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Autism Speaksから、ASDと家族に役に立つ新型コロナウイルスの情報

2020年3月20日
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様々な疾患の支援団体のウェッブサイトでも新型コロナウイルス感染(Covid-19)に関する情報が提供されるようになってきた。ワクチンが開発されていない今、感染予防には日常の習慣が大事になるが、昨日送られてきたAutism SpeaksからのメールマガジンにはASDと家族のための様々な情報が掲載されていた(https://www.autismspeaks.org/covid-19-information-and-resources)。今後は、多くのビデオライブラリーも加えて充実させるということなので、少なくとも書かれた内容については、google翻訳でも使って、読んで欲しいと思う。ただこの中からASDのコミュニティーが知るべきこととして書かれていた短い文章については(3月4日付で少し古いが)簡単にまとめておくことにした。

まず当然のことだが、全ての人が理解しておくべき米国疾病対策本部のアドバイスが書かれている。

  • 手の衛生が最も重要。何度も石鹸とお湯で手を少なくとも20秒以上かけて洗う。もし石鹸とお湯がない場合はアルコール消毒液を使う。
  • コロナにかかわらず、体調の悪い人と接触するのはできるだけ避ける。Covid-19の感染は接触が一番危険。
  • 目、鼻、口には触らない。特に子供にはこのことをよく言い聞かせる。
  • もし気分が悪い時は、自宅から出ない。もし外出が必要ならマスクで鼻と口を覆って、飛沫が飛ばないよう注意する。
  • 咳やくしゃみをする時は、口をティッシュでおおい、速やかにティッシュは廃棄する。ティッシュがない場合は、腕や肘で覆う。
  • 家族が触れる家具やドアの取っ手、手すり、スイッチなどはいつも消毒を心がける。

その上で、ASDの家族がいる場合のアドバイスとして、

  • コロナについては、どこかから聞いてくるより前に話して聞かせる。こうすることで、子供の年齢や理解力に合わせた形で情報を与えることが可能になる。
  • 子供の入りやすい方法、例えば絵を描いたり、あるいはお話にしたりして教える。例えば風について教えるための絵本がAutism Speaksに用意されている(https://www.autismspeaks.org/sites/default/files/flu_teaching_story_final%20%281%29.pdf
  • 情報を子供が自分で十分消化するよう時間をかける。これにより子供が頭の中で内容を繰り返したり、恐ろしい話でもちゃんと話せることを意味します。もちろんその時一緒に手をとって、質問に答えられるようにすることが重要です。
  • 子供の毎日に変化がないか、あるいはストレスがかかっていないかよく注意してください。ストレスや不安を感じている時は支えてあげる必要があります。
  • 子供はこの恐ろしい事態の中で安心できるよう、正しいポジティブな情報を伝えて安心させましょう。

これだけの情報だが、さすがと思えるアドバイスだ。

最初の頃、子供は新型コロナウイルスにかかりにくいという話が流布したが、最近Pediatricsに発表された中国からの論文では、中国疾病対策センターが把握している小児の症例は、ウイルス検査が終わっていないが疑わしいケースは2145例にのぼり、平均年齢が7歳であることが示されており、おそらく重症化する確率は低いと思うが、是非Autism Speaksからのアドバイスをもとに、子供をCovid-19から守って欲しい。

さらに重要な情報が発信されれば、また報告する。

3月20日 NK細胞とパーキンソン病(1月20日号米国アカデミー紀要掲載論文)

2020年3月20日
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パーキンソン病にはαシヌクレインの蓄積が重要な働きをしており、シヌクレイン症として包括的に捉えるようになった。その意味で、アミロイドやタウタンパク質の蓄積によるアルツハイマー病と同じ土俵で考えられる過程も増えてきている。特に、蓄積したタンパク質をミクログリアに貪食させ、神経死をある程度抑えるプロセスについては共通性が高い。

少し古い論文になるが今日紹介するジョージア大学からの論文は沈殿したシヌクレインの除去にNK細胞も関わる可能性をモデルマウスで示した研究で米国アカデミー紀要に1月20日発表された。タイトルは「NK cells clear α-synuclein and the depletion of NK cells exacerbates synuclein pathology in a mouse model of α-synucleinopathy (NK細胞はαシヌクレインを除去する。そしてシヌクレイン症のマウスモデルでNK細胞を除去すると病像が悪化する)」だ。

この研究は、普通なら関連付けないパーキンソン病(PD)とNK細胞を関連付けられないかと考えたことが全てだ。実際パーキンソン病の患者さんで特にNK細胞の機能が低下したという話はあまり聞いたことがない。ただ、この研究では多くのPD患者さんの脳ではNK細胞が観察され、その数も増えていることを確認する。

あとは動物モデルでNK 細胞とαシヌクレイン、そしてPDとの関わりを調べている。結果をまとめると以下のようになる。

  • 試験管内でNK細胞株は変性シヌクレインと反応して細胞内に取り込み、分解することができる。
  • NK細胞が変性シヌクレインに反応すると、キラー活性が低下し、インターフェロン産生能が低下する。
  • マウスPDモデルで、病気発症が始まる頃に抗体投与でNK細胞を除去すると、発症率が高まり運動機能の悪化が見られる。
  • 病理的にもNK細胞が除去されたPDモデルでは、病変の拡大が見られ、また神経炎症も認められる。
  • ドーパミン神経の細胞死も起こるが、線条体が中心で不思議なことに黒質の神経細胞死はほとんど起こらない。

以上が結果で、黒質の細胞死を促進しないということで、モデルとしては一般的PDの枠内で考えるより、シヌクレイン症一般で見られるNK細胞の特殊な役割を明らかにしたと考えたほうがよさそうだ。これを念頭にまとめなおすと、シヌクレイン症ではNK細胞が脳に現れ、変性シヌクレインを除去するが、その時炎症誘導能が抑えられるので、ミクログリアなどの他の炎症細胞を活性化しない。すなわち、純粋なシヌクレイン除去が可能になるという話だ。その意味で、もう少しミクログリアの状況を調べる必要があったのではと思う。

ミクログリアと比べて炎症が起こりにくいという点で、面白いメカニズムだが、ではNK細胞移植がレビー小体認知症などシヌクレイン症にお治療になるのか気になる。

カテゴリ:論文ウォッチ
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