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22日ニコニコ動画不手際

2013年12月22日
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12月22日2時から、ニコニコ動画でせきずい基金の伏見さん、坂井さんたちと対談を行いましたが、こちらの機器のトラブルで放送が最初の1時間、全く送ることができせんでした。本当に申し訳ありません。そのため、私が準備していた「脊髄損傷の専門論文を読もう」を放送する十分な時間が在りませんでした。これは1月に再度放送する予定です。不手際をお許しください。

カテゴリ:活動記録

12月20日朝日新聞記事 自閉症ホルモンを鼻に噴射して改善 東大チーム

2013年12月22日
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私自身の興味もあって、このコーナーで自閉症の最新研究を紹介して来た。読んでいるうちに、将来は必ず治療の可能性が生まれるという確信を持てるようになった。アメリカアカデミー紀要に発表されたエール大学の仕事も、12月3日ここで紹介した。この仕事は、自閉症の子供に表情を見て他人の心を読む課題を行うときの脳の活動をfMRIで調べた研究で、オキシトシンが社会性に関わる脳機能を確かに促進するということが示されていた。この研究を紹介したあと、日本での研究状況はどうだろうかと気になっていた。しかし心配することはなかった。12月19日のJAMA Psychiatry誌に発表された東大精神科からの仕事は日本もこの分野をリードする研究が我が国で行われていることを示していた。研究からのメッセージは、私が12月3日に紹介したエール大学の仕事とほぼ同じだ。しかし、臨床研究として無作為化された研究で、対象として調べた患者さんの数も多い。しかも論文を送った日付はエール大学より半年も早い。要するに東大の研究の方が早く完成している。それだけではなく、研究の内容もより包括的な印象だった。さらに、文科省もこの分野を支援していることを知ってはっきり言って安心した。ただ一つ気になったのは、エールは思春期の児童について調べているのに、東大の研究は軽度自閉症の成人だ。ひょっとしたら、インフォームドコンセント等で日本の規制があまりに厳しすぎて、自閉症の児童を調べることが難しいのではないのかと心配する。少子高齢化が進む我が国で発達は最も重要な課題だ。以前も述べたが、オキシトシンの長期効果については否定的な論文が多い。これを克服するには、発達期の神経回路形成に介入することが必要になる。是非長期的研究も日本から生まれることを願う。
   朝日の今さんの記事は正確で良くまとまっていると思う。(http://digital.asahi.com/articles/ASF0TKY201312190021.html?_requesturl=articles/ASF0TKY201312190021.html&ref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASF0TKY201312190021)しかし欲を言えば、自閉症研究についてのある程度の背景説明がないと、本当の内容は理解されないのではないだろうか。見出しについても、「自閉症:ホルモンを鼻に噴射して改善」は見出し用語としても何か変なことをしている印象がある。是非小児の脳研究等のあり方も含めた良い記事を目指してほしい。

カテゴリ:論文ウォッチ
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