5月30日 肝臓のマクロファージが鳩のジオセンサーだった(5月28日号 Science 掲載論文)
AASJホームページ > 新着情報 > 論文ウォッチ

5月30日 肝臓のマクロファージが鳩のジオセンサーだった(5月28日号 Science 掲載論文)

2026年5月30日
SNSシェア

これまで様々な動物が地磁気を感知して長い旅をするメカニズムについての研究は何度か紹介してきた。中でも主流になっている考え方は光を感じるタンパク質クリプトクロームが地磁気の影響を受けることで、磁気を目で感じているという考え方だが(https://aasj.jp/news/watch/16040)、ではクリプトクロームが働かない夜はどうかなど、全てが明らかになったとは言えない。

今日紹介するドイツ・ボン大学からの論文は、驚くことに壊された赤血球から多くの鉄をため込んだマクロファージが、自律神経に地磁気シグナルを伝えることで、鳩は夜でも目的地へのフライトが可能であることを示した研究で、5月28日号の Science に掲載された。タイトルは「Homing pigeon navigation relies on superparamagnetic macrophages under overcast conditions(鳩の帰巣ナビゲーションは曇り空ででも働くマクロファージの超常磁性に依存している)」だ。

この研究では強い磁場をかけたとき、どの身体の部分が超常磁性を示すかを調べ、肝臓が強く反応することを発見する。超常磁性には当然鉄が必要で、次にどの細胞が鉄を含有するかセルソーティングで調べた結果、クラスII MHCを発現するマクロファージで古い赤血球を肝臓で壊し、そこから多くの鉄を取り込んでいることを確認している。

マクロファージが超常磁性を持つとして、ではどのように脳へシグナルを送るのかを考えるため、肝臓のマクロファージと神経細胞の関係を調べると、肝臓の門脈と中心静脈をつなぐ血管に沿って走る神経と接して存在することを突き止めた。

本当なら、脳にシグナルが伝わっているのか Fos の反応などを用いて調べるところだが、この研究では脳の反応は棚上げにして、すぐ行動実験へと移っている。マクロファージに脂肪粒子を取り込ませることで、赤血球取り込みを抑え鉄の蓄積を低下させることが出来るので、このような処理を施した鳩を作成、これを太陽の光を利用できない曇り空で帰巣させる実験を行うと、コントロールは一直線で帰巣するのに、肝臓のマクロファージがブロックされた鳩は、スタートラインをうろうろして元に戻ることが出来ない。一方、同じ処理をしても太陽の光があるときには、肝臓のセンサーがなくても一直線で元に戻る。

以上が結果で、肝臓のクーパー細胞と呼ばれるマクロファージが鳥の地磁気センサーの役割を演じるとは、全く予想外の話で驚く。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月29日 海馬の場所細胞の2段階体制(5月27日 Nature オンライン掲載論文)

2026年5月29日
SNSシェア

我々の海馬に存在する場所記憶システムは、entorhinal cortex に存在して、絶対的空間情報を保持するGrid細胞と、海馬のCA1とCA3に存在する現実の場所の場所を記憶しコードする場所細胞に分かれている。生後すぐには場所細胞が発達するが、その後Grid細胞がCA1、CA3へと投射することで、空間の座標を指示すると考えられている。

今日紹介するイスラエルワイズマン研究所からの論文は、コウモリが長い距離を飛翔するとき、CA1とCA3場所細胞は全く異なる挙動を示し、この結果長い距離での場所記憶を、迅速かつ正確の行える2段階システムが存在することを示したおもしろい研究で、5月27日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Sparse-to-dense coding transformation between hippocampal areas CA3 and CA1(海馬のCA3とCA1では、雑なコーディングから精密なコーディングへの変換が行われている)」だ。

これまでCA1とCA3の場所細胞は、存在する領域は異なるがほとんど同じようなマップが作られると考えられてきた。しかし、長い距離を移動するマウスを用いた実験から、CA1では場所細胞が多く動員されて別々の場所領域をコードするのに、CA3は長い距離でも短い距離でも固定した一つの場所細胞セットで場所をコードしていることがわかった。すなわちCA1とCA3の場所細胞の機能は同じではなく、CA3は領域の大きさにかかわらず記憶する空間全体を、CA1は空間記憶の精度を上げるために、大きな空間を分割する小さな空間に分けてコードしているという可能性が示唆されていた。

この研究では100mを超える空間での移動実験が可能なコウモリを用いて、CA1、CA3両方の場所細胞を同時記録し、上の仮説が正しいかどうかについて実験している。コウモリのCA1、CA3領域にクラスター電極を設置し、まず130m、180m、200mと異なる距離を飛行させたときの、それぞれの領域の錐体神経を数百個づつ記録している。

結果は予想通りで、CA3の場所細胞は距離にかかわらず一つのセットが全体の空間に対応する。即ち、一つの場所細胞は全体の工程の一定の部位のみで反応する。ところがCA1は同じ細胞が全体の行程の中の異なる区画で何度も反応する。また、距離にかかわらずCA3は一つの場所細胞セットで対応する一方、CA1は距離が長くなると多くの場所細胞セットが動員され、200mの距離では5−10個の脳内フィールドが対応する。

以上の結果とCA3はCA1へ投射して反応を調節していると言う事実から、CA3は距離にかかわらず移動空間全体を一つの神経セットでカバーし、距離や方向の変化にいち早く対応するとともに、CA3の指示に従って、CA1ではより小さな区画をカバーする神経セットを距離に応じて増やしていき、より小さな領域の変化を正確に記録していると考えられる。このことを、神経ネットワークシミュレーションで確認した後、これを実験的に確かめるため、180mの工程の中においた標識を7.5mずらす実験を行って、それぞれの反応を見ている。期待通り、小さなずれにはCA3は全く反応しないが、CA1神経は反応する細胞がずれにより再構成される。

さらに、途中で90度ターンが必要な行程で、行きと帰りでのCA3、CA1の反応を調べると、CA3はほとんど変化がない一方、帰りになると行きに反応した細胞の中の一部が強い反応を示すことを観察している。この行きと帰りの差は、おそらく帰りのルートを予想する過程で、正確な場所をコードするCA1が選択的に興奮して場所を指示していると考えられる。

結果は以上で、行動する空間全体をカバーするCA3と、その指示によりより詳細な部分的場所記憶に関わるCA1という2段階システムが明確にされた。おそらく自動運転のAIも同じような構築になっているのではないだろうか。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月28日 生成AIの医学への応用(5月14日 Nature Medicine 掲載論文)

2026年5月28日
SNSシェア

GPT、Gemini、Claudeなど、大規模言語モデルの進展はめざましい。既に2年以上GPTは有料で使っているが、ますます使いやすくなっている。何を隠そう、今年からNPOの活動報告書は全てGPTに任せている。当然医学分野でも汎用の言語モデルのパワーは目を見張る。医学知識のある場合、聞き方もポイントがわかるので、ほとんどの場合用が足りている。

例えば4月30日号の Science に「Performance of a large language model on the reasoning tasks of a physician(大規模言語モデルの医者が行う診断理由課題に関するパーフォーマンス)」と題する論文が発表された。正直この論文を Science の論文として認めていいのかという気もしたが、医療の基礎とも言える、提示される患者さんの問題から診断や判断の理由付けを行う過程を、医者と最新の Open o1、GPT4 の判断を専門家に評価させ、一般医師の判断と比べた研究だ。

医学雑誌や病院のケースレポートなどをベースに作成したプロンプトを使っており、実際の患者さんに対しているわけではないが、例えばNEJMが提供する医師教育問題で、診断の妥当性、正しい鑑別が出来たか、その理由を提示できたかなど多くの項目を評価し、特別に医療に特化した学習をさせなくても、使い方によって汎用言語モデルは一般的な医師を凌駕することを示している。

このように汎用大規模言語モデルを使う方法もあるが、現在Googleが進めているのは、医療に特化したモデルを医師向け及び患者向けに整備していく方向だ。そのほとんどについてはこのブログで紹介してきたが、Gemini をベースにした2種類のモデル、MedGemma は医師向けの、そしてAMIEは患者さんとの対話目的で開発されている。

MedGemma は医師が患者さんの画像や検査データとともに診断や方針を決める助けになる、オープンソースモデルで、医学部や病院で診断補助だけでなく、教育にも使えると思う。

今日紹介するロンドンにある Google Deep Mind からの論文は患者さんとの対話向けモデルAMIEのマルチモーダルな進化版の評価を行った研究で、5月14日 Nature Medicine に掲載された。タイトルは「Advancing conversational diagnostic AI with multimodal reasoning(マルチモーダルな理由を提示できる対話型診断AIの進展)」だ。

様々な臨床でのQ&Aを学習した患者さんとの対話から鑑別診断が出来るモデルAMIEについては、昨年4月に紹介した(https://aasj.jp/news/watch/26528)。 AMIEはテクストによる対話に特化して鑑別診断をするモデルだが、新しいモデルでは MedGemma のように、画像やデータを読み込んで、一緒に判断するマルチモーダルな能力を付与している。もちろんこの画像やデータ解析能力は、レントゲンなど医療情報にも適応すると思うが、この論文では、リモートで初診の患者さんの訴えを聞いて、可能な病気を理由付けとともにリストし、次の検査や処置を指示できるか、以前の研究と同じで、患者に扮した俳優にプロンプトを覚えさせ、AMIEと一般医とを比較している。

実際のプロセスでは、まず患者さんから症状や病歴、他にも家族歴など必要な聞き取りを行い、そこから鑑別する病名を理由とともにリストし、患者さんからのインプットに応じてそれをアップデートすることが出来るようにしている。

まずこのレベルで医師と比べると、AMIEの論文と同じで、ほとんどの項目で一般医を凌駕する。また、患者に寄り添ってくれているかについての評価もAMIEに軍配が上がる。その上で、この研究では、テキストに答えて患者さんでも採取できるデータを使えるかについてテストしている。

一つはスマフォで撮影した皮膚の画像と、スマートウォッチで採取できる心電図情報になる。即ち、鑑別診断として皮膚画像や心電図が必要になったとき、対話している患者さんからのデータを適切に利用して診断に利用できるか調べている。テキストだけでは、AMIEと一般医との差はそれほど大きくないが、皮膚の画像を鑑別診断が指示したときのパーフォーマンスは、圧倒的にAMIEが高い。これと比べると心電図はAMIEが優れていても差は大きくない。

以上が結果で、今後医師へのアクセスが限られているリアルワールドでパーフォーマンスをテストすることが最も重要だと思う。もちろん日本のように検診データが揃っているところでは、それを読み込むことでより高い診断のための対話が可能になる。Googleの戦略の強みは、医師向けと患者向けを並行してい開発している点で、リアルワールドでのパーフォーマンスを注視していきたい。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月27日 学習効率を上げるためには褒美を一度に多く与えるのが良い(5月21日 Science 掲載論文)

2026年5月27日
SNSシェア

AIの進展もあって、強化学習のメカニズムについての研究の注目度は一段と高くなっている。私自身専門ではないが、強化学習の研究を読むことは多い。強化学習実験のキーは、学習に際して褒美を与えることで、学習効率、学習意欲、そして記憶の固定が促進されるが、辺縁系を中心にこの促進効果に関わる回路を特定する研究に発展している。しかしこの論文を読むまで、褒美の量と与え方の違いの重要性に思い至ることはなかった。

今日紹介するハワードヒューズ医学研究所の Janelia Research Campus からの論文は、学習は少量の褒美を与えて試行を繰り返させることで強化されるとする先入観を、褒美の量や与え方を変化させる強化学習実験を行って再検討した研究で、5月21日 Science に掲載された。タイトルは「Reward magnitude determines reinforcement learning efficiency(褒美の大きさが強化学習の効率を高める)」だ。

この研究ではまず隠れた標的を見つけると褒美が与えられる強化学習システムを用いて、通常褒美として使われている喉の渇いたマウスに対する5μlの水の代わりに20倍の100μlを与えたときに学習効率は変化するか、を調べている。考えてみると、褒美の大きい方が頑張るのが普通だと思うが、これまでの実験がそれを無視して行われていたのはおもしろい。

結果は予想通りで、学習過程を学習率、学習結果の記憶固定、そしてやる気の維持に分けて調べると、最初に多くの褒美を上げた方が全てで促進が見られる。これは、障害を避けてレバーを動かすテストや、国際的に意志決定を学ぶ実験で標準になっているテストでも、全て同じように効率を高めることができる。おもしろいのは、褒美の総量が問題ではなく、少ない回数でも一度に大きな褒美が得られることが重要になる。

強化学習なので、行動の背景にあると考えられるドーパミン神経興奮を調べると、大きい褒美ほど興奮の強さが強く、しかも興奮が長続きする。その結果得られる強いドーパミン分泌が、学習の様々なプロセスを強化すると考えられる。

これを確かめるため、通常の少ない褒美トライアルで、腹側被蓋野を刺激してドーパミン分泌の量を調節すると、強い持続的な刺激を加えたときに大きな褒美を与えたときの起こる強化学習効率の促進が可能であることを示している。

学習に必要な過程への影響で見ると、学習を繰り返すうちに起こってくるやる気の喪失 (disengagementのこと)が、大きな褒美を与えるといつまでも真剣にトライアルを続け、やる気が維持されるのがおもしろい(というか身につまされる)。また、セッションを超えて学習記憶を固定化する過程への作用が弱いのは、辺縁系と海馬とのつながりを弱さの反映かもしれない。もちろんいいことばかりではない。条件付けと刺激が間隔を置いて与えられるパブロフ型連合学習実験の場合、次のトライアルの褒美に対する神経反応が鈍化してしまう。

以上が結果で、一般的には褒美は一度にたくさん与えるのがいいという、極めて納得のいく結果になっている。論文を読んでみると、神経回路や神経細胞の詳細はあまり気にせず、神経科学は最小限に抑えている。おそらく元は心理学畑の研究者ではないだろうか。しかし、だからこそより行動に近いところで素朴な疑問を発することができる。おそらくこのようなデータこそAIへの利用もしやすいのではと推察する。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月26日 ドーパミン刺激によるエピジェネティック変化が妊娠・出産・哺育経験の脳を形作る(5月20日 Natureオンライン掲載論文)

2026年5月26日
SNSシェア

妊娠、出産、哺育を経験することで脳に大きな変化が起こることは間違いがない。なんと言っても長期にわたるホルモン環境の変化は、脳の様々な遺伝子発現に急性だけでなく、エピジェネティックコードの書き換えを介した変化を誘導する。これが母の経験として、その後の子育ての成功率を高める。

今日紹介するマウントサイナイ医科大学からの論文は、母親としての経験にホルモンだけでなく、ドーパミン・エピジェネティックコードの書き換えが貢献していることを示した研究で、5月20日 Nature にオンライン掲載された。タイトルは「Dopamine drives persistent remodelling of the maternal brain(ドーパミンは母親の脳の持続的リモデリングを促進する)」だ。

このグループの研究は以前にも紹介したが(https://aasj.jp/news/watch/12774)、研究の対象はヒストンのドーパミン修飾による遺伝子発現の変化で、以前紹介した論文ではコカイン中毒により腹側被蓋で発現するヒストンのドーパミン化の低下が中毒からの離脱を妨げるという研究だった。従って、この研究では妊娠、出産、哺育経験の脳変化が対象になっているが、最初からヒストンのドーパミン化に落とせる過程を探索する過程で、妊娠を対象にすることになったと言える。いずれにせよ、長期にわたる変化は確かにコカイン中毒に匹敵するかもしれない。

妊娠、妊娠+哺育、など様々な母親としての経験を再現したマウスを作成し、哺育までの全ての経験を経たマウス(REマウス)の脳での遺伝子発現の違いを丁寧に調べている。そして、最も大きな変化が記憶に関わる海馬で見られること、変化する遺伝子の多くはエストロゲン受容体をはじめとする転写因子の下流に存在することを確認した上で、ドーパミンに関わる遺伝子発現も大きく変化することを突き止める。

おそらくドーパミンの影響が最もはっきりする、REマウスでの変化を調べ、REマウスの一連の経験の中で、哺育過程で子供から一定期間隔離するストレスがREマウスの経験を帳消しにし、この時ドーパミンにより誘導される変化が強く影響されることを明らかにしている。即ち、哺育過程のストレスによるドーパミン刺激が、REマウスの母親としての経験を帳消しにし、そのとき海馬での遺伝子変化が持続的に変化することを確かめる。

まさにこのグループの土俵に対象を引っ張ってきた感じがする。そして、持続的に発現が変化する遺伝子のヒストンを調べて、REの経験によりドーパミン化したヒストンのレベルが低下するが、ストレスはこのレベルを上昇させることを明らかにする。また、人間の脳でも、出産経験によりドーパミン化ヒストンのレベルが低下することも確認している。

以上の結果は、妊娠・出産・哺育経験の時期には海馬へのドーパミン分泌が抑えられ、持続的エピソード記憶増強の環境が形成されることになる。これを確かめるため、妊娠経験のないマウスでの海馬のドーパミン分泌を光遺伝学的に抑える実験を行い、妊娠経験と同じレベルのエピソード記憶能力を持続させられることを示している。

最後にこの効果が海馬神経でのヒストンドーパミン化の結果である事を示す目的で、ドーパミン化されるグルタミンをアラニンに変えてドーパミン化を阻害するヒストンを海馬神経で発現させる実験を行い、この操作によりRE経験がストレスで打ち消されるのを防げることを明らかにしている。

以上が結果で、ドーパミンを受ける神経でもヒストンのドーパミン化が進むというのはわかりにくいと思うが、このグループはドーパミンの取り込みによりこのような現象が起こるとしている。そのうえで、ドーパミン刺激とヒストンのドーパミン化を調べるための実験系として、妊娠・出産・哺育経験を突き止めたのがこの研究のハイライトで、あとは最もクリアな系でこれを証明している。

Geminiで調べると確かにパーキンソン病患者さんの黒質でヒストンのドーパミン化が低下している論文もあるようなので、今後も注視していきたい分野だ。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月25日 超音波でパーキンソン病の症状を改善する(5月20日 Science Translational Medicine 掲載論文)

2026年5月25日
SNSシェア

パーキンソン病 (PD) の治療はドーパミン神経の回復だが、特徴的な運動障害を改善するために、深部刺激や磁場による刺激などが利用されてきた。

今日紹介するトロント大学からの論文は、なんと超音波刺激でもPDの運動症状を改善できる可能性を示した研究で、5月20日 Science Translational Medicine に掲載された。タイトルは「Transcranial ultrasound stimulation of motor networks in Parkinson’s disease informed by local field potential dynamics(パーキンソン病の運動回路の経頭蓋超音波刺激の影響を局所電場電位活動を指標に調べる)」だ。

PDの運動回路の特徴的変化は波長が14−30Hzという覚醒時に起こる脳波が高まることで、これをリラックスさせることが重要だと考えられている。このため、深部刺激でもβ波の上昇を感知して刺激により抑制することが行われる。

この研究では2カ所の音源から超音波を特定の領域に集中させる方法により同じ効果が得られないかを、視床下核に設置した局所電場電位を記録できる深部刺激用の電極で記録して調べている。超音波はガンにも利用されるほど細胞障害性を持っており、まず安全性の徹底的解析から行っている。最終的に、自覚的にも、MRI 等を用いた検査でも、温度上昇は安全範囲にとどまり、組織障害は見られず、自覚的にも問題がないことを確認している。

その上で、運動回路として淡蒼球内接、M1運動野、そして後部皮質を標的に、超音波照射を行い、深部電極で記録される視床下核の電場電位を記録している。結果は明確で、後部皮質、あるいは淡蒼球内接への照射は、逆にβ波を高めることがあっても抑えることはない。一方、M1運動野の照射は、視床下核のβ波を抑えることができている。この効果は指を動かす運動中では低下する。即ち、運動にはβ波の抑制が必要で、これによって照射の効果が打ち消されていると考えられる。

最後にPDの症状が照射により軽減されるかどうかについて、ビデオを見せて専門家に判断させる方法で調べている。結果はβ波の抑制効果と同じで、M1運動野を照射したときのみ、症状改善効果が得られている。

結果は以上で、実際には詳しい脳波成分を解析したりしているが、ほとんど割愛してエッセンスだけを紹介した。超音波はメカノセンサーを介して神経刺激をすると考えられているが、深部刺激のように急性効果というより、全体の回路の特性を変化させて効果が得られている可能性が高い。と言うのも、照射後50分効果が持続している。その意味で、急性の深部刺激を保管する目的にはおもしろい治療になる可能性がある。何よりも磁場を用いる方法と比べると、簡便で導入しやすい。しかし危険性も伴うので、今後超音波の脳への照射の安全性をさらに高める必要があると思う。その上で、β波上昇が見られるアルツハイマー病など他の病気の治療にも使えるかもしれない。

この論文を読んでいて気になったのが、M1領域のみ効果がある点だ。実際には3.5cmの深さに刺激標的が設定されている。最近紹介した北京大学からの論文でも、脳皮質の運動野の間にある皮質皮質下回路の脳幹との過剰結合を磁場照射で抑えると症状抑制が得られることを示していた(https://aasj.jp/news/watch/28297)。とすると、この超音波の標的になったのは皮質皮質下回路である可能性もある。この可能性も視野に研究を進めてほしい。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月24日 太古の真核生物は酸素を必要としたか(5月20日 Nature オンライン掲載論文)

2026年5月24日
SNSシェア

2日間、AIの話題が続いたので、今日は全く異なる分野、10億年以上前の生物についての超古生物学に関するカナダ・McGill大学と米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校からの論文を紹介することにした。タイトルは「Early fossil eukaryotes were benthic aerobes(初期の真核生物化石から酸素を必要とする底生生物である事がわかる)」だ。

地球は酸素を合成するシアノバクテリアの誕生で24億年から20億年に酸素の存在する環境へと変化する。これと呼応して20億年ほど前に真核生物が誕生したとされている。何故真核生物誕生時期がわかるのか?というと、まず単細胞でも化石化されると、細胞の構造痕跡がのこっており、真核細胞か原核細胞かを判断することができる。まず大型の細胞化石はほぼ真核生物と言え、さらに表面の複雑性や、核を含む細胞内器官の痕跡を特定することで、真核生物かどうかを判断している。もちろん遺伝子を調べることはできないが、ステランと呼ばれる脂質を中心とするステロール解析からも、真核生物と判断できる。

この研究で問われたのは、真核生物(おそらくミトコンドリアを備えている)は早い時期から酸素を必要としたのか?、すなわち20億年以降急速に進んだ真核生物の多様化や複雑化に酸素呼吸は必要だったか?だ。さらに、形態的真核生物化石の特定と、真核生物のステロールによる化学的特定(10億年前)までに、10億年近いギャップがある点も説明しようとしている。

この目的のために、17億年から13億年までのミクロ化石が集積している北オーストラリアの堆積盆地をボーリングし、地質学的酸素環境と真核生物化石の相関を調べている。発掘した環境について、酸素環境だったか、それとも還元環境だったかをまず明らかにし、そこに存在する化石の種類を調べている。素人が驚くのは、細胞レベルの化石がきちっと分類されていることだが、示された写真を見ても、地層の中からよくまあ特定できるなと、科学的蓄積の豊かさに驚く。

結果は予想通りで、酸素の少ない環境からも真核生物は検出されるが、圧倒的多数の真核生物化石は酸素環境から見つかる。これらは生物の死骸が堆積している底で棲息する底生生物だが、酸素の存在する岸に近い領域にのみ見つかることから、17−13億年前の真核生物は、現在のような水に浮かんで棲息するプランクトンは存在しないことが示唆された。この結果から、基本的に13億年以上前の真核生物のほとんどは酸素環境で化石化したため、その過程でステロールが酸素のために残らなかったのではと考えている。そして岸辺の酸素環境の中で進化する過程で、プランクトン型の真核生物が生まれると、これらは海を漂うことで、深い酸素のない海の底に沈殿することが出来、結果真核生物化学マーカーであるステロールを保持した化石が出来たと考えられる。

以上が結果で、古生物学と言っても極めて専門性の高い、おそらく研究者も少ない領域だと思う。それでもAI時代に、この小さな研究領域が、多くの研究者を魅了するのも科学の素晴らしい特徴と言える。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月23日 GPCR標的タンパク質デザイン:Baker研の総合力(5月20日 Nature オンライン掲載論文)

2026年5月23日
SNSシェア

我が国でも成長戦略の一環として実験室に AI Agent を導入する AI for Scientist プロジェクトの公募が始まっているようだが、プロジェクトの成功は昨日の論文からもわかるように、いくつかの明確な標的分子を決めて、これを操作する化合物やペプチドの特定をベンチマークにすることだと思う。昨日紹介した既に論文までになっている世界の進展状況を考えると、立ち後れた我が国の研究は、創薬候補特定コンペとして設定し、広い範囲の研究者がその目的のために組織され、コンペに勝ったグループだけにお金が行くぐらいの思い切りが必要だと思う。いずれにせよ進展を注視していきたいと考えている。

繰り返すが、「役に立つ」製剤の設計が出来るかが鍵になるが、これにはドライからウェットまで多くの分野の研究を集める総合力が必要になる。その典型が2024年ノーベル化学賞受賞者の一人 David Baker さんの研究室で、大きな創薬企業に匹敵するぐらいの「役に立ちそうな」製剤を開発してきた。今週アップロードされた Nature には Baker 研からの論文が3報も発表されていた。2報は、ウイルス粒子のような大きなケージタンパク質の設計で、残りはGPCR結合タンパク質設計についての論文になる。特にGPCR論文は目標を実現する総合力が重要であることを明確に示す論文なので、今回取り上げることにした。タイトルは「De novo design of miniproteins targeting GPCRs(GPCRを標的にするミニタンパク質の新規デザイン)」で、5月20日 Nature にオンライン掲載された。

我々は800種類以上のGPCRを使っており、半分以上は臭い、フェロモン、味覚受容体だが、3−400種類のホルモンや神経伝達因子受容体もこのグループで、このブログで最近紹介する機会が多いGLP-1/GIP受容体もこのグループに属している。そのため、GPCRを特異的に刺激したり抑制したりする分子の探索は創薬の重要な領域になっている。ただ、GPCRのリガンド結合部位が浅いことや、結合により形態変化が大きいなど様々な問題があった。実際、GLP-1/GIPRアゴニストも天然のペプチドを操作して開発された。

Baker 研でもおそらく重要ターゲットとしてデザイン研究を進めていたと思う。ただ、これまで報告されてきた標的分子と異なり、開発されたタンパクデザインツールだけではうまくいかなかったのではと推察する。しかし目標は明確なので、RFdiffusion といったデザインモデルにこだわることなく、これまでの研究蓄積の生かせる方法へと舵を切って、11種類のGPCRに結合するミニタンパク質が設計できることを示したのがこの論文になる。

RFdiffusion を開発する前、Baker さんは短いペプチドを組み合わせてデザインする研究を行っていた(https://aasj.jp/news/watch/14170)。今回新たに導入した方法は、最初から全ペプチドを設計するのではなく、バックボーンとなる5ペプチドライブラリーからスタートして、RDdiffusion を使う方法で、これにより設計する数を大幅に減らすことができる。ただ、GPCRの構造上の問題から、候補を100個以下に絞るのは難しい。そこで、一万種類程度の遺伝子ライブラリーを作成して、GPCRに対して通常の結合や機能を指標とするスクリーニングを行っている。この時、この分野の専門家を動員しているようで、論文には多くの研究室が共著者として名を連ねている。

まず、痒みに関わる受容体 (MRGPRX1) を刺激するペプチド及び痛みに関わるニューロキニン受容体の抑制ペプチドを設計し、最終的にクライオ電顕でデザインした通りにペプチドがはまり込んでいることを確認している。

他にも、ケモカイン受容体CXCR4、最近最も注目されているGLP-1R、GIPRを含む4種類のGPCRについても、同じ方法で候補を設計し、これまで一般に行われているスクリーニングを組み合わせると、阻害活性を持つペプチドを得ることが出来ることを示している。

それぞれの生理活性については試験管での機能を指標にした評価以外には示されていないが、唯一CXCR4の結合を阻害するペプチドについてその機能を調べている。これまで阪大の長澤さんたちが示してきたように、この阻害ペプチドを皮下注射するだけで、血液幹細胞が骨髄ニッチを離れて末梢血に流れてくることから、期待通りの生理活性も十分なることがわかる。

以上が結果で、設計された個々のペプチドについての紹介は全て省いたが、設計と実際が一致するかについては丹念な検討がなされている。即ちデザインだけにこだわることはない。AI Agent と同じで、創薬などの開発をより効率化できればいいので、AI for Scientist プロジェクトでもこのような研究を指標に、選んでほしいと思う。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月22日 AI Agent は実験現場を変えるか(5月19日 Nature オンライン掲載論文)

2026年5月22日
SNSシェア

Natureでは日本時間の木曜日に新しい論文がオンライン掲載される。驚いたのは今週の発表された生物系論文の中に7報近くのAI 論文が含まれていたことで、3報は Baker 研からのタンパクデザイン、1報はマウスのボディーマッピング AI、そして実験室での AI Agent 関連の論文が3報も含まれていた。まさに時代の変わり目にいることを感じている。今日、明日と学生さんや研究者に話をする機会があるので、この感覚を是非伝えたいと改めて感じている。

今日まず紹介したいのは AI サイエンティストについての研究を行っている Future House と Edison Scientific の研究者による論文で、いわゆる AI Agent の実験室への導入について研究している。タイトルは「A multi-agent system for automating scientific discovery(複数のエージェントによる科学的発見の自動化)」で、5月19日 Nature にオンライン掲載されている。同じ号に Google の研究者が Gemini をベースにした実験アイデアの生成について、「Accelerating scientific discovery with Co-Scientist (Co-Scientistを用いて科学的発見を加速する)」も発表されているが、素人目ながら Future House の研究がより具体的で包括的なのでそちらを紹介する。

AI の発展はGPTやジェミニといった汎用モデルの開発だけではなく、実に様々な分野で多くの特異的モデルが開発されている。特に生命科学では、文献検索からアイデア生成、さらに実験の計画からデータのまとめ、解釈、そして論文作成まで、多くのモデルが開発されている。従って、必要なモデルを集めて、目的に対する答えを探る AI Agent の開発が重要になる。隠居暮らしの私は研究現場で使うことはないが、Claude と Open AI を組み合わせた AI Agent の力には驚いており、実験室で使うのは当然の流れだと思う。

この研究では、研究の目的をインプットすると、まず文献検索から様々な可能性を生成する PaperQ2 をベースにしたモデルに、これまでの研究に基づく実験の可能性を生成させ、提案された可能性をもう一度文献から深く検討し直して、優先順位や実験の方法について提案させ、それに基づいて実験を行った後、JupyterNote をベースにしたモデルを用いてデータをまとめて解析し、次の実験へつなげる3種類のモデルを使った AI Agent を設計している。ポイントは、完全自動実験システムではなく、それぞれのモデルをつなぐのは人間で、AI Agent から出てきたアイデアや解析を、もう一度吟味し直して最終結論を得るようにしている。その意味では、我々が他の目的で用いている AI Agent と同じで、わかりやすい。

このような研究で最も重要なのはわかりやすい例を示すことで、この研究では加齢黄斑変性症 (dAMD) の新しい治療方法開発を目的としてこの AI Agent の実力を示している。

まず、dAMD の治療薬の候補を文献サーチで探させると、151論文から10種類の化合物の候補がリストされ、一つ一つについて深く調べさせて蓋然性をランキングすると、トップランクとして網膜色素上皮の貪食能を高める薬剤が効きそうだと答えが返ってくる。そこで、このアイデアの蓋然性を再度評価させるとともに、現存の薬剤から使えるものをリストするよう指令を出すと、最終的に30種類の薬剤と、それぞれについての詳しい解説が出てくる。さらには言語モデルを用いて可能性のランク付けすら出来る。この結果、4種類の単剤と、1種類の合剤が色素上皮の貪食を上昇させるという最終提案が出る。

次にこの提案を実験に移すときの実験プロトコルも、この AI Agent から指示される。ここでは、Flow cytometer や single cell RNA sequencing や iPS細胞由来の色素細胞を使うように指示が出るが、これについては人間の方で、細胞株と通常の RNA sequencing を用いた方法に変えて解析を行い、その結果は一般に使われている Jupyter Notebook をベースにしたモデルで解析させ、最も効果がある薬剤としてROCK阻害剤Y-27632が最終候補として示される。

最終候補の評価のための実験も提案させることが出来、この場合提案通り実験を行い、アクチンフィラメントの再構成に関わる分子、オートファジーなどに関わる分子とともに、ApoE の受容体ABCA1の発現上昇という新しい発見までつながっている。

最後にY-27632に類似の効果を持つ薬剤を検索させ、なんと我が国発の緑内障治療薬ripasudil がリストされ、色素細胞の一時培養に加えた実験を行うと、ripasudil が Y-27632 を凌駕するという結論が出、ripasudil が治験候補と結論づけられる。

以上が結果で、今皆さんが AI Agent を使っておられるのと同じように、人間の仕事をより効率化し、しかも考えていなかった新しい発見まで可能になることを示しており、より実験室に馴染むAIの利用が提案されたと思う。おもしろいのは、PaperQ2 などのモデルを OpenAI に変えると、ROCK阻害剤が提案されなかった点で、何が最も効率的なのかについてはまだまだ人間が決める必要がありそうだ。

Googleからの論文と比較したとき、Future House の論文がわかりやすいのは、要するに目的をはっきりさせ、具体例でAI Agentの力を示したことだが、今自分が現役ならどうすればいいのかと考えてみると、大変な時代だということもよくわかる。

カテゴリ:論文ウォッチ

5月21日 肺ガン免疫の鍵、3次免疫組織形成の神経支配(5月19日 Cell オンライン掲載論文)

2026年5月21日
SNSシェア

現役の頃、マウスの腸のリンパ組織パイエル版の発生を調べていたとき、発生中の腸管でパイエル版形成の場所決めをするシグナルは何だろうかとよく議論していた。今日紹介する論文にも出てくるように、リンパ組織 (LT) は、LT inducer (LTi) 名付けた血液系の細胞と、LT organizer (LTo) と名付けた間質系の細胞の相互作用により形成されるが、最初のスイッチが入る場所は結局わからなかったが、神経発生との相関を検討したらと議論した覚えがある。

今日紹介する英国フランシスクリック研究所からの論文は、肺ガンの免疫に強く関わると考えられている3次リンパ組織 (TLC) の形成を感覚神経が強く抑制していることを示す研究で、5月19日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Nociceptive innervation limits tertiary lymphoid structures to promote lung cancer(侵害受容神経は3次リンパ組織構造を制限し肺ガンを促進する)」だ。

自律神経がガンを助ける可能性については古くから研究されており、このブログでも取り上げてきた(https://aasj.jp/news/watch/2080)。実際、ガン治療目的の迷走神経切除まで検討されている。この研究は K-ras 変異と p53 変異を導入した肺ガン発生モデルでガンに対する神経支配を調べることから始めている。通常肺の感覚神経は気管周囲に投射しており、末梢の方は少ないが、ガンの周りには明確な神経支配の増強が見られる。この神経で発現が上昇している遺伝子を調べると、神経機能に関わるチャンネルのような分子にとどまらず、TLS 形成に関わることが知られている ケモカイン CSCL13 も強く発現している。

次に神経支配とガン増殖の関係を調べるため、肺を支配する感覚神経だけがジフテリアトキシンで除去できる実験系及び特異的に化学的に刺激する実験系を作成している。結果は明瞭で、感覚神経を除去するとガンの増殖は抑えられ、逆に刺激を強めるとガンの増殖が促進される。即ち、ガン増殖を肺の感覚神経が助けている。

神経から分泌されるカルシトニン関連ペプチド (CGRP) などの分子は試験管内でのガン自体の増殖にほとんど影響がない。特に免疫系への影響を調べたところ、神経除去で TLS の形成が増強されることを発見する。ここまで来ると、後は細胞レベルの解析を深めて、神経細胞、CGRP分泌からTLS形成までの役者を一つづつ追求することになる。詳細は省略して結果だけをまとめると次のようになる。

ガンにより感覚神経投射が誘導されるメカニズムは明確ではないが、ガン周辺に感覚神経が投射すると、様々な組織刺激を受けて CGRP を分泌する。CGPR 受容体機能に必須の補助タンパク質 Ramp1 は LTi の働きをする M1マクロファージ に強く発現しているので、神経支配によって LTi の機能が抑えられ、TLS を抑制していることになる。わざわざ神経を投射して免疫を抑えるというのは不思議に思うが、感染などで異常な免疫反応を抑制するために進化してきたシステムかもしれない。いずれにせよ、人間の肺ガンデータベースを調べると、カルシトニン遺伝子の発現とガン組織での T細胞 や B細胞 の浸潤は反比例しているので、間違いではなさそうだ。

最後に、タバコの影響についても調べており、神経に対しては CGRP 産生を促進することから、ガンの発生を助ける方向に働くこと、しかし神経支配を取り除いた後は、炎症刺激因子として TLS 形成にポジティブに働くことを示している。

以上が結果で、少なくとも肺ガンでガン局所で CGRP をブロックすることでガン免疫を高めることが出来るかもしれない。我々がリンパ組織の研究を始め、LTi や LTo を定義し始めた頃、研究していたのは我々も含めて4-5グループほどだったが、組織化された炎症と言う概念がここまで広がるとは予想できなかった。

カテゴリ:論文ウォッチ
2026年5月
« 4月  
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031