11月19日 前立腺ガンのエピジェネティック異常を標的にする(11月15日 Science Translational Medicine 掲載論文)
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11月19日 前立腺ガンのエピジェネティック異常を標的にする(11月15日 Science Translational Medicine 掲載論文)

2023年11月19日
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前立腺ガンというと、日本ではほとんどくわしい病理型にこだわらず、遺伝子診断といっても BRACA 程度で対応しているようだが、実際には様々なタイプが存在する。この中には、アンドロゲン受容体の関与がほとんどない去勢抵抗性前立腺ガン(CRPC)、さらに神経内分泌細胞へと形質転換が起こっている小細胞ガン( NEPC )が存在し、例えばこのような悪性型では Rb1 遺伝子が欠損するケースが多いことなど、ゲノム分類も進んでいる。さらに NEPC への形質転換でわかるように、エピジェネティックス異常も以前から指摘され、悪性転換に重要な役割を演じていると考えられている。

今日紹介するハーバード大学からの論文は、前立腺ガンのエピジェネティックス異常の一端が DNA メチル化酵素の発現上昇に起因し、これを標的にすることで、他のガンの標的分子まで誘導して新しい治療が可能であることを示した面白い研究で、11月15日号 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「Targeting DNA methylation and B7-H3 in RB1-deficient and neuroendocrine prostate cancer( RB-1欠損および神経内分泌型前立腺がんのDNAメチル化と B7-H3 を標的にした治療)」だ。

エピジェネティックス調節機構は複雑だが、この研究では色々考えず、まず DNA メチルに絞って見ている。典型的前立腺がん(PCA)、CRPC、および NEPC で調べると、NEPC が圧倒的に高い。そこで、この高い発現がガンの増殖に寄与しているか調べるため NEPC から DNMT1 や DNMT3A をノックアウトすると、どの処理でも増殖が低下するが、メチル化維持に関わる DNMT1 ノックアウトが最も効果が高い。そこで DNA メチル化全体を阻害するデシタビンにもガン抑制作用があるかを調べ、移植腫瘍の増殖を抑制する効果があることを確認する。

これだけでも、NEPC タイプの治療の幅が広がる結果で重要だが、このグループはメチル化酵素の上昇と Rb-1 欠損の相関に着目し、PCA から Rb-1 をノックアウトする実験で、Rb-1 が欠損すると、メチル化酵素が高まり、エピジェネティックス異常が誘導される結果、悪性化する経路を明らかにする。すなわち、Rb-1 欠損の有無は、前立腺ガン治療に関しても重要な情報になる。

さらに面白いことに、前立腺ガンの DNA メチル化阻害によって、一種のチェックポイント分子 B7-H3 の発現が上昇することを発見する。B7-H3 に関しては我が国の第一三共により開発された、抗 B7-H3 抗体にトポイソメラーゼ阻害剤を結合させた新しい薬剤 DS7000a が存在するので、デシタビンとの併用療法が可能か調べ、デシタビン投与により H7-H3 発現をより高めて、DS7000a の効果をより高められること示している。

結果は以上で、前立腺ガンもゲノム検査をしっかりやって、RB-1 欠損の場合は、遺伝子発現検査を行うことで、デシタビン+DS7000a治療を選択できることを示している。さらに、DNAメチル化酵素が上昇するケースでは、DNA修復に関わる酵素の発現も変化する可能性があり、他の治療法の効果も予測できる可能性がある。このようにゲノム検査から発現検査まで、ガンに即した治療を行うことが重要なのだが、これがいつ我が国でも可能になるかを考えると暗澹たる気持ちになる。

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11月18日 グループを超えた助け合いの芽生え:ボノボ(11月17日号 Science 掲載論文)

2023年11月18日
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今年は熊本にある京大霊長類サンクチュアリー(写真)、及びベルリン動物園で初めてボノボを見ることが出来た。Frans de Waalさんの「Bonobo and Atheism」を読んで以来、いつかはボノボを見たいと思ってきたが、ようやくそれがかなった。

ボノボとチンパンジーは遺伝的には最も近縁の種だが、社会行動学的には違いが際立っている。一言で言えば、ボノボは平和的で、自然発生的道徳の起源がわかるのではと研究が行われている。

今日紹介するドイツ霊長類研究所とハーバード大学人間新科学研究所からの論文は、コンゴでの2つのボノボグループを2年間観察し続け、グループを超えて生まれた協力関係を調べた研究で、11月17日号 Science に掲載された。タイトルは「Cooperation across social borders in bonobos(社会的境界を越えたボノボの協力関係形成)」だ。

ヒト以外で、グループを超えた協力関係を観察できるのはボノボとイルカぐらいで、グループ間で殺し合いの抗争に至るチンパンジーでは研究できない。この研究では2年間で両グループが出会ったとき、グループ内で見られるのと同じ、グルーミングや、協力行動、さらには食べ物を共有することまで行われることを明らかにしている。

その上で、行われた協力を個体レベルで解析すると、グループ内で他の個体と相互作用する機会が多い個体ほど、他のグループとの個体と相互作用する機会が多いことがわかった。すなわち、社交的な個体ほど、グループ内に限らず他グループの個体とも相互作用する。

面白いのは、それぞれの行動は独立しており、グルーミング友達が必ずしも協力しやすいというわけではない。そして、一般的にメスの方が社交的といえる。一方、個体同士で小競り合いは起こるが、社交的な個体は小競り合いが少ないこともわかる。すなわち、争いを嫌う個体ほど、社交性がある。

食べ物を共有する行動は、リターンがあるかどうかわからないときに、相手に食物を提供することから始まるが、この関係図を見ると、ほとんどのケースはグループ内のみで起こるが、数少ない個体ではグループ外の個体と食べ物を分け合う関係が成立している。すなわち、グループ内で食べ物を共有することが多い個体が、たまたまグループ外の個体とも同じ関係を成立させ、絆を深めていくといった感じになる。

以上が結果で、グループ間で協力関係を成立させる社交性を持った個体の存在が、ボノボの平和性、道徳性を支えていることがわかる。ここからは私の勝手な推測だが、今回の関係図から見ても、元々平和的なボノボの社会でも、社交性の個体差は大きいことから、多様性をグループ内で維持できていることが重要で、この社会性の高い個体が、他のグループとの交流を媒介、促進し、最終的にグループ間の交流を成立させている。

今戦争が当たり前になった世界に住む我々こそ、もっとボノボ社会を調べ学ぶべきだろう。

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11月17日 膵臓ガン浸潤T細胞のガンに対する反応性を予測できるか(11月15日号 Science Translational Medicine 掲載論文)

2023年11月17日
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原理的に考えるとガンの免疫療法の成否は、ガン局所に十分な数のガンに対するT細胞が存在するかどうかで決まる。ただ、これまでガン局所のリンパ球( TIL )の解析に限界があったが、single cell RNA sequencing(sRNseq)の出現で大きな可能性が開けた。すなわち、TIL の個々のリンパ球が発現する抗原受容体とリンパ球の刺激状態を相関させることが出来るおかげで、局所で反応しているT細胞をある程度特定できるようになった。

今日紹介するドイツ・ハイデルベルグ大学からの論文は、膵臓ガン局所に浸潤するリンパ球の詳細な解析からガン免疫の活動状態を予測する方法の開発研究で、11月15日 Science Translational Medicineに掲載された。タイトルは「 Transcriptome-based identification of tumor-reactive and bystander CD8 + T cell receptor clonotypes in human pancreatic cancer(膵臓ガンのトランスクリプトーム解析によってCD8T細胞でガン反応性と、バイスタンダーT細胞抗原受容体を特定することが出来る)」だ。

これまでも同じような論文を何回か紹介しているが、この研究はガンのネオ抗原にこだわらなかった点や、将来がん免疫反応予想を行うことを念頭に置いて研究が行われている点が面白い。

9例の様々なタイプの膵臓ガン組織の sRNseq を行い、データを蓄積した上で、まずネオ抗原が多く存在すると期待できる一人の患者さんに絞って解析を行っている。

T細胞を遺伝子発現で展開すると、おおよそ10種類に分けることが出来、それぞれの性質を、例えばエフェクターT、抗原反応後活性抑制が働き出したT細胞と言ったように特定することが出来る。

勿論個々のT細胞の抗原受容体も特定できるが、抗原刺激に反応している細胞の受容体は出現頻度が高まる。この頻度が高かった12種類の TcR受容体遺伝子を、もう一度正常T細胞に導入して、同じ時に採取したガン細胞への反応を見ると、全てがガンに反応するわけではなく、7種類がガンに反応し、残りはガン以外の抗原に反応するバイスタンダーT細胞であることがわかる。

驚くのは、ガン反応性のT細胞と、バイスタンダーT細胞の分布を、先に展開したT細胞マップにかぶせると、ガン反応性のT細胞と、バイスタンダーT細胞を完全に分離できることがわかった。すなわち、ガン反応性のT細胞が今刺激が続いているという状態にあることがわかる。

面白いのは、こうして特定したガン反応性T細胞が、このガンが発現してそうな160種類のネオ抗原のいずれにも反応しなかった点で、最初からネオ抗原を決めてがん免疫反応を調べる方法は常にうまくいくとは限らないことを示唆している。

いずれにせよ、組織内で反応している細胞が特定できたので、これらの細胞の遺伝子発現パターンから、ガン反応性を予想するための遺伝子セットを特定している。こうして明らかにした遺伝子セットを、残りの症例でも、ガンに対する反応性と相関するかどうかを調べ、最終的にガン組織のリンパ球のsRNseq データから、ガン免疫反応性を高い確率で予測する方法を完成させている。

また、チェックポイント治療を行った患者さんをこの方法で調べ直すと、完全寛解例では期待通りスコアが高いことを明らかにしている。

結果は以上で、免疫治療はあまり効果がないと考えられている膵臓ガンでも、手術時の組織をしっかり調べれば、治療可能性を予測できることを示している。しかし、保健収載されなくともこのような診断法を我が国でも提供できるのか、難しい問題だ。

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11月16日 ヒトの遺伝病からわかる免疫の複雑さ(11月8日 Nature オンライン掲載論文)

2023年11月16日
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最近免疫をうたうコマーシャルが目立つ。以前の決まり文句は「免疫力を高める」だったが、コマーシャルを作っている会社もこのような単純化で一般を欺すのを恥じたのか、今度は「司令塔」とぼかしてごまかそうとしている。まあ、欺し欺されるのは世の常だが、科学はそうはいかない。

今日紹介する NFkBコンソーシアムという世界規模の研究集団から発表された論文は、一見ウイルスに対する免疫不全が、実際にはインターフェロンに対する免疫トレランスの破綻で起こっている遺伝病を調べた研究で、11月8日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Autoantibodies against type I IFNs in humans with alternative NF-κB pathway deficiency( 1型インターフェロンに対する自己抗体がオルタナティブ NF-κB 経路不全で起こる)」だ。

全世界を襲ったコロナパンデミックは、感染が重症化する様々な遺伝変異を明らかにしたが、その中にはウイルス防御の第一線と言える 1型インターフェロン(IFN1)に対する自己抗体が原因でウイルス抵抗性が消失しているケースが見つかっている。

このような IFN1 に対する自己抗体が確実に現れるのが、胸腺びっくり動物園で自己抗原を上皮に提示しトレランスを誘導する Air 分子の変異で、勿論他にも様々な自己に対する免疫が出来てしまう。すなわち、リンパ球の異常がなくても、胸腺上皮発生異常を起こす変異は免疫異常につながる。この胸腺上皮発生に重要な働きをしているシグナルがオルタナティブ NF-κB ( NFKB )シグナル経路であることがわかっている。この研究では、ヒトの NFKB 経路の分子の突然変異を集めるコンソーシアムで把握している70人の患者さんの中で IFN1 に対する自己抗体を持つ患者さんを探索し、この経路で発生するシグナルの最後の分子 p52/RelB 複合体の機能が低下すると、IFN1 に対する自己抗体が常に作られるようになり、コロナを含む様々なウイルス疾患にかかりやすく、また重症化することを明らかにしている。

元々 NFKB 経路はリンパ球の機能や他のリンパ組織形成にも必須なので、免疫異常でこの経路の変異が見つかるとそこで納得してしまうのだが、IFN1 に対する自己抗体は、p52/RelB 複合体形成が低下しているケースだけで起こる。

そこで、胸腺トレランスに関わる胸腺上皮の発生を調べると、発生異常とともに、胸腺上皮で自己抗原を提示する AIR 分子が完全に抑制されていることを発見する。また、この経路分子に変異を持つマウスでもこの事実を確認している。

以上の結果から、オルタナティブ NFKB 経路の低下は、リンパ球の発生異常だけでなく、胸腺上皮での AIR 発現を抑え、結果胸腺トレランスの異常が誘導され、これが IFN1 への自己抗体と、それに起因する感染抵抗性異常につながることが明らかになった。

この研究で最も面白いのは、AIR 変異の患者さんでは様々な自己抗体や自己免疫が発生するのに、オルタナティブ NFKB 経路の変異では IFN1 に対する自己抗体以外ほとんど自己抗体が見つからない点だ。これは NFKB 経路自体が免疫反応に関わっており、この変異で免疫反応が低下した結果とも言えるが、それにしても IFN1 だけというのは何か面白い理由がありそうだ。

専門家以外がこんな話を聞いても「わからん」で終わると思うが、免疫に単純化思考は禁物ということを科学者は伝えていく必要がある。

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11月15日 真核生物の染色体を全てデザインされた染色体で置き換えられるか(11月8日 Cell オンライン掲載論文)

2023年11月15日
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PCR を使い始めた頃は、自分たちでプライマーを合成しており、これに最もお金がかかった。その時も将来技術が進み、また利用が増えることでコストは下がると予想していたが、コロナ禍で見たように全国民が PCR 検査を受ける時代が来るとは予想も出来なかった。この技術革新の結果、長い DNA 配列を比較的安価に合成することが可能になり、DNA 合成機で作成したゲノムを持つ生物を合成する「酵母合成プロジェクト」が始まった。

驚くことに、既に酵母の全ての染色体は合成機由来の DNA で作られ、酵母の中で維持されており、現在は合成染色体で本来の染色体を置き換える作業が進んでおり、50%のゲノムが置き換わった酵母が出来たことを示す論文が11月8日 Cell にオンライン掲載されている。

酵母合成プロジェクトは、38億年の進化で形成された酵母本来のゲノムを合成機で作られたゲノムに置き換えるプロジェクトだが、今日紹介するのはこの論文ではなく、同じコンソーシアムがさらに未来を見据えて、現存の生物には存在しない全く人工的なゲノム(ここでは tRNA だけで出来たゲノム)を合成し、それを生きた酵母内で維持できるかにチャレンジした研究で、同じ Cell にオンライン掲載されている。タイトルは「 Design, construction, and functional characterization of a tRNA neochromosome in yeast(酵母の tRNA だけで出来た新しい染色体のデザイン、合成、そして機能的検討)」だ。

酵母は275個の tRNA遺伝子を持っているが、この研究ではこの全てを集めた一つの染色体を DNA合成機で作成し、酵母の中で機能させようとしている。もともと tRNA は重複して存在していることから、発現量が増えることによる問題が少ないと考えられ、tRNA からだけでできた染色体を作るというのはよく考えられたプロジェクトだ。といっても、素人の私が考えても様々な問題がある。例えばホストとの組み換えをどう抑えるのか、複製のための Ori をどう配置するか、テロメアはどうするのか、最終的にリニアな染色体にどうするのかなどだが、専門家から見るとさらに様々な問題が存在する。

詳細は省くが、まず設計段階で考えられる問題を解決できるようデザインしたうえで、設計した染色体の断片を酵母の中で組み立てるための仕掛け、そして将来遺伝子改変が行いやすいように工夫を凝らした染色体を設計し、それをいくつかの部分に分け合成機で合成している。

次に酵母の中で組み換えを繰り返しプレハブを合成するように順番にユニットを組み立て、最終的に182Kbの275種類の tRNA とセントロメアやテロメアを含む、しかし環状の染色体を持つ酵母が出来た。

まず出てきた問題は、新たに tRNA の遺伝子量が倍になったため、tRNA と他の遺伝子とのバランスが壊れてしまうことで、酵母は他の染色体を倍加させてこれに対応し、なんとか新しい染色体を保持し、分裂をする酵母へと適応が起こっている。すなわち、酵母はこれだけの人工物を受け入れるだけの許容力を持っている。

その結果、テロメアの間で染色体を切断して、環状からリニアな染色体へと転換させても増殖能は落ちるが、酵母はそれに対応して分裂を続ける。また、新しい染色体の tRNA も全て、本来の染色体上の tRNA と同じように転写される。そしてヌクレオソーム形成、ori からはじまる DNA合成もほぼ正常に起こることがわかる。そして、核内で他の染色体とともに、正常な3次元構造をとっていることも確かめている。

それでも合成染色体を有する酵母は増殖が遅く、選択培地から移すとすぐに合成染色体は失われるので、まだまだ正常と言うよりお荷物を背負っていることも確かだ。この原因はおそらく、分裂時の染色体の分離がうまくいかないためではないかと考えられ、今後この点の検討が行われていくと思う。

以上が結果で、簡単に紹介するのが惜しいぐらい、大変な研究だと思う。そして、DNA合成機由来のしかも全く人工的デザインの染色体を持つ酵母ができあがったことは興奮する。人工知能もそうだが、人工に変えてみることでわかることは無限に存在するので期待できる。

最後に、日本の酵母研究は京大の柳田さんや、東大の山本さんなど世界をリードしてきた。しかし、今回発表された2編の論文には、世界各国の参加があるにもかかわらず日本人の参加がないのは少し心配だ。ここにも我が国科学行政の問題が露呈している気がする。

追記;このコンソーシアムには日本からも東工大相澤さんが参加していることを指摘頂きました。文科省が出口ばかりを強調して、このような研究の助成が減っているのかと心配しました。

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11月14日 脳と AI の言語処理過程の比較(10月30日 Nature Neuroscience オンライン掲載論文)

2023年11月14日
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Nature Neuroscience は編集方針として、脳と人工知能を比較する研究を重視しているように見える。例えば、昨年紹介した論文では、脳言語野の活動と GPT-2 の文章の処理を比較して、どちらも回路の詳細を無視して瞬間瞬間の活動を抽出すると、同じような処理が行われていることを示す論文はその例だ(https://aasj.jp/news/watch/19237)。

また11月号には生成 AI と脳での画像について、AI で同等(例えば熊を表現している)と認識できる様々な変換画像( metameric model )を人間が認識できるか調べ、人間の認識は完全には AI と一致しないことを示した MIT の論文が掲載された。

AI と脳の比較は私にとっては理解に苦労する分野ではあるが、大きく飛躍しつつあることが実感できるわくわく感はある。事実 MIT の論文の書き出しは「神経科学のゴールの中心は脳の反応と振る舞いを再現するモデルを作ることだ。」と、まさに人工知能研究が脳科学の中心にあることを高々とうたっている。

そして、今日紹介するカリフォルニア大学サンフランシスコ校からの論文は、言葉を処理する人間の脳の各領域の反応と Transformer を用いた言語処理システムで稼働しているニューラルネットの各階層から抽出した活動を比べた研究で、10月30日 Nature Neuroscience にオンライン掲載された。タイトルは「Dissecting neural computations in the human auditory pathway using deep neural networks for speech(人間聴覚経路での情報処理を言語の Deep neural net を用いて解析する)」だ。

この研究では聴覚神経 (AN)、中脳下丘 (IC)、ヘッシェル回 (HG)、そして大脳聴覚野(STG) へと至る聴覚回路の活動を記録できるクラスター電極を、てんかん診断のために設置した人に、文章を聞かせた時の各領域の活動を記録している。

その上で、各階層で記録した神経活動を、同じ文章を音声として聞いたときの言語解析モデルのニューラルネット各層でのデータから予測できるか調べている。実際には生成 AI モデルだけでなく、教師有り、教師なしの言語モデルや、プレラーニングを masked prediction ではなく、contrast learning を用いたモデルも比較しているが、わかりやすくするための GPT などと同じ大規模言語モデル HuBERT を用いた実験だけを説明する。

GPT と違いこのモデルでは畳み込みを用いた音声分析を、transformer/attention ベースの AI モデルにインプットし、プレトレーニング、ファインチューニングしたモデルを用いている。すなわち、プレトレーニング、ファインチューニングは完全に自作でモデルを形成している。

そしてこのモデルに、被験者が聞いたのと文章を聞かせ、音から要素、そして意味と解読が進むときに、deep neural network(DNN)各層で処理が進んでいく(フィードバックはない)途中段階と人間の反応を比べ、DNN での聞いた言葉の処理と人間の各領域の反応との相関(すなわち DNN の活動から人間の反応を予想できるか)を調べている。

結果は HG を除くと、聴覚野まで進んでいく各領域での情報処理と、DNN の各層での活動が強く相関しており、同じように情報が処理されることがわかる。一方、HG では他の情報が入っている可能性があり面白い。

さらに、実際の脳での情報処理方法についてもこのモデルがベースにしている transformer/attention との比較を行っている。例えばコンテクストが聴覚野で分離されていることを、聴覚野の各電極の反応から推察している。

さらに GPT など現在の言語モデルの核は attention と呼ばれる機能だが、同じ仕組みが脳でも機能している可能性を、DNN 各層での attention block を示して推察している。

他にも様々な検討が行われているが、割愛する。要するに、これまでの脳と DNN が相関してそうだというレベルを超えて、さらに transformer/attention と同じ情報処理が、脳のネットワークでも順々に前向きに進められていることを明らかにし、両方のネットワークは期待通り同じような原理で動いていると結論している。

まさに、脳科学は AI へ、AI は脳科学へと近づくことでブラックボックスとされている脳回路だけでなく、AI ニューラルネット中間過程も理解できるようになることを強調した論文だ。論文は難しいが新しい時代を感じる。

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11月13日 小腸上皮でのコレステロール吸収(11月10日 Science 掲載論文)

2023年11月13日
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「食べ物の分解によりできたコレステロールは十二指腸で胆汁の作用でミセル化した後、小腸上皮のコレステロール結合分子NPC1L1 により補足され、その後おそらくエンドゾームを経て小胞体(ER)に移送され、そこで ACAT2分子によりエステル化され、そこで他の死亡とともにカイロミクロン形成がおこり、細胞外へ分泌される」と思っていた。

ところが細胞膜から ER までの輸送経路については全くわかっていなかったようで、今日紹介する UCLA からの論文は、肝臓での膜から ER へのコレステロール輸送に関わる Asterファミリー分子が小腸上皮でも働いていることを示した研究で、11月10日号の Science に掲載された。タイトルは「Aster-dependent nonvesicular transport facilitates dietary cholesterol uptake(Aster分子による小胞体を介さない輸送システムが腸管でのコレステロール吸収を促進する)」だ。

Aster はコレステロール細胞輸送の担い手として肝臓で研究が進んでおり、当然小腸でも働いていて良い。そこで、Aster分子が遺伝的に標識されているマウスを用いて調べると、主に Aster-B と Aster-C が発現しており、両方をノックアウトするとコレステロールの吸収が低下することを発見する。さらにコレステロールの吸収されるプロセスを追跡して、Aster が細胞膜から ER への輸送に関わることを明らかにしている。重要なのは、Aster 阻害だけでは完全に抑えられないので、これまで考えられてきた他の経路も存在するが、Aster 経路が本筋になっている。

コレステロールは合成できるので、Aster B/C をノックアウトしてもマウスは生まれてくるが、ノックアウトマウスでは高コレステロール食でもコレステロールは上昇しない。ただ、当然体内での合成は上昇している。

コレステロール吸収を阻害する薬剤としてNPC1L1に結合するエゼチミブが使われているが、面白いことにエゼチミブは Aster にも結合して、分子を安定化させる。

次に Aster の細胞内での動態を調べ、コレステロールが細胞膜にロードされると細胞膜へと移行し、ここで NPC1L1 からコレステロールを受け取って ER へと移動し、最終的にエステル化のために ACAT2 に受け渡されることを明らかにしている。

さらに、Aster を阻害する AI-3d でこの過程を抑制し、エゼチミブと同じようにコレステロール吸収を抑えることを明らかにしている。

結果は以上で、小腸での吸収経路が明らかになり、標的分子が増えることで、食事からのコレステロール吸収を抑える様々な薬剤の開発が加速すると思う。現在もスタチンと併用してエゼチミブが使われているが、他の可能性が生まれることは製薬会社だけでなく、食品企業にとっても重要だろう。

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11月12日 卵子内での蛋白質の貯蔵メカニズム(11月2日 Cell オンライン掲載論文)

2023年11月12日
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両生類や魚類は言うに及ばず、人間やマウスのような哺乳動物でも成熟した卵子は大きく、肉眼でもなんとか確認できる。これは卵発生過程で母親からRNAや蛋白質が注入され、受精後の急速な活動に備えるためだ。ある意味で、卵は高分子でパンパンに膨れた細胞とも言えるが、母親からの多くの高分子は受精後まで保存しておかないと、いざというときに使えない。ただ、卵子と言っても生きており、細胞内での蛋白質の代謝機構が働いており、貯蔵する蛋白質はこの代謝経路から隔離する必要がある。

今日紹介するドイツ・ゲッチンゲンにある最も新しいマックスプランク研究所( Multidisciplinary Science )からの論文は、マウス卵子での蛋白質貯蔵の仕組みを、最近の顕微鏡テクノロジーを駆使して明らかにした研究で、11月2日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Mammalian oocytes store proteins for the early embryo on cytoplasmic lattices(哺乳動物の卵子は初期胚に必要な蛋白質を細胞質格子に貯蔵する)」だ。

この論文を読むまで知らなかったが、哺乳動物の卵子には電子顕微鏡レベルで検出可能な格子構造が存在し、この構成には PADI6 と Subcortical maternal complex (SCMC) と呼ばれるいくつかの分子の複合体が必要であることがノックアウト実験からわかっていた。ただ、この格子構造が何をしているのか、ほとんどわかっていなかった。

まずこの研究では現在使える画像技術が独自に工夫された上で利用されている。ただ高額器械があれば研究が出来る物ではなく、それを使いこなす努力の必要性がよくわかる。使われた画像技術をリストしておくと、高解像度顕微鏡、組織を膨らませて拡大する技術(Expansion microscopy)、3D 高解像度解析、クライオ電顕、Scanning Transmission Electron Microscopy, Cryo-electron tomography などだ。しかし通常の細胞と異なり、卵子は大きいためこれらの技術を使いこなすには様々な工夫が必要で、それがこの研究の売りになるが割愛させていただく。

結果は以下に箇条書きにする。

  1. 細胞質格子は PADI6 と SCMC を核に形成される。ただ、これまで細胞膜に近いところで形成されていたというのは、蛍光体法のアーティファクトで、実際には細胞質全体に拡がっている。
  2. 細胞格子は構造的にコアになる蛋白質が形成するらせん状の700nmサイズのフィラメントが5-40本集まって出来ており、PADI6、及び SCMC が核になっている。
  3. この構造がなくなると、卵子細胞質の多くの蛋白質の量が低下する。そして低下する多くの蛋白質は母親から卵子に注入された蛋白質で、初期発生での分裂、転写、翻訳という重要な機能に必要な分子になる。
  4. これは PADI6 などのコアになる蛋白質が低い親和性で様々な蛋白質と結合する能力があるからで、これにより胚発生まで残しておきたい蛋白質を、細胞格子に閉じ込めて、細胞の代謝から隔離することが出来る。
  5. 実際この格子が出来ない変異では、正常な胚発生が出来ず、流産したり、構造のない胞状奇胎形成が起こる。また、格子の量的な変化でも、DNAメチル化再構成に必要な分子が先に使われてしまい、インプリント異常が起こる。

以上が結果で、小胞体のような細胞内器官、相分離などに加えて、新しい蛋白質の隔離貯蔵法の存在が示された。しかしなんと言ってもこの研究の売りは、形態学で、イメージに圧倒される。是非写真だけでも眺めて欲しい論文だ、

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11月11日 抗体産生細胞を抗原CAR-Tで除去する(11月9日号 Cell 掲載論文)

2023年11月11日
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CAR-T による白血病のめざましい治療報告が発表されたとき、CAR-T の力を思い知らせてくれたのは、白血病細胞だけでなく正常のB細胞も身体から消失するという驚きの事実だった。使った抗原は正常B細胞に発現していることから当然なのだが、この事実を見て免疫治療はガン治療の中心になると実感した。

この性質を生かして、B細胞抗原に対する CAR-T を使ってB細胞を除去し、自己抗体を抑えるという自己免疫治療さえ行われるようになってきたが、自己抗体産生細胞を除去したいなら、抗原を細胞外に発現するT細胞キメラ受容体を用いれば、自己抗体を作っているB細胞だけ除去することが出来るのではと着想した研究がマウスモデルで進んでいる。

最初の研究は世界のCAR-Tセンターになったと言っても過言でないペンシルバニア大学からで、2016年デスモグラインに対する自己抗体により皮膚に水疱が出来る天疱瘡モデルマウスをデスモグラインを細胞外に発現するCAR-T細胞で治療可能であることが Science に発表され、さらに今年に入って同じグループによって重症筋無力症のキナーゼ抗原を用いた CAR-T を用いた治療の可能性が Nature Biotechnology に発表された。

今日紹介するドイツベルリンにあるドイツ神経変性疾患センターからの論文は、最も重要な神経伝達分子の一つ NMDA 受容体に対する自己抗体による重篤な脳炎治療のための CAR-T の開発研究で11月9日号の Cell に掲載された。タイトルは「Chimeric autoantibody receptor T cells deplete NMDA receptor-specific B cells(自己抗体に対する受容体を発現する自己T細胞はNMDA特異的B細胞を除去する)」だ。

アイデアについては既にペンシルバニア大学からの論文が2報あるのによく掲載にこぎ着けたなと言うのが正直な感想だが、しかし重篤な脳疾患であることを考えると、実際の患者さんの自己抗体遺伝子を14種類もクローニングし、ほぼ全てに反応する NMDA受容体の構成を決め、最適の NMDAR分子構成を持つキメラ遺伝子を作成し、これをマウスT細胞に導入して、自己抗体を分泌するB細胞を除去できるか確かめており、勿論評価は出来る。

結果は予想通りで、基本的にはどんな自己抗体でも NMDAR に反応すれば必ず in vitro でも in vivo でも除去できることが示されている。また、in vivo の実験ではほとんど副作用を認めることもないし、また標的細胞が少ないためサイトカインストームも起きにくい。

従って、結果の詳細は省くが、一つだけ驚いたのは、自己抗体による免疫病の場合、血中に自己抗体が大量に存在するのに、それに対する抗原をT細胞受容体にしているT細胞が働ける点だ。実際、マウス体内の実験だけでなく、試験管内でも自己抗体存在化に、キラー細胞活性が発揮できている。

これを結果オーライと済ますのは簡単だが、今後人間に応用するためには、是非 CAR-T がどのように自己抗体を産生するT細胞に近づいて除去するのかについて、もう少し詳しく調べて欲しいと思う。

いずれにせよ、抗原をT細胞受容体とキメラにする CAR-T が可能であるという事実は、CAR-T の可能性をさらに一段と広げるように思う。

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11月10日 睡眠中の意識(11月号 Nature Neuroscience 掲載論文)

2023年11月10日
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基本的に論文ウォッチでは図書を推薦することはしないことにしているが、あまり馴染みのない科学領域をわかりやすく解説している本は例外で、例えば識字障害については「プルーストとイカ」(https://aasj.jp/news/watch/509)を推薦した。今日紹介するのはフランス・ソルボンヌ大学からの睡眠中の意識状態についての研究だ。睡眠中の意識というと、夢が頭に浮かぶが、実際には単純な話ではない。夢は誰もが経験し、フロイト以前から夢についての研究は行われていた。というのも、人間の意識を考える時、意識と無意識の境に位置する夢は最も重要な研究対象だと古くから考えられてきたからだ。しかし、睡眠研究と比べると夢自体の研究論文は少なく、研究状況となると知らないことが多い。その意味で、今日はモントリオール大学教授アントニオ・ザドラとハーバード大学教授ロバート・スティックゴールドによる「夢を見るとき脳はー睡眠と夢の謎に迫る科学」はおすすめだ。

さて今日紹介する論文に戻ろう。Nature Neuroscience 11月号に掲載された論文のタイトルは「Behavioral and brain responses to verbal stimuli reveal transient periods of cognitive integration of the external world during sleep(睡眠中の言葉に対する行動及び脳の反応は外部世界を統合的に認知する短い期間が存在することを明らかにした)」で、睡眠中に言葉を聞かせて、意味を理解して寝る前に指示された行動がとれるか調べた、面白い研究だ。

ともかく凝った研究だ。まず夜間の眠りではなく、昼にうとうととする時を狙っている。ただ、覚醒時と区別するため、脳波で睡眠を確認しながら(例えば REM、N1、N2、N3 睡眠)、その時に意味のある単語、あるいは意味のない単語を聞かせて、反応を調べている。そして、昼間に寝込んでしまうナルコレプシーの患者さんを集め、正常人の昼寝と比べている。最後にナルコレプシーの患者さんがREM睡眠に入ったあと、自分が寝ており夢を見ていることも完全に意識している Lucid Sleep 状態だったかについて申告してもらい、それ以外の睡眠自意識状態と比べている。Lucid Sleep は最も覚醒時に近い意識状態として知られているので、これがコントロールになる。

実験で用いた課題は簡単で、覚醒中でも睡眠中でも、耳に入ってきた単語の意味がわかったら表情に表すように前もって指示しておく。すなわち睡眠中に単語を聞いたとき、このインストラクションと結びつけることが出来れば、睡眠中でも表情を変えようとするはずで、筋電図でそれを検出できる。

この実験により、まず睡眠中でも正常人、ナルコレプシーともに単語を聞いて理解し、それに従って顔の表情を変える行動が一定の割合で現れることがわかった。当然1やREM睡眠の様に浅い睡眠時に確率は上がるが、深い睡眠時でも観察できる。なんとナルコレプシーでは、N1 睡眠中で7割の確率で意味があるかどうかを判断し、それを表情に出すことができる。

これだけでも面白いのだが、この時の脳波を詳しく調べ、正解したときの脳波状態と間違ったときの脳波状態を比べると、α、β 波が上昇し、脳波パターンが複雑化し、δ 波が低下するパターンが、正解前に現れる確率が高いことを発見する。

この同じ脳波パターンは Lucid Sleepと呼ばれる完全に意識出来ている夢でも現れる。

以上が結果で、詳細は省いてわかりやすくまとめたことを断っておくが、要するに睡眠中に Lucid Sleep に代表される意識状態が存在し、これに近い状態では外界からの刺激を、それまでの記憶や指示と統合して判断する能力が働いているという結果だ。

これは昼寝だけの現象かどうかを明らかにする必要はあるが、N1 や REM睡眠中だけでなく、低い頻度でも N3 のような深い睡眠中でも外界に反応出来る意識状態が現れることを考えると、おそらく夜でも同じだと思う。このことから、睡眠と意識状態は別の仕組みの脳活動であることがわかる。とすると脳波から意識状態を判断して、寝ている内にしっかり学習することも可能になる、等と考えるのは貧乏暇なしの悪い癖だが。

夢や睡眠の研究はいつも面白い。

カテゴリ:論文ウォッチ
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