5月30日 肝臓のマクロファージが鳩のジオセンサーだった(5月28日号 Science 掲載論文)
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5月30日 肝臓のマクロファージが鳩のジオセンサーだった(5月28日号 Science 掲載論文)

2026年5月30日
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これまで様々な動物が地磁気を感知して長い旅をするメカニズムについての研究は何度か紹介してきた。中でも主流になっている考え方は光を感じるタンパク質クリプトクロームが地磁気の影響を受けることで、磁気を目で感じているという考え方だが(https://aasj.jp/news/watch/16040)、ではクリプトクロームが働かない夜はどうかなど、全てが明らかになったとは言えない。

今日紹介するドイツ・ボン大学からの論文は、驚くことに壊された赤血球から多くの鉄をため込んだマクロファージが、自律神経に地磁気シグナルを伝えることで、鳩は夜でも目的地へのフライトが可能であることを示した研究で、5月28日号の Science に掲載された。タイトルは「Homing pigeon navigation relies on superparamagnetic macrophages under overcast conditions(鳩の帰巣ナビゲーションは曇り空ででも働くマクロファージの超常磁性に依存している)」だ。

この研究では強い磁場をかけたとき、どの身体の部分が超常磁性を示すかを調べ、肝臓が強く反応することを発見する。超常磁性には当然鉄が必要で、次にどの細胞が鉄を含有するかセルソーティングで調べた結果、クラスII MHCを発現するマクロファージで古い赤血球を肝臓で壊し、そこから多くの鉄を取り込んでいることを確認している。

マクロファージが超常磁性を持つとして、ではどのように脳へシグナルを送るのかを考えるため、肝臓のマクロファージと神経細胞の関係を調べると、肝臓の門脈と中心静脈をつなぐ血管に沿って走る神経と接して存在することを突き止めた。

本当なら、脳にシグナルが伝わっているのか Fos の反応などを用いて調べるところだが、この研究では脳の反応は棚上げにして、すぐ行動実験へと移っている。マクロファージに脂肪粒子を取り込ませることで、赤血球取り込みを抑え鉄の蓄積を低下させることが出来るので、このような処理を施した鳩を作成、これを太陽の光を利用できない曇り空で帰巣させる実験を行うと、コントロールは一直線で帰巣するのに、肝臓のマクロファージがブロックされた鳩は、スタートラインをうろうろして元に戻ることが出来ない。一方、同じ処理をしても太陽の光があるときには、肝臓のセンサーがなくても一直線で元に戻る。

以上が結果で、肝臓のクーパー細胞と呼ばれるマクロファージが鳥の地磁気センサーの役割を演じるとは、全く予想外の話で驚く。

カテゴリ:論文ウォッチ
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