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7月31日 長さの違う機能的タンパク質を設計するAI(7月29日 Natureオンライン掲載論文)

2026年7月31日
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2024年のノーベル化学賞がタンパク質の生成AIに授与されたことからわかるように、タンパク質デザインのための様々なAIが生まれている。我々の様な素人は、最終的に少数のモデルに集約されるのかと思っていたが、現実は全く逆で、タンパク質デザインの論文は、研究の目的にかなり特化したAIモデルを開発する方向で進んでいる気がする。最近立て続けにタンパク質デザインAIモデルを紹介しているが:7月19日(https://aasj.jp/date/2026/07/19)、7月26日(https://aasj.jp/news/watch/29271)、7月28日(https://aasj.jp/news/watch/29282):全て目的特化型のAIの論文だった。

今日紹介するデューク大学からの論文は、このトレンドを絵に描いたような論文で、現在あるタンパク質の機能を保ったまま長さを変化させるための生成AIの開発で、7月29日Natureにオンライン掲載された。タイトルは「Miniaturizing and modifying natural proteins with Raygun(タンパク質の大きさを変えることができるRaygun)」だ。

これまで紹介してきた多くのタンパク質デザインは、機能や構造から全く新しいアミノ酸配列を設計していた。この時使われるモデルのほとんどでは、一つのタンパク質をアミノ酸の長さnのベクトル列で表現し、それをtransformerのアテンション機能で全体のコンテクストを要約すことで機能や構造を比較しているが、各蛋白質はアミノ酸の数により次元数は異なるため、異なる長さのアミノ酸をそのまま比較すること、例えばヘモグロビンで必要のないアミノ酸をカットして小さなヘモグロビンを設計することは難しかった。

そこでこの研究では、異なる長さのアミノ酸が同じように比べられる潜在空間を新たに加える方法を考えた。すなわち全てのタンパク質を50個のブロックに分けて表現することで、異なる長さのタンパク質を同じ空間で比べられると考えた。例えば500アミノ酸のタンパク質は10アミノ酸ブロック50個のユニット、200アミノ酸のタンパク質は4アミノ酸ブロック50個のユニットと見なす圧縮を行い、同じ潜在空間に分布させている。ESMでは一つのアミノ酸残基に1280のエンベッディングが与えられるが、新しい空間では全てのタンパク質は50ユニットなので、各ユニットに1280種類のエンベディングを与えると、64000次元で固定されることになる。

この研究では、Raygunにたった8万種類のタンパク質を学習させて用いている。マスク学習と同じような自己教師あり学習だが、ESMでの意味を保ったまま新しい空間へエンコード、デコードできるように、さらにサイズを変えたアミノ酸を作らせてもできるだけ同じ空間位置に来るように学習を行わせている。即ち、アミノ酸の長さを変えること一点に絞った学習をさせている。そして、いくつかのタンパク質から生成された短い配列を比較するファインチューニングを行って、Raygunを完成させている。

後は、ヘモグロビン、ケモカイン、LacZ、mTorから短いアミノ酸を設計させ、アミノ酸は短くなってもAlphaFold3で予測できる構造が保持されていること、GFPやmCherryのような蛍光タンパク質も、蛍光活性を持つs10%以上短いタンパク質を設計できることを示している。他にもEGFを鋳型に、EGF受容体の機能を抑制できるペプチドを設計することにも成功している。

結果は以上で、例えばウイルスベクターを使うとき、少し長さを短くしたいと言った時に役立つモデルだと思う。ただ、どこまで一般的に使われるのかには疑問を感じる。とは言え、目的に合わせて計算量の少ない簡易モデルをどんどん開発することの重要性を示す典型的研究だ。

余談だが、意味の冗長性が大きい自然言語と、機能の冗長性の少ないアミノ酸を同じようなモデルで比べることで、将来DNA進化と自然言語を比較するおもしろい視点が与えられる可能性もある。

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