今日紹介するのは、今週号のLancetに掲載されていた、デンマークの老化研究所からの論文で、「Physical and cognitive functioning of people older than 90years:a comparison of two Danish cohorts born 10years apart (10年を隔てて生まれた90歳以上の高齢デンマーク人の比較)」というタイトルがついている。この研究では、1905年生まれ (1988年に調べている)と1915年生まれ(2010年に調査)のデンマーク人高齢者の身体機能と認知機能を調査し比べている。大変だが、極めて簡単な調査だ。調査が行われたとき、1905年生まれは92-93歳、1915年生まれは94-95歳。それぞれの調査で2年をかけ、生存している全ての人を調べている。調査に応じてくれたのは、それぞれ2262人、1584人で、かなりの数だ。生まれた年代は10年しか離れておらず、しかも1915年生まれの人の調査は94-95歳と年齢が進んでから調査が行われたにもかかわらず、1915年生まれの人の方が93歳以上長生きする確率は28%も高く、また認知機能も格段に点数がいいというのが結論だ。一方、身体機能にはそれほど大きな差はなかったと結論している。今後、1925,1935,1945年と続けられるのだろう。しかし、これまで2回の結果から、高齢社会到来と心配しても、どっこい高齢者もしっかり進歩していて、巷で心配されているよりずっと社会の負担は少なくて済むかもしれない事が予想できる。喜ばしい結果だ。
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