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1月6日 中石器時代の焼きイモ(1月3日号 Science 掲載論文)

2020年1月6日
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これまで考古学とされてきた学問分野は、精緻な年代測定、DNA配列決定、質量分析など、最新の科学的手法が導入されることで、人間についての科学にすっかり様変わりした。昨年はデニソーワ人を中心に大きな研究の進展ががあったが、今年も面白い話を聞くことができると思う。特に、人類の揺りかごアフリカと様々な古代人の進化系がみられるかもしれないアジアが注目地域だと思う。

今日紹介する南アフリカWitwatersrand大学からの論文は、中石器時代の人類が食べていたでんぷん質のソースを探った研究で1月3日号のScienceに掲載された。タイトルは「Cooked starchy rhizomes in Africa 170 thousand years ago (17万年前のアフリカで調理された地下茎のデンプン)」だ。

この研究の舞台は中石器時代以降のアフリカホモ・サピエンスの研究では有名なBorder洞窟で、数を数えるのに使われた切れ目のある猿の腓骨が出土したことで有名だ。15万年前後から3万年ぐらいまでずっと人類が使っていたという点では極めて重要な遺跡と言える。

この研究では、この洞窟内の地層に火を燃やし続けたことによる灰が主成分の白い地層があり、この中から炭化したいくつもの丸い地下茎の塊が発見されることをまず報告している。また、この地層の年代測定から、だいたい17万年前に始まり、10万年前に使用が終わったことを特定する。

地下茎とされている植物の写真を見ると、小さなぬかごのようなものと考えてもらうといい。ジャガイモも地下茎であることを考えると、我々のイメージでは小さなイモと言っていいだろう。

この研究では電子顕微鏡的形態観察から、現在も薬草として使われているヒポキシスに近いことを特定している。この植物には小さな白い地下茎があり、またほとんどのアフリカ地域で生息していることから、この遺跡から出土した炭化した地下茎はヒポキシスと結論している。

以上が結果で、中石器時代の狩猟採取民も、野生の地下茎を火で炙ってカロリー摂取していた可能性が高いことが明らかになった。

結果は以上で、今後もっと古いアフリカのホモ・サピエンスの遺跡も、動物の骨や石器だけでなく、植物性デンプンの摂取についても調べることで、当時の人たちの生活をより深く理解できると期待される。さらに、他の人類と、ホモ・サピエンスとの交流の手がかりにすらなるかもしれない。

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