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11月15日:抗PD-1と抗CTLA-4抗体治療の比較(11月9日号The New England Journal of Medicine掲載論文)

2017年11月15日
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我が国ではチェックポイント治療というと抗PD-1抗体と同義になってしまうが、免疫のオーバーシュートを止めるチェックポイント分子は多く存在する。実際、CTLA4に関しては2011年に抗体薬が認可され、ほとんど`PD-1と同じように利用されてきた。T細胞から見ると、免疫機能を落とすという点では両者はよく似ているが、PD-1の刺激因子PD-Lがガン細胞にも直接発現されるのに対し、CTLA−4の刺激因子B7は免疫系の細胞のみで出ており、腫瘍には発現しない。このため、どちらが効果が高いのか、併用はありうるのかなど多くの臨床研究が行われてきた。論文を読んだ印象だけでは、抗PD-1治療の方がよく効くという印象だったが、それぞれの治験は抗がん剤の使用など様々な要因が重なって、明確な答えは出しにくかった。

今日紹介する25カ国、130医療施設からの論文は抗がん剤などの影響を排して手術による腫瘍摘出とだけ抗体を組み合わせ両者を比べた国際治験の結果で、11月9日号のThe New England Journal of Medicineに掲載された。タイトルは「Adjuvant Nivolumab versus Ipilimumab in resected stage III or IV melanoma(ステージIIIか IVのメラノーマ患者さんの腫瘍摘出術に組み合わせるアジュバント治療としてのニボルマブとイピリムマブの比較)」だ。

競合する二種類の薬剤の効果を比べる治験は簡単ではない。特にすでに認可を受けている場合、製薬会社の積極的協力を得るのは難しい。どちらか一方に軍配が上がれば、もう一方は売れなくなる。幸い小野薬品とタッグを組むブリストルマイヤー社は両方を販売している。従って、併用療法が行われない限り、結果がどちらでもあまり腹は痛まないのだろう。

治験ではステージIII or IVのメラノーマの患者さん906人で手術療法だけで存在する全腫瘍の摘出した症例を選び、その後ニボルマブかイピリムマブを投与し再発を追跡している。

今回の治験結果は明瞭で、ガンのPD-L1発現が低い症例も含めて、すべての基準でニボルマブ(抗PD-1)の方が成績が良い。また、ガンのステージもIIIとIVを分けて見ているが、治験期間中常にニボルマブの再発率が低いという結果だ。グレード3、4の強い副作用も、ニボルマブの方で1/3でかなり低いことから、使いやすいことも今回明らかになった。

以上の結果は、現在の治療レジメンで行われるメラノーマ治療に関する限り、ニボルマブがチェックポイント療法として優れていることを示している。この結果を示されると、抗CTLA4を選ぶのは余程の理由が必要になるだろう。両剤を持つブリストルにとっては問題ないが、CTLA4のみを標的にしていた会社は胆を冷やすことだろう。ちょっと下世話な興味だが、今後の展開が楽しみだ。
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