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9月2日 Liquid Biopsyの現状(8月28日号 Science Translational Medicine掲載総説)

2019年9月2日
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胎児の染色体異常を母親の血液に漏れ出てきたDNAで診断するliquid biopsy検査が普及しているが、ガンの診断を、血中に流れるDNAやガン細胞そのもので行うliquid biopsyも開発されており、何年か前に何回も紹介した。しかし、その後あまり多くの論文を見ることがないように思う。もちろん、技術が当たり前になってより専門性の高い雑誌に掲載されているため見つからないのかもしれないのかなと思っていたが、タイミングよく8月28日号のScience Translational MedicineにVogelsteinをはじめとする大御所が集まってこの領域の現状を短く報告してくれていたので、面白いと思った点を箇条書きにして紹介する。タイトルは「Applications of liquid biopsies for cancer (Liquid biopsy のガンへの応用)」だ。

  • 技術的には、エピジェネティックスも含め、点突然変異や欠損など様々な変異を捉えることができる。
  • 血中DNAの半減期は1時間なので、血中DNAの多くは白血球とガン細胞由来だが、ガン患者さんでは血中のDNA自体が時に10倍に高まるが、ガン細胞由来DNAだけとは考えにくいので、この原因を調べることは重要。
  • 質量分析を組み合わせて、確実な早期診断が可能になる。
  • ガンの診断時、バイオプシーせずにガンの変異をしらみつぶしに調べる目的には、技術も発達しており利用価値が高い。また、抗ガン剤を選ぶためにも重要(しかしコストは?)
  • 手術後、現在は副作用はあるにしても想定される転移巣を叩くため、アジュバント治療が行われるが、これを行うかどうかの基準として使える可能性がある。実際、血中のDNAやガン細胞数などは再発率と相関する。
  • 治療経過、特に再発を早期に診断するマーカーとして使う可能性はほぼ完全に確立している。新しい変異が起こってガンが薬剤耐性を確立する過程を診断する方法の確立は加速してほしい。
  • ガンを発見するための集団検診として使うのはまだ難しい。現在のところは患者さんを混乱させるだけ。

以上がこの総説で触れられた重要な点だと思う。だいたい思っていたのと同じだが、要するに役に立つことは間違い無いので、コストに見合う補助検査として使えるよう、体制を整えるべきだという結論だと思う。例えば我が国で実際にどの程度普及しているのか、もしよかったらお教え願いたい。

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