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8月9日 ホストの皮膚免疫を味方につける恐ろしいカンジダ(8月6日 Science 掲載論文)

2026年8月9日
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外国から感染症が持ち込まれて広がるというのはウイルスや細菌だけではない。一般的に感染性の低い真菌類でも同じような外来感染症が問題になっていることをこの論文を読んで初めて知った。感染真菌の名前は Candida auris で、実際の起源は明確でないが、2006年帝京大学医学部で初めて分離されたカンジダだ。このカンジダは2016年に初めて米国で発見される。最初はNYやシカゴのような大都市で発見されていたが、その後は多くの州で発見されるようになっている。基本的には皮膚から皮膚への感染なので、いかに現代では人のグローバルな移動が新しいパンデミックを生み出しているのかがわかる。しかも悪いことにこのカンジダは重症の感染症に発展する。

今日紹介するカリフォルニア大学サンフランシスコ校からの論文は、同じカンジダでも、病原性の低い albicans と auris ではホストの免疫との相互作用が全く異なることを示した研究で、8月6日号の Science に掲載された。タイトルは「The fungal pathogen Candida auris exposes chitin to trigger IFNγ and persist in hair follicles(病原性真菌 Candida auris はキチンを使ってインターフェロンγを誘導し毛根に居続ける)」だ。

研究ではマウスがヒト感染のモデルになるかを調べるため、毛を剃ったマウスに albicans あるいは auris を塗布し、皮膚での持続を見ると、auris は長期に皮膚に居続ける力があり、特に毛根の入り口付近に選択的に存在することを明らかにする。次に、それぞれを塗布したときに皮膚の免疫反応を調べ、albicans は IL-17 が誘導される 1/17 型、auris はインターフェロンγ (IFNγ) 中心の 1型の反応が中心になることを確認する。

これを手がかりとして、研究ではそれぞれの真菌とホストの関係を順番に調べているが、今日は実験過程を無視して、最終結論だけをまとめて紹介することにする。

まず albicans だが、皮膚と相互作用すると、細胞壁のグルカンなどを介して自然免疫を誘導し、また皮膚のγδT細胞やTh17型T細胞を介して IL-17を誘導することが知られている(この過程については実験は行われていない)。IL-17はケラチノサイトに働いて、増殖を誘導して皮膚を厚くするとともに、タイトジャンクション分子の発現を高める。この結果、albicansの皮下への移行は防がれる。実際、IL-17をノックアウトしたマウスでは albcans への抵抗力が低下する。

一方 auris だが、IL-17を少しは誘導するが、程度は低い。一方で、毛根の入り口を中心に IFNγが誘導される。これは auris の細胞壁に存在するキチンは Th1細胞を刺激して IFNγを誘導、IFNγはケラチノサイトに働いて、IL-17 とは逆の働き、即ち増殖を抑え、ジャンクションを弱める働きがあることがわかった。即ち、IL-17は真菌から皮膚を防御する役割があり、逆に IFNγ はケラチノサイトのバリア機能を抑えて真菌の存続を助けることがわかった。

IFNγ をノックアウトしたマウスでは、auris の毛根内の維持は低下するし、逆に IFNを強制発現させたマウスでは、aurisの感染が増強する。また、aurisのキチン合成経路をブロックしてやると、感染持続が抑制されることから、感染を抑える薬剤の標的として利用できる可能性がある。また、IFNγが感染に重要であることから、IFNγや Th1反応を抑えることも感染を抑える薬剤の標的になる可能性がある。

以上、同じカンジダでもホスト免疫系との関係次第でこれほどの違いが出ることに驚くとともに、私の真菌への見方も全く変わった。

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