2月18日 腸内細菌が合成する化学物質が不安神経行動を誘導する(2月14日 Nature オンライン掲載論文)
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2月18日 腸内細菌が合成する化学物質が不安神経行動を誘導する(2月14日 Nature オンライン掲載論文)

2022年2月18日
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4EPSは、チロシン、クマリン酸、ビニルフェノール、4EPを経て合成されるが、一つの細菌が全ての酵素を持つ可能性は低い。そこで、4EPまでの酵素を持つ2種類の細菌を組みあわせて、無菌マウスに投与すると、少量ではあるが血中に4EPSが見られるようになる。さらに、一つの細菌が発現する酵素の量を変化させたりと、遺伝子操作を加えると、高いレベルの4EPSが血中に現れるようになる。

異常のモデル実験から、おそらく複雑な細菌叢の中で、各細菌中の酵素を順番に使いながら腸内で4EPが合成され、これが体内で硫化反応を受け4EPSに変化すると考えられる。

後は、こうして腸で合成された4EP由来4EPSの脳への影響を、様々な方法で調べている。まず全体の脳活動を調べると、4EPSは活動を低下させる。その結果、領域間の結合性も低下する。

後は、細胞レベルでの4EPSの効果を調べ、オリゴデンドロサイトの成熟を阻害し、結果ミエリン形成が低下することを示している。また、これにより、いくつかの行動テストで、不安神経行動が高まることを示している。

以上が結果で、腸内細菌叢にしっぺ返しを食らうことを示す典型的論文だ。ただ、このような物質が脳細胞の成熟を抑制する研究などは数限りなく存在する。従って、腸内細菌叢から持続的に4EPが供給されることを示したことがこの研究の全てだと思う。また、腸内細菌叢をうまく利用すると、多くの慢性暴露実験も出来るかもしれないと思った。

4EPとはどんな分子なのかちょっと気になって、ググって見ると、なんと酵母により合成され、ワインや醤油のアロマの素になっているようだ。とすると、ほぼ毎日ワインのお世話になっている私は、細菌叢に頼らず暴露されていることになる。しかし、幸い今のところ、気楽に人生を楽しめている。さて、この研究をどの程度深刻に受け止めればいいのか、悩ましい。

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