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12月3日 糸球体濾過率測定にはシスタチンC測定の方が優れている(11月号Nature Medicine掲載論文)

2019年12月3日
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慢性の腎臓病を総称してCKDと呼んでいるが、その指標として重要なのは腎臓の濾過率で、現在ではeGFRとして血中クレアチニン濃度から計算している。私も年齢とともに低下し、ちょうど60ぐらいになっており、少し気にしている。実際、45を切ると、心血管障害や腎不全に陥る確率がぐんとあがる。ただ、クレアチニンは筋肉由来のため、どうしても筋肉の状態に左右されるため、完全に腎臓の濾過率を反映するのは難しいと考えられていた。

これを解決する検査として開発されたのがシスタチンCの濃度をクレアチンの代わりに使う方法で、体のすべての細胞から産生されるため、安定した指標になると考えられ、保険も適応になっている。ただ、クレアチニンと比べると検査料は高い。

今日紹介するグラスゴー大学からの論文はUKバイオバンクに登録された人の検査記録と死亡率、あるいは心血管系の発作や腎不全の発生を追跡し、シスタチンCを用いる検査の優位性を示した研究でNature Medicine 11月号に掲載された。タイトルは「Glomerular filtration rate by differing measures, albuminuria and prediction of cardiovascular disease, mortality and end-stage kidney disease (糸球体濾過率測定方法、タンパク尿、そして心血管病、死亡率、腎不全の予測)」だ。

研究ではUKバイオバンクから44万人を抽出し、クレアチンによるGFR算出、シスタチンによるGFR算出とともにタンパク尿の有無などを調べ、その結果と心血管病の発症頻度、末期の腎不全の発症頻度、および理由を問わない死亡率を調べ、それぞれの検査がこれらのリスクをどの程度予測できるか調べている。

さて結果だが、もちろんクレアチニンによるeGFR数値は死亡率や、心臓病の発生率と逆比例し、検査自体は有効であることがわかる。しかし、綺麗に逆比例するというより、カーブは蛇行している。

一方、シスタチンCを用いて同じように死亡率、心臓血管病の発症率、そして末期の腎不全発症率との相関を調べると、ほぼ直線の逆比例関係が見られ、正確にリスクを予想するには圧倒的にシスタチンCを用いる方がいいことが明らかになった。

他にも、両方の検査方法を合わせてみた時、あるいは蛋白尿を合わせてみた時、よりリスク計算が正確になるかも調べているが、あまり効果はない。

以上の結果から、シスタチンCの検査はコストが高いが(実際我が国では1200円ほどで、クレアチニン検査より10倍高い)、それに見合うだけの正確性があるという結論になる。 この結果はすでに何度も指摘されてきたが、UKバイオバンクという驚くべきダータベースのおかげで、間違いないことが完全に確認されたと思う。臨床医にとっては重要な研究で、おそらく健康診断でも標準になっていくような気がする。

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