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10月7日 一卵性双生児発生のエピジェネティックス(9月28日号 Nature Communications 掲載論文)

2021年10月7日
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一卵性双生児は、卵割した娘細胞が、それぞれ独立して発生を始めることから起こるが、これまでこの過程は全くランダムに起こる一種の事故のようなものと考えていた。ただ、専門家にとってはそれほど話は簡単でないようだ。というのも、独立した発生の開始は12%の妊娠で起こっているらしく、ほとんどは片方が発生を止めて消滅して終わる。ところが一部の妊娠では、最後まで発生が進むことから、この差を決める何らかの要因があると考えられる。

今日紹介するオランダ・アムステルダム自由大学からの論文は、一卵性双生児が発生する時期が、ちょうどDNAメチル化などエピジェネティックな再プログラムが進行する時期なので、一卵性双生児が発生するエピジェネティックな条件があるのではと着想し、一卵性双生児特異的なDNAメチル化パターンを探索した研究で9月28日号Nature Communicationsに掲載された。タイトルは「Identical twins carry a persistent epigenetic signature of early genome programming(一卵性双生児は持続する初期のゲノムプログラムのエピジェネティックな特徴を持っている)」だ。

この研究では双生児のエピゲノムを経時的に調べているコホート研究データに蓄積されたDNAメチル化部位(45万カ所)についてのデータを、一卵性双生児(MZ)と、二卵性双生児(DZ)で比較し、MZ特異的に変化が見られるメチル化部位を最終的に834カ所特定している。このうち、497カ所ではメチル化レベルが低下しており、一方残りの337カ所ではメチル化レベルが上昇している。

こうしてリストされたMZ特異的領域は、どのコホートでも同じようにリストされ、またこの中で発生したメチル化レベルの変化は、成長後安定して維持される。また、双生児同士を比べると、ほぼ同じメチル化サイトの変化を共有している。また、口腔粘膜細胞を用いて調べても同じ結果になる。

では、ゲノムのどどの部位でメチル化が変化しているのか?まず、メチル化が低下する部位はテロメアに近く、メチル化が上昇する部位はセントロメアに近い。すなわち、元々染色体が閉じられている領域に集中している。そして、多くは転写因子のプロモーター部位のCpGアイランドに集中しており、しかも発生初期に細胞の分化や増殖、あるいはカドヘリンのような接着を調節している遺伝子調節領域であることも示している。

最後に、実際の一卵性双生児ではないが、DNAメチル化によるインプリンティング異常により起こる発生異常、Beckwith―Wiedermann症候群の子供についてDNAメチル化部位を調べると、MZと同じメチル化パターンが見られることを示している。すなわち、Beckwith―Wiedermann症候群インプリント異常は、もともと発生初期のメチル化パターンのMZ型変化に起因しており、おそらくほとんどのケースでMZとして発生を始めるが、発生途中で片方が発生できなくなったと考えられる。

以上、ランダムな過程と思い込んで、考えもしなかった問題を、プロとしてエピジェネティックな原因を探索したことが素晴らしいと思う。とはいえ、ここで示された過程が本当にMZの原因になるかどうかは、全く解析されていない。要するに現象論だ。これを証明するためには、大変な努力が必要だが、MZ発生過程を調べるためだけにこの苦労を背負う研究者が本当に出てくるのか、難しいところだ。しかし、初期発生過程のエピジェネティック操作は、重要な分野として育つと思うので、その辺から、今回示された可能性の証明が出てくるように思う。

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