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2月1日 抗原が分解されずにリンパ節に長期に保持される理由(1月27日号 Science 掲載論文)

2023年2月1日
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なぜ麻疹ワクチンは一回で効果が何年も長持ちするのに、インフルエンザワクチンは効果が長続きしないのはなぜか、などとよく聞かれる、この理由の一つにウイルス側の変異のしやすさがあるのだが、免疫学的につきつめると、様々な要因が重なった結果で、実は明確な答えがないのも確かだ。そのためこの要因を一つ一つほぐしていって、その結果をもとに最強のワクチンを作る努力が現在も行われている。

今日紹介する米国MITのコッホ研究所からの論文は、リンパ節での抗原の分解されやすさに注目して、様々な免疫法を提案した研究で、1月27日号 Science に掲載された。タイトルは「Low protease activity in B cell follicles promotes retention of intact antigens after immunization(B細胞濾胞の低い蛋白分解活性が免疫後の完全な抗原保持を促進している)」だ。

以前、全く分解を受けていない抗原がリンパ濾胞に数ヶ月保持されていることが示されており、この研究はこの検討から始めている。

テクノロジーとしては、HIVワクチンに用いられるenvタンパク質を集めてナノ粒子にした抗原に2種類の蛍光ラベルを結合させ、分解されると蛍光色素同士の相互作用が減じて、FRETと呼ばれる傾向が低下する現象を利用して、抗原の組織上での分解を調べる方法、あるいは分解されると遊離された傾向ペプチドが、近くの細胞表面に結合する方法などを用いて、特に細胞組織レベルのタンパク分解活性を調べている。

結論は明快で、リンパ節の皮質領域は抗原が速やかに分解されるのに対し、濾胞まで到達した抗原は、細胞表面状に存在して、ほとんど分解を受けずに1週間以上存在する。

後者の方法を用いて、細胞レベルのタンパク分解活性を調べると、T、B細胞と共に濾胞樹状細胞(FDC)でほとんど蛋白分解活性がないことを発見している。

この分子基盤を追求すると、基本的には3種類のメタロプロテアーゼの発言の問題で、これらの結果から抗原を分解される前に濾胞に到達させ、安定に保持されるようにすることがワクチン活性に重要であることがわかる。

これを確かめるため、濾胞への到達量を指標に抗原の形、免疫のプロトコルなどを検討し、ナノ粒子化した抗原を、注射量を上昇させて複数回注射するのことで、抗原を濾胞内のFDCへと到達させ、長期保持を可能にすることを示している。さらに抗原にFDCに対する抗体を結合させることでも、抗原保持を高め、結果的に10倍近く抗体量を高められることを示している。

以上が結果で、これは蛋白抗原を用いたワクチンについての話で、RNAワクチンや生ワクチンはまた異なる話が存在する。このような地道な研究のなかから、最強のワクチンが生まれてくることを期待している。

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