2025年5月6日
BCG接種により様々な感染に対する抵抗力が上がる免疫トレーニングについては、この現象を有名にしたCovid-19や感染症だけでなく、様々な免疫システムで起こっていることをこのブログで紹介してきた。基本的には、自然免疫に関わる細胞がBCG接種によりエピジェネティックな変化を起こして、これにより様々なサイトカインが誘導されやすくなり、これが免疫反応の誘導に関わると考えられる。ただ、どのエピジェネティックな変化が重要なのかについてはほとんど明確になっていない。
今日紹介するオランダ・ナイメーヘンにあるRadboud大学からの論文は、なんとヒストンに乳酸が結合することが免疫トレーニングを担う重要なエピジェネティック変化であることを示した研究で、5月2日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Long-term histone lactylation connects metabolic and epigenetic rewiring in innate immune memory(長期のヒストン乳酸化は免疫記憶で代謝とエピジェネティックなプログラム書き換えをつなぐ)」だ。
ヒストンアセチル化やメチル化など、一般的なエピジェネティックな変化が起こる場合は、メチル基やアセチル基を調達する必要があり、主にTCAサイクルから調達される。グリオブラストーマでで見られるIDH変異によるエピジェネティック変化はその典型的な例だ。
おそらくこのグループもBCG接種によりTCAサイクルを経由するエピジェネティックの変化が起こらないのか調べたのだと思う。ところがBCG接種により免疫トレーニングが誘導されると、マクロファージの代謝をGlycolysisの方に引っ張り、その結果、乳酸が多く合成されることを発見する。これはLPS刺激では観察できない。
Glycolysisではメチル化やアセチル化の原料を調達することはできないので、この場合のエピジェネティックの変化はヒストンを乳酸化することで起こっているのではないかと着想している。私はこの論文を読むまで、ヒストンに乳酸が結合してエピジェネティックな調節を起こすなど考えたこともなかったが、これまでいくつかの報告があったようだ。
そこで試験管内でBCGにより免疫トレーニングを誘導したときにヒストンの乳酸化が起こるか調べると、BCG刺激後多くのクロマチンでヒストンの乳酸化が起こっていること、そしてこの乳酸化はglycolysisによる乳酸合成を止めるLDH阻害剤、及び本来はヒストンのアセチル化に関わるp300の阻害剤で阻害されることから、glycolysis で合成された乳酸を使ってp300がヒストンを乳酸化することで起こるエピジェネティック変化であることを突き止める。
以上の結果から、BCGによる免疫トレーニングでは、glycolysisを中心とするエネルギーの利用の変化が起こり、ここから生まれる乳酸をエピジェネティック変化に使っていることが明らかになった。
あとはこうして生まれたヒストンの乳酸化が免疫トレーニングに関わる遺伝子発現調節に関わっていることを、乳酸化ヒストンの免疫沈降などで徹底的に調べているが詳細は割愛する。BCG刺激による免疫トレーニングでは、自然免疫の中核IL-1βが特に強く誘導されることも確認される。この誘導がヒストン乳酸化が関与していることは、LDH阻害剤やp300阻害剤で抑制されることから確認できる。
ただ、ヒストンのメチル化やアセチル化と違って、乳酸化によるクロマチン調節と遺伝子発現メカニズムについては完全に解明されているわけではないが、Atac-seqで調べたオープンクロマチンのなかに乳酸化ヒストンが多く含まれているので、遺伝子発現にとってポジティブに影響していると考えられる。面白いのは、染色体の3次元構造形成に関わるCTCF結合部位にも乳酸化が認められている点で、遺伝子発現調節には様々なメカニズムが使われていると考えられる。
最後に人間でBCG接種後、人間の単球のゲノム上で乳酸化が広く誘導され、この修飾が長期間続いて免疫トレーニング状態が維持されることを示している。
結果は以上で、遺伝子特異的に乳酸化が起こるメカニズムなどまだまだ解明すべき点は多いが、ヒストン乳酸化という思いもかけない仕組みが免疫トレーニングに関わっているを知り、免疫システムの深さを実感した。
2025年5月5日
腸内には細菌だけでなく様々な真菌も存在していることがメタアナリシスからわかっている。ただ、それぞれの真菌が腸に存在することの意味はそれほど明らかではない。ただ、最近の紅麹騒ぎからもわかるように、カビのなかには様々な毒性因子を分泌するものがあり、カビの生えた食べ物をむやみに食べることが危険であるとされている根拠になっている。
今日紹介する北京大学からの論文は、人間の大便のなかに含まれている真菌類の腸内への定着について詳しく調べ、その中から非アルコール性肝炎の発症予防能力のあるFysarium foetensを分離することに成功した研究で、5月1日 Science に掲載された。タイトルは「A symbiotic filamentous gut fungus ameliorates MASH via a secondary metaboliteCerS6–ceramide axis(共存関係にある糸状真菌は二次代謝物-CerS6-セラミド経路を介して非アルコール性肝炎を軽減する)」だ。
この研究の前半は、大便中に存在する真菌類を特異的にキャプチャーする方法を開発し、大便中から55種類の真菌を特定している。ただ、多くの真菌は空気中から大便サンプルに混じることが多く、腸内に定着しているかを決めるのは難しいことが多い。ただ、体内温度と同じ条件で増殖できるか、あるいは嫌気性条件で増殖できるか、そしてマウス腸内への移植実験から実際に腸内へ定着できるかなどから腸内真菌として考えて良い真菌リストを作成している。
ただ、この研究のハイライトは、嫌気性の大腸に間違いなく定住しており、それを裏付けるようにマウスに口腔から摂取させると腸内に確かに定着できるFusarium foetensに焦点を当てて研究を進めている。おそらく最初からこの種に絞っていた感がある。なぜ非アルコール性肝炎 (NASH) との関連を調べることになったのか理由ははっきり示されないが、NASHモデルでこの真菌を腸内に移植すると、脂肪肝を強く抑えることを発見する。すなわち、真菌の一つFusarium Foetensを食べさせることで、高脂肪食によるMASHの発生を抑えることができる。
この抑制メカニズムをさらに探索した結果、この真菌が存在すると腸内や血中のセラミド濃度が低下することをあきらかにしている。メカニズムだが、この真菌が存在すると腸内や血中のセラミド濃度が低下する。
これまでの研究でセラミドはNASH成立に大きな役割を演じていることがわかっており、今回の結果はこの真菌により腸の細胞によるセラミド合成が抑制された結果であることがわかった。そして、この背景にある分子メカニズムとして、この真菌によって分泌される分子がCer6と結合し、セラミド合成を阻害していることが明らかになった。
そして有機化学的方法を駆使して、この真菌により合成されCer6を阻害する代謝中間物を特定している。そして、この真菌でなくてもFF-C1と呼ばれる化合物を投与することで、腸内でのセラミド合成を阻害し、NASHが発生するのを阻害できることを示している。
以上が結果で、これまで明確な治療方法がなかったNASHを、この真菌を定着させたり、あるいはFF-C1代謝物を投与して抑える可能性が生まれたことは重要だ。例えば真菌入りヨーグルトでメタボによる肝炎発症を抑えるというような使い方もあるかもしれない。
2025年5月4日
ガン遺伝子やガン抑制遺伝子の概念が確立してからは、ガンが発生するためには様々な遺伝子変異が重なることが必要であるという多段階説が広く受け入れられている。その結果、例えば正常の細胞がガンと同じセットのガン遺伝子変異を持っていても、まだハードルが越えられていないだけだと、不思議に思わなくなっていた。
今日紹介するカナダトロントにあるMount Sinai病院からの論文は、発ガン遺伝子セットが揃ってもガンにならない細胞がもつ共通メカニズムをしつこく調べ、ちょっと意外な結論に到達した研究で、4月30日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Cell cycle duration determines oncogenic transformation capacity(細胞周期の長さがガンへの転換を決める)」だ。
この研究の設定が面白い。網膜芽腫の発生頻度からRb1遺伝子がガン抑制遺伝子として働いていることを分子生物学がまだ進んでいなかった時代に突き止めて、ガン抑制遺伝子研究のきっかけを作ったのは京都賞を受賞したKnudsonさんだが、このグループもマウスでRb-1遺伝子を欠損させたときに網膜細胞で起るガンの発生をモデルにしている。ただ、人と違ってマウスの場合、Rb-1だけを欠損させてもp107と呼ばれる分子が発現して穴を埋めるので、実験では両方を完全欠損したマウスを使っている。このマウスでは100日後にほとんどのマウスではっきりとしたガンが網膜に発生する。
しかし生まれてから経時的に網膜を調べると、異常増殖はすでに生後8日目から始まっている。しかも、網膜を形成するほとんどの神経細胞で同じように異常増殖が起こる。ところが、ガンへと伸展するのはアマクリン細胞だけで、他の神経細胞はこのセットが揃っていてもガンにならない。
これまでこの違いは、例えば細胞死の起こりやすさ、免疫感受性、など様々な説明がされており、私自身も納得していた。
この研究は異なる細胞をそのまま比べるのではなく、アマクリン細胞のガン化を抑制する遺伝子操作を行い、この操作で変化する過程を調べている。Rb-1/p107 両方が欠損したマウスに、細胞周期調節に関わるp27-CDK経路を調節しているskp2ユビキチンリガーゼを欠損させるとガンが起こらないことが知られている。さらに、skp2の発現量が半分に低下させたマウスでも発生率が低下する。Skp2はp27を分解するので、この結果はRb-1欠損による発ガンにp27が必須であることを示している。
そこで、p27経路が欠損してガン発生が防止されるとき、細胞のどの過程が変化しているのか詳しく検討している。例えば、ガン遺伝子セットが発現しても細胞が死んでしまってガンにならない可能性を生後すぐの網膜で調べると、他の細胞と同等にアマクリン細胞もアポトーシスを起こしているし、skp2が欠損したマウスでもこの状態は変わらない。同じように、細胞老化も、免疫サーべーランスも、あるいはDNA損傷などこれまでガン化を阻止している要因として知られている様々な過程も、調べる限り決定的な要因ではないことを確認している。
その上で、skp2ノックアウト網膜アマクリン細胞で起こっている変化を調べると、細胞周期に関わる遺伝子の発現が目立って変化していることがわかった。そこでDNA合成の速度を調べる目的でEdUを30分間取り込ませたあと、2.5時間後に今度はBrdUを取り込ませ、両方がラベルされる頻度から細胞周期全体の長さとS期の長さを調べる凝った方法を用いて、ガン化が防がれている細胞ではS期ではなく細胞周期全体が延長していることを明らかにしている。即ち、細胞周期の短い細胞で発ガン変異セットが起こったときだけガン化することを明らかにしている。実際、Rb-1/p107欠損マウスで網膜の様々な細胞の細胞周期を調べると、ガン化するアマクリン細胞が他の細胞に比べて大きく細胞周期の時間が短い。
S期の長さは変わらず、しかもp27/CDK2の活性が落ちると細胞周期全体が延長することから、おそらくG1/S期が延長していると考えられるので、ガンの変異セットがCDK2活性が高くG1/Sへの移行が早い細胞で発生すると、ガン化すると考えられる。
残念ながらこれ以上のメカニズムは調べられていないが、代わりに他のガン化変異セットでも同じことが言えることを、脳下垂体、肺ガンなどで明らかにしている。結果は以上で、これまで考えもしなかった要因がガン化を決めるというので驚いた。もし本当だとすると、遺伝的にガンのリスクの高い人は、間欠的に細胞周期を延長する薬剤を摂取することでリスクを下げる可能性もある。
2025年5月3日
アルツハイマー病 (AD) の腫瘍病理は異常Tauによるシナプス喪失、そして神経変性により形成されるとされているが、病理学的変化が起こるまでにシナプス伝達の低下や細胞内カルシウム制御異常が起こることも報告されている。
今日紹介する University College of London からの論文は、この問題に神経生理学的手法を用いてチャレンジした研究で、4月28日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Alzheimer’s disease patient-derived high-molecular-weight tau impairs bursting in hippocampal neurons(アルツハイマー病患者さん由来の高分子量Tauは海馬神経細胞のバースト発火を低下させる)」だ。
読んでみるとこれまでこのような研究が行われなかったのかと思うくらい、シンプルな問題設定を行い、実験を行っている。即ち、ADの海馬神経の生理学的変化をクラスター電極で検出することから始めている。人間でもマウスでも海馬の神経細胞の活動を記録すると、一本のスパイクとして検出される興奮とともに、興奮がクラスターしてみられるバースト発火が見られる。
これをアミロイドβとTauの両方の異常が起こるマウスの脳で記録すると、特にバースト発火が低下していることがわかった。ここまで読んで、こんな実験が今まで行われていなかったのかと驚くが、気にしないで進むことにする。
バースト発火の低下がアミロイドβの異常か、Tauの異常か、を調べるため、それぞれ単独の異常が起こるマウスで調べると、Tauの異常が起こるマウスのみでバースト発火の低下が観察される。従って、Tauが神経内でバーストを抑える働きをしていると想像される。
そしてこの論文のハイライトになると思うが、このバースト発火の低下は、Tauの凝集が始まるよりずっと前に検出される点で、おそらくTauのリン酸化が始まる時期にすでに生理的変化として現れ、その後凝集によるシナプス喪失や神経変性に繋がっていくと考えられる。そして、この生理学的変化はCAV2.3カルシウムチャンネルの発現がTauにより低下させられる結果であることを明らかにしている。
そして、Tauが神経細胞のバースト発火を抑えることを直接示すため、神経生理学の極致と言える実験を行っている。即ち、マイクロピペットで様々な形のTauを細胞内に導入し、その神経のバースト発火を検出している。この結果、リン酸化を受けて多量体を形成し始めているが、まだ繊維状の凝集には至っていない可溶性の高分子Tauを細胞内に導入したときに、CAV2.3タンパク質の発現低下とそれに伴うバースト発火の低下が起こることを突き止めている。
結果は以上で、おそらくTauを細胞内に直接注射したあと、長時間神経活動を連続記録した研究は初めてではないだろうか。最近紹介したようにリン酸化Tauは早期からAD患者さんの血清に見られる。このように早くからリン酸化Tau、そしてその結果としての高分子Tauによるバースト発火の抑制が見られるとすると、ADでの認知障害は少なくとも生理的変化の段階と病理的変化の段階の2段階に分けて考える必要があるだろう。今後生理学的変化がADの症状や進行にどの程度関わるかなど、生理学的異常の意義を詳しく知る必要がある。特にCAV2.3の役割とADの関わりを解析することは重要だ。もし、この段階が明らかにシナプス喪失や神経変性と直接繋がっているなら、この時期を標的にすることでADの予防が可能になるかもしれない。
2025年5月2日
オーストラリアは伝統的に免疫学に強みを持っており、学生時代からM.Burnetやその弟子のNossal 、また胸腺の役割を解明したJacque Millerが活躍していた。個人的印象と断っておくが、ユニークな方法論を駆使して仮説を証明する研究が多い様な気がする。例えば、リンパ節の輸出リンパ管から流れてくるリンパ球を集めてリンパ球が再循環していることを示した研究などはその典型だろう。
今日紹介するオーストラリア シドニーにあるGarvan医学研究所からの論文は、リンパ節内でのメモリーB細胞の動きをモニターする独自の技術を用いて、抗原を注射した側のリンパ節でのメモリーB細胞の動きが抗原を経験しないリンパ節とは全くことなることを示し、ワクチン接種で2度目のブーストは同じ側の腕に行うことが重要であることを示した研究で、4月24日 Cell にオンラインに掲載された。タイトルは「Macrophages direct location-dependent recall of B cell memory to vaccination(ワクチンに対する局所依存的B細胞メモリー反応はマクロファージにより指示される)」だ。
コロナワクチンは最初は2回に分けて接種され、まずプライミングで記憶を誘導したあと、もう一度ブーストでB細胞メモリーの強い反応を誘導するプロトコルがとられた。Gowansたちが発見したように、メモリーB細胞は再循環するので、2回目のブーストは同じ腕に接種する必要がないように思われるが、実際には局所に免疫メモリーがより多く残存している可能性を考え、同じ腕にブーストすることが勧められていたと思う。私も聞かれたとき、同じ腕の方がいいと思うと答えていた。
この研究はこの問題を動物と人間を用いてメカニズムレベルで解明しようとしている。使われたのはこのグループが独自に開発した、リゾチーム抗原に対するメモリーB細胞をリンパ節内でライブイメージングする技術で、ホストと区別できるB細胞を注射したマウスの片方の脇腹に抗原を注射、支配リンパ節でのメモリーB細胞の行動を追跡している。
生きたマウスのリンパ節で、ここまで美しいイメージングが可能なのかと驚くが、抗原を注射した側のリンパ節 (dLN) での動きは反対側のリンパ節 (ndLN) と全くことなっていることが明らかになった。即ちdLNではメモリーB細胞はマクロファージが並ぶリンパ節被膜近くを移動し、あまり胚中心には移動しない。一方ndLNでは通常の再循環型のメモリーB細胞の示す行動、即ち皮膜から胚中心までまんべんなく移動している。この移動は被膜下のマクロファージ層により調節されており、CSF-1受容体をブロックしてマクロファージ層の形成を妨げると、メモリーB細胞の動きは止まってしまう。
この抗原でプライムされた側のdLNのメモリーB細胞とマクロファージ層との相互作用は、次のブーストの結果に大きな影響を持つ。抗体反応ではなく、リンパ節内でのB細胞の反応を調べるとdLNでは抗原特異的メモリーB細胞の増殖は10倍以上になり、これはブーストを受けたdLNでメモリーB細胞が速やかに胚中心に移行してT細胞などと相互作用する結果であることがわかる。このことから、ブーストに対するメモリーB細胞の反応は抗原でプライムされた側で圧倒的に高く、これに抗原に暴露されたマクロファージが関わることが示された。しかも、ブーストにより胚中心へと速やかに移行するため、抗体の親和性をブーストに合わせて調節することも可能になる。即ちバリアントの抗原にも対応できるようになる。このとき、抗原でプライムされたT細胞は当然重要な働きを演じているが、胚中心へをメモリーB細胞をリクルートするのはあくまでも被膜下のマクロファージだ。
この行動の差を誘導する分子メカニズムを探索しているが、おそらく様々な相補的分子がマクロファージとメモリーB細胞で働いて、B細胞の移動を決めていると考えられる。実際、接着因子やケモカインなど様々な分子の発現がdLN側で上昇している。
そして最後に以上のマウスの結果を人間のCovid-19ワクチンで試している。即ち、一回目の摂取の後、2回目を同じ腕と、反対側の腕に接種するグループに分け、ブースとした後抗体価をを調べると同時に、リンパ節のニードルバイオプシーを行い、細胞の反応を調べている。
結果は予想通りで、抗体価で見ると同じ腕にブーストした方が早く強い反応が得られる。また、他のコロナウイルスバリアントに対する反応も同じ腕にブーストした方が誘導できる。そして、この反応の違いが胚中心のメモリーB細胞の増殖がdLN側で強く起こっている結果であることを示している。
以上が結果で、ワクチンは同じ腕に接種する方が良いことをメカニズムレベルで示した面白い研究で、オーストラリア免疫学の伝統の感じられる研究だと思う。
2025年5月1日
4月23日 Nature にオンライン紹介されたフェニキア人ゲノムに関する論文は、すでに多くのメディアや研究者により紹介されており、わざわざ私が紹介するまでもないとスキップする気でいたが、読んで興奮したのとフェニキアに対して私なりに調べたことがあったので、独断と偏見をいとわず自分流に紹介することにした。
まずこの論文はハーバード大学のゲノム歴史学の世界の中心と言っていいDavid Reich研究室から発表された論文だ。Reich研究室からの論文はこのホームページでも何度も紹介したが、古代ゲノム科学としてだけでなく、歴史書を読むような興奮を経験できる論文が多く、ゲノム時代のシュリーマンと密かに名付けていた。事実、Reichグループからの論文は、伝聞などの歴史的記録が存在して考古学的議論が行われている歴史的事象を選んで、伝聞についての議論をゲノムから確かめ直す研究が多い。
今日紹介する論文はフェニキアを研究対象としており、フェニキアという都市国家がどう成立していたのかについて100体に上るゲノムを詳細に解析して調べている。タイトルは「Punic people were genetically diverse with almost no Levantine ancestors(ポエニの人たち(フェニキア人)は遺伝的に多様でレバントの先祖とはほとんどつながりがない。)」だ。
論文の紹介の前に、私がフェニキア人に興味を持っていた理由についても述べておく。理研CDBを退職したあと5年ほどJT生命誌研究館の顧問を務めていたが、その時、頭の整理をかねて、ゲノム科学、生命誕生、ゲノム進化、脳進化、言語誕生、そして文字誕生に至るまで、当時の論文を読みあさって自分なりの考え方をまとめた。このときの蓄積が分野を超えて論文を理解するのに本当に役立っているが、生命誌研究館最後の1年前は文字の誕生に集中して調べた(JT生命誌研究館のHPからも見られるが、このHPでも再掲しているので読んでいただきたい*https://aasj.jp/news/lifescience-current/11129)。この時、母音のないフェニキア文字を自分の言語に適応させる過程で最初の表音文字ギリシャ文字が発明される経過に一章を割いてまとめているが、地中海に散らばった2つの都市国家の文字を中心とする文化力に驚いていた。
当時からフェニキア人は、言語、文字、文化、そして宗教まで共有する集団だが、民族的には単一でないと考えられていたが、そのルーツは現在のイスラエル、レバノンに相当するレバント人を地中海へ分散する過程で地元民を巻き込んで形成された都市国家ではないかと考えられてきた。
この研究では、紀元前5−8世紀にかけて地中海に散らばったフェニキア人都市に埋葬されている骨からDNAを分離し、最低2万以上のSNPが解読できた157人のゲノムを解析している。もちろんゲノムだけでなく、炭素同位元素による正確な年代測定を行うとともに、同じ場所から出土したゲノムについては詳しい家族関係まで調べている。
結果は明確で、フェニキア人と確認できるこれらの人たちのゲノムは多様で、フェニキア人としてのゲノム統一性はほとんど存在しないことがわかった。そして、フェニキア人の由来とされるレバントのゲノムは、レバント近辺で都市国家を形成したフェニキア人には受け継がれているが、他のフェニキア都市にはほとんど見つからない。
逆に、フェニキア都市が形成される前の先住民のゲノムと比べると、それぞれの都市のフェニキア人には先住民のゲノムが受け継がれていることがわかった。即ち、フェニキア人がレバントから移動して地中海に植民都市を形成したのではなく、様々な形でフェニキア文化が伝えられ、各地で文化を共有した人たちによってフェニキア都市が誕生していることがわかる。
もちろん文化は人によってもたらされることから、極めて少ないが(今回の研究では3人)、レバントのゲノムを持つゲノムが、他の地域から発見されている。このようにフェニキア文化はおそら宗教のように伝えられていったのではないだろうか(と私には見える)。また、フェニキア都市間では主に男性の移動があった証拠もさまざま見つかっており、例えば、Y染色体の多様性が大きいことは、航海を通して少ないが男性の交流が存在したことを示している。さらに、7親等以内の親戚関係にある個体がシチリアと北アフリカのフェニキア都市に海をまたいで見つかっており、都市間で男性の移動はあったと考えられる。
他にも近親相姦の頻度なども調べているが、今回は割愛する。以上紹介した結果だけで本当に興奮する。即ち文化が異なる民族にそっくり伝わって、フェニキア人の統一性が成立している点だ。即ち、優れた文化や経済は人間をまとめる力があり、生殖とは無関係に、脳のレベルでフェニキア人が拡大したことになる。これに宗教がどのような役割を演じたのかも興味を引く。
カルタゴとギリシャの戦争の例からわかるように、もちろん文化の共有だけで国家を維持していくのは簡単でない。ただ、数百年にわたってこのような都市国家が維持されたことも確かで、それを可能にした要因について、今度は考古学から新しい視点が生まれることを期待する。
2025年4月30日
Covidパンデミックの頃BCG摂取による免疫トレーニングにより、特異性の異なるコロナウイルスに対する反応が高まる可能性が盛んに議論された。同じようなトレーニングがガン免疫にも存在することは十分考えらるが、ヒトのガン免疫に関する報告はあまり見かけない。
ずいぶん前、2015年に双生児の免疫状態を200項目もしらみつぶしに調べて、免疫状態はトレーニングにより作られることを示したM.Davis の研究を紹介した(https://aasj.jp/news/watch/2743)が、このとき免疫状態に最も影響力が強いのがサイトメガロウイルス (CMV) の感染であることが示されていた。
今日紹介する英国オックスフォード大学を中心とするグループからの論文は、このCMV感染によりガン免疫が高まることを示した研究で、4月23日 Nature Medicine にオンライン掲載された。タイトルは「CMV serostatus is associated with improved survival and delayed toxicity onset following anti-PD-1 checkpoint blockade(CMVに対する抗体の有無はチェックポイント阻害治療の効果を高めるとともに、副作用の発生を遅らせる)」だ。
この研究では転移性のメラノーマでチェックポイント治療を受けた患者さん341人のコホート研究で、この中にはPD-1抗体単独治療と、PD-1+CTLA-2抗体併用両方を含んでいる。この患者さんをCMV抗体を持つ感染者と非感染者に送別して調べると、CMV感染者は末梢のリンパ球の数が多く、またガンの予後に関わる白血球・リンパ球の比率が低く、その結果としてCD8キラーメモリー細胞も高まっている。
この免疫状態に呼応して、PD-1単独治療の場合、CMV感染者の方が圧倒的に治療効果が高い。この原因を遺伝子発現を手がかりに探索すると、CMV感染者ではインターフェロン産生型のT細胞へと誘導するTBX21の発現が高まっている。また、CMV感染の有無を問わず、T細胞のTBX21発現の高い患者さんでは生存期間が延びている。これらの結果から、CMV感染により免疫システムがトレーニングを受ける過程でTBX21を発現するようになり、この結果キラー活性の強い、またインターフェロン分泌も行うT細胞が誘導され、ガンの増殖を抑制すると考えられる。
面白いのはPD-1+CTLA-4抗体を併用している患者さんでは、CMV感染にかかわらずTBX21を発現しており、感染の効果は見られない。
このように非特異的に免疫反応性が高まっているとすると当然副作用が問題になると思うが、不思議なことにグレード3の高い副作用の頻度が低下しており、副作用を抑えるためのステロイド投与の必要性も減じている。中でも、腸炎や肺炎の頻度は大きく低下する。ただ難しいのは、皮膚の副作用は上昇しており、今後のメカニズムの解明が必要だと思う。
最後に、CMV感染者のメラノーマの発生率を調べると、BRAF変異を持つメラノーマの発生率がCMV感染で低下していることが明らかになった。
以上、CMVは我々の身体に住み込んで免疫が低下すると重症の感染を引き起こすが、我々の免疫をトレーニングすることでガンから守っていることがわかった。2015年のMark Davisの論文を思い出しながら面白く読んだ。
2025年4月29日
現在アルツハイマー病 (AD) の発生プロセスに関しては、アミロイドβ (Aβ) の蓄積が最終的にはTauのリン酸化、細胞内蓄積、そして細胞間伝搬を伴うTaunopathyを誘導しないと神経細胞変性は起こらないと考えられている。しかしマウスにADを発症させるモデルのなかには、3種類のヒトの遺伝的Aβ変異を2種類のAβを切り出す酵素プレセニリンの変異と組み合わせた5xFADマウスのようにTaunopathyをそれほど起こすことなくシナプス喪失が起こることがある。おそらくTaunopathyも誘導されると思うが、Aβ蓄積だけでも炎症を誘導してシナプスの変化が起こる可能性を示しておりAD病理の複雑さを示している。
今日紹介するカリフォルニア大学サンディエゴ校からの論文はAβとシナプス喪失を直接繋いでいるメカニズムの一つにPHGDH分子が存在することを示した研究で、4月23日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Transcriptional regulation by PHGDH drives amyloid pathology in Alzheimer’s disease(PHGDHによる転写調節がADに起因するアミロイドプラーク病変を誘導している)」だ。
この研究で着目したのは最近示されたADの海馬や前頭葉ではグルコース代謝でフォスフォグリセリン酸をフォスフォヒドロキシピルビン酸に変換する酵素PHGDHで、この作用はセリン合成に必須であることから、セリン供給が増えてグルタミン酸受容体の過剰活性がADを誘導すると考えられていた。
この研究ではAβとTauの変異を誘導した3xTgマウス脳局所にPHGDHを過剰発現させるとAβプラーク形成とシナプス喪失を高められることから、PHGDHがADの病理に直接関わることを確認したあと、ヒトES細胞から誘導した脳オルガノイドにヒト血清を加えてAD様の病変を発生させる大変なモデル系を用いて、AD誘導とともにPHGDHが上昇すること、そしてこのときPHGDH発現をノックダウンで抑制するとAD病理の発生を抑えられることを明らかにしている。
このようにPHGDHはADのマーカーだけでなく、AD 発症に直接影響する分子であることが明らかになった。そこで、このメカニズムを探索する目的で、まずセリン合成に関わる酵素活性部位を欠損させたPHGDHをオルガノイドに導入する実験を行ている。結果は驚くべきもので、酵素活性がノックアウトされたPHGSDHでもAD病理と促進することができる。すなわち、この分子はセリン供給とは別の経路を介してAD病理を誘導していることになる。
そこでPHGDHの様々な部位を変異させ、AD病理誘導能力を調べると、核移行シグナルとbHLH構造が必須であること、即ち一種の転写因子として働いてAD病理誘導に手を貸していることが明らかになった。
そこで、PHGDHにより変化する遺伝子発現の中から、AD病理発生に最も関わる遺伝子を探索し、PHGDHが発現することで起こる変化の中で、IKKとHMGB1が最も重要であることを突き止める。即ち、PHGDH発現上昇とともにこれらの分子の発現が上昇し、またそれぞれをオルガノイドでノックダウンすると、オルガノイドでのAD病理の発症を抑えることができる。
IKKはNFκBを介して炎症を誘導し、またHMGB1はTLRなどの発現を調節して炎症誘導に関わることがわかっている。また、PHGDH効果によるAD病理ではTaunopathyの関与は少ない。即ち、PHGDHはAβ蓄積と炎症を直接つなぐ分子であることを示している。
幸いこれまで開発されたPHGDH阻害剤の中には分子の立体構造を変化させる阻害剤があり、これを用いるとIKKやHMGB1の遺伝子誘導に関わる転写調節因子としての作用も抑制できることがわかった。この化合物を脳オルガノイドのAD病理誘導系に加えると、Aβ蓄積、シナプス喪失を防ぐことができる。最後に、Taunopathyの影響の少ない5xFADマウスに投与すると、認知機能の改善が見られた。
以上が結果で、Taunopathyだけでなく、場合によっては炎症誘導だけでAD病理が起こることを示した面白い研究だと思う。
2025年4月28日
神経細胞と同じで、脂肪細胞は大人になると新しいリクルートがないと考えられてきた。即ち、脂肪太りはもっぱら脂肪細胞が大きくなる結果で、数は増えていないことになる。これに対し、人間の神経細胞が成長後も増殖をしていることを原爆実験時に取り込んだアイソトープの減衰から調べた同じ方法を用いて、脂肪細胞も増殖していることが証明された。
今日紹介する米国シティーホープ医学センターからの論文は、さらに一歩進んで、発生後一度は新しいリクルートが途絶えた脂肪細胞が、中年になると俄然新しい細胞がリクルートされることが我々の中年太りの背景にあることを示した研究で、4月25日 Science に掲載された。タイトルは「Distinct adipose progenitor cells emerging with age drive active adipogenesis(年齢とともに新しく出現する特別な前駆細胞により年齢に伴う脂肪合成が起こる)だ。
新しい脂肪細胞のリクルートを調べるため、成長期に分化した脂肪細胞の全てを遺伝的に標識する方法を用いることで、新しいリクルートが寄与した場合、標識細胞が薄まって行く現象を使っている。結果は、これまで示されてきたように新しいリクルートがあることが確認されるのだが、驚くことにこのリクルートはマウスが9ヶ月例になるまでにはほとんど見られず、9ヶ月目ぐらいから急速に新しい脂肪細胞が作られて脂肪組織に供給されることがわかった。そして12ヶ月例を超えるとこのリクルートは減少するので、マウスで言えば一種の中年期に新たな脂肪細胞合成が起こって、肥満の原因になっていることになる。
次に異なる時期の脂肪細胞を移植する実験から、若いマウスの脂肪細胞は新しい脂肪細胞を供給する能力は低く、12ヶ月例の白色脂肪組織にリクルーターが存在していることを確認している。
次に脂肪組織の single cell RNA解析から、中年期に数が増えてくるリクルーター集団を特定し、なんとES細胞の維持にも用いられるLIFに対する受容体とPDGF受容体αを同時に発現している細胞としてセルソーターで生成することができることを発見する。
この集団を取り出して試験管内で培養すると、12ヶ月例の脂肪組織では増殖性の高い細胞を分離することができ、この培養に脂肪細胞分化のカクテルを加えると脂肪細胞への分化を観察することができる。また、この細胞を精製して移植する実験を行うと12ヶ月例の幹細胞は組織内で強く増殖して組織の脂肪細胞を増加させることを確認している。
このように脂肪細胞をリクルートするこれまで記載されていない幹細胞をLIF受容体とPDGF受容体αを組み合わせて特定できるようになったわけだが、LIF受容体はたまたま発現しているだけなのか、幹細胞の増殖に必要なのかをノックダウン実験や、阻害剤を用いて検討し、脂肪幹細胞の増殖にLIF受容体が必要であることを明らかにしている。また、若いマウスの脂肪細胞にLIF受容体を過剰発現させる実験も行い、増殖能が2倍に増えることを示している。
LIF受容体阻害自体は正常組織にあまり大きな影響がないので、脂肪幹細胞が働き出す9ヶ月目から10週間長期に阻害する実験も行い、内臓脂肪が選択的に減少することを明らかにしている。
最後に、人間の中年男性から脂肪組織を提供してもらい、PDGR受容体αとLIF受容体を発現している脂肪幹細胞が中年のヒトにも存在することを明らかにしている。 以上が結果で、もちろん代謝で脂肪細胞が肥大することも重要な要因だが、中年になると脂肪細胞自体が、特に内臓脂肪でリクルートしやすくなっているということで大変面白い研究だと思う。ただ、人間でも同じかどうかはこの研究だけでは不十分なので、是非調べていってほしい。
2025年4月27日
現在まさに移動中で飛行機を待っているところなので、時間のかからないということで、ハワイの希少な習性を持つ毛虫のゲノムを決定したというハワイ大学からの論文を紹介する。タイトルは「Hawaiian caterpillar patrols spiderwebs camouflaged in insect prey’s body parts(ハワイの毛虫の一種は蜘蛛の巣をパトロールして餌を探し、餌の死骸を身体に巻き付ける)」だ。
要するに極めて珍しい毛虫をふ化させたあと、許可を得てゲノム配列を決定したという話だ。「で、どんな珍しい毛虫か?」ということになるが、百聞は一見にしかずなのだが、この論文はオープンでないので写真が見られない。そこでググった結果、Scientific Americanにこの論文に掲載されている論文が全て再掲載され、アクセスできることを知った。そこでURLを掲載するのでまずご覧いただきたい(https://www.scientificamerican.com/article/carnivorous-bone-collector-caterpillars-wear-corpses-as-camouflage/)。
まず毛虫だが、最初の写真にあるように、caterpillerが自分の周りに棘のようなキチン質を巻き付けているのがわかる。この棘の由来を観察していると、蜘蛛の巣に残っている昆虫の死骸から切り出してきて、ちょうどいい長さに剪定して巻き付けていることがわかる。そのため、連続殺人犯についての推理小説のタイトル bone collector という名前がつけられている。
この死骸をどう調達しているかだが、同じウェッブサイトの2枚目の写真は、bone collector が卵を抱えたクモと、同じ蜘蛛の巣に(といっても美しいウェッブというより、シート状の蜘蛛の巣を指す)存在しているのがわかる。
そしこの bone collector が蜘蛛の巣をパトロールして残った死骸や、あるいは引っかかったばかりの昆虫を餌にしている、珍しい肉食のcaterpillerであることがわかる。しかも、同じ巣の上で、同じ種同士が殺し合うことが観察される。この結果、一つの蜘蛛の巣には1匹の bone collector だけが存在する。
この種は極めて出会うのが難しく、オアフ島の15平方Kmの限られた場所でしか見つかっておらず、これまで22年にわたり150回以上の生態調査が行われ、全体で62匹しか見つかっていない。面白いのは、この死骸を身体に巻き付ける結果、bone collector がクモに襲われた例は全く見つかっていない。
このcaterpillarの一匹を孵化させて、標本を作るときに腹部からDNAを取り出し、ゲノム解析を行っている。その結果、太平洋で孤立したハワイ諸島のヒポスモコマ属の一員で900万年前に分岐してそのまま現在まで続いていることがわかった。
以上が結果で、ともかく習性が面白い昆虫を大事に孵化させ、なんとかゲノム解析まで進んだという研究で、ゲノムの意味についてはこれからの話になるが、絶滅危惧種というより絶滅してしまったかもわからない状態の昆虫なので、おそらく研究はネアンデルタール人の研究と同じような考古学的研究になると予想できる。