今日紹介するエモリー大学からの論文は腸内の炎症に関わるアミノ酸センサーについての研究で、腸内の炎症にオートファジーが関わることを示す研究で3月24日号のNatureに掲載された。タイトルは「The amino acid sensor GCN2 controls gut inflammation by inhibiting inflammasome activation (GCN2アミノ酸センサーがインフラマトゾーム活性化を阻害して腸内の炎症を抑える)」だ。
この研究は最初から、細菌以外の腸内のストレスが炎症に及ぼす影響、特に低栄養などに関わるアミノ酸センサーの機能に絞って研究を行っている。まず、アミノ酸センサーGCN2の欠損したマウスに硫酸デキストランで腸内炎症を起こすと、欠損マウスでは炎症性のリンパ球の浸潤が強く、炎症が激烈になっていることを突き止める。この現象は、GCN2に特異的で、ERストレスに関わる分子をノックアウトされたマウスでは観察できない。このメカニズムを調べると、オートファジーがこの炎症増強に関わることを、様々なノックアウトマウスを用いて明らかにしている。すなわち、GCN2が欠損して、オートファジーが働かなくなり、ミトコンドリアでの活性酸素が上昇して、炎症が促進されることを明らかにした。最後に、GCN2が何に反応して炎症を抑えているか、餌の中のアミノ酸を変化させて調べると、低タンパク食や、ロイシンの欠損した餌を与えると、GCN2が活性化し、炎症が抑えられることが明らかになった。もし人間も同じメカニズムを使っているとすれば、腸内の炎症を抑える一つの栄養経路が明らかになったと言えるだろう。
オートファジー恐るべし。
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