ようやく10月に入ったが、今年は9月末まで真夏日が続いた。昨日も東京からの帰り、新神戸から自宅まで歩くだけで汗びっしょりという有様だ。これが地球温暖化によることはトランプとそのフォロアー以外は最早疑わなくなった。
今日紹介するダントツ世界一温室効果ガスを排出している中国、精華大学からの論文は、この温室効果ガスが、巨大台風の襲来時期を早め、豪雨の頻度を上昇させているという、我々が最近持ち始めている印象が、気象学的にも間違いないことを示した研究で、9月27日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Seasonal advance of intense tropical cyclones in a warming climate(温暖化は巨大熱帯サイクロンの襲来時期を早める)」だ。
気象学は全く専門外だが、モデルを作って要因を探るという統計学的方法も含めて、専門外という感じは少ない。ただ、詳しい測定データと、高い計算能力に研究が依存していることがわかる。
いずれにせよ研究は現象から始まる。おそらく多くの日本人がこの頃、大きな台風がいつもより早く襲来すると感じているが、これが事実かどうかの検証をまず行っている。
すると、巨大サイクロンに限ると、1981年から2017年の間を比べると、インドネシア、オーストラリアを除くほとんどのサイクロン発生地で、発生時期が早くなる傾向がはっきり認められ、10年に平均3.3ー3.7日程度早まってきている。
ところが普通の大きさのサイクロンでは全くその傾向はない。なぜ巨大台風だけ発生時期が早まるのかを詳しく調べると、ほとんどの巨大サイクロンで見られる急速な発達を遂げる時期が早まっていることがわかる。すなわち、熱低からサイクロンになる発達段階で、サイクロンにエネルギーを供給して発達させる要因が存在する。
この要因を様々な測定データと比べていくと、台風発生に関わる発生地の湿度や風などはほとんど相関しない。一方、サイクロン発生と巨大化を後押しする海水温度を含む条件と最も強い相関を示すのが、温暖化ガスの排出で、特に排出領域に近い海洋で相関が高い。さらにサイクロンの傾向と一致して、豪雨の頻度も一致している。
結果は以上で、モデルをつくって検証する作業を除くと、それほど難しくないが、後は結果を信じるかだ。精華大学は習近平の母校だが、このデータを知った習近平が実際に動くのか、中国の決断に同じサイクロンを経験せざるを得ない日本も大きく影響される。