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10月22日:白血病同士の殺し合いを誘導する治療法(米国アカデミー紀要掲載論文)

2015年10月22日
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アイデア倒れになる心配はあっても、着想自体に感心するという研究がある。今日紹介する米国スクリップス研究所からの論文はその典型で、白血病に同士討ちさせガンを治療できるか模索した研究だ。この研究の責任著者Richard Lernerはスクリップス研究所の元所長で、抗体を酵素反応に利用する研究で有名だが、様々な分野に研究を広げる豊富なアイデアの持つ研究者の典型と言っていいだろう。論文のタイトルは「Agonist antibody that induces human malignant cells to kill one another (ヒトの悪性腫瘍細胞同士の殺し合いを誘導するアゴニスト抗体)」で、米国アカデミー紀要に掲載された。論文の内容から考えると、悪性腫瘍一般にも使えるよなタイトルをつけるのは言い過ぎではないかと思うが、Lernerなら許されるのだろう。この研究では、急性骨髄性白血病(AML)細胞を、互いに殺し合うナチュラルキラー (NK)細胞へと分化させ、白血病を治療できるのではというアイデアを調べている。「何をバカな?」と思われるかもしれないが、血液分化を研究してきた経験からいうと、血液幹細胞に近い白血病細胞をNK細胞へと誘導できる可能性は荒唐無稽ではない。ただ正常の幹細胞がすべてキラー細胞になってしまうと大変だ。本当にAML細胞だけを分化させるシグナルはあるのか?このグループはなんと、血小板を作るのに必須のトロンボポイエチン受容体(TPOR)に対する抗体の一部がなぜかAML細胞だけをNK細胞へと分化させる能力があることを発見する。NK細胞は、正常細胞は殺さないが、ガン化した細胞の多くを殺すことができるため、この抗体を使うと、彼らが「兄弟殺し」と呼ぶ状態を誘導して、ガンを撲滅できるというシナリオだ。この論文では、試験管内で患者さんの骨髄から採取してきたAMLをTPOR抗体で刺激すると、トロンボポイエチンで刺激した時と概ね同じシグナル経路が活性化され、キラー活性に必要な様々な分子の発現が誘導され、形態的にも機能的にもNK細胞へと分化すること。分化したAML由来NK細胞は期待通りAML細胞を殺すことが示されている。残念ながら、モデル実験系で本当に体の中で「兄弟殺し合い」が誘導できるのかは確認できていない。この実験なしに論文が掲載されるのは、Lernerがアカデミー会員だからだが、モデル治療実験ではいいデータが出ていないのではと勘ぐりたくなる。特に問題になるのは、同じ抗体が血小板増加を誘導することだ。トロンボポイエチンがその効果にもかかわらず臨床に使われていないのは、血小板増加を完全にコントロールできないからで、原理から考えてもこれが起こらない抗体を探すのは難しいだろう。結局アイデア倒れに終わる可能性が高いように思えるが、強い薬による治療が難しい高齢者の骨髄異形成症候群には期待できるかもしれない。いずれにせよ、抗体をもっと違った文脈で利用するというアイデアは他のガンにも使えるかもしれない。分化を誘導したり、静止幹細胞の増殖を誘導したり、いろんな可能性が考えられる。私より10歳は年上のはずだが、Lernerの頭はやわらかそうだ。
カテゴリ:論文ウォッチ

10月21日:CRISPR遺伝子編集論文に見る科学者の未熟(Nature Biotechnologyオンライン版掲載論文)

2015年10月21日
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昨年の今頃は小保方捏造騒動の幕引きが進んでいたが、文科省・学術会議・そして多くの学会が研究倫理教育の徹底を対策の柱に据えていたのを見て思わず皮肉笑いがこみ上げた。倫理教育と聞くと私はいつも鼻で笑いたくなる。なぜなら、倫理教育では特定の価値をマニュアル化して人に押し付けることが多い。戦前の軍国主義教育でも倫理教育はなされていたし、例えば「Hitler’s scientist」を読むと、ナチスには公共場所の喫煙禁止を含む極めて進んだ倫理マニュアルがあったようだ。要するに倫理が教育になるとすぐマニュアル化する。私にとって倫理とは自分とは違う考えを理解することに他ならない。文科省の生命倫理安全部会の座長をしたとき一番科学者に望んだのは、科学者が申請の中で市民の持つ様々な意見を理解していることを表現してもらうことだった。科学や研究倫理がマニュアル化するのを防ぐもう一つの方法が、科学者が科学の出自や歴史を理解することだ。フッサールの「幾何学の誕生」で議論されているが、科学者が研究を進める上で、科学的命題を誰が発見し、どのような状況で生まれたかを知る必要はない。ただ、社会と関わるときこの出自についての知識は必須だ。こう考えると、歴史を知らず、科学研究は自由だと考えている研究者の多い我が国の状況は悲劇的だが、もちろんわが国だけではない。今日紹介する韓国AICTからの論文を読んで、科学者がマニュアル教育から抜け出すことの難しさを実感した。10月19日のNature Biotechnologyにオンライン版に掲載された論文で、タイトルは「DNA-free genome editing in plants with preassembled CRISPR-Cas ribbonucleoproteins(DNAを用いないCRISPR-Cas9 リボ核酸・タンパク複合体による遺伝子編集雨)」だ。例によってCRISPRの倫理問題だが、この論文はEUの組み替え食物規制の条文に違反しない遺伝子編集が、ガイドRNAとCas9を遺伝子ではなく精製タンパクにしてからプロトプラストに導入することで効率よく実現できることを示した論文だ。研究としては様々な植物でDNAを使わず遺伝子編集が可能であることが示されている。もちろんCas9タンパクの導入効率さえあげれば原理的に可能であることはわかっていたので、研究としてはなるほどで終わるのだが、やはり最初から目的をEU規制を回避した組換え植物の作製法にしているように見える点に、このグループの未熟さを感じる。もともとEUの規制は人体への影響だけでなく、組換え技術の生態系への影響も懸念して、科学者の積極参加の上で作られている。それを回避する方法ができたと喜ぶことは、当時の科学の想像力の欠如をあざ笑っているに過ぎず、自分で自分の首を絞めるに等しい。   ここでも紹介したように、CRISPRの倫理問題はヒトゲノム改変だけではない。もう一度組換え技術の出自を問うために、欧米の科学者が第二アシロマ会議(アシロマ会議とは遺伝子組み換え生物の封じ込めや倫理について1975年に行われた会議)から議論を始めたことを理解する必要がある。今議論が必要なのは、これまで効率が悪いからということで議論が止まっていた組み換え生物の封じ込めの問題だ。現存の地球上の全生物はゲノム多様化と自然選択で進んできた。そこに組換え技術からクリスパーまで全く異なる可能性が生まれ、異なる原理で選ばれた生物が生まれ始めた。18世紀の有機体論から、ダーウィン、そしてヒトゲノムまで生物学の出自を知り、マニュアル化した倫理教育を嘲笑い、多くの意見を理解する科学者を育てるためにも、私は今後も小保方問題やCRISPRを若い人たちと議論したいと思っている。その一環として、今週土曜日1時から、京大倫理学教育研究センターのシンポジウムで話をする予定だ(http://aasj.jp/news/seminar/4141)。是非多くの方が議論しに来て欲しいと思う。
カテゴリ:論文ウォッチ

10月20日:幻覚の起源(10月12日号米国アカデミー紀要掲載論文)

2015年10月20日
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  • 精神症は「現実との接点の喪失」と言われるように、現実と頭の中で考えていることとの区別がつかなくなる病気だ。症状としては、見えないものが見えたり、音がしていないのに聞こえるなど幻覚や妄想が中心になる。なぜ見えてもいないものが見えるのか、幻覚の起源はどこにあるのか?しかし、現実と接点がないことから生じる幻覚や妄想の研究は難しい。極めて主観的な感覚で、観察者と共有することができない。精神症の研究にとって、観察者と共有可能なテストをいかに開発するかは重要な問題だ。これにチャレンジしたのが今日紹介するウエールズ・カーディフ大学からの論文で10月12日号の米国アカデミー紀要に掲載されている。タイトルは「Shift toward prior knowledge confers a perceptual advantage in early psychosis and psychosis-prone healthy individuals (精神症と精神症傾向を持つ正常人の持つ既存の知識へのシフトが感覚的優位性を与える)」だ。タイトルだけ読んでもわかりづらいが、この研究の目的は精神症や精神症エピソードで見られる幻覚の起源を探ることだ。この研究では、幻覚の起源がすでに経験して記憶しているイメージにあるのではないかとあたりをつけ、この仮説の検証を試みている。研究では、既存のイメージとして人物や動物の写真を見せ、頭に入れさせる。もちろんこの写真は精神症、正常を問わず認識は簡単だ。次に、この写真をグラデーションのない白と黒だけのイメージへと加工する。こうなると普通何が写っているかわからない。この加工写真の人物や動物を除いたイメージも作る。実験では、加工前のカラー写真を見せる前と後で、加工した写真を見せ、人物がいるかどうか判断させる。このセッションを繰り返して、実際の写真を頭に入れることで、わかりにくい白黒イメージが再組織化され、中に写っている人物を認識できるようになるか調べている。結果は軽い精神症と診断された患者さんは、頭の中のイメージを使って実際に見ているイメージを再組織化する能力が高い。次に、正常人を集め、精神症の傾向を調べるテストを受けてもらい、点数をつける。その上で同じようなイメージテストを行い、頭の中のイメージをもとに実際の感覚を組織化する能力を調べると、精神症度が高いほど、この能力が高いという結果だ。これらのデータから、精神症の人の幻覚は、根も葉もないものではなく、これまで経験した様々なイメージや音と、現実の感覚が連合しやすいため起こっているという結論だ。幻覚にも起源があるというのはわかりやすい結論だ。今後は連合が行われるときの脳イメージなどの研究がこのテストを使って行われていくことだろう。幻覚という主観的症状を何とか客観的なテストにしたいという著者の工夫がよく理解できる論文だった。もちろん、本当にこのテストと幻覚が対応するのかはまだまだ研究が必要だろう。特に、このテストを診断に取り入れて症例を重ねることは重要に思う。面白いのは、このテストを含む幾つかのテストをすると、正常から精神症まで切れ目なく点数が分布することで、誰もがどこかに精神症の傾向を持っているようだ。おそらくこの夢見る気持ちが私たちの生きる気持ちを支えてくれているのだろう。もちろん度がすぎると、昨年の捏造騒ぎにつながる。ただ、精神症傾向があるかどうかで人を決して分別しないと私は決めている。
    カテゴリ:論文ウォッチ
  • 10月19日:恐竜の体温を測る(10月13日号Nature Communications掲載論文)

    2015年10月19日
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    恐竜は爬虫類だから変温動物という考えは20世紀終わりぐらいより徐々に変わってきて、少なくとも一部の恐竜が私たちと同じように温度を維持する機構を有していたことが定説になりつつある。5月16日紹介したように魚ですら筋肉を熱の生成に使っていることを考えると(http://aasj.jp/news/watch/3435)恐竜も筋肉を熱生成に使ったのではないかと思うが、他にも面白い可能性があるだろう。ロンドンの自然史博物館を見てまわっていたとき、子供に人気の恐竜の化石展示室に、大型草食恐竜は消化管の発酵熱を使っているとする説明を見たとき、様々な方法があるのだと感心したことを覚えている。ただ、実際の体温が何度ぐらいだったか測定するわけにはいかない。今日紹介するUCLAからの論文は恐竜の卵の殻に含まれるアイソトープを使って体温を推定した研究で10月13日発行のNature Communicationsに掲載されている。タイトルは「Isotopic ordering in eggshells reflects body temperatures and suggests differing thermophysiology in two cretaceouss dinosaurs(卵の殻のアイソトープの量から推定される体温は白亜紀恐竜の体温の違いを示唆する)」だ。最近アイソトープの測定技術が進み、化石から食事や代謝状態を推定することが可能になっているが、この研究では卵の殻に含まれる炭素と酸素のアイソトープの量から、卵の殻が生成された温度を割りだしている。この方法はmultiply-substituted methodと呼ばれ、熱力学的平衡状態で取り込まれるアイソトープの量から当時の温度を調べる方法だ。都合のいいことに卵の殻は炭酸カルシウムで測定に使える炭素と酸素を固定している。従って、恐竜の体内温度を反映する卵管内で殻が形成されるとき固定されたこれらのアイソトープ量を調べると、殻が形成されたときの温度が推定できるという原理だ。実際、現存の鳥や爬虫類の卵をこの方法で分析すると、体温との直線的相関を取ることができる。これを確かめた上で、モンゴルから出土したオビラプトル(鳥の祖先と考えられている)とアルゼンチンから出土した巨大草食恐竜ティタノザウルスの卵の殻のアイソトープ量から体温を推定している。もちろん、出土した卵の殻に含まれる炭酸カルシウムが当時形成されたものであることを注意深く検討し、測定結果が当時の恐竜の体温を反映している可能性が高いことを詳しく示している。結果だが、オビラプトルの体温は31.9±2.9度、保存のいい化石から計算したティタノザウルスの体温は37.6±1.9度、保存状態がはっきりしない卵から計算したティタノザウルスの体温は39.6±1.4度と推定している。いずれも当時の気温より高いことから、どちらの恐竜も恒温動物だったことがわかる。ただ体温の高い現存の鳥類に近いオビラプトルが31度程度であることから、鳥類と異なる熱生成調節機構を持っている中間段階の生物だと結論している。また大型恐竜の体温が高いのは、表面積が小さいため熱の発散が抑えられていることもその原因だろうとしている。ここでは消化管内発酵については何も述べていないが、草食だからこれもありかなと思う。いつになっても、恐竜への夢は尽きないようだ。
    カテゴリ:論文ウォッチ

    10月18日:脳深部刺激のおどろくべき効果(10月15日号Nature掲載論文)

    2015年10月18日
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    我が国でもパーキンソン病の治療として保険適用されている脳深部刺激療法は、脳内に埋め込んだ電極から電気インパルスを脳の目的の領域に与えて、様々な脳の機能不全を治す方法で、行っていることは心臓のペースメーカーと同じと考えていい。現在対象となる病気は拡大し続けており、脳海馬の刺激によりアルツハイマー病などの記憶障害にも一定の効果があることを示す第1相の治験が報告されている。これほど様々な効果が脳深部刺激療法に確認されているにもかかわらず、効果のメカニズムについてはよくわからない点が多く、動物モデルを用いた研究が重要になる。もしメカニズムが明らかになってくると、脳の発達が障害される様々な子供の病気にも使いやすくなる。今日紹介するテキサスベイラー医大のこども病院からの論文はレット症候群のモデルマウスの脳発達異常を深部刺激療法で治せないか調べた研究で10月15日号のNatureに掲載された。タイトルは「Forniceal deep brain stimulation rescues hippocampal memory in Rett syndrome mice(脳弓に対する深部刺激はレット症候群モデルマウスの海馬記憶障害を救える可能性がある)」だ。タイトルにあるレット症候群はX染色体に存在するMeCP2遺伝子の突然変異が原因による疾患で、ほとんどが女児におこり、1歳を超えるまで何の異常もなかった子供が急速に進行性の脳障害を示すようになる。遺伝子の機能から考えると神経発達の異常によると考えられるが、現在のところ手の施しようのない病気だ。この研究では、この発達障害を脳深部刺激で救うことができないか調べている。まずレット症候群モデルマウスの脳弓と呼ばれる部分に電極を埋め込み1日1時間電気バルスを与え続ける。このマウスの連合記憶を調べると、刺激を与えないマウスと比べて記憶の低下が防止され、正常マウスと変わらない。また正常マウスに刺激を与えると、さらに記憶が促進することから、新しい回路の発達を促すことで効果を持つようだ。他にも空間の学習記憶も改善する。期待通り、行動学的にはレット症候群の神経障害の進行を止めることができる。次に同じモデルを使って、神経生理学的・発生学的検討を行っている。神経生理学的には、細胞レベルで長期記憶の成立を調べ、深部刺激によりレット症候群マウスの海馬記憶回路のシナプス結合が高まり長期記憶の低下を抑制できることを示した。最後に、この原因を細胞レベルで確かめる目的で、海馬神経細胞の増殖を調べると、驚いたことに、深部刺激が細胞の増殖を強く誘導することがわかった。すなわち、海馬で新しい細胞が生まれ続けることで、記憶障害を抑制することができたという結果だ。この研究はまだ現象論にとどまっている。なぜ深部刺激が若いマウスでは細胞増殖を誘導するのかなど調べなければならない点は多い。しかし、全く手の施しようがなかった子供の病気の進行を抑える一つの可能性を示したことは確かだ。子供の場合、いつからどのように刺激するか、いつまで刺激が必要なのか、多くの課題が残っているが、おそらくこのグループはこの結果を元に臨床研究に進むだろう。期待して見守りたい。
    カテゴリ:論文ウォッチ

    10月17日:専門家の意見の集め方(10月15日号Nature掲載意見論文)

    2015年10月17日
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    10月15日号のNatureに、英国ケンブリッジ大学のWilliam J Sutherlandとオーストラリアメルボルン大学のMark A Burgmanさんからの面白い意見論文が掲載されていたので紹介しよう。   原発や防災など政党にとって多くの政策選択に科学的知識が要求される。少なくともトップの政治家にとって、討論や記者会見に際し個人としても理科系の知識を持つことが要求される。9月にResarch Americaという米国の組織が行った政治家の科学知識に関する世論調査をみると(http://www.researchamerica.org/news-events/news/87-americans-say-candidates-should-have-basic-understanding-science-informing)、大統領や議員が科学についての基礎的知識を持っていることが重要だと思っているアメリカ国民は87%にのぼっている。大統領候補は科学についての討論ができないと資格がないとする意見を強く支持する人が48%、強くではないが支持するが38%いる。すなわち、助けなしで科学の話題について議論できないと国の指導者の資格はないと米国民は考えている。他にも、ジャーナリストの科学に関する質問に政治家は答えられるべきだと8割近い人が思っている。これは議員や大臣が理科系出身であるべきだということではない。政治家や官僚の資質として、かなり深い科学の知識を身につけておいてほしいという国民の期待を示したものだろう。その時重要になるのは、政治家が専門家とどう付き合い知識を仕入れるかだ。   この付き合い方について提言したのが今日紹介する意見論文だ。タイトルは「Use experts wisely: policymakers are ignoring evidence on how advisers make judgements and predictions, warn.(専門家を賢く使え:政策決定者は、専門アドバイザーたちが、どのように意思決定をし、予測を行い、警告するのかについてわかっている証拠を無視している)」だ。要するに、どんなに業績の優れた専門アドバイザーも結局は人間で、必ずしも広い知識に裏付けられたバランスのとれた観点から意見を述べているわけではなく、実際は自分の利害や、感情、信条などに影響された意見を述べるのが普通で、このことをよく頭に入れて専門家をうまく使わないと、政策をあやまるという意見だ。私自身専門家として国の様々な委員会に属し意見も述べてきたが、この意見には100%賛成だ。我が国のまともな政治家には一読を進めたい。この意見論文では大変示唆に富む提言がまとめられている。これは傾聴に値するので、意訳になるが紹介しておこう。
    専門家のアドバイスをよくする8つの方法
    1) 個人的意見に依存せず、グループ討論などを通して意見を聞くこと。
    2) メンバーを注意深く選ぶこと。分野が少し離れると専門家の知識も急速に色褪せる。
    3) 有名研究者の意見に偏るな。年齢、論文数、経験、学会の地位、見た目の公平性などから、その専門家の新しい問題に対する能力を判断することはできない。これについては、原子力の安全性や地球レベルのエコロジーについての意見を見るとわかる。
    4) 多様な人から意見を聞く。多様な人を集めた時のほうが正しい結論を導きやすい。
    5) めげるな。政策に自信や主張は強くなくても、情報を様々なソースから集めてくる人のほうが良い決断をする。
    6) 専門家の意見の重要度を評価する。例題を用意して専門家の能力をチェックする。これによって、地震や核の安全性といった難しい問題を含む様々な領域で、リスク評価の改善が図れる。
    7) 専門家を訓練する。訓練によって、特定の事象が起こる確率、そのインパクト、モデルパラメーターなどを評価する専門家の能力は改善する。
    8) フィードバックを行う。例えばチェスプレイヤー、スポーツ選手、ICUの医師、そして教科書的問題を解く物理学者は、はっきりわかる個人的失敗についてフィードバックを受けることで正確な判断ができるようになる。専門家も同じで、できるだけ速やかに、はっきりしたフィードバックを提供すべき。
    ユーモアも交えた、十分含蓄のある良い提言だ。他にも専門家に質問する時、まず簡単に電話で話、問題を整理しメールで質問の趣旨を明確にし、その上で匿名のアンケートで意見を集めるなど、具体的な方法まで文中には教示されているのでぜひ読んでほしい。
      ただ読んでいて思うのは、我が国の政治家や官僚が、本当にこのような必要性を感じているのかという疑問だ。まずこの提言に従うと言うことは、政治家や官僚が専門家の意見をよく聞いて、判断は決然と自分が行うと言うことだ。確かに日本の役所も、専門家の集まる委員会を数多く組織し、話を聞いているように見える。ただ私の印象だが、多くの決定に際し、おそらく少数の研究者の意見をもとに前もってまず落とし所を定め、それを裏付けるために専門家の意見を聴いている場合が多いのではないだろうか。これだと順番が逆で、委員会で多様な意見を聞く意味がなくなる。   ではなぜ意見を聞いてから自分で判断することが難しいのだろう?それは、官僚や政治家側に科学的知識がないと、意見を理解した上で判断を下すことができないからだ。個人の政治家や官僚が専門家の意見をすべて理解して判断するのは簡単ではない。従って、一定の科学知識をプールして、政治家や官僚の意思決定を支えるシンクタンクが必要になる。文科省で言えば、政策研究所、JST、JSPS内に将来の政策のためにデータを集め分析する部門がある。私も科学技術政策を議論する会議に参加し、インタビューに答えたこともあるが、正直うまく機能しているようには見えない。要するにシンク「タンク」として知識が蓄積されるような構造がどこにもない。
      私は2002年まで京大医学部に在籍したあと、新しく設立した理研発生再生科学総合研究センター(CDB)に移った。CDB設立準備に関わる中で、科学者、政治家、官僚が個人的な会合を頻回に開いて情報を交換し、意思決定がなされていく姿を垣間見た。政治家や官僚はこの私的な会合を通して今後重要になる科学領域にについて一定の知識を身につけ、それを政策決定に生かしていた。この方法では有力科学者のその場の意見に依存してしまうように思えるが、私の経験ではわりと多様な研究者の意見を聞いていたように思える。ただ、民主党政権が生まれ政権交代が現実となると、この私的なメカニズム維持する時間と金の余裕はなくなってしまったのではないだろうか(現状は全く把握していない)。この結果、我が国から専門家の意見をよく聞いた後、それを咀嚼して判断を下せる政治家や官僚が減ったのではないだろうか。私も政権交代が現実となった政治システムでは、私的メカニズムではなく、政治家や官僚の政策決定を支える、一本化された信頼の置ける科学政策のシンクタンクが必要だと思う。
    カテゴリ:論文ウォッチ

    10月16日:神経芽腫の新しい原因(Natureオンライン版掲載論文)

    2015年10月16日
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    一部の例外を除いて腫瘍には必ずゲノムの変化が存在する。ヒトゲノムが解読され、次世代シークエンサーが医療現場に導入されたおかげでガンゲノム解読が容易になり、ガン研究はこの10年で目覚しい進展を見せた。まさに、新しいテクノロジーが実感できる分野の代表と言えるだろう。しかもまだ発展は続いている。これまでガンゲノム研究の中心はタンパク質へ翻訳されるゲノム領域、エクソームの配列決定だった。これはコストが抑えられるのと、情報処理技術自体の限界によるところが多かった。しかしこの限界が乗り越えられると、ガンゲノム研究は今や全ゲノム配列調べる時代に入った。今日紹介するドイツケルン大学からの論文はこの進歩を実感させる論文でNatureオンライン版に掲載された。タイトルは「Telomerase activation by genomic rearrangements in high-risk neuroblastoma (ハイリスク神経芽腫ではゲノムの再構成によるテロメラーゼの活性化が見られる)」だ。神経芽腫は小児の固形腫では最も多い病気で、その多様な経過のため予後を予測するのが難しい病気だ。経過観察だけで自然治癒する患者さんも多いが、それ以外は治療が難しく予後も悪い。したがって、ハイリスクグループとそれ以外を早期に診断し、治療方針を立てることが重要だ。これまでMYCN遺伝子の増幅がある場合は予後が悪いハイリスク群と診断されていたが、これは全体の一部に過ぎず、新しい原因遺伝子を求めてゲノム解析が進められてきた。これまでのエクソーム解析から、ALKの突然変異、ATRX遺伝子の欠損などが発見されたが、ALK突然変異は必ずしもハイリスク群に限局せず、また遺伝子異常が特定できない症例が多く残っていた。この研究の目的は、エクソーム解析では発見できなかったゲノム異常を特定することで、50例あまりの神経芽腫の全ゲノムを解読している。もちろんこの研究でもすでに発見されていたMYCN, ALK, ATRX遺伝子異常が確認されたが、それ以外に2割の神経芽腫でテロメラーゼ遺伝子上流50Kbに様々な遺伝子が転座してきていることを発見した。テロメラーゼはテロメアの長さを維持し、細胞の老化を防止する遺伝子で、これが発現すると細胞は異常増殖を始める。ただ一般の体細胞ではこの遺伝子が発現しないように染色体構造を変化させ強く抑制されている。ところが転座のある患者さんでは平均で90倍近く発現上昇がみられる。この原因を調べると、他のゲノム領域が近くに転座してくることにより、それまで閉ざされていた染色体構造が開き、上流のエンハンサーの影響を受けることで高い発現が可能になっていることがわかった。6月3日このホームページで詳しく説明したが(http://aasj.jp/news/watch/3533)、遺伝子の多くはTADという構造単位を形成し、遠くのエンハンサーの影響から守られている。神経芽腫ではこの発現を抑制する構造が、染色体の転座により破壊され、発現してはいけないテロメラーゼが発現して、腫瘍になるというシナリオだ。一般の方にとって重要なのは、このゲノム異常がこれまで発見されたMYCN増幅、ATRX遺伝子欠損とオーバーラップしないこと、そしてハイリスク群のみに限局する異常である点だ。このことから、それぞれの遺伝子を調べるとほぼ半分の患者さんについて、ハイリスクかどうかが判断できるようになったことになる。もちろん次は、それぞれの変異に合わせた治療法開発が重要だが、このためにも病気を分類できるようになったことの意義は大きい。今後他のガンでも全ゲノム解読が進むだろう。これを診断だけに終わらせずに、根治を目指した治療法開発につなげることが必要だ。国も企業もかなり戦略的に取り組まないと、我が国はガン治療開発の不毛地帯に陥っていくような気がする。
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    10月15日:老化とリプログラミング(12月3日発行予定Cell Stem Cell掲載論文)

    2015年10月15日
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    山中iPSは、患者さんのiPSから必要な系列の細胞を誘導し、それを用いて病気のメカニズムを解析し治療法を開発するためのテクノロジーとして期待され、実際成果が上がっている。一方、これまでの研究からiPS誘導により、老化していた体細胞がもう一度若返ることがわかってきた。一見両方の性質はいいとこづくめに思えるが、病気を再現するという面では一つ問題がある。多くの病気の背景には細胞の老化があるが、若返らせると老化による変化が消失して本当の意味での病気の再現は困難になる。この問題をなかなかうまい方法で研究したのが今日紹介するソーク研究所からの論文でCell Stem Cellの12月号に掲載予定だ。この論文はFred Gage研究室からだが、この研究室の仕事にはいつも自由なアイデアと豊富な知識を感じる。タイトルは「Directly reprogrammed human neuron retain aging-associated trascriptomic signture and reveal age-related nucleoplasmic defects (直接リプログラムで誘導したヒト神経細胞は老化による性質を保持しており、老化による核—細胞質間交流の異常を明らかにする)」だ。研究ではまず高齢者の細胞からiPSを誘導し、iPSではそれまで積み重なっていた老化による性質が消失することを確認している。次に、iPSのように多能性細胞へといったん戻すのではなく、高齢者の線維芽細胞から直接神経を誘導した場合、その細胞には老化による性質が保持されるか調べている。これまで報告された直接神経へとリプログラムする方法が高齢者の線維芽細胞にも適用できることを確認した後、その細胞を元の線維芽細胞と比べ、ともに老化により発現することが知られている多くの遺伝子が発現していることを発見した。すなわち、iPSと違って、直接リプログラミングを使うと、その人の年齢を反映した神経細胞を誘導できることになる。このことからiPSは再生医療には有利だが、病気の再現、特に経年変化が関わる病気の再現には不利であることがわかる。面白いのは、高齢者の線維芽細胞から直接誘導した神経細胞は、線維芽細胞とは別の老化遺伝子を多く発現していることだ。すなわち、まず老化による根幹の変化(マスター変化)が存在して、この変化がそれぞれの細胞系列で違う老化遺伝子の発現を調節していることになる。このマスター遺伝子を探すため、線維芽細胞と神経細胞の両方で出ている老化遺伝子を探索し、核と細胞質の交流を調節している核孔に結合するRanBP17分子が年齢とともに低下することを突き止める。この分子の発現を若い細胞で低下させると、様々な老化遺伝子の発現が見られるようになるので、老化に関わるマスター分子の一つである確率が高い。一方、iPSを誘導するとこの異常は消失することも明らかにしている。私も初耳だったが、核孔を形成する分子は新陳代謝が遅く、一度作った分子を長期間使うので老化の影響を受けやすいようだ。したがって、この分子が老化すると、核と細胞質の交流に支障が出て、老化変化が拡大するというシナリオだ。まあこれだけで決まるかどうか、まだまだ研究は必要だが、iPSと直接リプログラムを老化という観点から比べたのは「なるほど」と感心する。今後、老化が関わる神経系の疾患研究には、直接リプログラムの重要性が増すと予想できるが、直接リプログラムは高齢者の再生医療には問題があることがよくわかった。
    カテゴリ:論文ウォッチ

    10月14日:神経性食思不振症の脳回路(10月12日号Nature Neuroscience掲載論文)

    2015年10月14日
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    以前も述べたが、熊本大学から京大に移ってすぐに秘書に来ていただいたMさんは面接の時から神経性食思不振症であることがわかる方だった。それでも、自分も医者だからなんとかなるのではという甘い考えで、素晴らしい英語能力に惹かれて採用した。期待通り、秘書としては素晴らしい方だったが、私の生半可な知識では病気の方は如何ともし難かった。よくやってくれたお礼にと食事に誘ってスケジュールを決めるとその日は必ず休まれることに気がつき、それからは誘うのをやめた。結局体力の限界が来て退職された。その後入院治療を続けられたが、回復せず帰らぬ人となられた。今も私のところで働いたせいではないかと気に病んでいるし、またこの病気についての論文は特に気になる。今日紹介するニューヨーク大学からの論文は素人の私にもわかりやすい論文で神経性食思不振の患者さんが食べ物を選ぶときに活動する特徴的な脳回路についての研究で、10月12日号のNature Neuroscienceに掲載された。タイトルは「Neural mechanisms supporting maladaptive food choices in anorexia nervosa(神経性食思不振症の異常な食物選択の背景にある神経メカニズム)」だ。これまでの研究から、この病気の患者さんは治療として食生活を変えている途中でも、食べ物の好みを聞くと例外なく低カロリーの食品を選ぶことがわかっていたようだ。この研究でもまず患者さんに、健康状態や、食べ物の好みなどを聞いている。ただ、選んだ食品の中からランダムに選んで必ず食べてもらうようにすることで、正常を装うことを防ぐ工夫をしている。さらに、次の日ビュッフェ形式のランチを食べてもらってその時のカロリー量を計算することで、この選択が実際の食行動と相関することを確認している。驚くことに、このランチで1人は食べられずにリタイアし、3人の患者さんは過食への欲望が抑えられないと告白したようだ。この病気はそれほど大変なのだ。   これまでも同じようなテストが行われていたようだが、今回の研究は実際の食品選択行動まで確認している点が新しいようだ。この確認の後、MRIを用いて患者さんが食物選択をする際、脳のどの領域に正常との差が見られるか調べて、線条体の背側部が患者さんで強く興奮することを見出している。同じ線状体でも、腹側は正常と変わらない。またこの活動は、食品を選択する時のみに強く現れ、食べ物の好みについての質問に答えているときには正常と差がない。もともと線条体は行動の選択に関わる領域として知られているので、次に患者さんが低カロリー食品に反応する時、どの回路からの刺激が線条体を興奮させるか調べ、大脳前頭葉の前方・腹側・側方と連結する回路が関わることを突き止めている。すなわち患者さんでは、低カロリー食品を見た時結合が強まり、高カロリー食品を見た時結合が弱まる。普通の人は逆に高カロリー食品を見た時にこの結合は強まる。更に、低カロリー食品を見た時の結合の強さが、実際にビュッフェで選ぶ食品のカロリー量と逆相関を示すことも明らかにしている。結果はこれだけで、この回路の結合性の強さと摂取カロリー量が逆相関するなら、客観的な診断指標として使う可能性はあるとしても、ではこの病気に対してどうすればいいのかヒントはなかった。ようやく出口がわかったところだろう。次は前頭葉がなぜ高カロリー食品を忌避するのか、そのメカニズムを明らかにすることが必要だと思う。とはいえ、少しづつでも研究が進展していることを確認できる論文だった。
    カテゴリ:論文ウォッチ

    10月13日:エチオピアで出土した新石器時代人のゲノム(Scienceオンライン版掲載論文)

    2015年10月13日
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    シリア難民がハンガリーからドイツに向けて歩いているのを見ると、私たちの世代はハンガリー動乱で多くの難民がオーストリアに向けて歩いている写真を思い出し、歴史は繰り返すことを思い知る。そして、中学・高校で習った民族の大移動が、現在も当たり前のように続いていることも実感する。実際、中東からトルコにかけてのルートは古代から民族の移動が盛んに起こっていたようだ。私たち人類の祖先が中東に生まれ、南と北に別れて拡がったことは、現代の各民族の遺伝子を比べることでかなりの程度わかる。ただ、さまざまな時代に生きた古代人のゲノムが解読されると、この精度はさらに上がる。このためネアンデルタール人と交流のあった2−3万年前から現代に至るさまざまな時代の民族の骨に残るゲノムを調べることは歴史学の重要な分野として確立した。しかし、アジア、アフリカから出土した古代人のゲノムの解析はさまざまな理由で大幅に遅れている。今日紹介する英国ケンブリッジ大学とアイルランドダブリンのトリニティーカレッジからの論文はエチオピア南部Mota洞窟で見つかった新石器時代人のゲノムを12回繰り返して読んで解読した研究でSciencオンライン版に掲載された。タイトルは「Ancient Ethiopian genome reveals extensive Eurasian admixture throught the African continent (エチオピア古代人のゲノムはアフリカ全土にわたるユーラシア人との交雑を示す)」だ。現代アフリカ人とヨーロッパ人を比べる時問題になるのが3000年前後に起こったユーラシアからアフリカへの移動による交雑だ。この時の影響を正確に調べるためには、それ以前のアフリカ人のゲノム解析が必要で、この論文で解析されたMota人は古代アフリカ人としては最初のゲノムになる。まず現代のアフリカ人とゲノムを比べると、エチオピアのオモ語をはなす民族に最も近い。オモ語を話す民族は言語学的に他の民族から孤立して来たとする説があるが、今回のゲノム解析はそれを裏付けるようだ。次にユーラシア人の遺伝子流入について調べてみると、現代のサルジニア人、そしてシュトゥットガルトで出土した新石器時代人のゲノムに最も近い。これまでの研究でサルジニア人はヨーロッパ人の中で新石器時代人のゲノムを最も残している民族とされている。西ヨーロッパ新石器人は、現在のトルコ地方から農業とともに移動して来たことがわかっており、今回の研究結果は同じ祖先が遠くアフリカまで拡がっていたことを物語る。サルジニア人から想像できるのは、色の浅黒い茶色い目の民族だが、流入した遺伝子から同じ先祖が移動して来たことが確認できる。さらに他のアフリカ民族のゲノムと比べると、このトルコ由来の新石器人ゲノムはアフリカ全土に拡がっていることも分かった。このことは、ユーラシア人とアフリカ人の交流がこれまで考えられていた以上に起こっていたことになるが、だとするとアフリカ人にネアンデルタール人のゲノムが流入していないのは解せない。もう一度新しい観点で見直すと、確かに0.3−0.7%ぐらいのネアンデルタール人ゲノムがアフリカ人にも見られる。ただ、これまで言われていたように、アフリカ人が直接ネアンデルタール人と交雑したことはないと考えたほうがよさそうだ。一人の古代人のゲノムが、歴史についての理解をこれほど新しくしてくれる。エキサイティングな時代だ。しかしこの研究からわかる民族の移動を、現代の難民の移動と重ね合わせると、移動の背景に何があったのかぜひ知りたい。考古学の出番だ。
    カテゴリ:論文ウォッチ
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