が除去されたサルモネラ菌を作成し、ワクチンを投与した後、競争菌を3日前に飲ませた後サルモネラに感染させると、ワクチンや競争菌のみの効果を圧倒的に凌駕する感染防止効果が見られ、完全に病原菌を除去できることがわかった。

このメカニズムを探るため、競争菌をさらに操作して、病原菌と競争する炭水化物の代謝系を除去すると、競争菌の効果がなくなることから、同じ腸内で栄養を巡って競争していることがわかる。

ただ、競争自体は量的なもので、競争菌が病原菌を完全に凌駕できなくても、競争菌の数がが多ければワクチンの効果を高めることができる。これを確かめるため、サルモネラ病原菌の競争菌としては完全ではないが、代謝がオーバーラップする常在の大腸菌を競争菌として同じように施主させると、感染を止める効果がある。

最後にこの方法を病原菌に限らず同じ大腸菌系統間の置き換えを誘導できるか試して、ワクチンに反応しない系統が反応する系統を駆逐できることを示している。最後にこの現象にはワクチンにより IgA が誘導される免疫の仕組みが必要であることを確認している。

以上が結果で、病原菌に対する面白い予防方法が考えられる。例えば、細菌性下痢が予想される地域へ旅行するとき、まず死菌ワクチンを接種した後、飛行機に乗る前に競争菌をプロバイオで摂取するなどいろいろできそうだ。また、細菌叢の構成を変化させたいと考える研究が進んでいるが、これをプロバイオだけでなくワクチンの助けも借りて実現することもできる。面白いアイデアだと思う。

詳しく紹介することはしないが、4月2日にオーストラリア健康医学研究所から Nature に発表された論文では、新生児腸内のビフィズス菌が抗生物質で除去されると、ワクチンによる免疫誘導が低下することも報告されていた。今後細菌叢が傷害されていないか考えながらワクチン摂取時期を決めることが重要になると思う。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月4日 レット症候群の遺伝子治療(4月2日Science Translational Medicine 掲載論文)

2025年4月4日
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MECP2はX染色体上に位置する遺伝子で、機能が失われる変異が起こるとレット症候群が発症する。通常の変異では男性は出生直後に死亡するが、女性の場合半分のX染色体では正常なため、欠損細胞と正常細胞のモザイクが形成されるが、この半数の細胞が異常のまま残っていることから神経システムの異常が起こる。逆に細胞は残っていることから、2007年、MECP2遺伝子変異を元に戻すと、様々な症状を改善させられるということがマウスで確認された。

この結果は、レット症候群の遺伝子治療の可能性を示すのだが、問題は正常と異常細胞がモザイクになっていることで、遺伝子導入を欠損細胞だけに行うことは至難の業になる。ともかく遺伝子を導入してみるという可能性はあるのだが、MECP2重複症はこの遺伝子の発現量が増えるだけでやはり問題が起こることを示しており、正常細胞に遺伝子が導入されたときに様々な問題が起こることが懸念される。

このため、MECP2重複症と比べて遺伝子治療は簡単でないとされてきた。しかし、今日紹介するエジンバラ大学からの論文は、導入する遺伝子の発現をセルフコントロールさせることで、モザイク組織が対象のレット症候群も遺伝子治療が可能になることを示した研究で、4月2日 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「Self-regulating gene therapy ameliorates phenotypes and overcomes gene dosage sensitivity in a mouse model of Rett syndrome(自己調整的遺伝子治療はレット症候群のマウスモデルで遺伝子発現量に対する感受性の問題を克服し症状を改善する)」だ。

増殖しない神経細胞が対象の遺伝子治療にはアデノ随伴ウイルスがベクターとして用いられるが、導入効率は良くても、どうしても細胞ごとに導入量が変化し、これが発現しすぎによる異常を誘導してしまう。そこで、発現量がむやみに上がらないよう、導入遺伝子自身の RNA を分解する人工的 miRNA を組み込んで、一定以上に発現が上がらないようにしたのがこの研究のハイライトだ。

面白いアイデアだが、本当に正常の遺伝子発現が起こっている上に導入したとき、この程度の工夫で大丈夫かと思ってしまう。理想は MECP2 の発現量に依存して導入遺伝子が働くようにできるといいのだが、これは複雑になりすぎる。

しかし案ずるより産むがやすしで、このコンストラクトを生まれた後死亡していく欠損オスの脳に導入すると、30週も生存するマウスが出てくる。平均では生存期間はほぼ倍に伸び、症状も改善する。この系でさらに遺伝子発現などを至適化すると平均で生存期間が30週を超えることがわかり、この至適化したコンストラクトを NGN-401 として臨床応用できる製剤にしている。

次に、生存には影響のないレット症候群の雌マウスの新生児期に遺伝子治療を行っている。NGN-401 は大量に投与してもほとんど生存に影響はないが、miRNA を削ってそのまま発現するようにするとマウスは死亡するので、MECP2 の発現がコントロールできないと重篤な問題が起こることが確認できる。

重要なのは症状がある程度改善できることで、正常よりは劣るが体重増加が認められる。様々な時期に脳組織をとって調べても、正常とはっきり区別できないことから、組織学的にも回復が見られると結論している。

最後に、臨床試験への安全性を確かめるため、新生児サルへ投与実験が行われ、正常サルへの副作用はほとんどないことを確認している。

また NGN-401 は現在第1/2相の臨床治験まで進んでいることも加えて報告しておきたい。是非成功してほしいと思う。もちろんレット症候群だけでなく、MECP2重複症も臨床治験に入っている遺伝子治療が2種類存在することを考えると、実際の治療が近づいてきた実感がある。期待している。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月3日 がん免疫療法への新しい技術2題(3月26日 Science Translational Medicine 掲載論文他)

2025年4月3日
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ガンの免疫療法の進歩は著しく、患者の立場から考えるとどの方法を選べばいいのか迷うのではと心配になる。おそらくどこかに収束するとは思うが、患者一人一人に対応しつつ、一方でできるだけ多くの患者さんに利用できる技術が一つの方向性になると思う。

免疫療法ではこれを実現しているのが CAR-T 治療で、多くの患者さんのガンで発現している抗原に対する抗体を T細胞の抗原受容体 (TcR) とキメラにして T細胞に導入し、ガンのキラー細胞として使う方法だ。ただこの方法のネックは、正常細胞では発現していないガン特異的表面抗原が限られていることだ。

これを克服する一つの方法は、組織適合抗原 HLA と結合したペプチドという TcR 本来の抗原を標的にすることだが、なかなか成功を収めていない。そこで、TcR の代わりに同じ HLA/抗原ペプチドを認識する抗体を作成して利用できないか試みが続いている。

今日紹介するリジェネロン社からの論文は、リジェネロンで蓄積されてきた抗体作成技術の粋を利用してガンで発現する胎児抗原をはじめとする様々な分子と HLA が結合した抗原に対する抗体を作成する方法の開発と、それを用いた CAR-T 作成についての研究で、3月26日 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「CAR T cells based on fully human T cell receptor–mimetic antibodies exhibit potent antitumor activity in vivo(完全に人間の T細胞受容体を擬した抗体による抗ガン活性)」だ。

TcR が認識できる抗原に標的を拡大すると細胞内で発現する分子を標的として使える。この研究ではメラノーマ関連分子の一つ MAFGE-4 を標的として、この分子由来のペプチドが様々なガンでかなりの割合で発現していることを確認した後、最も頻度の高い HLA-A02 に MAGE4 が提示されるときのペプチドを質量分析で特定し、これを抗原として HLA/ぺプチドに対する特異的抗体を作成している。

これに用いられたのが、コロナの抗体薬開発にも用いられた免疫グロブリン遺伝子が人の遺伝子に置き換えられたヒト型免疫マウスで、さらに HLA を標的にした抗体が誘導されないように、HLA-A02 遺伝子をヒト型免疫マウスに導入し、HLA/ペプチドに特異的抗体が誘導できるように工夫している。

また、抗原として HLA とペプチドを結合させて抗原性を示す分子に、さらに HL-DR に結合するペプチドを加えて、免疫反応が起こりやすくして免疫を行っている。この結果、免疫されたマウスではほとんど特異的な反応だけが誘導され、その中から親和性の高い抗体を選んでいる。

あとは、この抗体が正常細胞には結合しないことなどを確認した後、この抗体を用いて CAR-T を作成し、マウスモデルで腫瘍を除去できるか調べている。いくつかのコンストラクトの中から CD28 をキメラ分子に組み込んだ CAR-T が最も強い反応を示し、ガンをほぼ完全に除去できることを確認している。さらにこのような HLA/ペプチド特異的な抗体を、変異型 KRAS 由来ペプチドや、他のガン特異的胎児抗原でも誘導できることも示している。

この方法の将来性を示すために、抗体が HLA/ペプチドをどう認識するかの構造解析まで行う念の入れようで、期待できる。

ただこの研究で HLA と結合するペプチドは実際の細胞から質量分析で特定されている。もちろん将来はガン抗原が決まれば in silico で HLA との結合を特定していくことが重要になる。現在も様々な方法でペプチドと HLA の結合を予測する方法が開発されているが、今日紹介する中国南京工科大学からの論文は、少し工夫した言語モデルを用いてペプチドと HLA 、さらには TcR の結合を予測する方法の開発だ。タイトルは「A unified cross-attention model for predicting antigen binding specificity to both HLA and TCR molecules(統一的なクロスアテンションモデルでHLAとTcRへのペプチドの結合を予測する)」で、Nature Machine Intelligence3月号に掲載された。

タイトルにあるクロスアテンションとは入力、出力両方の系列のトークンの並びからアテンションの対象を重みづける方法で、この研究ではまず抗原ペプチド、HLA、そして TcR をそれぞれ学習させたセルフアテンション層に、例えばペプチドと HLA の共通の特徴を抜き出すクロスアテンション層を加えて、特定のペプチドに対応する HLA を特定するモデルを作成している。言ってみれば英語と日本語を対応させるクロスアテンションと言える。

その結果、ペプチドとHLA の結合を予測するという点では、これまでの方法を凌駕するモデル作成に成功している。さらに、同じ方法で特定のペプチドに対する TCR を予測する方法も検討しているが、こちらはまだまだといった感じだ。しかし、このようなマルチタスク言語モデルが将来ガンのネオ抗原を予測し、さらには TcR まで教えてくれる可能性を予感させる。

最近中国の Deep Seek ばかりが注目されるが、生命科学分野での言語モデルの利用という点でも面白い論文が多く発表されている。この論文が発表された Nature Machine Intelligence の論文の半数は生物分野と言っていいほどで、DNA など媒体の存在する生命領域は言語モデルの利用が最も進んでいる分野といっていい。この分野での人材が育成できないと、我が国の生命科学の将来はないと言っても過言ではない。

カテゴリ:論文ウォッチ

4月2日 ダニワクチンのための抗原探索(3月26日 Science Translational Medicine 掲載論文)

2025年4月2日
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この2−3日専門家向けの論文紹介が続いたので、今日はわかりやすい論文を選んだ。

ダニによって媒介される感染症で最も有名なのはライム病。発疹を伴う細菌性感染症で、米国、ヨーロッパでは今も発症数が多い重要な感染症だ。もちろんライム病にとどまらず、様々な病原体がダニにより媒介される。そのため、それぞれの病原体に対する予防手段を講じるより、ダニに噛まれないようにするワクチンの開発が進められている。

今日紹介するイェール大学からの論文は、ダニを防ぐ免疫誘導に関わる抗原を同定するためのダニ抗原ライブラリーの開発研究で、3月26日 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「Tick feeding or vaccination with tick antigens elicits immunity to the Ixodes scapularis exoproteome in guinea pigs and humans(ダニに噛まれたりダニワクチン接種にヒトやモルモットに誘導できる免疫)」だ。

このグループはダニワクチン開発のために研究を続けており、すでに北米に多いシカダニの20種類の抗原の mRNAワクチンなどを開発している。また、経験的にダニに繰り返し噛まれることで、免疫が成立することも知られている。従って、ダニの分泌する抗原で免役することでダニへの抵抗力が獲得できることはわかっているが、ダニの唾液のなかのタンパク質は複雑で、またそれぞれの分子に対する交差反応が強いため、抵抗性獲得の標的抗原は特定できていない。

これを解決するために、シカダニの細胞外分子3000種類の分子をバーコードとともに細胞表面に発現した酵母のライブラリーを作成したのがこの研究のハイライトで、実際大変な作業だと思う。この酵母ライブラリーを抗体と反応させ、抗体が結合した酵母のバーコードを DNAシークエンサーで調べることで、どの抗原に対する免疫が成立しているかを一度に測定することができる。

すでに作成したワクチン接種を受けたモルモット抗体で反応を調べると、使った抗原20種類以上の多くのタンパク質に反応していることがわかる。また、通常の ELISA と同じ感度で検出できる。

重要なのはダニに噛まれるのを防ぐ免疫に関わる抗原を特定することで、ダニに繰り返し噛まれてライム病を発症した患者さんの抗体反応を詳しく調べると、反応はヒトによってまちまちだが多くの人で共通に反応が見られる抗原も見つけることができる。ただ、反応が複雑すぎて抵抗性を獲得する抗体の標的を特定するには至らない。

そこで、ダニを皮膚において血を吸わせる実験で抵抗力のある血清とない血清を分け、抵抗力がある血清だけが反応する抗原を探すと、抵抗力のある血清ではヒスタミン結合能力のある分子に対する抗体が存在することを突き止めている。すなわち、ダニはホストマスト細胞から分泌されるヒスタミンなどのメディエーターを忌避する性質があるため、この作用をこれらのタンパク質で抑えていると考えられる。そして、このタンパク質に対して抗体ができると、ダニの防御システムが壊れるというわけだ。

結果は以上で、今後このような抗原を選んでより強いワクチンが作れるか検討が行われるだろう。将来、アメリカ旅行でハイキングを計画するときはワクチン接種を受けて出かけるようになるのかもしれない。

カテゴリ:論文ウォッチ