2月11日 記憶B細胞からIgE分泌細胞への分化経路の解明(2月7日 Science Translational Medicine 掲載論文)
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2月11日 記憶B細胞からIgE分泌細胞への分化経路の解明(2月7日 Science Translational Medicine 掲載論文)

2024年2月11日
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石坂先生によって発見された IgE によるアレルギー反応は詳しい解析が積み重なっており、IgE を分泌するB細胞から見ると、抗原により誘導された記憶B細胞が IgE へのスイッチを促す IL-4 により強く引っ張られた結果だと考えられている。

今日紹介するカナダ・McMaster大学からの論文は、この IL-4 によって強く IgE 分泌へと引っ張られた細胞集団を、ヒトアレルギー患者さんで特定し、この誘導についてマウスモデルで解析した研究で、2月7日号 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「Type 2–polarized memory B cells hold allergen-specific IgE memory(2型に分極した記憶B細胞がアレルゲン特異的IgE記憶を荷なってる)」だ。

T細胞は周りの環境により Type1 及び Type2 細胞へと分化する(勿論他にも様々なタイプのT細胞が定義されている)が、B細胞の IgE 分泌を誘導する IL-4 は Type2 T細胞が分泌する。この研究では白樺シーズンに、白樺アレルギー患者さんの末梢血から記憶B細胞を分離、その中で Type2 細胞の作用を強く受け IgE 分泌へと分極化した細胞を探し、いくつかの表面マーカーで定義でき、IL-4 受容体を強く発現し、スウィッチ前の生殖細胞型 IgE 転写が検出できる細胞を特定している。

そして白樺アレルゲンに結合するB細胞を探すと、ほとんどがこのMBC2集団と一致することから、まさしくアレルギーシーズンに活発に活動してbIgEb分泌を行うのが、MBC2であると結論している

次にMBC2と呼ぶ IgE への分化バイアスがかかった細胞をマウスでも探索し、卵白アレルゲンを用いるアレルギーも出るで、Type2 反応が誘導できるアジュバントを用いたときだけ、ヒトMBC2と同様の細胞が出現することを特定する。

その上で、この細胞の誘導条件を調べ、完全に IL-4 依存的に誘導されること、しかし従来示唆されていた血中 IgE の存在は必要ないことを明らかにしている。さらに面白いのは、この過程に胚中心が関わっていないことで、抗原から記憶B細胞までの過程と、IgE へ誘導する過程は全く別であることが示された。

最後に、白樺アレルギーのアレルゲンを舌下で暴露するSLIT治療の患者さんを選び、アレルゲンにより IgG1 を表面に発現する記憶B細胞が IgE 分泌細胞へと分化することを示している。

結果は以上で、抗原で刺激され形成された一般的記憶B細胞が、Type2型T細胞とともに抗原でチャレンジされると、スイッチ前の IgE の転写が高まり、これが IgE へのスイッチを促すというシナリオで、IgE 型のアレルギーについて頭を整理することが出来た。

この論文に続いて、同じグループはピーナツアレルギーの子供を対象に、アレルゲン結合記憶B細胞を調べ、確認した論文を同じ Science Translational Medicine に掲載しているので、合わせて読んで欲しい。

カテゴリ:論文ウォッチ
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