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5月28日 アマゾンのジャングルに覆われた伝説の都市遺構(5月25日 Nature オンライン掲載論文)

2022年5月28日
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伝説の文明の存在を信じて熱帯のジャングルを分け入って進むと、突然、朽ち果ててはいても、往時を偲ぶことが出来る大建造物に出くわすという話は、例えばアンコールワットの再発見を思い出すわくわくする話だが、このような冒険談とはかなり違うが、それでもわくわくする、アマゾンジャングルに隠れている遺跡の発見が、ボン大学のドイツ考古学研究所から5月25日 Nature にオンライン発表された。タイトルは「Lidar reveals pre-Hispanic low-density urbanism in the Bolivian Amazon(Lidarによる探索によりスペイン制服以前の人口の少ない都市生活様式がボリビアアマゾンで発見された)」だ。

タイトルにあるLidarはすでに様々なスマフォにも搭載されている、光で対象物を探り、その距離をはかるテクノロジーで、例えば車の自動運転に欠かせないセンサーにもなっている。

この研究ではジャングルにより覆われているため、衛星写真などでは発見できなかった遺跡も、Lidarによりその輪郭を発見できるのではという着想に基づいて行われている。

対象は、ボリビアで紀元後500年から1400年にかけて栄えた Casarabe 文明で、伝説ではなく、ボリビア4500平方キロメートルに広がって発見される200カ所に渡る小規模の遺跡からその存在が知られていた。ただ、これらの遺跡は都市化とは全く無縁で、一つの大きな社会システムが存在していたのかどうかが焦点になっていた。

そして、オーストリア製の精密なLidarをヘリコプターにぶら下げて、200平方キロメートルにわたってスキャンしたところ、ついに人口密度は低いと考えられるが、都市と思われる遺構を発見できたというのがこの研究の全てだ。

従って、実際の遺跡に人間が踏み入ったわけではなく、大きな構造物の輪郭が画像的に再構成されただけで、昔の探検記にある興奮はない。しかし、3重の城壁に囲まれた中心に20mにも及ぶピラミッド状の構造物や、U字型の大きな構造物が見事に立体化されているのを見ると、やはり大発見だと胸が躍る。この論文は free access なので是非論文のウェッブサイトを眺めてほしい(例えば図2:https://www.nature.com/articles/s41586-022-04780-4/figures/2)。現代のインディージョーンズは、スーツを着ていて仕事が出来るという話だ。

通常なら、その後探検隊がジャングルに分け入って、写真でも撮って論文化されるのだろうが、この Lidar の威力を見ると、その興奮で掲載されたのだと思う。もちろんすぐに実際の写真も発表されるだろう。

しかし、このような市販品の威力を見ると、ドローンに積んで当然戦争に使われているはずで、ウクライナでも Lidar 戦争が繰り広げられているのだろうと、悲しい思いにも駆られるこの頃だ。

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