昨日に続いて今日も軽めのダイエットメニューで行こうかと考えている。と言っても、まじめに調査が行われているとは言え、酒の飲み方に差があるのか、あるいはアルコールとしてみればワインもビールも同じなのかといった、少しふざけたような問題ではなく、もう少し重要な問題で、ダイエットで体重を落としたいとき、朝食を抜いたほうがいいのかどうかを問うた研究だ。
肥満に対するダイエット療法について書かれた多くの提言では、カロリーを減らしたいからと言って朝食を抜くのは逆効果とされているようだ。その理由は2つあり、一つは朝食を抜くことで、他の時に余分に食べてしまうという問題と、朝食を抜いて活動性が低下することでカロリー消費が落ちて逆に太るという問題だ。
今日紹介するオーストラリア モナーシュ大学からの論文は、公式な提言にも書かれているこのドグマにチャレンジした論文で、誰もが当たり前と思っていることに対するチャレンジをサポートし続けているBritish Medical Journal にオンライン掲載された。タイトルは「Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials (体重とエネルギー摂取に対する朝食の効果:無作為化試験についての包括的再調査とメタアナリシス)」だ。
ダイエットでも朝食を抜くなという提言も、全く根拠なく行われたわけではなく、これを裏付ける論文は存在している。この研究は、自分で調査したのではなく、これまでの論文を見直したメタアナリシスだが、著者らはドグマを裏付ける論文の多くが朝食をとるかどうかを自己の判断に任せた観察研究であることに気がつき、これだと「朝食は必要」と考える人の方が、提言に従い生活態度が最初からダイエット向きにできているため、ダイエットに成功したのではと考えた。そこで1990年から昨年1月までに発表された600を越すダイエットと朝食について記載がある論文を集め、この中から朝食をとる群ととらない群を無作為化して調べた信頼の置ける論文を12編選んでいる。この中には熊本県立大学から2017年に発表された朝食とエネルギー摂取について調べた論文も含まれている。
このようなメタアナリシスは、選んだ論文の結果を信頼できるかどうか厳密に吟味する必要がある。論文では、これについて詳しく述べているが、この点については割愛して結果についてのみ紹介する。
無作為化していることから、長期間の調査は難しく、最も長い調査で16週間だ。もちろん全ての調査で、朝食を食べるということははっきり自覚されるため、偽薬を用いると言った盲検はできないという限定がある。したがって、調査の趣旨に被験者が賛成して協力したりすると結果が狂う心配はある。ただ、この条件で行われたほぼ全ての研究で、朝食を抜くと、抜かない人よりも体重を落とすことができ、また1日のエネルギー消費も低下するという結果だ。
論文によっては、代償的に朝食以外で食べすぎないか、あるいは活動性が落ちるかなど、血液のさまざまなマーカーを使って調べている場合もあるが、これも杞憂で、結局ダイエットに対する提言として書かれているドグマは全て削除すべきと強い結論で終わっている。
もちろんこの話は成人での話で、成長期の若者は全く対象でないことは強調しておく。わが国でもブラウザーのトップに来るサイトでの提言は「朝食は抜くな」だが、さてこの論争の結末はどうなるのだろう。