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4月4日 200万年前の南アフリカは人類の避難場所だった(4月3日号 Science 掲載論文)

2020年4月4日
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南アフリカは人類学を塗り替えるアウストラピテクス・アフリカヌスが発見された土地で、今でも様々な場所で発掘が進んでいる。この発見がおこなわれたとき、英国で最も古い原人が発生したとするピルトダウン人捏造に学会が全て染まっていたため、捏造発覚まで論文に掲載されることなく圧殺されるというドラマも生んだ。

ただ、南アフリカがすごいのは狭い地域にアウストラロピテクスだけではく、様々な人類化石が発見されることで、例えば図に示したのは、ヨハネスブルグ近郊のスタークフォンテーン遺跡に展示してあったパラントロプスの頭蓋骨を

筆者が撮影したものだが、パラントロプスはアウストラピテクス直立原人などのホモ属をつなぐ人類とされている。重要なことは、これらの人類が200万年前後に集中して同居している可能性で、実際にゴリラやチンパンジーが同居するように、様々な人類が同居することがあったのかが重要な問題になっている。

今日紹介するアウストラリアや南アフリアをはじめとする数カ国の人類進化研究所からの共同論文は、1992年に発見された南アフリカ北部のDrimolen洞窟から出土した人類の化石の中に、アフリカで最も古いホモ属の化石と、同じく最も古いパラントロプスの化石が発見されたという論文で4月3日号のScienceに掲載された。タイトルは「Contemporaneity of Australopithecus, Paranthropus, and early Homo erectus in South Africa(アウストラピテクス、パラントロプス、そして早期のホモ属は南アフリカに同時代的に存在した)」だ。

様々な人類の骨がこの領域で発見されることはもうわかっていたが、それらが同時代に生きていたかどうかを明らかにすることは、堆積や水などの自然の力で地層や化石が複雑な変化を被る結果極めて難しかった。この分野は全くの門外漢で評価できないが、今回はウラニウム/鉛同位元素を用いる方法と電子スピン共鳴法を組み合わせて、約204万年前のから195万年前に、ホモエレクトスとパラントロプスが同時に同じ場所に存在していたことを証明している。すなわち、アウストラピテクス・アフリカヌスが存在していた同時代に、パラントロプスも、ホモエレクトスも存在していた可能性が高いことが示された。

この論文の大半は、この洞窟の詳しい地質調査で、物理学的時代測定法の妥当性をバックアップすると同時に、当時の気候などを詳しく検討している。そして、おそらく地球全体が乾燥したこの時代に、南アフリカが避難場所として多くの人類や動物が同居することになり、結果人類進化の揺りかごになったと結論している。

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