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12月18日 統合失調症とビタミンD(12月6日号Scientific Reports 掲載論文)

2018年12月18日
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旅行中であまり論文が読めず、軽めで済ましている3日目で、明日からは正常に戻すつもりだ。ただ、帰国の朝、ついに一匹の虎が水を飲んでいる姿を目撃し、写真に収めることができたことを報告したい。

といっても、今日紹介するオーストラリアクイーンズランド大学からの論文は旅行とは無関係で、新生児期のビタミンD不足が統合失調症に寄与しているという簡単だが、重要な研究で、12月6日のScientific Reportsに掲載されている。タイトルは「The association between neonatal vitamin D status and risk of schizophrenia(新生児期のビタミンDの状態と統合失調症リスクとの関連)」だ。
これまでもビタミンD欠乏が脳の回路形成に影響して統合失調症の重要なリスクファクターになることは何度も指摘されていた。ただ、この研究は統合失調症の診断がついた患者さんの新生児期の血中ビタミンDを、ろ紙に染み込ませて保存している血液に遡って測定し、その相関を見ている点だ。

デンマークは国民の健康状態をゆりかごから墓場まで記録し続ける先進国だが、ずっと以前からデンマーク全ての新生児の血液をろ紙に染み込ませて保存していることに本当に頭が下がる。そして、希望に合わせてそれを利用させてくれる点だが、この研究はデンマークとオーストラリアの合同チームになっているとは言え、コレスポンデンスがオースとラリで、ある意味で重要な研究と思えば外国にも開かれている点だろう。本当に徹底した政策を続けていると思う。


さて結果だが、新生児のビタミンD濃度は20mm/Lから50mm/L以上に5段階に分けられるほど大きく変わっている。そして、5段階のうち4段階まですなわち20ー30mm/Lまでは特に統合失調症の発症頻度と相関しないが、最も低いグループは45%も統合失調症のリスクが高まるという結果だ。

新生児のビタミンDの殆どが母親から来ることを考えると、ビタミンD不足については、公衆衛生でも重要項目として対応して行くことが重要であることがわかる。特に、貧困が原因のビタミンD不足が起こらないようきめの細かい公衆衛生行政が必要になるだろう。病気が起こらないようにするのが、一番重要な公衆衛生行政であることは明らかなのだが、病気の予防をトクホにまかせ、診療報酬からしか医療費に切り込むアイデアがないわが国も、デンマークの徹底性に見習ってもいいのではないだろうか。私たち老人ではなく、未来の国民からまずこれを徹底させることが重要だと思う。。

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