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7月17日 動物社会も階級社会(7月16日号 Science 掲載論文)

2021年7月17日
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昨日発行されたサイエンスでは、表紙がハイエナの親子になっている。新型コロナウイルスのおかげで毎年楽しみにしているアフリカツアーが足止めされているだけに、当然強い興味がひかれ読んでみた。タイトルは「Rank-dependent social inheritance determines social network structure in spotted hyenas(階級依存的な社会的継承がハイエナの社会構造を決める)」で、7月16日号Scienceに掲載された。

内容は、全ての動物社会は遺伝的に支配された実力社会だと思っていた私の考えを改めるもので、ハイエナ社会は、どの家族に生まれたかが将来を決める階級社会であることを知った。

確かに読んでみると、動物社会も階級社会であることが納得でき、またそれが自然であると理解できるのだが、なぜ動物社会は実力社会と思い込んでいたのだろう。

もちろん家族は遺伝的に近いため、体格等々、遺伝=家族という話は出てくるのだが、サファリに参加しても、あるいはドキュメントを見ても、結局は極めて短い時間で観察できるスナップショットをみているだけで、強そうな個体が、闘争の結果ランクを上げるという話で終わる。

一方、今日紹介する研究は、ケニアのハイエナ集団をなんと27年間も観察し続け、その間の各個体の行動を克明に記録した膨大なデータに基づいている。その結果、ハイエナの母親と子供が同じ巣で暮らす1年は当然だが、その後巣を離れても、オスでは5年程度、雌では10年近くも母親と密接な関係を保って集団生活を送ることを示している。

この母親との強い絆のおかげで、もともと高い階級のお母さんとともに行動すると、餌の順番や、オスを選ぶ順番など、自然に得をすることが多くなる。その結果、母親の社会階級が子供に引き継がれることが予想されるが、観察された個々の個体のランクは、全く予想通りで、高いランクの母親の子供は、高いランクを占めるようになる。

ハイエナでは、ランクと寿命が相関するが、この結果高いランクの家族は長生きし、低いランクの家族は寿命が短い。おそらくこれも、ハイエナ社会で階級が固定するのを助けているのだろう。

なんとなく寂しい話だが、社会的階級が継承される動物は、サルや象など、結構いるようだ。いずれにせよ、30年近くアフリカでくる日もくる日もハイエナ家族を追いかけた努力のたまもので、頭が下がる。

長期間観察された動物社会というと、すぐ高崎山のサルを思い出す。ここでは、どの個体がボスザルになるのかがメディアでも話題になるが、高崎山のボスザルは全て貴族の生まれなのだろうか?

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