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10月25日 人間の島皮質の機能(10月25日Natureオンライン掲載論文)

2026年10月25日
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今日は人間の島皮質に設置された留置電極を使って脳刺激や神経活動を記録し、研究が簡単でない島皮質機能を調べたスタンフォード大学からの論文を紹介する。タイトルは「Functional architecture of the human insula(ヒト島皮質の機能的構造)」だ。


おそらく一般の方に島皮質と言っても何のことかわからないので、GPT-5 で作成した図を掲載しておくので参考にしてほしい。図からわかるように島皮質は脳の真ん中にあって、身体や内蔵からのインプットを常に統合して身体感覚を形成していると考えられている。
この研究では、てんかん発作起原を特定するため島皮質の様々な領域に複数のコンタクトサイトを持つ電極を設置した患者さんで、電極を通した刺激や記録を行い、その結果から島皮質の機能を調べている。87人の患者さん全体で478カ所の電極で島皮質をカバーし、そのデータを集めた結果から機能を推定している。
実験自体はペンフィールドの手術中に脳各部を刺激したときに起こる運動や感覚をリアルタイムで患者さんに聞いて、神経機能を推定したのとほぼ同じ実験だが、現代では留置された電極を用いて刺激が行われている。これら電極は同時に神経記録にも使える。
さて結果だが、島皮質を前方から4カ所に分けて刺激効果をマッピングすると、最も後ろから中央にかかる最も大きな2領域では、口、腕、足という順番に痛みや熱感と言った体性感覚を誘導出来る。皮質の感覚野ほど明確ではないが、それでも体性感覚のボディーマップが島皮質に形成されているのはおもしろい。これに続いて中部の領域は、内臓感覚で胸が詰まった感じ、あるいは胃や腸が履きそうな感じに襲われると言った感覚を誘導する。他にも、頭頸部に波のように違和感が広がると言った感覚を訴える人もいる。一部の方では不安感も訴えている。
中でも最もおもしろいのは最前方部で、この領域を刺激しても何の感覚も誘導しない。しかし、Salience taskと呼ばれる、目立ったものを見たときに注意や記憶が呼び起こされる過程を調べる課題で強い興奮が見られることがわかった。
さらに刺激により他の領域の興奮を記録して神経結合を調べると、際前方領域は島皮質の他の領域と双方向の強いつながりを持っていること、また大脳皮質では他の領域と異なり、特に前頭葉とのつながりが強いことが明らかになった。即ち身体の感覚だけで無く、認知や記憶と言ったより高次な脳機能を島皮質と連結することで、行ってみれば心と身体をつなぐハブになっていることがわかった。
うまい具合に島皮質に留置電極を置く必要のある患者さんは多くないだろう。そんな患者さんを10年にわたって87人も集めて刺激実験を行ったということが驚異的だ。また、研究が難しいヒトを用いて主観的な感覚と脳刺激を対応させることで、島皮質の場合我々の心と身体の問題をより進化させられる可能性がある。例えば離人体験など、今後の研究が楽しみだ。

カテゴリ:論文ウォッチ
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