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8月11日 メタボリックシンドロームをTG/HDL比で把握する割り切りのメリット(8月5日Natureオンライン掲載論文)

2026年8月11日
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インシュリン抵抗性が生じると、脂質分解を抑えられなくなり遊離脂肪酸が血液を通って肝臓に流入、肝臓で中性脂肪(TG)が合成されLDLとして血中に放出される。TGが増えると、HDLとVDL間の脂質の交換が上昇、結果コレステロールを回収するHDLの分解が進む。即ち、インシュリン抵抗性によりTGが上昇し、善玉コレステロールHDLが経ることから、TG/HDLはメタボリックシンドロームの良い指標になるのではと提案されている。

今日紹介する米国の製薬会社リジェネロンからの論文は、エクソーム解析が行われているコホート研究を集めて、TG/HDLと相関する遺伝子を、エクソーム解析からわかる遺伝子レベルの相関まで含めて探索し、全く新しい治療標的を発見したというおもしろい研究で、8月5日Natureにオンライン掲載された。タイトルは「FNIP1 variants are associated with favourable metabolism in 1 million humans(100万人規模の探索からFNIP1変異が健康的代謝と関連していることがわかった)」だ。

この研究では11コホート研究参加者100万人のエクソーム解析から、メタボリックシンドローム(メタボ)に関わる遺伝子を発見することを目標にしている。ただ、多くの検査項目との相関を調べるのは複雑になるので、メタボのマーカーとしてTG/HDLで行こうと割り切った。ただ、この割り切りが必ずしも間違いでないことを、TG/HDLと体重、脂肪代謝、インシュリン抵抗性検査、から脂肪肝や肝臓線維化まで徹底的に比べ、TG/HDLがほとんどの指標と正比例することを確認している。

このようにほとんどのコホートで調べられているTG/HDLを指標にすることで、ゲノムとの相関を調べることが容易になり、一般的GWAS検査とエクソーム検査を組み合わせて59種類の遺伝子変異がTG/HDLと正あるいは負の相関を示すことを突き止める。

特定された遺伝子の2割は脂質代謝異常遺伝子として特定されており、また半数は薬剤の標的候補として研究が進んでいる遺伝子だ。さらに、多くは肝臓で発現していることも明らかになった。このように、見つかった遺伝子は薬剤開発に重要な遺伝子であることから、TG/HDLにメタボを集約させる割り切りの合理性が明らかになった。

後は、エクソーム解析で初めて明らかになる極めて希な2種類の変異について詳しく調べている。一つはFNIP1遺伝子で、7000人に一人というまれな機能喪失変異が86人見つかっている。この遺伝子はfolliculinと強調してミトコンドリア新生を抑える役割がある。FNIP1もfolliculinも両方の遺伝子の機能が失われると、免疫不全や心材肥大、肺のシスト形成などが起こるが、片方だけの変異では高脂肪食でも太りにくい体質を持っている。

そこで、これを標的に高脂肪食による肥満や脂肪肝を抑えられるか調べ、体重増加を抑制し、インシュリン抵抗性から脂質代謝まで大きく改善できることを示している。

さらに極めて希な肝臓細胞膜上のセリンプロテアーゼヘプシンの機能喪失変異もTG/HDLを改善することを発見している。ただ、この場合は血中アルブミンも低下する。

以上の結果から、TG/HDLはメタボの簡易指標として有用であること、またエクソームレベルの解析が行われることで、直接形質に関わる遺伝子を特定することが出来、通常なら引っかかってこない極めて希な遺伝子変異を見つけられることを明らかにした。しかも、ここまでわかるとすぐに成果を創薬に生かすことができる。

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