10月26日 パーフォリンがガン細胞を殺すメカニズム(10月23日 Cellオンライン掲載論文)
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10月26日 パーフォリンがガン細胞を殺すメカニズム(10月23日 Cellオンライン掲載論文)

2026年10月26日
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順天堂大の奥村さんの大学院生だった眞貝さん(現在理研)が、キラー細胞が細胞を殺すときに標的の膜に孔をあける補体によく似た分子パーフォリンの遺伝子クローニングの論文をNatureに発表したのは今でもよく覚えている。そのとき、なるほど膜に孔を開けて殺すのかと納得して、私の頭の中は現在もそのときのままだ。
しかし今日紹介するミシガン大学が10月23日Cellにオンライン発表した論文を読んで、なんと38年ぶりに理解がアップデートした。タイトルは「Perforin triggers iron-induced mitochondrial damage to drive ferroptosis and anti-tumor immunity(パーフォリンは鉄が媒介するミトコンドリア障害によるフェロトーシスとガン免疫を誘導する)」だ。
この分野はほとんどフォローしていなかったが、パーフォリンにより膜に数多くの穴が空いて細胞がネクローシスに陥るのはパーフォリンの濃度が高いときで、実際にはその穴を通して、やはりキラー活性を担うグランザイムなどを細胞内に送り込む役割と考えられてきたようだ。とすると、キラー活性の主役はグランザイムなどになるのだが、この研究ではそれも疑って、実際のキラー活性はパーフォリンとグランザイムのどちらが重要か、それぞれノックアウトマウスを作成して調べるところから始めている。
すると、意外なことにグランザイムをノックアウトしても腫瘍障害性はそれほど影響を受けないが、パーフォリンは絶対的に必要であることがわかった。そして様々な細胞死を阻害する実験から、パーフォリンは生理学的濃度では、鉄に依存して脂質酸化を誘導する細胞死、フェロトーシスを誘導していることがわかった。
しかし、パーフォリンが細胞膜に形成する孔がどうしてフェロトーシスにつながるのか、なかなか難しい問題だ。そこで、フェロトーシスに必要な鉄や活性酸素を調べ間違いなくフェロトーシスを介しているかを調べるところから始めている。まずパーフォリンによる細胞障害性は鉄を外部から供給すると高まる。これは生体内でも同じで、鉄の多い食事をとらせるとガンに対するキラー活性が上がる。これと同時に、パーフォリンによる細胞傷害では、活性酸素による脂肪の過酸化が起こっていることも確認している。
おそらく最初はパーフォリンによる孔から鉄が流入するのかと考えたようだが、実際にはパーフォリンによるフェロトーシスに使われる鉄は膜上のトランスフェリン受容体が細胞内に鉄とともに取り込まれることで供給されていることを発見する。何故パーフォリンによる孔の形成がエンドサイトーシスを促進し、トランスフェリン受容体による鉄の細胞内への輸送を高めるのかについてのメカニズムは示されていないが、私にとっては極めて意外な結果だった。
こうして細胞質で上昇した鉄は活性酸素とともに脂質を過酸化してフェロトーシスを誘導できるが、活性酸素の発生に関しては、鉄がミトコンドリアに取り込まれて機能を傷害することで発生するストレスが重要な要因になっていることを示している。

まとめると、パーフォリンによる穴の形成→トランスフェリン受容体のエンドサイトーシスによる鉄取り込みの上昇→細胞質内鉄の上昇→ミトコンドリア内への過剰な鉄の取り込み→ミトコンドリア膜の障害→活性酸素生成→脂質の過酸化→フェロトーシスという過程が明らかにされた。形態学的にも細胞では多くのエンドゾームが形成され、ミトコンドリアの形態異常が見られることが確認され、このシナリオと矛盾しない。
以上が結果で、新しくアップデートした理解は、極めて複雑な過程だった。しかし、ガン免疫ではパーフォリンが主役で、鉄摂取も大事なことがわかった。

カテゴリ:論文ウォッチ
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