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新型コロナウイルスに関する5つの質問

2020年1月23日

今日Natureにも、Ewen Callaway とDavid Cyranoskiが、中国の新型コロナウイルスの現状についてうまくまとめてくれているので紹介する。この記事でも、科学者たちが大車輪でウイルスの本態を捕まえようと努力しているのが伝わってくる記事だが、5つのquestionに分けて解説している。

  1. どの様にウイルスは伝染するのか?

すでにヒトからヒトへの感染は確認されている。あとはどの程度流行するかだが、ロンドン王立大学の疫学者Fergusonは、今後の経緯を科学的に分析することが、今後の広がりや流行期間の推定に必要だと述べている。

2、ウイルスの致死性?

最初、高い頻度で肺炎が併発するのを観察して武漢のウイルスが極めて悪性ではないかと心配されたが、この心配は少し和らいだ。500人の患者さんのうち17人が亡くなったが、これはSARSの致死率11%よりは良さそうだ。ただ、結論するのは早計だ。

3、ウイルスの由来

SARSはジャコウネコに由来したと推定されいるが、武漢ウイルスもDNA配列から、動物からではと考えられている (これについては最も最初のオリジンは蛇だとする中国からの論文を紹介した:https://aasj.jp/news/lifescience-easily/12238)。蛇が最初にしても、配列から様々な動物を経て進化してきたのではと推察されている(http://virological.org/t/preliminary-phylogenetic-analysis-of-11-ncov2019-genomes-2020-01-19/329)。ただ蛇も含めてウイルスに感染している動物は特定されていない。

4、ウイルスのDNA配列からわかること

中国とタイの研究者が、19系統の武漢コロナウイルスの配列を決定している。たしかに2週間でここまで進むことは、迅速な体制がアジアでできていることを示している。これまで決定された配列は多様性が少なく、11月に発生してから突然変異はまだ蓄積していないことを示している。今後、ヒトからヒトへと感染したケースを調べることで、人間にとってさらに危険なウイルスへと進化するかわかると期待されており、ウイルスの配列決定をできるだけ多く集めることが重要。

5、抗ウイルス薬は開発できるか?

SARSも武漢の新型コロナウイルスも同じ受容体を使って細胞内に侵入することが突き止められており、うまくいくとこれを抑制する薬剤や抗体の開発が可能かもしれないと、中国国立技術研究センターで開発が試みられている。

以上よくまとまったタイムリーな記事だ。

新型コロナウイルスは蛇に由来する。

2020年1月23日

新型コロナウイルスの話は今やニュースの見出しトップに踊り上がっている。しかしヒトからヒトへの感染が可能になったという話以外に目新しい話はない。結局米国CDCのアドバイスに従って、なるべく人混みは避ける、家では石鹸で丹念に手を洗う以外、今のところ感染予防の方法はない。

しかし科学者は緊急体制で研究を続けており、刻々と新しい情報が入ってくる。例えば新型ウイルスの遺伝子配列はWHOから1月10日に発表され2019-nCovと名付けられた。

中国は正確な患者数を隠していたが、国際的圧力で慌てて正確な数を発表したという話が流布している様だが、ウイルスゲノムが1月10日に発表されたとしたら、それまでは正確な患者数など出せるわけがない。それから2週間の間に正確な診断が可能になったということだと思う。

ウイルスゲノムの特定により急速に研究は進んでおり、なんと今日Journal of Medical Virologyに中国北京、武漢、南寧のグループから、新しいウイルスが蛇由来ではないかという論文が発表された。おそらく一般の皆さんは、このスピード感に驚かれるのではないだろうか。

報道にもある様に、最初の患者さんたちは武漢の海鮮市場で様々な動物に触れていた人たちだ。しかし、どの動物からもまだ新しいコロナウイルスと同じウイルスは発見されていない。ただ、新型ウイルスの配列でのコドンの使われ方(核酸に対応して3つの核酸の並びがコドンとして使われますが、1つのアミノ酸に対するコドンは複数存在します。ただ、動物ごとにどのコドンを使うかのくせがあるので、このくせから動物の由来を特定できる場合があります)と新型ウイルスでのコドンの使われ方を比較することで、ウイルスの最初の由来を特定することが可能だ。この研究では新型ウイルスと多くの動物でのコドンの使い方のクセを調べ、なんと蛇のクセに最も近いことを明らかにした。

人間に感染するために変化した場所もわかっているので、今後蛇から人間への経路も明らかになると期待される。

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